【感想・ネタバレ】代表的日本人のレビュー

あらすじ

内村鑑三(一八六一―一九三〇)は、「代表的日本人」として西郷隆盛・上杉鷹山・二宮尊徳・中江藤樹・日蓮の五人をあげ、その生涯を叙述する。日清戦争の始まった一八九四年に書かれた本書は岡倉天心『茶の本』、新渡戸稲造『武士道』と共に、日本人が英語で日本の文化・思想を西欧社会に紹介した代表的な著作である。読みやすい新訳。

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明治時代、日本のキリスト教思想家である内村鑑三が「Representative Men of Japan」として英文で著した本書は、5人の気高い日本人の姿を通して、西欧社会に日本の文化や思想を啓蒙しようとした書物でもあります。
藤原正彦先生の「名著講義」でも取り上げられていた本書は、日本語訳が素晴らしいこともあり、格調高さと高潔さに溢れています。

西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮が代表的日本人として紹介されており、この5人からは「徳」「志」「信念」といった共通のキーワードが想起されます。
二宮尊徳にピューリタンを、日蓮にルターを重ね合わせたのも、キリスト教徒の内村ならではのユニークな着眼点だと思いました。

日本人として誇らしく、そして心洗われる名著です。

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2025年09月17日

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上毛かるたの「こ」
「心の灯台内村鑑三」
群馬県出身でありながらその著書を読んだのは初めてだった。海外に向けて優れた日本人を紹介した本書。

日本人として誇らしい五名を紹介している。
二宮尊徳が特にお気に入り。誠実であること、その素晴らしさを身をもって証明した人物であると感じた。

「尊徳からみて、最良の働き者は、もっとも多くの仕事をする者でなく、もっとも高い動機で働く者でした。」p89
常に志を高く持ってことをなすことは難しい。今、していることは何の意味があるのか考える。そういうとき、強い意志があるものには到底敵わない。己の軸は曲げたくないと心から強く思った。

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2025年07月31日

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感想


謙虚な心を持ち、信念を貫く。


そんな姿勢が、本書に描かれている5人の人物からは感じられる。


5人はそれぞれ環境は違うものの、みな広い視野を持って、「この国を良くしよう」と人生を賭けて動いている。


また、そのために自身の身なりや家は質素にして、人に施すことを忘れない。


自分の周りにいる家族や親せき、その他の人を大切にする。


言葉にすると簡単だが、実践し続けることは難しい。


西郷隆盛は身の回りのことは自身で行い、人をとがめず、自力で状況を切り開いた。


上杉鷹山は藩の財政を立て直すため、自身の実入りを極度に減らし、先を見通して産業を育て、見事に藩を復興した。


二宮尊徳は誰よりも長く畑に立ち、わずかな時間でも学び、徳の力をもって、多くの村を救った。


中江藤樹は自身が感動した徳の教えを広め、日々善を積み重ねることの大切さを説いた。


日蓮上人は世の反発に屈せず、信念を貫き、法華経の教えを広めて日本を救おうとした。


何かを変えられる人は、傍から見れば極端で、言い方は悪いが狂ったように見えるものかもしれない。


世の中には反発され、疎まれるかもしれない。


しかし、そうした人間こそが、世の中を変えていけるのだろう。


やや難しい言い回しも多いけれど、ここに描かれている日本人の姿は、今の日本人とは大きく違う。


でも、見習いたいところが多くある。


昨今、働き方改革、ワークライフバランスと、仕事よりもプライベートを大切にしよう、という風潮が盛り上がっているように思う。


しかしながら、それでも人生の長い時間を仕事に費やすことに変わりはなく、その時間こそ、自分が燃えるものに投下したい。


私はそう思う。


ここに描かれている5人の偉人を見習って、私も私にできることで、社会をよくするために時間を費やしたい。

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2025年06月18日

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まさに日本人の精神のルーツを学べる教養書。ふせんを何十枚も貼り、何度も読み返した。
私は上杉鷹山の改革が特に気に入っている。身分を問わず礼節を重んじ、自ら節制を示し、教育に注力し、僅かな領土や資源をも最大限活用する。読み終えると、同じ日本人に生まれて何だか誇らしい気分にさえなる。

