ケン・シーガルのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
アップルを再建した、スティーブ・ジョブズの手腕を、ともに働いたケン・シーガルが「シンプル思考」という考え方にまとめたものです。
とってもわかりやすかった。
気になる点は以下です。
・「シンプルさ」は、ビジネスにとって最強の武器になると言っても過言ではない。
・最も活力にあふれる企業は企業のかっこよさや使い方を伝えるのではなく、「なぜ」その製品を手掛けたかを伝えている。
・会社をシンプルにするためには、まずシンプルなミッションを持つことだ。
・知識豊富で誠実な販売員のいる店舗での買い物が快適なことを知っている。
・すべてのビジネスプランは無駄をそぎ落し、できる限り簡潔にすべき。
・シンプルの効力を信じるビジネスリーダーは会社の価値に共感する人材を採用する。
・採用しようとしている人は、特定の個性を生まれ持っている人だったのです。つまり聡明で、好奇心やクリエイティブな発想を持ち、私たちの企業文化や倫理感に合う人です。
・ビジネスに良い影響を与える2つの個性とは、「良識」と「誠実さ」です。
・組織になじみ、仕事に打ち込める聡明で活発な人の仕事は、3人分の仕事に匹敵する。
・絶対に間違えずに常に正しい仕事を社員に求めているわけではない。もし何かまちがったら、それを「正す」ために最大限の努力を尽くせる人を探している
・会社がシンプルになるほど、ブランドは強まる。メッセージが理解しやすいほど、人々はブランドに好感をいだきやすくなる。
・スティーブは、特定の仕事にだけ時間を割くという進め方をしています。プロジェクトはひとつづつ着手しました。こうやって集中力を発揮し、高い品質の製品を作成した。
・スティーブは、4種類のコンピュータを除く全ての製品から完全撤退すると発表した。
・アップルに息づく哲学とは、量より質を追求するという哲学だ。
・アップルでは、顧客がアップル製品と「恋に落ちる」ようなテクノロジーを形にする
・デジタル空間で重要なものは、「シンプルさ」「デザイン」「価値」の3つだ。
・データだけに頼るビジネスは、人間的な要素に欠ける。数字は意思決定するための判断材料の1つに過ぎない。
・物事を圧倒的にシンプルにするのは直感。
顧客に関するいくつかの質問(抄)
・顧客が受ける体験はすべてで一貫しているか。
・顧客体験を通じて、あなたは会社の熱狂的な支持者になろうと思うか
・会社が販売しているものはシンプルか
目次は次の通りです。
イントロダクション 「シンプル」は見た目通りでない
Chapter1 「シンプル」な組織は、シンプルなミッションから
Chapter2 「シンプル」は組織に浸透する
Chapter3 「シンプル」はリーダーの味方
Chapter4 「シンプル」はチームスポーツ
Chapter5 「シンプル」がブランドを作る
Chapter6 「シンプル」はどんな規模の会社にでも効果がある
Chapter7 「シンプル」はよどみがない
Chapter8 「シンプル」は愛を呼ぶ
Chapter9 「シンプル」は直感でわかる
Chapter10 あなたなりのシンプルの道を見つける
あなたのシンプル化ストーリー -
Posted by ブクログ
シンプルであるべきか、複雑であるべきか。シンプルであることは誰が見ても正しいように思えるのに、いざ自ら行動すると簡単に複雑な道へそれてしまう。「複雑」というものは、とても魅力的なのだ。
あらゆるデザイン、あらゆるオプション、あらゆる価格帯の統一性のない型番の商品の中からひとつの製品を選ばなければならないというのは、考えただけで重い作業であるけれども、iPhoneを選ぶなら、もしくはMacBookを選ぶなら、考えることはとても少ない。これほどユーザーに親切な商品は、作る側に立つと不思議となかなか作れない。
『Think Simple』では、シンプルを貫くということがいかに難しいかということを延々と語ってくれる。「シンプル」というのは生易しいものではなく、どんなときでもシンプルであることが求められるからだ。気まぐれのようにシンプルを選んだり、誰かの真似のようにシンプルを使っても、その恩恵を受けることはできない。これは信仰にも似たものだと、著者は時折語っている。
