染田秀藤のレビュー一覧
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16世紀の大航海時代におけるスペイン人のひたすら残酷なアメリカ侵略というか、今でいうならジェノサイドの状況について、キリスト教伝道師ラス・カサスが国王に報告し、その改革を促したもの。
延々とつづく極悪非道な描写は、事前の想像をはるかに超えるもので、この本の記述によると2,000万人以上のインディオスが虐殺されたことになる。
人数については、やや誇張気味の傾向はあるようだが、全くおかしいというわけでもなく、1,000万人以上が亡くなったのではないかという推計もあるようだ。
近年の歴史的な研究では、インディオスの死はかなりの部分、ヨーロッパ人が運んできた疫病(ヨーロッパ人は免疫がある)による -
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コロンブスによるアメリカ大陸の発見後、キリスト教化を名目に多くのスペイン人が入植した。その中の一人、スペイン人宣教師ラス・カサスは現地でスペイン人による凄惨な虐殺を目撃する。本書はラス・カサスがその事実を告発するために記録したものである。
まず何よりも、ここに記されている記録はあまりにもおぞましい。老若男女を問わず行われる凄惨な暴力と拷問、人を人とも思わない数々の行為は、時代が数百年違うとはいえ、ここまで残酷なことができるのかと恐ろしくなる。しかし、それが人間の現実なのだろう。2024年の現在でもリアルタイムで虐殺が起きており、SNSで子どもの死体がタイムラインに流れてくることを考えると、そ -
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インディアスの人々は悪意や二心を持たない。きわめて恭順で忠実な民。謙虚で辛抱強く温厚でおとなしく、争いや騒動を好まない。口論したり、不満を抱いたりすることもなく、怨みや憎しみ、復讐する気持ちを抱くこともない。インディアスの人々は身体が細くて華奢で、ひ弱なため、重労働に耐えられず、病気に罹るとたちまちに死んでしまう。キリスト教徒(スペイン人)はそうしたインディアスの人々を男女・子ども合わせて1200万以上、残虐非道な形で殺害した。インディアスの人々の方からキリスト教徒に害を加えたことは一度もなかった。インディアスの人々に神の存在を知らせ、キリスト教に導く絶好の機会だったのに、彼らから救いの光を奪
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「生まれながらにして他人に服従しなければならないような人々は、もし他人の支配を拒否すれば、ほかに方法がない場合、武力で支配されるというものです。博識この上ない哲学者たちの見解によれば、その種の戦争も正当なのです。」(pp.103)
15世紀当時、スペインは新大陸(中南米)の征服事業をすすめていた。新大陸の先住民(インディオ)たちは、戦争で敗れ、財産は奪われ、奴隷として酷使され、次々と死んでいった。 「非人道的だ」とラス・カサスなどから非難の声があがる中、「スペインの征服事業はキリスト教的に何の非もない」との結論を唱えたのが本著。
結論ありきで、自分に都合の良い言説(または既往文献の都合の -
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ラスカサス司祭がフェリペ皇太子に向けて綴った報告書。これでもかという程、インディアス支配におけるスペイン人の残虐行為が記述される。エリアを変え、加虐者を変え記録された報告だが、行為の中身は殆ど変わらず、アッサリと読めてしまう。今から500年以上前に実際にあっただろう史実だ。当然、政治的作為にも注意して読まねばならないが、原住民の人口減は事実であり、それがウィルスに因るものもあるにはせよ、支配欲により暴力が暴走した事も事実だ。原始社会に近い程、支配欲は暴力によって成し遂げられる。だからこそ、国家概念や警察機能と法整備が必要だが、国家の相互承認が得られるまで、民族や領土をまたぎ秩序を保たんとしたの
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購入済み
えぐい
当時のスペイン人の狂気の蛮行の一部が赤裸々に書かれている。
他に類を見ない残虐さである。
これを読むと、今の南米諸国の見方が変わってしまった。 -
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既刊の『インディアスの破壊についての簡潔な報告』が、その名の通りスペイン人が新大陸でおこなった非道な行為のレポートだとすると、本書はスペイン人の賠償義務を自然の法、神の法、人定の法に照らして論ずる理論的な本。ただし解説によると、ラス・カサスはもっと理論的な『財宝論』を本書の前に書いており、本書はインディアスで働く聴罪司祭たちに向けたマニュアル的性格を持っているらしい。ラス・カサスは「賠償義務を果たさないのならお前らの告白は聞いてやれないもんね」という聴罪を人質にした戦法でインディオたちに正義をもたらそうと試みた。とても実践的なことをやっていたわけで、その分、現地での強い反発も生み出したと
繰 -
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吐き気を催す邪悪。
十六世紀におけるスペインのキリスト教徒が南北アメリカ及び中南米で行った殺戮の記録。修道士ラス・カサスがその虐殺を本国の王に伝え、やめさせるよう書き連ねた。
海からやって来たスペイン人たちを、心から歓待したインディオ。スペイン人たちはその彼らを切り刻み、殺害し、苦しめ、拷問し、破滅へ導いた。彼らが持つ金が欲しかったがために。
例えば人口三百万のエスパニョーラ島は殺戮が行われた後インディオは二百人に、人口五十万のバハマ諸島は、十一人にまで減っていた。
インディオを奴隷として船に積み、水も食料も与えず、死ねば海へ捨てた。その後ろを行く船は、死体を追うだけで海図も羅針盤もなしに航海 -
Posted by ブクログ
・大航海時代のカリブ海諸島で、スペイン人が先住民インディオに対して行った様々な迫害の記録。
・「簡潔な報告」という題名とは裏腹に、著者は「これでもか」というくらい執拗にスペイン人の悪行の数々を書き記す。同じような手口によってインディオがひたすら虐殺される様を描いたこの記録文書を読んでいると、気が滅入ってくるし、もっとハッキリ言ってしまえば辟易する。しかし、これが被征服者ではなく、征服者たるスペイン人自身の手によって書かれたことの意義は大きい。
・本書の受容史を論じた訳者解説は興味深い。その残虐さゆえに本書は諸外国によって「横暴なスペイン人」という反スペインキャンペーンの恰好の材料として利用