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2024年12月10日

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日本の偉人を海外に紹介した名著。中江藤樹や日蓮などは知らないエピソードも多く、あらためてその精神性や考え方に感銘し、同じ日本人として誇らしく感じた。

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2024年06月08日

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日本の歴史的名著の一つ。日本を代表する5人の偉人について、若干の著者の解釈や西洋との比較を交えながら描かれている。強い志や人間としての徳を持った人が歴史上で成し遂げてきたことを知ることができ、また、どんな考え方をしてどのように実行してきたかを知ることができ、勉強にもなる。その中には、事をなす前にまずは徳を持つことの大切さ、人に尽くす、世の中のために尽くすという信念を持って成し遂げてきた経緯を読むことができることから、弱い自分の心の戒めとして何度も読み返す価値のある本だと思った。

二宮尊徳の、最初に道徳があり、事業はその後にあるのである、後者を前者に先立ててはならない、という言葉は印象的であった。また、上杉鷹山の変革は、人の心や行動を改めて藩を立て直していったこと、医療や教育などさまざまな取り組みを行っていたこと、それを19歳に藩主となって若くして成し遂げていったことに強く尊敬を持つ。

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2024年12月30日

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新渡戸稲造 「武士道」、岡倉天心 「茶の本」と並ぶ、内村鑑三の、「代表的日本人」
その特徴は、欧米人に向けに、外国語でかかれたものを、和訳したものを改めて出版したものである。
「代表的日本人」は、日清戦争中に、Japan and the Japanese の題で、公刊された書物の再販です。

5名の特徴は、いずれも、貧乏な家庭に生まれ育ち、そこで、人から非難や抵抗をうけて、苦労して大成をなし、人をまとめ上げて和となし、死んでは聖人として称えられる。名や財を求めず、清貧にあるものを、内村鑑三は、代表的日本人と呼んだ。

それぞれ、気になったのは、以下です。

■西郷隆盛
・動作ののろいおとなしい少年であった西郷を変えたのは、縁戚の武士が自らの前で腹を切り、「命というものは、君と国とに捧げなければならない」を語ったこと。それを彼は生涯わすれることはありませんでした。
・西郷に影響を与えた人物、それは、藩主の斉彬と、水戸藩の藤田東湖先生の2人であった。
・機会を作るのも、それを用いるのも、人である。
・西郷とは不思議な人で、ヨーロッパ文化というものにまったくの無関心でした。彼の度量が広く、進歩的な人物の教育はすべて東洋によっていました。
・物事は、一度動き始め、進路さえきまれば、あとは比較的簡単な仕事である。その最初の指導者が西郷隆盛であった。
・西郷と勝、旧友がいう、我々が一戦を交えると、江戸の罪のない人々が苦しむこととなる。西郷の情が動き、江戸は救われた。
・強い人は、弱い人が相手でないとき、もっとも強い。西郷の強さの奥には、女性的な優しさがありました。
・彼が掲げた「敬天愛人」とは、「天はあらゆる人を同一に愛する。ゆえに、我々も自分を愛するように人を愛さなければならない。」ということです。

■上杉鷹山
・変革とは他人を待つのではなく、まず自らが始めなければなりません。
・鷹山の倹約はけちではありません。施して浪費するなかれ、
・東洋思想の一つの美点は、経済と道徳を分けない考え方にあります。富は常に徳の結果であり、両者は木と実との相互の関係と同じです。
・鷹山の優れたことは、改革の全体を通じて、家臣を有徳の人へ育てようとしたことである。

■二宮尊徳
・仁術さえ施せば、この貧しい人々に平和で豊かな暮らしを取り戻すことができる
・信念:ただ魂のみ至誠であれば、よく天地をも動かす
・利己心はけだもののものだ。利己的な人間はけだものの仲間である。村人に感化を及ぼそうとするなら、自分自身と自分のもの一切を村に与えるしかない。
・尊徳にとって、あくどい手段で獲得した財産は本当の財産ではありませんでした。