そんな厳しい「シンプル」の申し子がスティーブ・ジョブズだった。スティーブ・ジョブズの振るうシンプルの杖に、私も叩かれてみたいと思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレアップルという会社に「シンプル」というマインドがいかに根付いているかが、数々のスティーブジョブスの逸話にそって描かれています。
「シンプルであることは複雑であることを圧倒するが、シンプルで居続けるのは難しい」
この本で強く訴えられているのは、この点です。
読んで、印象に残ったエピソードを挙げていきたいと思います。
Think Brutal(容赦なく伝える)より
「アカウント(取引先担当)で働いてます」と伝えると、スティーブ・ジョブズは、
「そうか、オーバーヘッド(圧縮削減が可能なムダな処理)だな」と。 と言う会話。
よくある話ですが、会社が大きくなると会社の付加価値に貢献しない部門や役割が増えてきます。企業として成り立つためには必要ではあるものの必要最低限に抑え込まないといけないのですが、気をぬくとどんどん増殖します。優秀な経営者でも複雑さに毒されていき会社は付加価値を生まない部門で溢れかえります。
個人としてもシンプルに自分がやるべき事を考え続ける必要があることを気付かされます。
Think Small(少人数で取り組む)より
スティーブ・ジョブズの話ではありませんが、ある経営者が会議に参加しているメンバーを見渡し、そこに出席しているメンバーに対し「君たちはここで何をしている?」と問いかけ、
「さあ、わかりません。呼ばれたからきました」とメンバーは答える。
その経営者は「そんなことをほざいているやつは、ここに座っているべきじゃない。他で建設的なことをしろ」と伝える。
会議にやたら多くの人間が出席しているのは、メンバーそれぞれに能力が欠けていると言うこと。プロジェクトを強力に進めるために必要な素質を持った少数のメンバーで構成されていること。
「念のために」と呼ばれる会議に対しては、なぜ自分が必要かを問いかけ、本当に自分ができるべきかを考えるようにしてますが、それでもなんだかわからないうちに巻き込まれる会議ってあるんですよね〜。気を引き締めなくては。
Think Minimal(ミニマルに徹する)より
一つのCMで4〜5個の特徴を伝えたいスティーブ・ジョブズを、1個に絞りたい広告代理店がとったやり取り。
「スティーブ、キャッチしてくれ」と1つの紙の玉を投げ、それをキャッチするスティーブ。
「これがいい広告だ」
「スティーブ、もう1回キャッチしてくれ」と今度は5つの紙の玉を投げ、1つもキャッチできないスティーブ。
「これが悪い広告だよ」
アップルの広告が優れているのは、スティーブ・ジョブスが完璧にシンプルだったからではないんですね。
Think Motion(動かし続ける)より
初期のiPhoneは、「アプリ」をサポートしてなかったが、その後の製品とOSの更新でアプリケーションを追加できるようなり、その魅力は革命的に増したと思います。
iPhoneはその後も毎年なんからのアップデートがくりかえされ、今も続いてます。
Think Iconic(イメージを利用する)より
ボタンがたくさんある従来のスマートフォンに対し、iPhoneは1つのホームボタンで挑み、そして勝ち残ったことはシンプルの勝利と言えるでしょう。
なお著者はそのうちボタンは0になるかも知れないと書いてますが、iPhone Xで、まさにそうなりました。
Think Phrasal(フレーズを決める)より
「iMac」は「Macman」になっていたかもしれないというエピソード。
ステイーブが推していた「Macman」は、ソニーの「Walkman」からインスパイアされたそうですが、もしそのネーミングだったらあそこまで売れなかったでしょうね~。
「iMac」を粘り強く推した広告代理店の人(=著者)の勝利ですね。
