宮西真冬のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
書店に勤めていた妹が、ビルから飛び降りたと連絡があり、結婚して東京に住んでいた姉は、実家に戻る。
その日の朝、妹からメールがあったのに忙しいから後で…と言ったことが気になり、書店の同僚や妹の交友関係を調べる。
父の無関心や母の過剰な期待だったのか。
思いのままにいかなかった過去の恋愛なのか。
仕事がうまくいかずに同僚から言われた言葉だったのか。
妹のことを辿るうちに自分の気持ちに向き合うことになっていく。
そして、自分のことを普通じゃないと話す母。
母は、これまでどれだけ他人からその言葉を投げかけられてきたのだろう。
良い意味で使われなかった言葉。
人より劣っている、と知らしめるために使われ -
Posted by ブクログ
妹がビルから転落したということで、姉が東京から駆けつけた。妹は脳に損害がないものの、以前意識不明だった。
事故?自殺?姉は、真相を探るため、妹の仕事先であり、かつて姉も働いていた本屋へ行く。従業員の声から浮かび上がってくる妹の知らない一面。果たして、妹はなぜ転落したのか?
メインとなる話は、妹の転落の謎ではなく、妹の知らなかった一面を姉が探っていく話かなと思いました。
なので、転落というとミステリー色が濃くなるのですが、そこを期待しすぎると、「なーんだ」という結果になってしまいますので、ご注意ください。
妹もそうですが、背景にあるハラスメントや労働環境などといった問題も印象的でした。
本 -
Posted by ブクログ
ネタバレ読み始めは、ハラハラしちゃう展開が予測できて億劫になったけどどんどん面白くなってくる。
人の弱さと、自分を守るために他人に攻撃する脆さが主観的によく描かれていて、それぞれの登場人物の行動と気持ちに納得ができる。
一見関係ないと思われた女たちが最後はそこでつながるのかという展開は圧巻する。
不妊であったり、モラハラであったり、見えづらいけど絶対に被害者加害者が近くにいることをストーリーのきっかけにしている。傷つけ傷つけられてる、でもその裏にはそれぞれの人のそれぞれの事情があることを説得力を持って描くことで読んでる側も救われる気持ちになる。
これがデビュー作とは驚くほど、人の心に寄り添った深い話だ -
Posted by ブクログ
ネタバレ村を出て、バカにされないように虚勢を張っている間に、自分が本当に好きなことを忘れてしまっていた。ものさしを取り戻さなければいけない。子供の頃はちゃんと持っていた、自分がどうしたいのか、何を好きで、どうなりたいのか、それを測るものさし。
子どもの頃のように自由に絵を描いてみよう。受験用のデッサンではなく、ただ、自由に、気の向くままに。
これからも絵を描きたいのか。
それとももう辞めたいのか。
ちゃんと、自分自身で、決めなければいけない。
「こういうお空の色をね、茜色っていうんだよ」
「あかねいのいろ?」
「そう。お母さんね、この色が大好きなの。それでね、あなたのことも大好きだから、茜って名前に