染田秀藤のレビュー一覧

  • インディアスの破壊をめぐる賠償義務論 十二の疑問に答える

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    16世紀に始まった「エンコミエンダ」はインカの人たちを奴隷のように扱う代わりにキリスト教の教化を義務づけたスペイン王室の制度である。コンキスタドールたちの征服・支配について賠償義務があるとするラス・カサスの意見はもっともだが、一方的な一神教の教化や改宗の是非については触れられていない(気がする)。彼はカトリック司祭でドミニコ会員だったから仕方ないとはいえ、その点がずっと気になっている。

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    2024年03月30日
  • 第二のデモクラテス 戦争の正当原因についての対話

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    「生まれながらにして他人に服従しなければならないような人々は、もし他人の支配を拒否すれば、ほかに方法がない場合、武力で支配されるというものです。博識この上ない哲学者たちの見解によれば、その種の戦争も正当なのです。」(pp.103)

     15世紀当時、スペインは新大陸(中南米)の征服事業をすすめていた。新大陸の先住民(インディオ)たちは、戦争で敗れ、財産は奪われ、奴隷として酷使され、次々と死んでいった。 「非人道的だ」とラス・カサスなどから非難の声があがる中、「スペインの征服事業はキリスト教的に何の非もない」との結論を唱えたのが本著。
     結論ありきで、自分に都合の良い言説(または既往文献の都合の

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    2020年05月05日
  • インディアスの破壊についての簡潔な報告

    購入済み

    えぐい

    当時のスペイン人の狂気の蛮行の一部が赤裸々に書かれている。
    他に類を見ない残虐さである。
    これを読むと、今の南米諸国の見方が変わってしまった。

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    2017年11月06日
  • インディアスの破壊をめぐる賠償義務論 十二の疑問に答える

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    既刊の『インディアスの破壊についての簡潔な報告』が、その名の通りスペイン人が新大陸でおこなった非道な行為のレポートだとすると、本書はスペイン人の賠償義務を自然の法、神の法、人定の法に照らして論ずる理論的な本。ただし解説によると、ラス・カサスはもっと理論的な『財宝論』を本書の前に書いており、本書はインディアスで働く聴罪司祭たちに向けたマニュアル的性格を持っているらしい。ラス・カサスは「賠償義務を果たさないのならお前らの告白は聞いてやれないもんね」という聴罪を人質にした戦法でインディオたちに正義をもたらそうと試みた。とても実践的なことをやっていたわけで、その分、現地での強い反発も生み出したと

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    2024年07月06日
  • 第二のデモクラテス 戦争の正当原因についての対話

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    ●解説にて、「「文化的優秀性」を理由に征服戦争を正当化するセプールベダの主張はアリストテレスの『政治学』から導かれたもの」とあるが、「生まれつき愚鈍な人や非人間的で野蛮な習慣に耽る人」といったインディオ観でもって、キリスト教支配を正当化しようという本書の内容は、非常に醜悪かつ反人道的であるとしか捉えることができなかった。かつての植民地支配はこのような思想をも一つの背景に行われていたのか、と色々な意味で驚きだった。

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    2018年10月25日