もう1つ、「ファイナルカット」というアップルの動画編集のソフトウエアの開発のエピソード。
通常版とプレミアム版の2種類を発売したいと言う開発テームに対しスティーブ・ジョブスは「1つに絞り込む」ように指示を出したという。
このエピソードを読んで思ったのは、今のiPhoneのラインナップ。
「11、11Pro、11ProMax」はスティーブの目にはどう写るのかな...。
Think Casual(カジュアルに話し合う)より
前提条件からスタートするプレゼンはハッキリいってムダ。
事前にインプット資料を配布し、プレゼンではコアな部分のみに絞って議論すべきだと思います。
シンプルさはせっかちです。
Think Human(人間を中心にする)より
アップルの「Think different」キャンペーンで流れたCM 「The crazy ones」より。
クレージーな人たちがいる
反逆者、厄介者と呼ばれる人たち
四角い穴に 丸い杭を打ちこむように
物事をまるで違う目で見る人たち
彼らは規則を嫌う 彼らは現状を肯定しない
彼らの言葉に心をうたれる人がいる
反対する人も 賞賛する人も けなす人もいる
しかし 彼らを無視することは誰もできない
なぜなら、彼らは物事を変えたからだ
彼らは人間を前進させた
彼らはクレージーと言われるが 私たちは天才だと思う
自分が世界を変えられると本気で信じる人たちこそが
本当に世界を変えているのだから
Think Simpleの中では、これはまさにスティーブ・ジョブズの事を表した内容だと書かれています。
確かに、、、反逆者で、クレイジーで、世界を変えて。
そして「死」がスティーブ・ジョブズを更にシンプルな高みに押し上げます。
晩年は禅にもハマり、シンプルさを更に追求していき、アップルという企業とブランド価値、そして生み出すプロダクトの質を高めていきます。
そして根底にあるのは、プロダクトやサービスの質ではなく、それを使う人間がどう感じるか。
例えば、こんな商品出しました。こんな凄いスペックの沢山の機能がついていて素晴らしいですよ。
ではなく、この商品で、貴方はこんな素晴らしい体験ができます。
最近は後者のような商品フレーズを見かけることは多くなりましたが、初めたのはアップルでしょう。
そういった意味でアップルの人間を中心に考えたシンプルな考え方の勝利と言えるでしょう。
シンプル、奥が深い、、。
Think Skeptic(不可能を疑う)より
ある検討案件で、スティーブ・ジョブスに「それは不可能です」と言い切ったが、その後可能にする方法があることがジョブスに知れてしまって、、、というエピソード。
普段の仕事でもありますよね。ただ相手がスティーブ・ジョブスだと思うとおそろしい…。
「できない」を「可能」にする方法はあるが、今のご時世、優先的地位の濫用、パワーハラスメントといった落とし穴もあるので程々にしなくていけませんが、安易な不可能ですは創造的な発想をストップさせることになると思ってます。
出来ない理由ではなく、出来る方法を考えよう。
Think War(戦いを挑む)より
アップルは、マイクロソフト、デルといったPCソフト、PCメーカーとの闘いを続けてきました。
また、サムスン電子やファーウェイといったスマホメーカーとも戦ってます。
平和が一番ですが、競争相手が居ないと、そこでイノベーションは止まります。
我々も日常生活で色々と「競争」をしています。
仕事上のライバル、恋のライバル、などなど。
相手を貶めるような策略をとるのではなく、お互いに高めあう様な関係を築き上げたりするのも良いだろうし、自分なりの強みを尖らせて相手と違う面で勝つのもありだと思います。
戦いから逃げず立ち向かうことで自分は成長できると思います。 -
Posted by ブクログ
本日読み終わりましたが、実に3年かかってしまいました。
とても読みやすい本ですので、本気で読めばそんなにかからないと思います。
医者等の待ち時間の暇つぶし用途にしていたので、読む機会自体が少なくてこれだけの期間がかかってしまったというだけでした。
スティーブ・ジョブスさんがトップだった頃の apple 社の話ですので、とても興味深く読み進めました。
