泉ゆたかのレビュー一覧
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横浜の旅行中に書店で購入しました。
序盤では横浜の街並みが丁寧に描かれていて、旅行中ということもあり、中華街などの情景がリアルに思い浮かびました。
コインランドリーの店長 真奈さんは、仕事が完璧で丁寧で、主人公の茜にも優しく接する素敵な女性です。終盤で真奈の過去が明らかになり、より一層好きになりました。そんな過去の経験を経てなお、人に優しくいられる真奈さんは、懐の深い女性だと思います。私もそんな落ち着いた女性になりたいと感じました。
旅行が終わったあと、プライベートが慌ただしくなっていた時期にもこの作品の続きを読んだのですが、忙しい日常の中でこそ、こういうほっこり系の物語が心に沁みます。静かに穏やかな気持ちを取り戻せる一冊でした。 -
Posted by ブクログ
p.216 律子先生が頷いた。
「律子先生は、みらいの顔を見た瞬間からわかっていましたよね?」「何を、ですか?」
「みらいがダウン症かもしれないってことです」
「私にはそんな能力はありません。顔を見ただけで赤ちゃんのことがわかるのは、その子を産んだお母さんだけです」
p.220 「早速ネットで調べてみます」
有希は上ずった声で言った。
「ネットは駄目です。残念ながらネットの情報は玉石混交かつ露悪的なものが多くなる傾向があるので、人の命が関わる局面で使うべきではありません。不安な気持ちになっているときは、正確な情報”が何より大切です」律子先生がめるように言った。
「正確な情報、ってどこで手に入るんでしょうか」何が正確な情報”なのか。
物心ついた頃からネットに触れていて、ネットリテラシーには敏感なはずだが、それでも時々わからなくなってしまうときがあった。
「大事な情報は、人に訊くことです。まずは主治医や看護師、保健師など、身近にいる国家資格を持った専門職に相談をしてください。もしも彼らに答えられないことがあったとしても、きっとその分野に長けた人や組織を紹介してくれるはずです。気が利かない専門職がいたら、こちらから「この相談の答えがわかる人を紹介していただけますか?」とは
つきり頼みましょう」
「人に訊く…」
情報、というのは全てネットの中にあると思っていた。
もっとたくさん調べて、もっと誰も知らない真実を探さなくてはいけないと思っていた。
「ネットの情報と違い、血の通った人間が持つ情報には善意と誠意、それに責任があります。場合によっては、それはお節介と言われてしまうこともありますが」律子先生が小さく肩を竦めた。
「ひとまず「不安なときは、情報は人に訊く』、そう覚えておいてください」「不安なときは、情報は、人に訊く、ですね…・・・・」有希はおずおずと、そして何度も頷いた。
p.255 取って、透子は即座に都内の無痛分娩で最も有名な病院に分娩予約を取った。
小さい頃からとても痛みが怖かった。
学校での集団予防接種の日は注射が嫌で数日前から気が重く、病院で採血をしてもらう直前に眩量を起こして倒れてしまったこともあった。
歯医者では震えが止まらなくなり、毎回、笑気麻酔をしてもらってどうにか耐えた。
周囲から、臆病だ、大袈裟だ、と笑われるたびに、情けない気持ちになった。
痛みを感じること、それ自体は受け入れることができるのだ。
突発的な怪我や打ち身にはけろっとしているし、頭痛や生理痛のときに鎮痛剤を飲みすぎてしまうわけでもない。
ただ、これから痛みがやってくると想像することがたまらなく辛い。未来に避けられない痛みが待っていると思うと、それがどんな此細な痛みであれ、世界が暗く見えて気持ちが塞いでしまう。
ピアスや刺青なんて、儲から見ているだけで農え上がりそうになった。
物心ついた頃からのそんな自分の性格を持て余していたので、これで出産までの半年以上、陣痛の恐怖に供えなくていいと思うと、羽が生えたように胸が軽くなった。
産院で無痛分娩の説明を受けながら、「分娩予約が間に合ってよかった」と、ずっと安心していた。
ほどなくして始まった悪阻のときも、「これさえ乗り越えれば、あとは少しも痛くない快適な出産が待っている!」と自分を鼓舞した。
けれどそんな生活の中で、胸の中でほんの小さな、しかしはっきりとした別の声が聞こえてもいた。
