岩崎晋也のレビュー一覧
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これまた荒木博之さんのVoicy、マイブックカフェのコーナーで紹介されていて気になっていた本。
こちらを紹介された方が、本当に本の説明、魅力を伝えることが巧みで、本屋さんで見かけたとしてもタイトルと表紙だけなら絶対に手に取らなかっただろうな。良いご縁。
以前、もしかしたら聞いたことはあったのかもしれないが、アパラチアン・トレイルという単語を初めて認知した。
アメリカ合衆国東部、アパラチア山脈に沿って、北はメイン州のガターディン山から、南はジョージア州のスプリンガー山まで伸びる、全長約3500キロの長距離自然歩道らしい。この距離に最初は全然ピンときてなかったんだけど、訳者の方のあとがきで、下関市から青森市を往復できる距離…とあり、シンプルにびっくりした。
著者は5ヶ月かけて、このトレイルを踏破(全行程を何ヶ月もかけて歩くひとをスルーハイカーと呼ぶらしい)し、その旅の中でトレイル…道についての深遠な問い、考察などを得る。
世界最古のトレイルの化石観察から始まり、そもそも動物はなぜ動き始めたのか?昆虫のコロニーが作るトレイルのネットワークについて。4つ足哺乳類の移動、彼らを狩猟し飼い慣らし研究することが人類の発展にどう影響したか。そして古代人類社会がいかにして道とネットワークをはりめぐらせ、それがいかにして言語から文化に昇華してきたか。さらにはアパラチアン・トレイルなどの長距離トレイルが誕生するまでの経緯、さらにメイン州からモロッコに至る世界最長のハイキングトレイルを辿り、テクノロジーが結ぶ人々の新しい繋がりを描く。
そんなわけでプロローグの数行、わたしからは最も遠いアウトドアな話かと思っていたが、プロローグを読み終わる頃にはトレイルについての興味がものすごい勢いでわいてきた。
正直言うと、本著の中に出てくる膨大な地名、人名、著作名はほとんどがまったく馴染みのないカタカナ表記で読み通すのに苦労したのだが、この読書自体がわたしにとってのトレイル…道、のアナロジーになっている。本当に示唆深い。
最近自分的ホットトピックである、世界を認識する上でのキーになるであろう「信仰」にも繋がる話で、
難しいけれど、
全然消化しきれないけれど、
読み通して良かったし、思い返せば全編通してとにかく面白かった。
考えてみればこの本だけでなく、読書自体がトレイルを辿る行為とも言える。
いや、「本」自体がそうなのかも。
なんとなく、「読んでない本について堂々と語る方法」について思い出したりした。
ともあれ、アパラチアントレイルのスルーハイクに比べればめちゃくちゃ低いハードルなので、何度か踏破してみよう。
今はまだ、ぼんやりとしか言語化できないけど、再読していくうちに自分なりに世界を認識するためのわりと理想的なトレイルが出来上がるかもしれない。
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うちの犬は、言葉を理解している。
犬と生活をともにしている人ならば、少なからずそう感じていると思う。
我が家にも以前ラブラドールの雄と一緒に暮らしていた時期があった。
寿命という言葉を使いたくはないが、そうだったのかもしれない。
それ以降、他の犬を飼うことはないのだが、一緒に過ごしたときには、言葉がわかるのかなと思ったりもした。
この本は、自閉症児とコミュニケーションデバイスで会話してきた言語聴覚士の著者クリスティーナが、愛犬ステラにそれが応用できないかと考え、やがてボタンを使って会話するようになるまでを記録したノンフィクションである。
最初は、二語か三語から始めてボタンを押すことをやってみる。
表情を見ながら時間を作って根気よく…だ。
進歩をもたらすためには沈黙と忍耐に慣れなければならない。
引っ越しもあり、環境も変わり言語が増えてくるとストレスも溜まって上手くいかないときもあったようだ。
だがゆっくりと向き合って克服していく過程も凄いと思った。
信頼関係があってこそだろう。
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ネタバレ人間は好きな方向に行きやりたいことはなんでもやる。でも結局は自然があらかじめ描いていた道に必ず戻ってくる。ゲーテ