テーマは「シンプル」これだけです。
結果的に成功した会社の話ですので、どんな題材でもそれなりに面白いとは思いますが、本書は特に「いかに apple がシンプルという考え方を重視していたか」という点を重点にしています。
むしろ「シンプルさ」の重要性を、apple という具体例をふんだんに用いて主張している感じです。
結構同感しながら読めました。
僕の周りの小さい世界(仕事場)でさえ、無駄に複雑にめんどくさくして、手順を決めたがる人が多いのですから。(笑)
この本を読ませたい同僚が腐るほどいます。(笑) -
購入済み
超有名なあの公告
think differrent の広告キャンペーンの背後にあるものは、シンプルの哲学だった!知っていることも知らないことも満載で面白い。
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Posted by ブクログ
経験と知識が増えるにつれて、私たちのやるべき事が複雑化され、更に会社という枠組みに呑まれて私たちは自由な発想を活かすことが出来ない。そんな世の中に何故スティーブ・ジョブスはシンプルという私たちの本質に固執することができたのか。当たり前のようで当たり前ではなくなってしまった私たちのシンプルさを、荒々しいやり方とはいえ、1人の男が果敢に取り戻していく実話。まだまだ世の中はしがらみでいっぱいだが、20年前(現在2022年)と比べるとアップルのお陰で私たちの生活は一変したといって言い。iPhoneが登場した2006年以前の生活様態が全く思い出せないくらい、今はiPhoneにお世話になっている。この感想もiPhoneで書いているのだから。
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Posted by ブクログ
断捨離、禅など、シンプルの精神に共通する概念が、最近やたらと支持されている。
アップルが支持されるのも、アップルが生み出す製品や、そこに息づく精神が時代の潮流とマッチしているからだそう。
その潮流とは?目の前にはものが溢れ、めまぐるしく入れ替わり、自分自身もその中で糧を得て暮らしているのに、
どこかでそんな暮らしに嫌気がさしている。
そこに現れたのがシンプルの権化アップル。普遍のでざいんと、堂々とした佇まい。好きにならないわけがない。
シンプルに生きれば物欲もなくなるのだろうか。
・社内でやりとりされる電子メールをあけて、厳しい目で読んでみるといい。あいまいな表現がはびこっていることに気づくはずだ。(容赦なく伝えよう)
・プロジェクトの成果の質は、最終的な意思決定者がかかわる程度に比例する
・広告代理店の案をスティーブ・ジョブズより先にアップルの社員が見ることを許さなかった。
・優れたアイデアにはある程度のリスクがつきもの。欠点がひとつやふたつあるのは当然で、すぐれたアイデアとはそれを補ってあまりあるもののはずだ。
・スティーブは創造性の天才というよりは、創造性を愛する天才だ。
・誰も不愉快にしない完璧な広告は、良い調査結果をもたらすが、消費者との感情的なつながりを作れない。
・偉大なことを成し遂げるためには、計画と、十分でない時間が必要
→余裕のあるスケジュールは疑わしい
・”マーケティングの歴史における最良の例にして、もっとも偉大な作品のひとつはナイキだ。ナイキはコモディティを売っている。靴だ。だが、人々が
ナイキについて考える時、ただの靴のメーカーと思っていないはずだ。彼らは宣伝で価格について語ったことがない。偉大なアスリートをたたえ、
偉大なスポーツをたたえているのだ。それがナイキであり、ナイキはそのためにあるのだ。”
・よいネーミングの原則は、ものを作るときだけでなく、人に何かを伝える時に役に立つ。
・新しいアイデアを付け加えるのであれば、古いものを再提案してもいい。
・シンプルさをもっとも凝縮して表してくれるのは新商品のネーミングだ。
→楽しく、願わくば利益になるようにネーミングする
・すばらしい名前は常に存在し、発見されるのを待っている。
