上條淳士のレビュー一覧
-
とても大好きな本の一冊。
心の機微が丁寧に描かれていて、現実味のない人物設定ではあるが、妙なリアリティ、説得力がある。
ただ、読むことで心に寄り添ってくれる、安らぎを得られるような本ではなくて、心が抉られるような焦燥感が残る。
それは、アイデンティティとしての「僕」を確立しようとする少女に同情...続きを読むPosted by ブクログ -
読み易く、かつて抱いていた繊細な感情を思い出させてくれたり、抱いたこともない感情を追体験させてくれる作品でした。アバトーンについては、作品の舞台の描写が秀逸で、行ってみたくなりました。Posted by ブクログ
-
復刊記念。
文庫版だと、単行本と異なり、大分レイアウトが詰まつてゐて、またいくらか最低限ではあれど、筆者本人の手直しが加へられてゐるので、初めて読んだ時のような透明感とはまた違つてみえる。
けれど、ひとりの人間が生きること死ぬこと、存在するといふことを真剣に考へ、表現したといふ事実には変りない。かう...続きを読むPosted by ブクログ