村上かつらのレビュー一覧
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村上かつらは「サユリ1号」で知ってからずっと好きな漫画家だ。10代の終わりから20代前半にかけての曖昧な空気をそれは自然に、そして切なく描き出す。
短編が得意な作者なので、人気の度合いによって終わりまでの期間が左右される連載になると、全体の完成度は少し落ちる。それでも胸を抉られるような青春期の痛みと、その後に残るどこか爽やかな切なさを描き出す作風は連載漫画でも変わらない。
本作「ラッキー」は一応連載だったらしいが、中身は連作短編集。犬ロボ「ラッキー」とのふれあいを通じて、少年「ユウタ」が成長する物語だ。
「サユリ1号」や「はるの/よるの/ようだ」や「天使の噛み傷」を読んだ後の、胸をぎりぎりと苛 -
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村上かつらは女性なのだろうか?それとも男性なのだろうか?この漫画家を好きな人間が必ず口にする疑問だ。そのくらい、男女のどちらを主人公に据えても驚くべき細やかさで人物の内心を描く。
絵柄は泥臭く、決して上手くもなく一般受けするものではない。しかし日常をひときわ鮮やかに、そして日々の胸の痛みを苦しいまでに浮かび上がらせることのできる力量を持っている。文学的、というのは安っぽい言葉だと思うが、村上かつらの作品にはどうしてもそういう香りを感じてしまう。それはとりもなおさず、言葉の遣い方が巧いということだろう。やはり私が漫画に求めているのはストーリーなのだな、とつくづく実感させられた。
青年誌に掲載され -
Posted by ブクログ
村上かつらを読んで、ささるもの。カッターナイフのように鋭利な刃物じゃなくて、もっと切り口がざらっとしてるやつ。あれ、「肥後の守」っていう和式ナイフ。鉛筆削ると、多角形のごつごつした芯が、すこしずつ木の軸から現れていって。指を切ると、いつまでもじくじくと痛かった。あんなかんじ。
みっともないこと、無力感を感じたこと、どうしようもないことがつぎつぎに思い出されて、あいたたたたた……と、一時ページをめくるのをやめて深呼吸する。でも、あのとき感じた「かっこつかなさ」しか、もうリアルに思い出せることはない。とてもいたぎもちよい、青春マンガです。
(以上2004年に書いたmixiレビューより) -
Posted by ブクログ
中学を出てすぐ就職した女の子が抱く小さな願い、「ともだちがほしい」。そんな所に、新しくパートの女子高生がやってきて・・な、平和な感じが漂う日常系なゆるり作品。
全体的にちょっと切なくなる部分がありつつ平和な雰囲気で、読んでいて心がほうっと温かくなる。
各キャラを見てて、どことな~く「オクターヴ」を彷彿とさせてくれるように感じたけど、それよりもピュア度が高い感じで、キャラの魅力がかなりあるな、と。
だからこそ、「ともだちがほしい」という願いを応援したくなる!w
あとこの作品、今後の展開如何では百合物語に化けていただけるかもしれませんので、是非そっち方面に傾くよう強く応援しております! -
Posted by ブクログ
どうしよう………… 鈴奈さん…… / ?
あのおじさんほんとは、 僕がボストンバッグの中身を疑って追いかけてきたって知ってたんだ。
そうじゃなきゃあんな場所でわざと広げて見せたりしないよ。 絶対へんだよ。
どうしよう、…僕あやまりたいのに… もう二度と会えない…
ん?どうした祐太! / …大丈夫です。
ねえ祐太くん、 あのオジサンは祐太くんに疑われたなんてこれっぽちも思ってないと思うわ。
出張先で出会った息子くらいの歳の男の子を可愛いと思ったのよ。 それだよ。
……鈴奈さん… / ―――でもね、
それとは関係なく、 今、祐太くんの中にある苦い気持ちはとっても大切だと思うよ。
(僕は、