・3つの文章で言えることを20枚のスライドを見せられると、スティーブはもうがまんできなかった
・シンプルさは好きな時だけに選ぶのではなく、心から傾倒することが必要なのだ。
・スティーブは集めたデータを熱心に見るが、最終的な決断では頭と心をよりどころにした。
・アップルのデザイナーは、ベンダーが「できません」と言ったとkには、それは特別な努力なしではできないという意味だと知っている。
・自分のアイデアを前進させる時に、チャンスはすべて使わなければならない。
→スティーブはクリントン大統領に電話までして、ネルソン・マンデラのCM出演をトライした。
・ブランド銀行の預金を増やす。
・「快適なスケジュール」は常に警戒したほうがいい。ある程度のプレッシャーが目標に向けて物事を前進させることはまぎれもない事実だ。
・アイデアの精神を象徴するイメージを使うことで、自分の考えを具体化することができる。
きれいに飾られたパワーポイントはすでに世の中にあふれていて、ほとんどの場合効果がない。あなたのアイデアの本質を表しているコンセプトのイメージを見つけよう。シンプルで力強いものがいい。
”シンプルであることは、複雑であることよりもむずかしい。物事をシンプルにするためには、懸命に努力して思考を明瞭にしなければならないからだ。
だが、それだけの価値はある。なぜなら、ひとたびにそこに到達できれば、山をも動かせるからだ。―スティーブ・ジョブズ
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Posted by ブクログ
ネタバレクリエイティヴな職種に限らずどんな人であれ、働いている人がこの本を読むと鼓舞されつつも落胆するだろう。スティーヴ・ジョブズとの仕事はなんてエキサイティングで、自分のやっている仕事はなんてつまらないんだろうと。
この本は、iMacという名前を考えたケン・シーガルという人が書いた本で、シャイアットというマーケティングの会社でアップルの外注を受けていた。この人はスティーヴ・ジョブズと10年に渡って広告の仕事をしてきた。スティーヴがネクストの頃からアップルに復帰して以降もマーケティングの外注を受けてきた。広告という媒体を中心に書かれてはいるが、内容に至っては主に、スティーヴ・ジョブズの考え方について書かれている。僕は広告もマーケティングについても全くの素人だが、そんなことは全く気にせず読むことができた。
think simple
タイトルのとおり、この本は物事をいかにシンプルに考えるかについて書かれている。そしてそれを体現してきたスティーヴ・ジョブズとアップルという会社、それにマーケティングという面でタッグ組んできたシャイアットという会社、その社長のリー・クロウ、現場を共に歩んできた著者が、シンプルに考えるとはどういうことかを、エピソードを交えて文字通りシンプルにまとめている。
Macのファンであればそのエピソードだけを取っても面白い。かの有名なthink differentのCMや、著者がiMacと名付けた際のエピソードなど、それらは当時は革命であり、今となってはもはや伝説となっているエピソードの意味が当事者の目線から記されている。
シンプルの杖
著者(だけでなくスティーヴに関わった人)は、スティーヴが物事をシンプルに下すプロセスを「シンプルの杖にやられた」と表現している。物事をシンプルにするというのは、機能や表現、デザインを研ぎ澄まし、無駄を省くということだ。製品について余計な機能や仕様など、広告については文言や説明や魅せ方など、一番伝えたいものを一番伝わる形で提供する、それがシンプルにするという過程になる。
これが実に魅力的で、どこの企業でもできていないんじゃないかと思われる。顧客や関連会社の要望、法的な安全性、部門間での争いなど、お金や関わる人数が増えれば増えるほど意思決定は慎重で無難で複雑で時間のかかる退屈なものになる。スティーヴが度々用いたと言われる「シンプルの杖」はそういうったものを全て削ぎ落とす魔法に近い。
アップル社の仕事
