服部泰宏のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
[新版]組織行動の考え方
個人と組織と社会に元気を届ける実践知
著:金井 壽宏
著:高橋 潔
著:服部 泰宏
出版社:東洋経済新報社
良書、組織、人に関する百科事典のようなイメージです
組織行動(OB;organizational Behavior) とは組織のなかで起こる様々な人間の行動を、科学的に理解しようとする学問分野とあります。
経営学の大きな一分野である。しかも多岐にわたっている。
他、経営戦略、マーケティング、財務会計、管理会計、人材管理、IT、技術管理、オペレーション管理等
組織行動の対象分野
パーソナリティ、キャリア、モチベーション、組織コミットメント、組織の中の感情、職場ストレス、職務満足、公平性、採用、能力開発、意思決定、グループダイナミクス、コンフリクト、対人コミュニケーション、リーダシップ、組織文化、組織変革
それぞれのテーマについて
・理論の提唱者、その大学、理論名、理論の概要の紹介
・モデル、考え方、フレームワーク、分類の提示
・名言、キーワードの紹介
ウェルチ CEOの仕事の9割は人にまつわること
レヴィン 良い理論ほど実践的でなければならない
論語 吾十五にして学に志す……
等々です
OBの意義、それは人に係る辛辣な問いに答えんがためのものとうつりました。
その問いとは以下のようなものです
能力
・人間の行動を捉えるためのもっとも基本的な要素とはなにか
・人間の能力を捉えるためには何に注目したらいいのであろうか
・職業と知能との関係は
・人間の性格をどうとらえるか
・仕事でもっとも生産性を高めるには何が必要か
・どうやったら、人のモチベーションを維持し、また、高めることができるのか
採用
・特定の仕事に向いた人をどうやったら選別できるのか
・技能を熟練するためには何をしたらいいのか、また、その段階とは
・その人は優秀なのか
・どうやったら優秀な人を採用できるのか、そのためには、面接で何をやるべきなのか、選別をどうするのか
・採用後に、やめないでもらえるようにするのはどうしたらいいのか
・その人をどう育てるのか、そのキャリアは
人間心理
・どうやったら熱心に仕事をしてもらえるのか
・どんなインセンティブを与えれば、人はモチベーションを保てるのか、金か、地位か
・職場環境をよくするには
・どんな目的を与えるのがいいのか
・夢とロマンをどうもつか
・職場で幸せを感じるか
成果と評価
・人をどう評価するか、絶対評価、相対評価
・人を公平に評価できるのか、その方法は、その基準は
・研修をどうすすめるのか
・自分自身の能力をどう認識するのか、自分の評価をどう受け止めるのか
グループに働きかける
・マネジメントと、リーダシップは何が違うのか
・優れたマネージャーとは
・優れたリーダーとは
・組織は変えるにはどうすればいいか
・人にどういう権限をあたえ、何を管理させるのか
・どういうタイプが、マネージャーに向いているのか、リーダに向いているのか
個を活かし、組織も活かす
・どう人材育成を進めるのか
・組織としてのリスキリングをどうすすめるのか
・OJTをどうすすめるのか
・組織の文化をどう育成するのか
・組織の知的財産をどう守り、どう育成するのか
目次
まえがき
Chapter 0 なぜ組織行動を学ばなければならないのか
Part Ⅰ 組織のなかの個人
Chapter 1 一人ひとりの違いを知る
Chapter 2 働く個人の初期値を定める
Chapter 3 キャリアを建築のように美しくデザインする
Part Ⅱ 組織のなかの人間心理
Chapter 4 モチベーションの迷宮への招待
Chapter 5 職場のウェルビーイング
Chapter 6 組織に欠かせない感情とストレスのメンテナンス
Part Ⅲ 成果と評価の問題
Chapter 7 仕事の成果をどう捉えるか
Chapter 8 人事評価の目のつけ所
Chapter 9 自己認識のための他者視点
