鈴木範久のレビュー一覧
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内村鑑三について知れば知るほど、引き込まれる。
新渡戸稲造と同期だった内村。彼は主席の座を一度も明け渡すことはなかったほどの頭脳の持ち主。
でも、頭脳明晰それだけではない。彼が後世に与えた影響は計り知れなくて、何がそれほどまでに人を引きつけるのだろう。
三年経し 心の傷は癒えやらで
花咲...続きを読むPosted by ブクログ -
信仰の書としてではなく文学作品として聖書をとりあげる。文語訳はその簡潔さとリズムのよさで、日本の言語文化に寄与してきた。中国語訳も経緯しているから漢文調で格調も高く、まるでことわざや故事成語のようだったりもするよね。『風立ちぬ』では「たとひわれ死のかげの谷をあゆむとも禍害をおそれじ」がひかれ、流全次...続きを読むPosted by ブクログ
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札幌農学校で「少年よ、大志を抱け」の人が作った契約書にほぼ無理やりサインさせられて入信。その後どっぷりハマって家族全員を改宗させ、本場に行かねばとアメリカに渡って現実を見て激憤、自分だけはストイックに信仰を追求していく、という波乱のドラマ。
まったく異質のもの(異教・異国)に浸かることで初めて自分(...続きを読むPosted by ブクログ -
いかにして、ちということで、なぜキリスト教徒になったかを書いているものではない。著者は日記をつける習慣があり、本書は、その日記をもとに、そのとき考えていたことを振り返りながら、著者がいかにしてキリスト教徒になっていったかを現実の生活とともに書いてある。
内村は武士階級で育ってきたため、当初は神道や朱...続きを読むPosted by ブクログ -
ただ一人の神とその愛を信じるのは、カオスに満ちた世の中で、木の葉よりも小さい存在としか思えない自分に、ちゃんと価値があると信じたいからだ。
多神教でも一神教でも、根幹にあるものは同じ。理解しがたい世界になんとか説明を付けたい。自分たちと世界との間の共通点を探りたい。生きていくために。
全部の漢字に...続きを読むPosted by ブクログ