アップルの社内では通常の大企業で考えられないような手順にて物事が決定されていた。それは部門にもよるだろうが、例えばこの本に書かれていた広告に関しては、当時CEOであったスティーヴが一番最初に案を見るというものだった。それはスティーヴ自身のマーケティングに対するこだわりであったのかもしれないが、外注して仕上がったものを担当者ではなく部門長でもなくCEOが一番最初に見て判断するなんてことをアップル規模の会社が行っていた。そこでクソミソにけなして作り直しになることもあれば、目に涙を浮かべて讃えることもあったらしい。それが一番早い意思決定なのは言うまでもない。
シンプルとスティーヴ
この本に書かれている「物事をシンプルにする」ということはとても単純で、それだけに難しい。シンプルを求めるという作業は完璧を求めるゼロ100の世界で、少しでも妥協があるとそれはまがい物になってしまう。だから実行に移すのはとても大変で、まずはセンスを研ぎ澄ませて考え抜かねばならず、また関係者の霧が晴れるように説得をせねばならず、全責任を負って結果を出さねばならず、その評価を継続させねばならない。ただシンプルに考えるだけではうまくいかない。
それをやりぬくことが非常に難しく、スティーヴだからできたということが書かれており、その思想や考え方、人物像についても触れている。彼は非常に率直でフラットな人物で、さらに人の心を掴むのがうまかった。また、驚異的なまでに打たれ強かった。彼を失ったアップルがシンプルを貫けているかどうかは、外側から見ている我々にはよくわからない。
ジョブズが率いていたアップル社は、誰もが望むような理想的な環境にて経営、開発、イノベーションをしていたということになる。
あなたの会社は、あなたの仕事は数字だけを追っかけていないだろうか?あなた自身が、本当にその商品を自ら利用したいと思っているだろうか?世の中を偽っていないだろうか?世の中に真の価値を提供していると自信を持って言えるだろうか? -
Posted by ブクログ
物事はシンプルに考えて、突き進むのが一番いい。
時間的にも費用的にも、当然精神的にも。
ただ、難しいことを分かりやすく簡単に説明するのが難しいように、
シンプルさを突き詰めることは困難を極める。
それをやってのけたのが、Appleでありスティーブ・ジョブズである。
本書はAppleでのサービス企画、製品化までの流れをまとめてくれています。
内容は濃かったですが、その分得るものも多かったように思う。
全てをマネする必要は無いと思うが、必要なところは参考にしたい。
【参考になった内容】
・自分の時間、部屋にいる全員の時間が無駄になるくらいなら、
遠慮せずに会議を打ち切るべきである。
惰性で付き合う会議ほど無駄な時間は無い。
・プロジェクトの成果の質は、そこにかかわる人間の多さに
反比例する。
・リーダーには創造的才能が無くても構わない。
代わりに創造性が必要だと分かっている組織を作り上げ、
世話役になり、擁護者になれればよい。
・人間は、ひとつのアイデアを与えれば、それにうなずくが、
五つのアイデアを与えると頭を抱えて悩んでしまう。
・プロジェクトは時間があり過ぎても失敗する。
必要なのは、計画と充分ではない時間である。
・結局サービス開発は、人視点で考えるものである。
ターゲットとなる人に対して、どんなメリットがあるか、
それを突き詰めることが最も重要なことである。
・一般の人は、実際に製品を見るまで何が欲しいか分からない。
・クリエイティブな思考をもってしても回避できないことは、
1000個中数個しかない。
・チャンスは最大限に活かすこと。出し惜しみはしない。
また、フェアな戦いをしてはいけない。
可能な限り、自分に有利な立場で戦うこと。
・最初に考えた解決策が複雑だったとしても、
細分化すればシンプルな解決策にたどり着ける。
・ブランド力があればあるほど、
失敗したときに顧客は離れにくくなる。
・シンプルであることは複雑であることより難しい。
物事をシンプルにするためには、懸命に努力して
思考を明瞭にしなければならないからだ。
だが、それだけの価値はある。
なぜなら、ひとたびそこに到達できれば、
山をも動かせるからだ。