あらすじ
宇宙という無限の夢を切り開くためのロケットを本気で作る人たちの熱いドラマ。
その勇者たちが研究開発しやすい環境から構築し困難をショートカットしてしまうスペースX。
映画、アニメ、漫画で描かれた宇宙の物語はこのスペースXによって現実に叶うかもしれない!
行間に未来の眩い星空が見えた気がしました!
頑張れ負けるな!スペースX!
そしていつか私も火星に行きたい!!
――中川翔子
スペースXは設立から20年足らずで、大規模な低軌道衛星群を構築し、
再使用可能なロケットを実現させ、民間企業としてはじめて軌道上への有人飛行を成功させた。
しかし、スペースXが航空宇宙産業で確固たる地位を確立するまでは、
打ち上げ試験で失敗を繰りかえし、資金の枯渇を心配しながら開発に奔走する新興企業にすぎなかった。
山あり谷ありの道のりを、イーロン・マスク率いるスペースXはいかに乗り越えてきたのか。
本書では、2002年の草創期から2008年までつづくファルコン1ロケットの4回の打ち上げを中心に、
航空宇宙産業のパイオニアとなるまでの知られざる日々を描き出す。
長年にわたりスペースXを取材し、ジャーナリストとしてその内部事情に接近してきた著者が、
イーロン・マスクを含む数十人の技術者、技能者、経営陣などへの独占インタビューに基づき、
スペースXの波乱に満ちた幕開けの舞台裏に迫る。
■本書に寄せられた賛辞
この本には最初から最後まで、ずっと心を奪われつづける。
――チャールズ・ボーデン(4度の宇宙飛行をした元NASA長官)
スペースXの波瀾万丈な草創期に焦点を当てた鮮烈なページターナー。
――ウォルター・アイザックソン(『イーロン・マスク』著者)
『LIFTOFF』はまるで黄金時代のSFを思わせるが、
ロバート・ハインラインやアーサー・C・クラークの小説ではない。
SFの夢を現実にした男たちと女たちの驚くべき実話である。
これまでに宇宙を題材にて書かれた最も重要な本であり、
読むのをやめられないページターナーでもある!
――ホーマー・ヒッカム(『ロケットボーイズ』著者)
バーガーの語りには、20年間にわたって民間宇宙産業の根幹を追いつづけ、
内部から深く関わってきた者だけが持つ説得力がある。――フォーブス
困難を乗り越え、最後にはイノベーションが壮大なスケールで成功を収める、大興奮の、
そして希望に満ちたサーガ。
――パブリッシャーズ・ウィークリー
手に汗握る時間との戦いをスリラー小説のような速度で描写する。
そして映画《アポロ13》や《オデッセイ》を思い出させるシーン……
心わきたつ、洞察に満ちた本だ。
――ブックリスト
■目次
プロローグ 2019年9月14日
1 草創期 2000年9月~2004年12月
2 マーリン 2002年8月~2003年3月
3 クワジェリン 2003年1月~2005年5月
4 フライト・ワン 2005年5月~2006年6月
5 ロケットを売る 2002年8月~2006年8月
6 フライト・ツー 2006年3月~2007年3月
7 テキサス 2003年1月~2008年8月
8 フライト・スリー 2008年5月~2008年8月
9 8週間 2008年8月~2008年9月
10 フライト・フォー 2008年9月29日
11 つねに限界の先を目指して 2008年9月~2020年5月
エピローグ
■本文より
スペースXとはなんであり、どこへ向かおうとしているのか。なぜ成功の期待を抱かせるのか。
それを理解するには、ファルコン1の時代へと遡り、その根元を探る必要がある。
今日のように成長した種はすべて、(イーロン・)マスクによってファルコン1が計画された最初の日々に播かれた。(中略)
スペースXの始まりは、空っぽの工場とわずかな従業員たちにすぎなかった。
この少数の人々は、4年と経たないうちに最初のロケットを打ち上げ、6年で軌道周回を達成した。
予算が乏しい最初の年月を生き残ったスペースXには、驚異的な物語があった。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
驚異的な開発スピードでロケット産業に革命をもたらしたスペースX。その創成期から民間宇宙企業初の衛星軌道投入成功までの約10年間を、関係者の詳細な証言でたどるノンフィクション。
会社設立から約3年で初のロケット打ち上げ、5年で軌道投入、そして誰も想像していなかったロケットの再使用システムの確立等々、スペースXが成し遂げた成果は際立っています。それを率いたのはCEOのイーロンマスク氏なのですが、本書はマスク氏一人ではなく、創業期から関わる数多くのエンジニアの群像劇として描かれています。
上巻である本書のハイライトはスペースX初のロケット・ファルコン1の打ち上げが3回失敗してから、4回目への挑戦に至る部分と言ってよいでしょう。マスク氏は2回の失敗は織り込み済みであったようで、3回目で軌道投入を成功させる目論見でした。しかし3回目の打ち上げは、最も懸念された第1段エンジンの燃焼が正常に終了したにもかかわらず、その切り離しプロセスでの”まさか”の失敗でした。半年後に迫る資金の枯渇、成果を上げられないために進捗しない打ち上げ請負の契約、それらを打破するために、なんと3回目の打ち上げから8週間後に4回目の打ち上げに臨みます。その過程における壮絶なプレッシャーと、不可能とも思える期日に挑むスペースXの社員たちの当時の様子が、生き生きと描かれています。
社員の回想からは、マスク氏の下で働くという事は、ワークライフバランスなどとても考慮する余地はなく、ただ目標に向けて”がむしゃら”に働く事を要求される事のようです。創成期に関わった社員の多くが10年程度で他の会社に転職しています。さすがにマスク氏の要求に応え続けるのはそれぐらいが限界なのかもしれません。しかし、その社員たちの証言に”後悔”は一切なく、ロケット産業に革命をもたらす企業の、もっともダイナミックに成長を遂げるプロセスに関わる事の出来た事に対する達成感、高揚感が伝わって来ます。
またマスク氏がIT関連企業で莫大な富を得た単なる企業家ではなく、技術的な決断を要する局面でも自ら現場の情報を収集して分析し決断を下す、技術的な見識に富んだエンジニアであることが、スペースXの躍進の一因であることも本書からは読み取ることが出来ます。
数多くの証言を、一つの企業の成長の物語としてまとめ上げ、ロケットに関する技術的な内容を分かりやすく織り込む著者の構成の巧みさで、一気に読み通せるノンフィクションでした。
Posted by ブクログ
宇宙産業に破壊的イノベーションをもたらした、スペースXの軌跡。訳者あとがきにもあるが、『プロジェクトX』みたいな印象。イーロン・マスクは人類が火星に移住できるようにする、というビジョンを一貫して掲げている。打ち上げのコスト削減や、ブースターの再利用などはあくまでそのための手段というか過程、というスケールの大きさに圧倒され、火星に行くのも夢じゃないと思えてくる。
Posted by ブクログ
ファルコン1のフライト4がハイライト。背水の陣で挑んだフライト。資金尽きかけだったが、失敗からの愚直な学びを反映し見事成功、そこから市場の反応が変わった。クワジェリン暗礁での合宿ロケット製造が壮絶だった…。自分なら耐えられなそう。