鈴木範久のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
明治時代、日本のキリスト教思想家である内村鑑三が「Representative Men of Japan」として英文で著した本書は、5人の気高い日本人の姿を通して、西欧社会に日本の文化や思想を啓蒙しようとした書物でもあります。
藤原正彦先生の「名著講義」でも取り上げられていた本書は、日本語訳が素晴らしいこともあり、格調高さと高潔さに溢れています。
西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮が代表的日本人として紹介されており、この5人からは「徳」「志」「信念」といった共通のキーワードが想起されます。
二宮尊徳にピューリタンを、日蓮にルターを重ね合わせたのも、キリスト教徒の内村ならではのユニー -
Posted by ブクログ
上毛かるたの「こ」
「心の灯台内村鑑三」
群馬県出身でありながらその著書を読んだのは初めてだった。海外に向けて優れた日本人を紹介した本書。
日本人として誇らしい五名を紹介している。
二宮尊徳が特にお気に入り。誠実であること、その素晴らしさを身をもって証明した人物であると感じた。
「尊徳からみて、最良の働き者は、もっとも多くの仕事をする者でなく、もっとも高い動機で働く者でした。」p89
常に志を高く持ってことをなすことは難しい。今、していることは何の意味があるのか考える。そういうとき、強い意志があるものには到底敵わない。己の軸は曲げたくないと心から強く思った。
-
Posted by ブクログ
感想
謙虚な心を持ち、信念を貫く。
そんな姿勢が、本書に描かれている5人の人物からは感じられる。
5人はそれぞれ環境は違うものの、みな広い視野を持って、「この国を良くしよう」と人生を賭けて動いている。
また、そのために自身の身なりや家は質素にして、人に施すことを忘れない。
自分の周りにいる家族や親せき、その他の人を大切にする。
言葉にすると簡単だが、実践し続けることは難しい。
西郷隆盛は身の回りのことは自身で行い、人をとがめず、自力で状況を切り開いた。
上杉鷹山は藩の財政を立て直すため、自身の実入りを極度に減らし、先を見通して産業を育て、見事に藩を復興した。
-
Posted by ブクログ
自分や他人や国に対して責任感を感じる不器用な人が、キリスト教を頼りに一生懸命に生きたのだろうなと想像しました。
アメリカやキリスト教を美化し、実際にアメリカに渡り挫折し、それでも養護院や大学での授業を素晴らしい人と出会い回心し、神学校では神と真剣に向き合わない職業的な教えに失望し、とその時の心情が目まぐるしく変わりますが、それでも決して信仰を諦めない姿はある意味壮絶なものを感じました。
「真の寛容とは自分自身の信仰に揺るぎない確信を持ちつつも、他のあらゆる誠実な信仰に対して許容して認める事。ある真理を知っていると確信しつつも、全ての真理は知る事は出来ないと理解する事。」とあるように、神にす -
Posted by ブクログ
日本の歴史的名著の一つ。日本を代表する5人の偉人について、若干の著者の解釈や西洋との比較を交えながら描かれている。強い志や人間としての徳を持った人が歴史上で成し遂げてきたことを知ることができ、また、どんな考え方をしてどのように実行してきたかを知ることができ、勉強にもなる。その中には、事をなす前にまずは徳を持つことの大切さ、人に尽くす、世の中のために尽くすという信念を持って成し遂げてきた経緯を読むことができることから、弱い自分の心の戒めとして何度も読み返す価値のある本だと思った。
二宮尊徳の、最初に道徳があり、事業はその後にあるのである、後者を前者に先立ててはならない、という言葉は印象的であっ -
Posted by ブクログ
新渡戸稲造 「武士道」、岡倉天心 「茶の本」と並ぶ、内村鑑三の、「代表的日本人」
その特徴は、欧米人に向けに、外国語でかかれたものを、和訳したものを改めて出版したものである。
「代表的日本人」は、日清戦争中に、Japan and the Japanese の題で、公刊された書物の再販です。
5名の特徴は、いずれも、貧乏な家庭に生まれ育ち、そこで、人から非難や抵抗をうけて、苦労して大成をなし、人をまとめ上げて和となし、死んでは聖人として称えられる。名や財を求めず、清貧にあるものを、内村鑑三は、代表的日本人と呼んだ。
それぞれ、気になったのは、以下です。
■西郷隆盛
・動作ののろいおとなしい -
Posted by ブクログ
ネタバレ
The Gospel of Luke
ルカ伝福音書
第二章
『何故われを尋ねたるか、我はわが父の家に居るべきを知らぬか』
第四章
『「人の生くるはパンのみに由るにあらず」と録されたり』
『「主なる汝の神を拝し、ただ之にのみ事ふべし」と録されたり』
『「主なる汝の神を試むべからず」と云ひてあり』
『主の御霊われに在す。これ我に油を注ぎて貧しき者に福音を宣べしめ、我を遣はして囚人に赦を得ることと、盲人に見ゆる事とを告げしめ、圧へらるる者を放ちて自由を与へしめ、主の喜ばしき年を宣伝へしめ給ふなり』
『われ誠に汝らに告ぐ、預言者は己が郷にて喜ばるることなし。』
『黙せ、その人より出でよ』
『われ -
Posted by ブクログ
内村鑑三にのよる日本の偉人を海外に発信するために英文で書いたもの。それの日本語訳。新渡戸稲造の武士道とかも同じように英文が原文ということを全然知らなかった。
西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮の5人を紹介。
西郷隆盛は明治維新の立役者でありながら、最後の悲劇的な終わり方、人柄などスター性があるような感じがした。能力だけなら大久保、木戸などが上なのかもしれないが、スターは西郷なのかな
ある一文に「千代に八千代に」いきたい・・・という箇所があり、国歌の一部だと思って調べると、古今和歌集からとっていることを知った。無名の歌人が1000年前に歌ったことが、今の国家に使われている面白さを -
Posted by ブクログ
.
遅ればせながら、「“名著“と呼ばれている本に取り組もう」と、意識して読むようにしています。
しかしいざ読んでみると、自分の知識レベルが低くて理解できなかったり、文章を読むことそのものに苦労したりと、消化するのに苦労しています。
それでも、「少しでも得られるものがあれば良い」と考え、チャレンジするようにしています。
この本も以前から気になっていたので、岩波文庫版を読むことにしました。
本書は1895年に、英語で書かれた文章が土台になっているようです。
原著の著者、内村鑑三が“代表的日本人”として5名を取り上げて、それぞれがどのような人柄だったのか、どのような事を成し遂げたのかを書いていま -
Posted by ブクログ
内村鑑三先生が5人の代表的日本人を題材に日本人の道徳観を説いた本。外国人向けに日本の思想を紹介した内容であり、偏ったバイアスがないのが良く、日本人が客観的に日本を学ぶのに優れた本である。
以下、中江藤樹より備忘しておきたい一文。
・“学者”とは、徳によって与えられる名であって、学識によるものではない。学識は学才であって、生まれつきその才能をもつ人が、学者になることは困難ではない。しかし、いかに学識に秀でていても、徳を欠くなら学者ではない。学識があるだけではただの人である。無学の人でも徳を具えた人は、ただの人ではない。学識はないが学者である。