Man may turn which way he please, and undertake any thing whatsoever… he will always return to the path which nature has prescribed for him. - Goethe
何も知らない人達。牛の体重推測。話し合わせるよりも全体の平均が正解に近くなる。コンセンサスがあると惑わされて正解から遠のく。でも今までで一番近い正解を見せると、更に平均が高くなる。トレイルがどんどん便利な方へシフトするように。 -
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『もうモノは売らない』
【1章:マーケティングは感情分析だ】
* ブランドに恋をしている人が増えるほど、その価値は高まります。人々は感情にはより高い金額を払うから です。 ブランドがなければそれは単なる製品 です。
* ブランドは単なる商品名ではない。ブランドとは、マーケティングというプロセスによって製品に結び付けられる価値であり、それが欲望を生み出す。
【2章:マーケティングを最適化するアプローチ】
* 押さえておくべき5つのリサーチ:プレリサーチ、トレンド調査、追跡調査、予測調査、人類学
* インサイトは消費者に求めてはいけない
【3章:ブランドへの恋を生み出す対話】
* カテゴリーの平均よりもユーザーの平均年齢が高いブランドはすぐに頻度や維持戦略から顧客獲得戦略にシフトしなければならない。
* 人々の正しいタイミングで恋の種を蒔けば、相手は生涯を通じて応えてくれる。マーケティングは人の生涯にわたる投資なのだ。
* 価格は価値を表すものでもあるからだ。値下げをすれば、もとの価格で買った人に対してそれだけの価値はなかったのだとメッセージを発することになり、価値を落としてしまう。
* 恋を生む対話のレッスン9:1.キャラクターをはっきりさせる。:人はブランド・アイデアに恋をするのであって製品に恋をするのではない。2.ブランド・アイデアに無意味な言葉やマーケティング用語を使わない3.自分のことばかり話さない4.心にささやきかける。5.一貫性を持とう。6.退屈は絶対に避けること。7.真面目になりすぎない。8.言うことがないときは口を閉じる9.余裕をもって計画をたてる。
* いま、人々は自分の価値や考えを代弁してくれるブランドを好きになる。だが今後は、それらに基づいて実際に行動しているブランドでなければ受け入れられない。
* マーケターがメディアについて心に留めておくこと:1.変化について考えることに時間を費やす。組織よりも外界の変化のほうが速ければ、時代に取り残されてしまう。2.ソーシャルメディアの求めに応じる。3.テクノロジーは問題を解決しない。ダメなクリエイティブはデジタルの技術で埋め合わせすることはできない。4.出来高制という考え方。5.変化の速さにはパートナーシップで対抗する。6.無料メディアを意識する
* 良いデザインは恋を生む。悪いデザインは無関心を生む。
【4章:財布を開きたくなる数字のマーケティング】
* 価値とは、ある特定の時間と情況において、ある人がある製品やサービスに対して支払ってもいいと考える金額である。価格とは、製造者が製品やサービスの代価として請求する金額である。
【マーケティングにおける10の結論】
1. マーケティングは手段:より大きな目的のための手段
2. 恋をさせよ:ブランドが年老いてはいけない
3. 新メディアはチャンスだ:選択肢は増えておりその分チャンスも大きい
4. デザインが生死を分ける:マーケティングで突き抜けるためには、デザインが突き抜けてなければならない。
5. 一貫したメッセージを出し続ける:大胆にリスクを取ろう。人は勇敢なものに恋をする。
6. 正しく質問する:リサーチはその仕組みを理解して賢明に使おう。
7. 価格変更はフレキシブルに:価値とは人々がブランドに対して支払ってもいいと考える額。
8. リピート売上を念頭におく:リピート売上を目指そう。
9. マーケティング部門は工場化する:すべてのメンバーに明確な役割と責任をもたせる。
