鈴木範久のレビュー一覧

  • 道をひらく 内村鑑三のことば
    内村鑑三について知れば知るほど、引き込まれる。
    新渡戸稲造と同期だった内村。彼は主席の座を一度も明け渡すことはなかったほどの頭脳の持ち主。

    でも、頭脳明晰それだけではない。彼が後世に与えた影響は計り知れなくて、何がそれほどまでに人を引きつけるのだろう。

      三年経し 心の傷は癒えやらで
      花咲...続きを読む
  • 代表的日本人
    外国に向けての日本の紹介、という性格を帯びた一冊。
    いわゆる伝記的な要素もあるが、紹介される人物の思想にまで踏み込んだ内容となっている。
    西郷隆盛編は他の章と並べると思想的に違和感があるが、
    解説によるとこれは戦争を経て改訂された際の名残らしい。
  • 文語訳聖書を読む ──名句と用例
    信仰の書としてではなく文学作品として聖書をとりあげる。文語訳はその簡潔さとリズムのよさで、日本の言語文化に寄与してきた。中国語訳も経緯しているから漢文調で格調も高く、まるでことわざや故事成語のようだったりもするよね。『風立ちぬ』では「たとひわれ死のかげの谷をあゆむとも禍害をおそれじ」がひかれ、流全次...続きを読む
  • 代表的日本人
    1.この本を一言で表すと?
    ・世界に誇れる日本人の特徴を紹介 → 倹約・道徳・信念

    2.よかった点を3〜5つ
    ・敬天愛人(p40)
      →周りの人への愛情、感謝の気持ちが重要。
    ・自己を修める者にしてはじめて家を治め、家を整える者にしてはじめて国を統治できる(p74)
      →まずは身近なところ...続きを読む
  • 代表的日本人
    名著の感想って難しい。

    この5人はもちろん素晴らしい人物だろう。そして、この5人のことを海外、特にキリスト教の世界に向けて発信したのは偉業だと思う。

    読んでみるに越したことはないが、若い人たちに奨めるかというと、各人のストーリーが分量的にあっさりしていて、若干中途半端な感が否めない。

    というの...続きを読む
  • 代表的日本人
    史実とどこまで正確かわからないが、志を高く持とうと思わせてくれる1冊だ。上杉鷹山と二宮尊徳は名前くらいしか知らなかったが、同じ日本人として誇らしく思う。彼らが現代に生きていたら、何を思い、何をしただろうと想像してみたくなる。とくに、「暴走する資本主義」を読んだ後なので。
  • 余はいかにしてキリスト信徒となりしか
    札幌農学校で「少年よ、大志を抱け」の人が作った契約書にほぼ無理やりサインさせられて入信。その後どっぷりハマって家族全員を改宗させ、本場に行かねばとアメリカに渡って現実を見て激憤、自分だけはストイックに信仰を追求していく、という波乱のドラマ。
    まったく異質のもの(異教・異国)に浸かることで初めて自分(...続きを読む
  • 代表的日本人
     内村鑑三が西洋人に向けて、過去の偉人たちを紹介する本。新渡戸稲造『武士道』、岡倉天心『茶の本』と同様に、英語で日本の文化を伝えた本であり、この本で紹介される人物は一般的に人格者と言われる人たちである。また、西洋の人たちに伝えるという意図もあってか、いずれの人物の説明においても、キリスト教と関連させ...続きを読む
  • 代表的日本人
    うろ覚えだが…ケネディ大統領が尊敬する日本人は誰か、と聞かれて「上杉鷹山です」と答えた、というエピソードがあったらしい。

    …上杉鷹山って誰だ?そんなマイナーな人をよく知っているもんだ、さすが大統領は違うと、日本人記者は感心したという。おそらく、ケネディさんはこの本を読んだのだろう。この本は元々内村...続きを読む
  • 余はいかにしてキリスト信徒となりしか
    いかにして、ちということで、なぜキリスト教徒になったかを書いているものではない。著者は日記をつける習慣があり、本書は、その日記をもとに、そのとき考えていたことを振り返りながら、著者がいかにしてキリスト教徒になっていったかを現実の生活とともに書いてある。
    内村は武士階級で育ってきたため、当初は神道や朱...続きを読む
  • 代表的日本人
    日本人の生活信条の中には,キリスト教に匹敵するものがあるというモチーフが透ける。
    内村は,キリスト教を一度解体し,日本的キリスト教を作って,非武装的に本を作りたかった。日本人の魂の開放を本気で信じ,実行した人。
    特に中江藤樹の冒頭の「君子たれ」という教育は,西洋の教育ひ引けを取らぬという論説が良い。...続きを読む
  • 代表的日本人
    明治時代に書かれたもので、世界の偉人に伍して評されるべきと著者が考える日本の偉人が5人選抜して描かれています。

    西郷隆盛
    上杉鷹山
    二宮尊徳
    中江藤樹
    日蓮上人

    共通しているのは、利ではなく義によって行動すること、つまり物質的な欲望を制御し、成すべきと自らが考えることに突き進むところかと思います...続きを読む
  • 代表的日本人
    同じタイミングでNetflixで”天才の頭の中:ビル・ゲイツを解読する”を視聴し、その裏でこの代表的日本人を読み終わった。
    両者とも伝記的な作品であり、その人の価値観、それが形成課程、そしてその成果、またその人を取り巻く社会情勢や歴史など学べる範囲は大きい。
    伝記という物語の中で大人も、子供も楽しみ...続きを読む
  • 代表的日本人
    他部署の部長におススメされた本。上杉鷹山が良かった。城の贅沢を廃止して、民間事業に投資する。お金に限らず理性的に投資を行うのは重要な気がする〜〜
  • 文語訳 旧約聖書 III 諸書
    ただ一人の神とその愛を信じるのは、カオスに満ちた世の中で、木の葉よりも小さい存在としか思えない自分に、ちゃんと価値があると信じたいからだ。
    多神教でも一神教でも、根幹にあるものは同じ。理解しがたい世界になんとか説明を付けたい。自分たちと世界との間の共通点を探りたい。生きていくために。

    全部の漢字に...続きを読む
  • 代表的日本人
    西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮上人の5人について、内村鑑三が書いた伝記的読み物。この本は、新渡戸稲造の「武士道」と同じように、英文で書かれたもので、それが和訳されて逆輸入されたような形になる。
    この本が出版されたのは、今からちょうど100年前の1908年。こういう、日本のことを世界に伝...続きを読む