私は、駄目なお母さんなのかもしれない。
私は出産という場面で、赤ちゃんのためにすべての痛みを引き受けて、今できる限りの最善を尽くすべきではないのだろうか。
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Posted by ブクログ
ネタバレシリーズ2作目。前作よりも読み易いと感じました。
登場人物説明、状況説明がそれほど必要ないからかもしれませんが。
毛玉堂には近頃、お利口さんで脚が悪い犬の相談が持ち込まれることが多く、美津は気になっていました。
その共通点は「賢犬堂」から譲り受けた犬ということ。
人間の都合で無理な掛け合わせをしたせいではないかと美津たちは思っているのですが ―― 。
「賢犬堂」の主人、伝右衛門が思いの外、犬達への愛情があることに驚きました。人間と一緒に暮らせるようにとても厳しい躾をしていることに愛情と相反するものを感じたのですが、それも悲しい経験からくる伝右衛門なりの優しさでした。
でも、尾が千切れるほどの怪我をしても鳴かない犬はやっばり尋常ではないです。その犬、影法師が、てろ助を見て感情を取り戻すところは涙が出そうでした。
てろ助は飼い主、文の偏った愛情によって躾をされず、奔放に育てられていましたが、あるトラブルがきっかけで今度は体罰による躾をされ、心を閉ざしかけました。
正しい躾のアドバイスをしたのは伝右衛門です。
そんなてろ助が少しお利口さんになって影法師の役に立つなんて…。
病気のことなら「毛玉堂」、躾の相談は「賢犬堂」と役割分担が出来ました。シリーズの今後が楽しみです。 -
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前作私が読んだのは「おっぱい先生」というタイトルだった。
いつの間にか改題されて、続編が出てた。
まあ…確かに「おっぱい先生」は手に取りにくい方もいるかもね。私は好きだったけど。
今回もみんな悩んでるねぇ。
短編なんだけど、ダウン症の赤ちゃんを産んだお母さんが出てきた。
今年はこういう年なのか?
私の両親もこんな感じだったんだろうか。
姉は生まれてすぐ大きな大学病院に搬送されたそうだ。
障害宣告は父が一人で聞いたそう。
一年生きられないだろうって。
はい、皆さんご存知の通り、姉はその40倍以上大きな病気をすることもなく生きております。
まぁそんな宣告されたら過保護にもなるわな。
私も娘の口蓋裂の話聞いた時「ガーン」って周りの人に音が聞こえたんじゃないだろうかと思う位にはショックだったもの。
まぁ見つかったのも小学生になってからの話だったし、別に命に関わるものではないし、これまでとこれからと何か変わるわけでもないし、子供を持とうと思った時に色んな覚悟は決めてたわけで。
立ち直りも早かったんだけど。
手術を受けるかどうかの部分だけはすっごく悩んだ。
一人で。
だって夫は役に立たない頃だったから。
私一人で頑張ったのよ。もう自分で褒めるわよ。
結局手術も受けないことにして、年に2回定期検診(といっても、本当にちょっと口の中見て終わりなんだけど)が増えただけ。
今までなんでだろうと思ってた部分に理由が付いてスッキリした。
まぁそんな訳で(どんな訳)赤ちゃん10人お母さん10人いれば10通り…100通り?の悩みがあるのよね。
元気でいてくれればそれでいいわ。
と母は思います。
父たちは…読め。(投げやり笑) -
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接客業のアルバイトをしてた大学生の時、
なんでこんなイライラした態度で接してくるお客さんいるんだろう?心に余裕を持てばいいのにってよく思ってた
だけど、自分も社会人になって人間関係とか仕事とかいろんな経験や悩みを経て、みんな何かしらと闘って限界に近い状態でもがいている人がたくさんいるんだろうなぁって気づけるようになった。
自分が直接その人たちに何かできるわけではないけど、みんな何かを抱えて闘ってる、と考えられる想像力を持つ人が1人でも増えれば優しさは伝播するのでは(と信じたい)
本当に辛い時になんでもない一言をかけてくれる人の存在って貴重だよなぁと改めて思えた本(自分もいつかは声掛けできる側になりたい)