10. 徹底的に理性で判断する:ブランドにとって最適なミックスを見つけること。 -
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「私は、自分でどうにかできることにだけ対処する。人の言うことはその範囲外だ。人の意見についていちいち語るのはエネルギーと時間の無駄だよ。意見を持つ権利を、私は尊重している。だが意見とは、たったひとりの人が何かを口にした、というだけのことだ。その内容がいつも正しいわけではない。生きていくうえで人の意見を排除することはできないし、そのことになんの異存もない。ただ、それほど重要なことだとも思っていない。」
「もちろん成功した選手が必ずしも幸せとは限りません。しかし、成功者は意志が固く、成功するためなら自分を犠牲にする気構えがある。それこそが我々の求めているタイプなのです。自分にも仲間にも、長期間にわたって高い要求をし続ける人々です。そうした持続する意欲はフットボールやビジネスだけでなく、人生のあらゆる面に当てはめることができます。」→意欲のスタミナが重要だとヴェンゲルは語る。 -
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●脳や神経を持たない植物が、化学物質の合成、振動の感知、過去の記憶の蓄積などを行い、過酷な自然界を能動的に生き抜く認知能力を明かした本。
●植物行動学や生物の知性について、新しい知見を得る。
●「植物には脳も神経もない。だから何も感じていないし、考えてもいない」――そんな私たちの傲慢な人間中心主義を、最新の植物学の研究で打ち砕いてくれる。著者は、植物を単なる「背景の緑」ではなく、高度な化学物質を操る「生化学の天才」であり、環境や過去の記憶に応じて自らの行動を変える「能動的な主体」として描き出す。さて本書の内容と関係ないが、なぜ外国の本は、「私が初めてこの研究に出会ったのは〜」とか、どうでもよいことを書くのか、疑問に感じた。単刀直入に、その研究結果だけを書けないのか? どうやら「物語」を重視する海外の読書文化では、論文の要約ではなく「発見の瞬間の興奮」や「研究者の人間ドラマ」を追体験させることが求められるため、どうしても主観的なエピソードが多くなりがちなのだそう。 -
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ネタバレ米国東部のアパラチア山脈沿いのアパラチアン・トレイルという約3,500kmの長い長い自然歩道を春~秋に歩き通す過酷なスルーハイクを完遂した著者の、「道」(というより、跡?)に関する様々な話。虫や動物たちが作り出し、巧みに使いこなす道や、はるか古代の原子生物の移動痕の化石の話まである。生き物が移動し、他の生き物がその後を追う(トレイル)。インディアンたちの場所に大きく依存した観念、現代のスルーハイカーたちの、余計なものを極限までそぎ落とした旅。そういう話たちがゆっくり混ざり合い、はるかな大きな道としてつながっていく感覚がある。
生き物は人間も動物も、コンクリートでもなんでもみんな否応なしに地球にトレイルを残しているという話が良かった。こういう「つながっていく」話が安心感を与えるのは、やはりトレイルが生物の本能そのものに深くかかわっているからなのだろう。大好きな作家さんのエッセイに「そうだ、…略…つながっていたい…略…わたしたちは、本当は、みな」という言葉があって、それは子供の頃からずっと私の心にあるのだが、久々に思い出してじんときた。 -
Posted by ブクログ
死体が埋められ、秘密が埋められ、隠したい不都合な何かが埋められる地下空間。そんな地図には決して表出しない世界の地下空間を巡るノンフィクション作品が本作である。
選ばれたのは大自然が産んだ洞窟や鍾乳洞や氷穴、パリの地下墓地(カタコンベ)、ニュートリノの観測装置、そして核廃棄物の貯蔵施設。我々の日常生活では決して出会うことがない地下空間の謎とその豊穣さ。
もともと山岳ルポを得意とするネイチャーライターらしく、相当な技術が必要とされる大自然の地下空間をここまで詳細に描けるのは著者の特質によるものだろう。我々が見知らぬ世界の豊穣さを教えてくれる稀有な一冊。