松田純のレビュー一覧
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漠然としたイメージのみで考えていた、安楽死・尊厳死。それに対して、実際に実施している国々の現状と取り組み、課題を記した本書。
事例として、オランダでは厳格な法の運用を心掛けている事が紹介され、それでも「すべり坂(なし崩し的な運用)」への懸念・不安が付きまとうという。本書でも述べられているが、確かに論理的に突き詰めていけば、どこまでが自発的安楽死で非自発的安楽死でないのか。厳格・截然と分けようとしても、分けられるモノでは無いだろう。例え、精神的に死にたいと思っていても、肉体的・本能的にある生存欲求をどうするか?
このように考えさせられた本書。しかし、漠然としたイメージで語るよりも、良 -
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絶対避けては通れない「死」の問題。
自然死、事故死、病死など。友人、知人、身内の死。
75歳も齢を重ねると、一定「死」が身近に迫ってきている。
人生の価値・質などの延長線にある「死生観」。
自分の身近に「安楽死」「尊厳死」なるものを考える実体はないが、それなりに知っておきたいと読んだ本である。
内容
序章 肉体的苦痛の時代――戦後日本の事件と判決
第1章 安楽死合法化による実施――世界初のオランダの試み
第2章 容認した国家と州――医師と本人による実施
第3章 介助自殺を認めた国家と州――医師による手助けとは
第4章 最終段階の医療とは――誰が治療中止を決めるのか
第5章 安楽死と自殺の思想 -
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医師や医療者のみで書かれたこの手の著書には、奥行きがない。
医師や医療者の論理の押し付けでしかない。
社会心理学、倫理学、死生学の研究者が書かれていると、多面的に見ることができる。
誰も死にたいとは、思っていないのに、自分の生を終わらせたいと考える。
それを深く考えないといけない。
著者は、生命倫理学、哲学が専攻。
安楽死、尊厳死に付いて、よく医師や医療者が語るのは、偏りがある。
安藤泰至先生の安楽死尊厳死を語る前に知っておきたいことをより深くした内容。
ACPを学ぶにも、読んでおいても良いと思う。
医師医療者のみではなく、死生学、生命倫理学、哲学の専門家を加えないと、多面的に語ることはで -
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安楽死や尊厳死の現状を知りたいと思い読んだ。
元々安楽死や尊厳死を希望していた人が認知症などで自分の意思が表現できない状態になった時に、安楽死や尊厳死を望んだままなのか確認することは困難である。今健康に暮らしている状態の私は、将来深刻な病を抱えた時に過剰な延命はしなくていいと思っているが、実際に死が迫るような状況になったらどう感じるかは想像できない。
本人の意思を確認することはできないが、こんな状態で生きているのが本人の為になるわけないと他人が決めて安楽死を実行してしまったら、それはただの殺人になってしまうかもしれない。
高齢化社会の中ですごく重要な問題だと思った。