■中江藤樹
・天子から庶民にいたるまで、人の第一の目的とすべきは、生活を正すことにある
・藤樹の理想とは、謙譲に徹することでした。仏陀はそれにかなう人ではなかったのです。
・藤樹は、弟子の徳と人格とを非常に重んじ、学問と知識を著しく軽んじました。
 学者というのは、徳によって与えられる名であって、学識によるものではない。
 学識は学才であって、生まれつきその才能を持つ人が、学者になることは困難ではない
 しかし、いかに、学識に秀でていても、徳を欠くなら学者ではない
 学識があるだけではただの人である
 無学の人でも徳を備えた人は、ただの人ではない
 学識はないが学者である
・先生は利益をあげることだけが人生の目的ではない。それは、正直で、正しい道、人の道に従うことである。とおっしゃいます
・藤樹によって謙譲の徳とは、そこから他の一切の道徳が生じる基本的な道徳でした。これを欠けば一切を欠くにひとしくなります

■日蓮上人
・すでに「末法」が世に到来していること、新しい世をもたらすためには、新しい信仰が必要であり、その機会が到来していることを深く確信しました。
・預言者故郷にいれられず、といわれます
・私はとるにたらぬ、一介の僧侶であります。しかし、法華経の弘布者としては釈尊の特使であります。それゆえ梵天は我が右に、帝釈天は我が左に合って私を守り、日天は私の先導となり、月天は、私にしたがいます。我が国の神々はすべて頭をたれて私を敬います。
・日蓮の大望は同時代の世界全体を視野に収めていました。仏教はそれまでインドから日本に東に進んできましたが、日蓮以後は、日本からインドへ西に向かって進むと日蓮はいっています。
・闘争好きを除いた日蓮、これが私どもの理想とする宗教家であります。

目次
凡例
はじめに

1 西郷隆盛 新日本の創始者
2 上杉鷹山 封建領主
3 二宮尊徳 農民聖者
4 中江藤樹 村の先生
5 日蓮上人 仏僧

ISBN:9784003311936
出版社:岩波書店
判型:文庫
ページ数:256ページ
定価:780円(本体)
発売日:1995年07月17日第1刷
発売日:2021年05月27日第46刷

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2023年08月26日

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ネタバレ

今回3回目くらいかと思うが、本棚への登録がなかったので、また再読した。

内村鑑三さんは、民衆の心をつかんで、民衆のために尽くした人をセレクトしているように思う。日本人には、こんな立派な人物がいるのだと、誇らしげに伝えようとしている。

ここに選ばれた、西郷隆盛、上杉鷹山、中江藤樹、二宮尊徳、日蓮の5人は、内村鑑三さんの心底惚れぬいた人物、心底尊敬している人物であることが、文面から強く伝わってくる。

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2023年07月25日

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内村鑑三先生が奔流のように押し寄せる西欧文化の中で、どのような日本人として生きるべきかを模索した書です。

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2023年03月14日

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内村鑑三が英語で日本の文化・思想を西洋社会に紹介した名著
西郷隆盛、上杉鷹山,二宮尊徳、中江藤樹、日蓮上人の5人が記されている。

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2022年02月12日

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「同僚たちが立ち止まろうとしたところを、西郷は出発点とみなしていた」
「その時できた膝のあざをそうっと眺めるのが常であった。これは尊師が私に残した警告である。これを見るたびに自分を省みて自己と民とに誠実であるかと問う戒めとしている。しかし、残念ながらあざは歳を取るごとに色薄れ、それに従い私の慎みも薄れている」
「鷹山の産業改革の全体を通じて特に優れている点は、産業改革の目的の中心に家臣を有徳な人間に育てることを置いたところです」
「尊徳は伯父の怒るのはもっともと考え、自分の油で明かりを燃やせるようになるまで勉強を諦めました」

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2020年05月10日

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心の底にあって忘れかけていたものが掘り返される感覚を覚えた。日本人の勤勉性や誠実さは、後の国内情勢の中で都合よく利用された点は否めないが、今も心の底に残る美徳だと気付かされる。若い方が読んだらどういう感想を持つのか興味深い。
「西洋」に対しての著者の、日本人の道徳心、利他的で謙譲な美意識を丁寧に説明しようとする、文字で闘う気概を感じる。

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2020年02月01日

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内村鑑三にのよる日本の偉人を海外に発信するために英文で書いたもの。それの日本語訳。新渡戸稲造の武士道とかも同じように英文が原文ということを全然知らなかった。

