今野浩のレビュー一覧
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工学部教授の奮闘の人生を垣間見ることができる
東京工業大学工学部元教授が、東工大での研究、教育、そして大学の組織改編などの「雑務」に奮闘した様子を、分かりやすく、具体的に描いている。雑務で消耗しながらも、研究・教育(教育・研究ではない)に情熱、人生をかけた工学部平教授の仕事の一部を垣間見ることができる。
特に、スタンフォード大学において博士号を取得した著者は、アメリカの博士課程の様子も紹介しており、興味深かった。
学生は、徹底したスクーリング(講義+宿題)と博士号取得のための厳格な資格試験を課される。まず、学生は、2年間のスクーリングにおいて、大量の学習を行い、基礎知識をみっちり習得する。学生は、当該分野について、「わかった感覚」を身に着けることができる。
幅広い基礎知識を身に付けているので、博士課程卒の学生は、実業界でも活躍することができる。
一方、日本の博士課程学生も、優秀で勤勉であるが、
教官の専門分野の先端的研究(の下請け)に忙しく、基礎知識の習得は各人の努力に任されている。そのため、実業界は、博士号取得者をなかなか受け入れようとしない。
また近年、国際的な研究力ランキングにおいて、評価の高い東工大の教育・研究事情も、興味深かった。
最後に、「納期を守ること」から始まる工学部の教え7か条は、エンジニアだけでなく、日本の組織において、仕事をして行くうえで重要なルールだと思われる。 -
Posted by ブクログ
同期にも教授になったのがちらほら出てきたこともあり、母校ネタもある本書を読んだ。現役時代、全く看過してきた多くの事実を今頃しり、新鮮な驚き、そして指導者の苦労を思う。
何かにつけアメリカの大学との比較となってしまうのが悲しいが、日本の大学はそれはそれでかなり良い点も多いと本当に思う。しかし、本書で指摘されているように、ほとんど「発信」がないのか気づかれにくいのか、全体像から各研究内容までがなかなか伝わっていない。これについては打開策が出はじめているとのことなので、期待したい。そのようなネタからはじめて、工学部というところを外野から眺めなおすことができた点がよかった。 -
Posted by ブクログ
読書録「工学部ヒラノ教授」3
著者 今野浩
出版 新潮社
p33より引用
“ 陸の孤島には映画館も本屋もない。ま
してや、コンサート・ホールなどあるはず
がない。あるのは、杉林・梨畑・豚小屋・
公園・泥んこ道である。食堂に入れば、顔
見知りの学生がウェイターをやっている。
パチンコ玉をはじけば、そこにも学生の目
が光っている。"
目次より抜粋引用
“シーラカンス
大学スゴロク
論文書きのノウハウ
講義という名の決闘
大学院重点化"
数々の大学で教授を歴任された著者によ
る、大学教育、とりわけ工学部の実態を描
いた一冊。同社刊行作文庫版。
大学に職を得る苦労についてから、出世
したらした場合の煩雑な仕事についてまで、
切実な実体験を元に記されているようです。
上記の引用は、出来たばかりの頃の筑波
の大学周辺の様子についての一節。
何事も始まりはあるもので、その頃に関わ
るのは、なかなかに苦労も多いのかも知れ
ません。しかし、それが上手くいき、大き
くなった時には、黎明期に携わることが出
来たということが、良い経験と思い出にな
るのではないかと思われます。
実際に大学に通った人、特に80年90年代
に大学関係者だった人である程、面白さが
解ると言うか、内容に思い当たる事が浮か
ぶのではないでしょうか。
書かれていることがどこまで事実かは分
かりませんが、頭の良い人たちが集まった
からといって、やることが良くなるばかり
というわけでも無いのかも知れないな、と
思わされるようなエピソードもありました。
ユーモアに溢れた描かれ方がされています
が、執筆作業中に思い出し怒りされてそう
です。
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Posted by ブクログ
一般には知られていない工学部の実態を隅から隅まで暴露する。単位略取、違法コピー、大学という超格差社会、研究費の不正使用、論文盗作とデータの捏造、キャンパス殺人事件・・・・・・。タイトルを読んだだけでもそそられる。掉尾を飾るのは「STAP論文事件」。小保方博士がネイチャー誌に投稿した論文は、度重ねて拒絶査定を受けていた。審査をパスするため、竹市センター長の求めにより論文作成に参加させられたのが笹井博士。派手な宣伝活動を行い経験未熟な駆け出し研究者に責任ある地位を与え、論文内容の正しさを確認するプロセスをスキップし、優れた研究者を自殺に追い込んだ理化学研究所は今も健在。研究体制の抜本的改革が求められる。