岩崎晋也のレビュー一覧
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「私は、自分でどうにかできることにだけ対処する。人の言うことはその範囲外だ。人の意見についていちいち語るのはエネルギーと時間の無駄だよ。意見を持つ権利を、私は尊重している。だが意見とは、たったひとりの人が何かを口にした、というだけのことだ。その内容がいつも正しいわけではない。生きていくうえで人の意見を排除することはできないし、そのことになんの異存もない。ただ、それほど重要なことだとも思っていない。」
「もちろん成功した選手が必ずしも幸せとは限りません。しかし、成功者は意志が固く、成功するためなら自分を犠牲にする気構えがある。それこそが我々の求めているタイプなのです。自分にも仲間にも、長期間にわ -
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ネタバレ米国東部のアパラチア山脈沿いのアパラチアン・トレイルという約3,500kmの長い長い自然歩道を春~秋に歩き通す過酷なスルーハイクを完遂した著者の、「道」(というより、跡?)に関する様々な話。虫や動物たちが作り出し、巧みに使いこなす道や、はるか古代の原子生物の移動痕の化石の話まである。生き物が移動し、他の生き物がその後を追う(トレイル)。インディアンたちの場所に大きく依存した観念、現代のスルーハイカーたちの、余計なものを極限までそぎ落とした旅。そういう話たちがゆっくり混ざり合い、はるかな大きな道としてつながっていく感覚がある。
生き物は人間も動物も、コンクリートでもなんでもみんな否応なしに地球に -
Posted by ブクログ
死体が埋められ、秘密が埋められ、隠したい不都合な何かが埋められる地下空間。そんな地図には決して表出しない世界の地下空間を巡るノンフィクション作品が本作である。
選ばれたのは大自然が産んだ洞窟や鍾乳洞や氷穴、パリの地下墓地(カタコンベ)、ニュートリノの観測装置、そして核廃棄物の貯蔵施設。我々の日常生活では決して出会うことがない地下空間の謎とその豊穣さ。
もともと山岳ルポを得意とするネイチャーライターらしく、相当な技術が必要とされる大自然の地下空間をここまで詳細に描けるのは著者の特質によるものだろう。我々が見知らぬ世界の豊穣さを教えてくれる稀有な一冊。