西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮の5人を紹介。

西郷隆盛は明治維新の立役者でありながら、最後の悲劇的な終わり方、人柄などスター性があるような感じがした。能力だけなら大久保、木戸などが上なのかもしれないが、スターは西郷なのかな

ある一文に「千代に八千代に」いきたい・・・という箇所があり、国歌の一部だと思って調べると、古今和歌集からとっていることを知った。無名の歌人が1000年前に歌ったことが、今の国家に使われている面白さを知る。

天や自然に従い、人に寄り添う敬天愛人という陽明学に添ったスタンスという点で全員が一致している。小さくまとまらないスケールの大きな人の考え方のように感じて良いなと思う

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2025年10月26日

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代表的日本人
内村鑑三 1908
鈴木範久 訳 1995

元は1894年の日本を世界に紹介する本、ということでナショナリスティックな内容。明治当時の日本の懸命さが伝わる。

全文はブログで
www.akapannotes.com

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2025年08月06日

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遅ればせながら、「“名著“と呼ばれている本に取り組もう」と、意識して読むようにしています。
しかしいざ読んでみると、自分の知識レベルが低くて理解できなかったり、文章を読むことそのものに苦労したりと、消化するのに苦労しています。

それでも、「少しでも得られるものがあれば良い」と考え、チャレンジするようにしています。
この本も以前から気になっていたので、岩波文庫版を読むことにしました。

本書は1895年に、英語で書かれた文章が土台になっているようです。
原著の著者、内村鑑三が“代表的日本人”として5名を取り上げて、それぞれがどのような人柄だったのか、どのような事を成し遂げたのかを書いています。

最初に取り上げられているのは、西郷隆盛。
亡くなってからまだ20年も経たない時点で書かれていることもあり、本人に接した人々による詳細なエピソードが複数、紹介されています。
後年の、偶像化された西郷評を読むことが多かったので、本書で(実在の人物として)魅力的な人柄だったということを、知ることが出来ました。
西郷の考えとして紹介されている、「文明とは正義がひろく行われることである」という言葉には、そうあるべきだ/そうであって欲しいと、深く共感しました。

二人目は、上杉鷹山。
三人目は、二宮尊徳。

いずれも、財政的に苦しい状況にあった組織を、再建した人物。
良い仕組みを導入したという面もありますが、推進者自らが徹底して道徳的に振る舞い、組織の規律を整えたという点が強調されていることが、印象に残りました。

四人目は、江戸時代初期の教育者、中江藤樹。
正直、この方のことは初めて知りました。
江戸時代に行われていた教育がどのようなものであったか、知ることが出来ました。

五人目は、日蓮上人。
何を成し遂げたかということ以上に、困難に屈せず自分が信じることを続けたことを、著者が評価している点が印象に残りました。

読み終えて、本書の著者は「日本ではどのような人が、周囲から尊敬を受けるのか」、「その人のどのような資質や振る舞いが、良いとされているのか」といったことを、欧米人に向けて発信したかったのかなと、想像しました。

自らを律し、謙虚に振る舞うこと。
我欲にとらわれず、正しいかどうか(天/神の意思にそっているか)で、自らの行動を選別すること。

書かれてから100年以上が経ち、日本人の道徳観も、変化している部分があるかもしれません。
しかし、この本が書かれた時代に好かれていた人、尊敬されていた人は、現在の日本でも同じような評価を受けるだろうなと思いました。

人生を歩む上で、すべきこと/してはならないことをどう、定義するか。
「道徳」という言葉の持つ意味について、考えさせてもらえた一冊でした。
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2025年05月05日

Posted by ブクログ

内村鑑三先生が5人の代表的日本人を題材に日本人の道徳観を説いた本。外国人向けに日本の思想を紹介した内容であり、偏ったバイアスがないのが良く、日本人が客観的に日本を学ぶのに優れた本である。

以下、中江藤樹より備忘しておきたい一文。
・“学者”とは、徳によって与えられる名であって、学識によるものではない。学識は学才であって、生まれつきその才能をもつ人が、学者になることは困難ではない。しかし、いかに学識に秀でていても、徳を欠くなら学者ではない。学識があるだけではただの人である。無学の人でも徳を具えた人は、ただの人ではない。学識はないが学者である。