Part Ⅳ 組織のなかのグループに働きかける
Chapter 10 マネジメントとリーダーシップは双子なのか
Chapter 11 リーダーシップのリテラシーを高める視点
Chapter 12 ヨコのつながりを活かす
Part Ⅴ 個を活かし、組織の力を高める
Chapter 13 人を伸ばす組織の考え方
Chapter 14 組織に息吹を吹き込む
Chapter 15 現実を変える知識創造のパワー
参考文献
注
索引
著者紹介
ISBN:9784492522424
判型:4-6
ページ数:638ページ
定価:3400円(本体)
2025年06月12日発行 -
Posted by ブクログ
本書では、経営学から分化させ体系化しようとしている「採用学」を提起している。社会や企業からのニーズから生まれたこのディシプリンは、おそらく今後多くの研究が生産されていくものと感じた。膨大な研究をレビューした著者はまさにこの学の先がけなのだろう。留意したい箇所を以下に引用した。また蓄積された各知見を総動員して、各組織自身が問いと解を導き出すことが肝要という旨も、再三述べられている。
採用学は、採用という実務を、改めて募集、選抜、定着のプロセスに分けて求職者と企業側に分ける検討することが、基本的な出発点となる。そして曖昧な期待と魅力的な情報の交錯が現実の採用を複雑なものとしている。さらに採用後の「育成」もかかわってくるので、なかなか最適・最善な解は見つけにくい。
私たちのコミュニティでも話題になる研究と実践の関連について、著者は次のように述べている。「研究者としては理論の構築や検証だけでなく、良質のエビデンスの提供とその蓄積を、ビジネスパーソンとしてはそうしたエビデンス、そして自らが有するデータの分析に基づく経営を行う必要がある。」(p.226)一つの理想形として覚えておきたい。また、「経験豊富で、優れた勘を持ったビジネスパーソンと出会うことで、科学的なエビデンスの方も相対化され、洗練される可能性が十運にある。事実に基づく経営とは、科学者が提示するエビデンスと、ビジネスパーソンが持つ経験・勘と平等な立場に置くことを主張しているのだ。」とも主張されており、重要な指摘といえる。
最後に些末なことであるが一つふれておく。113頁に「ピアノの『ド』の鍵盤と『ラ』の鍵盤を同時にたたくと不協和音が鳴る」という記述がある。楽典では、普通に3度ないし6度の協和音程と習うはずであり、グレゴリア聖歌の時代ならまだしも、現代においてドとラを不協和音といえるかは疑問である。 -
Posted by ブクログ
学術的な知見に基づく、採用のあるべき論。
求職者として、人事の懐のどこが痛いのか知るために手に取った本。
----
・新しいメンバーを入れることで「同質化圧力」「慣れ」「硬直化」「閉塞感」を打ち破りたいが、実際には、面接を通じて企業の体質・面接者の気質に似通った人が選ばれる。
・口づてのように非公式のルートから得た情報に基づいて採用された人材は、企業に長期間とどまる可能性が高い。
・開始4分くらいの間に、採用/不採用を決めていることが多い。外見の良さ、コミュニケーションの上手さは有利
・どんなに優れた選抜ツールを使ったとしても、将来の業績の半分も説明できない。
・日本の人事は、誤って好ましくない人を採用するリスクを最も恐れる。減点方式。
・「事実に基づく経営」デニス・ルソー等
=経営の現場に、入手しうる最高の科学的知識を用いる
=自社の問題について考えるためのデータを集める
=知っていることに謙虚になる
---
・高い成果を出す優秀な人材は他社への転職機会も恵まれているし、本人にその自覚がある
・内定前後の認知的不協和 1)「自分は極めて大きな決断をしようとしている」 2)「この決断が正しいのか確信が持てない」 -
Posted by ブクログ
ネタバレ若手の研究者が採用を科学的に調査した本。
人事担当経験の長い人が自分の勘と経験だけで書いたものとは違い、統計や他の文献なども参照していることから非常に説得力がある。
