芳賀繁のレビュー一覧
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[リスクとの付き合い方法、教えます]事故回避のための新技術や万全とも言える備えが導入されるにもかかわらず、自動車事故やヒューマン・エラーが起きてしまうのはなぜなのか。事故発生の外部的要因のみならず、人間の心理状態にまで分け入りながら、その原因と更なる対策を提唱する作品です。著者は、産業心理学や交通心理学を専門とされている芳賀繁。
「リスク」にまつわる話が本書の大部を占めているのですが、そのリスクを完全に否定するのではなく、それと上手くやっていこうという姿勢が示されているところが興味深い。どのくらいまでのリスクであれば許容しうるのか、そしてその許容度にどのようにして個人差が生まれるのかなどの -
Posted by ブクログ
Software Safetyの研修の中で紹介されていたのをきっかけに読んだ。この書籍の扱う領域においてはかなり有名な書籍の一つらしい。
報告させることと、懲罰を加えることが適切に分離されていないと、事態の究明や再発の防止には寄与しない、ということが航空や医療、警察の事例を用いられながら語られていたという感じ。
人命に関わる領域の仕事をしている人にとっては重要な一冊のように思う。
例えば事例にはなかったが保育士やバスの運転手のことを思い浮かべても、もしその職務の遂行によって意図せず人が死んだり傷ついたりして、そのために職を失ったり逮捕されたりするのだとしたら、そのリスクに見合った給与をもらえ -
Posted by ブクログ
ー リスク補償行動とは低下したリスクを埋め合わせるように行動が変化し、元のリスク水準に戻してしまうことをいう。細くて見通しの悪い道路から幅の広い直線道路に出たドライバーがクルマの速度を上げたり、雪道をノーマルタイヤでのろのろ走っていたクルマがスノータイヤに履き替えたとたんにスピードを出したりする現象が典型である。
運転速度のように測定できる行動変化だけでなく、注意力が低下したり、他のことを同時にしたり、より大きなリスクをとる方向の判断や決定を行う確率が高まることもリスク補償の現れである。 ー
テクノロジーの進化と共に、リスクも減ってきていると思われがちであるが、テクノロジーの使い方によ -
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ネタバレ*目的
事故が亡くならない原因を理解する。
対策を立てる際の注意点に着いてわかる。
*芳賀繁 専門:産業心理学、交通心理学、人間工学
子守唄効果(ララバイイフェクト):安全対策がまるで子守唄のように人を安心させ、まどろみに誘う、そのことが危険を大きくすることを指す。
リスク補償行動とは、低下したリスクを埋め合わせるように行動が変化し、元のリスク水準に戻してしまうことをいう。
ジェラルドワイドが提唱したリスクホメオスタシス理論。リスクの目標水準を変えるような対策でなければ、長期的には元に戻る。私の考えとしては、自信がつけばスピードがあがり間違え安くなり、システムが揃えば、攻めても大丈夫と -
Posted by ブクログ
産業心理学者である著者が事故が起こるメカニズムを分析し、その上で、必要な対策について提議した本。
会社のライブラリで見つけ、自動車の安全を専門としている私にとっては必須の本だと思い手にとりました。
本書で著者は、「安全対策がどのような成果を上げるのか、あるいはあげないのかを決めるのは、その安全対策によって人間の行動がどのように変化するかにかかっている。」と言っています。
そして、これは工学の問題ではなく心理学の問題であると。
本書では、工学的に考えて事故を無くすために導入した安全装置が裏目に出る例をいくつか紹介しています。
例えば、居場所を知らせるビーコン。
これが普及するとともに、