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2023年10月31日

Posted by ブクログ

5人のうち、気になる所から読んでみてもいいかもしれません。
私が1番印象に残ったのは、二宮尊徳。正直二宮金次郎像のイメージしかなかった私ですが、この本で彼の精神や生き方を学び、像への見方が変わりました。笑

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2023年05月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

新渡戸稲造の「武士道」、岡倉天心の「茶の本」と並ぶ内村鑑三が書いた、日本の文化や人物を西欧に紹介する著書。内村鑑三が書いた

西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮上人の5人について描かれている。

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2023年03月19日

Posted by ブクログ

著者内村氏が、自身が諸外国に対し、日本人の代表として紹介したい人物を記した本。

前情報なしに読んで、タイトルだけ見て、所謂日本人らしい日本人を書いた本かな、と思っていたので、想像とだいぶ違ったが面白かった。

小学校で下手な道徳の授業を行うより、この本を読ませる方がよっぽどいいのではないかと思える

また、人の上に立つ立場の人間にこそ読んでもらいたい本であると感じる。

このように世界に誇れる誇れる日本人を紹介しようと思うと、誰を選べるだろうか。

ただ、最後の日蓮だけ毛色が違ったような気がするし、なんとなくもやっとする。

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2021年08月01日

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英文1894年M27刊行1908年M41改番日本訳版。
札幌農学校第二期生キリスト教に改宗著者が西洋から野蛮で無知との日本への偏見を覆す為に選んだ5人の賢者
西郷隆盛(薩摩藩革命家)上杉鷹山(封建領主藩政改革者)
二宮尊徳(小田原藩農業指導者)中江藤樹(西近江陽明学者)
日蓮上人(安房小湊村法華経開祖)自らの損得ではなく人々の幸せを願い何度も挫折しながらも清貧で愚直に与えられた使命を全うする生き方はプロテスタントの教えと
一致するのかも。

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2021年07月09日

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偉人たちは軸を持って生きている。
それぞれの軸。
自分に近い軸を見つけて、それを育てるヒントにしたい。

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2021年05月21日

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ちょいトンデモ本だけど、上杉や中江はあまり知識なく勉強になった。すげーな 徳がすべて そのためには良い事を行い続ける…

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2021年05月01日

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ついこのあいだ鈴木大拙の『禅と日本文化』も読んだ。こちらも、日本人が日本のことを紹介するために外国語で書いた書物を日本語訳したものである。
江戸時代から戦前あたりまで連綿と続いてきた、いわゆる日本的な文化の底流にある精神に接するにあたって、戦後生まれのわれわれにとってはむしろこのようなアプローチからの方がすんなり入ってくるような気がしないでもない。

この書物が外国の知識人に与えた影響は少なくないのではないかと思う。J.F.ケネディが上杉鷹山を尊敬していたというエピソードは有名だが、おそらくこの本を呼んでいたのではないか。

それにしても、内村鑑三は熱血漢だったのだろうか。文章からその心意気が伝わってくるようだ。
紹介されている人物は5人(西郷隆盛・上杉鷹山・二宮尊徳・中江藤樹・日蓮上人)。歴史的学術的な正確さに関してはやや疑問があるかも知れないが、現代に住むわれわれは、それぞれの人物の生き様から学ぼうとする姿勢をこそ見習わねばならない。

西郷隆盛については、個人的な伝記小説をあまり見たことがない。そのせいか、維新のもっとも重要な立役者でありながら知るところが少なかった。
だが、その思想『敬天愛人』と、国民の品格形成を国家の基礎に置こうとする政治姿勢には感服するところが多い。著者のひいき分を割り引いて考えても、さすがの大人物だ。

二宮尊徳について感動したのは、田畑の荒廃をまず人々の心の荒廃から治療していったことである。産業振興の基盤となるのは人心の安寧である。小手先の補助政策は人々をして目先の利得にばかり走らせることを、なぜいまの政府は気づかないのだろうか。
二宮金次郎像が全国の小学校に建てられたのも、もしかするとこの本の影響によってその遺徳が敷衍したからではなかろうかと思ったりする。再度見直されていい人物であると思う。