以下ためになったところ。
良い採用とは「求職者をランダムに採用したときに比べて、より高い業績を収められる、または企業へとより強くコミットし、中長期的に企業にとどまるか人材を獲得できること」
コミュニケーション能力に代表されるようなあいまいで多義的な「能力」の測定や判定は難しい
日本の採用の問題点はリソースに頼った人海戦術と能力や期待があいまいなこと
マイナスの情報を与えることでかえって無駄な募集者を減らし、正常な期待値を保たせることができる
採用チャネルごとのメリット・デメリットを考えること
優秀さの定義と明確にすることと可変的なものかどうかを考慮すること(何を見ないかが重要)
選抜ツールに必要なことは妥当性(測りたいものを測れているか)、信頼性(再現性)、納得感
採用力=採用リソース(資金など有形なもの&ブランド力などの無形なもの)×採用デザイン力(採用を設計する力)
勘と経験だけの採用はあやうい。科学の知見を有効に活用する必要がある
正しい採用自体の回答は企業自体が試行錯誤し取り組んでいくしかない
以前人材紹介会社で勤務していて採用に関して非常に疑問に思っていたので、読後非常にすっきりした。
人間が人間をフィーリングでみることは不可能だということが再認識できた。 -
Posted by ブクログ
旧日本型の新卒・中途採用の学術的説明書.
.
## 面白かったところ.
.
* 人材補充以外の、企業の採用に対する目的がわかる.
* 採用活動を通じた企業からの暗黙的なメッセージを知れること.
.
## 微妙だったところ.
.
* どちらかというと、旧日本型で新卒一括採用のイメージは湧くが、ジョブ型の採用に関してはイメージしづらい.
.
* ベンチャーの採用の話も出てくるが、厳密に言うと `メガベンチャー` の採用なので、シード期真っ只中のベンチャーの採用に関する話ではない.
.
* `ブランド` という話が出てくるが、 `採用` というよりも採用活動を通じた `広告` やイメージ戦略の話のような気がして論点がズレている印象. -
Posted by ブクログ
ネタバレ【214冊目】電子書籍にて購入。経営学修士で横浜国立大学准教授の服部泰宏氏の著作。日本で「採用学」を掲げて研究する学者がなかなかいないことから注目。既婚だけど、スポーツマンでイケメンだから、今後マスメディアの露出も増えそう。
まず冒頭の映画「マネーボール」の逸話が興味深い。確かに企業は採用において「優秀な人材」が欲しいという。しかし、では「優秀」とはどういうことなのか。それをそもそも採用する側がきちんと認識していないんじゃないかという反省を促す逸話である。
そして、日本における採用の歴史、採用という営みに対する科学的視座の提示、日本における最新の新卒採用の動向を概観するという構成。さすがに経営学なだけあって、様々な新規概念や定式が示されていて勉強になる。幾つかの例を下に記す。
◯ 採用基準の(意図しない)拡張
◯ 大規模候補者群仮説
◯ 優秀さを「変わりやすい能力」と「変わりにくい能力」に分ける
◯ 評価する、ということには、「何かを計る」ことと「価値を創り出す」ことという2つの側面がある
◯ 採用力=採用のリソース×採用デザイン力
<採用のリソース…有形/無形>
(有形…動員できるスタッフ、予算、企業の立地など)
(無形…採用担当者の人脈/採用ブランド)
・採用担当者の人脈…人材にリーチするための人脈/社内の支援集団とのつながり
・採用ブランド…企業・業界のブランド/採用自体のブランド
筆者は「採用自体のブランド」が今後の日本の採用を考える上で極めて重要と述べている。確かに採用そのもののみを考えれば済む採用学者にとってはこれが重要かもしれないが、採用実務者及びビジネスパーソンからするとこれはさほど重要とは思えない。なぜなら、企業にとっては、採用は経営手段の一つに過ぎず、採用自体のブランドに惹かれて求職してくるような応募者は、就職後に期待と現実のミスマッチに陥りやすいと思えるからだ。