レオ・ペルッツのレビュー一覧

  • 第三の魔弾

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    カッコいい題名として名前と大まかなだけ知っている歌劇『魔弾の射手』。こちらも悪魔と取引して魔の銃弾を手に入れたドイツのお話(という大まかなあらすじしか知らない)。
    こちらの『第三の魔弾』も魔弾を手に入れるのはドイツ人。題名の付け方も「序曲」「終曲」とかだから、やっぱりオペラっぽい筋立てなのかなあ。

    物語の歴史的出来事を。
    ❐1519年スペイン侯爵のコルテスがアステカ帝国を制服する。アステカの王モンテスマは死ぬ。

    ❐1945年シュマルカルデン戦争。
     神聖ローマ皇帝カール5世と、反皇帝同盟プロテスタント軍の戦い。皇帝軍が勝利し、反皇帝同盟ザクセン侯は捉えられた。

    ❐1945年スペイン侯爵コ

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    2025年04月20日
  • 第三の魔弾

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    読み始めるとあっという間に惹き込まれ、読むのが止まらなかった。
    じつは買ってから1年近く積んでいた。以前読んだ『アンチクリストの誕生』は短編集で気楽だったのに対して『第三の魔弾』の厚さに手を出しかねていたのが阿呆らしい。ペルッツの他の本も買わねば。

    クロースターカッツ(修道院の猫という意味。美食家で厚かましい人物のこと)という語が出てきて、ロセーロの『無慈悲な昼食』の教会に住んでいる猫のことを連想した。意味もぴったりだし、同じ言い回しがスペイン語にもあるのか、単にそれほどよくある事実なのか。

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    2021年08月24日
  • テュルリュパン ――ある運命の話

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     ルイ13世の時代、1642年11月11日の聖マルタンの日、全フランスの貴族1万7千人を虐殺し一掃するという陰謀を、リシュリュー枢機卿が巡らせていた。その企てを阻止するために運命が遣わしたのが、本書の主人公テュルリュパンだった。

     テュルリュパンは捨て子だったが、成長し床屋を職としていた。しかし、彼は、自分は選ばれた存在で何か大きなことを成し遂げるはずだ、と固く信じていた。
     そんな彼が、ある偶然から公爵の葬儀に参列することになり、そこで見かけた公爵夫人の振舞いを見て、彼女を自分の母親だと確信する。何とかして公爵夫人に遭おうとするテュルリュパンだったが、次から次へと思いもかけぬ出来事の渦に巻

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    2024年06月18日
  • テュルリュパン ――ある運命の話

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    20世紀前半にウィーンで活躍したユダヤ系作家
    レオ・ペルッツ(1882-1957)の(わりと短い)長編小説。
    舞台は17世紀のフランス、
    目障りな貴族を一掃しようと目論んだリシュリュー公爵こと
    ルイ13世の宰相アルマン・ジャン・デュ・プレシーの企てを
    阻止せんとした(?)謎の人物を巡る物語。

    空想癖のある理髪師の青年タンクレッド・テュルリュパンは
    実の親を知らないが故に、
    本来歩むはずだった道をあれこれ思い描きながら暮らしていた。
    そんな自分の行いを神様が見ているから……と、
    顔見知りの葬儀に参列しようとした彼は、
    てっきり宿なしの物乞いとばかり思っていた死者が
    イル・ド・フランス世襲知事の

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    2022年04月28日
  • 第三の魔弾

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    時は16世紀。
    ラインの「暴れ伯爵」と渾名されるグルムバッハは、
    聖職者の俗権への介入を厭い、
    抵抗して、神聖ローマ帝国皇帝から追放処分を受け、
    スペイン人未入植地で農業に従事しようというドイツ人たちのリーダーとなって、
    フェルディナンディナ島(キューバ)へ。
    後にコンキスタドール(Conquistador)と呼ばれる新大陸征服者の一人、
    アステカの財宝を狙うコルテスの無敵軍と対立する。
    部下が博奕に勝ったことで、
    百発百中の腕を持つ狙撃兵ノバロの小銃を巻き上げたグルムバッハだったが、
    コルテスの命令で絞首刑に処せられたノバロが
    死の間際に吐いた呪詛の言葉に縛られる。
    曰く、グルムバッハが三発

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    2017年10月24日
  • 第三の魔弾

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    読み終わってしばし、呆然。
    突如、時系列が断ち切られて
    別の時系列に繋がる、映画的な手法が
    とられているから。

    キリスト教や世界史の知識があれば
    さらによく分かるんだろうなと
    思いつつ、血なまぐさいストーリーの
    中から浮かび上がる登場人物たちの
    個性的なキャラ力のおかげで、
    一息に読めた。

    「巨匠とマルガリータ」にも通じる世界観。

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    2016年03月24日