昔から「エライ」人と呼ばれていた人物が「エライ」と謂われた所以はこの本あたりにあったのではないかと考えるのである。

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2020年03月14日

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既に知っている人物、あまり知らなかった人物それぞれいますが、いずれも同じ日本人として誇りに思う人物像で描かれていた。今の世の中でこのように世界に誇れる人っているかな?と考えてしまった。上杉鷹山は本書をきっかけに、深堀したいと思った。

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2020年03月04日

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欧米化の進む明治時代。西洋一辺倒ではなく、我が国にも世界に誇るべき精神性がある、と堂々と英語で世界に向けて発信された本書。”日本代表”に選ばれた5人の人物像を、生き生きと表現。まるで、内村自身が耳元でナレーションをしているかのような錯覚を受けるほど、感情が入っている文体。感銘を受ける。

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2020年01月25日

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史実とどこまで正確かわからないが、志を高く持とうと思わせてくれる1冊だ。上杉鷹山と二宮尊徳は名前くらいしか知らなかったが、同じ日本人として誇らしく思う。彼らが現代に生きていたら、何を思い、何をしただろうと想像してみたくなる。とくに、「暴走する資本主義」を読んだ後なので。

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2021年08月08日

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 内村鑑三が西洋人に向けて、過去の偉人たちを紹介する本。新渡戸稲造『武士道』、岡倉天心『茶の本』と同様に、英語で日本の文化を伝えた本であり、この本で紹介される人物は一般的に人格者と言われる人たちである。また、西洋の人たちに伝えるという意図もあってか、いずれの人物の説明においても、キリスト教と関連させて説明する。そうすることで、日本人にもキリスト教徒にも負けないくらい、倫理的に立派な人物が、日本にもいたことを知らしめようとした。

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2024年03月04日

Posted by ブクログ

うろ覚えだが…ケネディ大統領が尊敬する日本人は誰か、と聞かれて「上杉鷹山です」と答えた、というエピソードがあったらしい。

…上杉鷹山って誰だ?そんなマイナーな人をよく知っているもんだ、さすが大統領は違うと、日本人記者は感心したという。おそらく、ケネディさんはこの本を読んだのだろう。この本は元々内村鑑三が英語で書いた本だからだ。

もっとも、日本人である私にも理解できない部分があり、時代的な差異を感じる。もしかしたら、これを読んだ外国人の方の経験を追体験できたのかもしれない。

この本で紹介されているのは、先の上杉鷹山のほか、西郷隆盛、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮上人の5名。それぞれのエピソードが語られる中で、日本人の美徳について語った書物だ。

印象的なのは、結構挑発的な点。外国人に対する劣等感みたいなものを感じる。まぁ、それは現代でも同じか。

また、登場人物が大なり小なり「天」をはじめ何かしらの超越的なものに依拠しているのも印象的だった。何かを成し遂げる時、理屈が邪魔になることはある。彼らには、そういったストッパーはなかったのだと思う。それが大きな功績を成し遂げる一因だったのだろう。

逆に世間体は気にしていた感じがある。気にしなかったのは日蓮上人くらいか。日本人的なもの、と言えば世間的なところ、という風に陰絵的な感じでこの本を読むことも可能かもしれない。

ちょっとダラダラと読んだのは反省。何かしらの視点で持って批評的に読むべき本な感じがした。例えば、当時の日本人的な意識とか、外国人にどう思われたい、とか。

この本自体の評価は難しい。書き手の意識する時代も読み手の対象も違うからだ。大学の頃に読むように言われて10年以上積読状態だったが、何かしらの意図を持って読むという観点からは大人になってから読んでもいいと思う。

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2023年01月30日

Posted by ブクログ

日本人の生活信条の中には,キリスト教に匹敵するものがあるというモチーフが透ける。
内村は,キリスト教を一度解体し,日本的キリスト教を作って,非武装的に本を作りたかった。日本人の魂の開放を本気で信じ,実行した人。
特に中江藤樹の冒頭の「君子たれ」という教育は,西洋の教育ひ引けを取らぬという論説が良い。イギリスの一部名門パブリックスクールと同等の教育が伝統的に日本で行われていたと解釈できるのではないか。

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2020年05月28日

Posted by ブクログ

西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮上人の5人について、内村鑑三が書いた伝記的読み物。この本は、新渡戸稲造の「武士道」と同じように、英文で書かれたもので、それが和訳されて逆輸入されたような形になる。
この本が出版されたのは、今からちょうど100年前の1908年。こういう、日本のことを世界に伝える本の需要があったのは、日清戦争、日露戦争が終わった直後で、世界の注目が日本に集まっていた時期だったからだろうと思う。
もし、自分が100年前に生きていて、外国人から「日本というのはどういう国なんだ?」と尋ねられたら、この本をプレゼントしていたかもしれない。

内村鑑三は、「私の貴ぶものは二つのJであります。其一はJesusであります、其他のものはJapanであります。」と語っている。
こういう、西洋と日本、両方の事情に通じ、ナショナリズムとグローバリズムを共に持つ著者でなければ、日本人以外に理解出来る言葉で、日本の文化を正しく説明することは難しかっただろう。
紹介されている5人はいずれも、思想によって世を治めたり、世に影響を与えた人々で、この面々は、キリスト教の信奉者である、内村鑑三らしいセレクションだと思う。いずれも、単なる伝記である以上に、それぞれの人物への著者の愛着が伝わってくる文章であるのがいい。

西郷隆盛については、司馬遼太郎の著書によって、より詳しい人物像が出来上がっていたけれども、それ以外の人々の生い立ちや実績については、この本を読んで初めて知ったことが多かった。
著者は、西洋に劣らぬ偉大な思想家や政治家が日本にもいたということ、文化的な歴史において日本が西洋に引けをとらないということを、繰り返し主張している。読んでいる自分自身が、とても励まされる気分だ。この本を知って、ますます日本という国が好きになった。

太閤の偉大さは、思うにナポレオンに似ていました。太閤には、ヨーロッパの太閤に顕著なほら吹きの面が、その小型ながら、かなりあったのです。太閤の偉大さは、天才的な、生まれつきの精神によるもので、偉大をのぞまなくても偉大でありました。しかし、西郷は、そうではありません。西郷の偉大さはクロムウェルに似ていて、ただピューリタニズムがないためにピューリタンといえないにすぎないと思われます。西郷には、純粋の意志力との関係が深く、道徳的な偉大さがあります。それは最高の偉大さであります。(西郷隆盛p.49)

あらゆる人々のなかで、鷹山ほど、欠点も弱点も数え上げることの難しい人物はありません。鷹山自身が、どの鷹山伝の作者にもまして、自分の欠点と弱点とを知っていたからであります。(上杉鷹山p.73)

「キュウリを植えればキュウリとは別のものが収穫できると思うな。人は自分の植えたものを収穫するのである。」(二宮尊徳p.100)

「道と法とは別である。一方を他方とみなすことが多いが、それは誤っている。法は、時により、中国の聖賢によっても変わる。わが国に移されればなおさらである。しかし道は、永遠の始めから生じたものである。徳の名に先立って、道は知られていた。」(中江藤樹p.134)

わが仏僧の場合、なにが権威ある聖典であるかの問題は、キリスト教のルターのように単純ではありません。ドイツ人の方は、ただ一冊の聖書のみに頼ればよかったのでありました。これに対して日本人の方は、ときには矛盾しあう何十もの経典があり、そのなかから、最高の権威ある経典を自分で選ばなければなりません。(日蓮上人p.152)

日蓮の教えの多くは、今日の批評によく堪えるものではないことを認めます。日蓮の論法は粗雑であり、語調全体も異様です。日蓮はたしかに、一方にのみかたよって突出した、バランスを欠く人物でした。だが、もし日蓮から、その誤った知識、生来の気質、時代と環境とがもたらした多くのものを取り去ったとしましょう。そこに残るのは、しんそこ誠実な人間、もっとも正直な人間、日本人のなかで、このうえなく勇敢な人間であります。偽善者なら25年以上も偽善をつづけることはできません。また、そんな偽善者のために生命を投げ出す何千人もの信徒をもつことはできません。(日蓮上人p.174)

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2020年07月15日

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