児玉聡のレビュー一覧

  • 功利主義入門 ──はじめての倫理学

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    タイトルの通り、功利主義についてゼロから学べる本でした!
    著者の児玉先生は本当にわかりやすい文章を書いてくださるから、倫理について何か学びたい際は、この方が書いた本を最初に手に取ることをお勧めします!

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    2026年06月26日
  • 功利主義入門 ──はじめての倫理学

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    倫理ってなに?
    私の当初のイメージは常に感情の起伏を表情に出さず、物事を冷静に分析し淡々と処理をする態度。
    なんか的外れな気がしてくるが、本書で紹介されるピーター・シンガーの一節はこうである。

    「倫理的に生きるとは、自分がどう生きているかを一定の仕方で反省することであり、反省して得られた結論に従って行動しようと努めることである。──ピーター・シンガー」

    なるほど、反省と行動が大切なのだと学べただけでも本書を読み始めてよかった。しかし本書のタイトルは「功利主義入門」。功利主義って利己的で自分勝手な振舞っていうマイナスな印象だけど、反省と行動を指針とする倫理に該当するのかい?
    もし私と同じような浅はかさをお持ちの方がいたら、本書はその誤解を懇切丁寧に取り払ってくれる。ぜひ、手に取ってみてほしい。

    個人的に一昔前に流行った行動心理学用語の「ナッジ」も、功利主義の文脈で説明できるんだとは意外であった。合理的な判断ではなく感情に流される愚かさを人間にはあると認めた条件下で、さて最大多数の最大幸福へと導くにはどうすればよいか。頭ごなしの規制を嫌う功利主義と最低限の規範を融合させる理論は、功利主義への理解をさらに深めてくれる。

    難しい思想を扱いながらも、著者のユーモアを交えた語り口のおかげで最後まで楽しく読めた。功利主義礼賛で一貫することはなく、常に各理論の良い点と問題点を挙げ最後に著者自身の立場も率直に示されている。功利主義の概観を知るには、今もなお最良の一冊だと思う。

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    2026年06月26日
  • 哲学史入門Ⅳ 正義論、功利主義からケアの倫理まで

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    哲学史入門シリーズの最新刊。

    各シリーズ同様、倫理学の主要な理論の第一人者へのインタビューによるライブ感のある哲学史入門講座となっている。同時に、倫理学を学ぶことの意義を探究する構成だ。今回は倫理学がテーマであり、隣接する分野も含め功利主義、正義論、徳倫理学、ケアの倫理を扱う。

    特に徳倫理学が興味深かった。
    正直倫理学の中でも馴染みのない分野で、実際に比較的新しい学問分野であるという。
    要するに、功利主義や義務論などのように最大多数の最大幸福や規範への遵守という倫理の評価を外部へ依拠するのではなく、「徳」を備えた人格そのものに照準を当てる理論である。理想を追求する姿勢を感じられ、さわやかな印象を受ける。

    しかしながら、この理論を達成することの困難さは日々私たちは痛感している。
    立法国家で暮らす日本国民としては、大前提として規範がありその下で個人的な暮らしを営んでいるという感覚がある。「徳」が個人の行動原理として影響を及ぼせる範囲には、一定の限界があるのではないか。そもそも「徳ある人」とはどのような人物を指すのだろうか。

    本書には「徳」に基準を設ける方針も紹介されており、例として日本における道徳教育の内容項目が紹介されている。そこに挙がっている項目に「公正」や「国にへの愛する態度」が含まれていることに、違和感を感じる。

    朱 喜哲「〈公正(フェアネス)〉を乗りこなす」で指摘していたように「公正」という資質を個人に過剰に依拠する姿勢は問題含みである。この観点から見ると、日本教育における「徳」項目には、個人の内面的資質として育まれるもの(これが本書の定義における「徳」)と、本来は社会的規範として共有されるべきものが混在しているように思われる。これは、誤った個人非難に繋がりかねないと危惧する。

    その他理論についても、各研究者の視点と理論における問題点を詳らかに説明してくれている。決して自分の研究分野を単に称揚するのでなく、批判的な指摘も含まれていることに本書の信頼性の高さを感じた。

    過去シリーズとあわせて、最前線の研究動向に触れたい人や、用語の暗記中心の学習に物足りなさを感じている哲学初学者におすすめである。

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    2026年04月09日
  • 功利主義入門 ──はじめての倫理学

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    ここまで学問本体に興味を惹かれる入門書は初めてだった。筆者は各々の主張を、思考実験や実際の過去の事例を交えながら解説しているため、自分も倫理的思考を行いながら対話に参加しているようでとても楽しい読書体験だった。そして巻末のブックガイドも非常に充実しているため、非常にオススメしたい1冊。

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    2025年12月03日
  • 哲学古典授業 ミル『自由論』の歩き方

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    ミルの自由論をわかりやすく解説してくれている。それに加え、生じる問題や考えないといけないことも纏めて提示されているので、ただ読んで学ぶだけで無く、自分自身で考えながら学べるようになっていて凄く面白かった。
    ミルの自由論も読んでみたい。

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    2025年04月19日
  • 哲学古典授業 ミル『自由論』の歩き方

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    ミルの『自由論』は読んだことないけど、タイトルに惹かれて買った本。『自由論』について、とても丁寧に解説・考察がされている。
    語り口も平易で何の前知識なくても楽しく読めた。
    実際に抗議を聞いた学生の感想が紹介されていたのが面白く、自分でもあれこれ考える手がかりになった。
    これをきっかけに、底本として使われた『自由論』の方も読むつもり。

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    2025年01月04日
  • 哲学古典授業 ミル『自由論』の歩き方

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    たいへん読みやすくすぐれた『自由論』読解・解説で、学生の意見として批判的な見解も披露しているのもよい。でも夫婦別姓のところはよろしくないと思う。

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    2025年01月03日
  • オックスフォード哲学者奇行

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    「ゴシップからはじめる」の通り。変人紀行といった感じ。けど、人間味があって、社会・組織の縮図みたいに思えた。多様性がある良い社会・組織という印象。1つのコマの文量も少なめでテンポ良く読めます。

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    2023年10月16日
  • 功利主義入門 ──はじめての倫理学

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    功利主義入門にふさわしい。実例を挙げながらわかりやすく功利主義の全体像や、ベンサム、ミルの思想に加え、リベラリズムとの関係性なども説明されており、スッキリとした内容になっている。

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    2022年03月06日
  • 功利主義入門 ──はじめての倫理学

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    道徳科の勉強のために読みました。

    今まではトロッコ問題とかについて話すと主観のぶつけ合いだったのですが、
    理論的に倫理学について学ぶことで、
    客観的な判断基準が出来ると思いました。

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    2021年07月31日
  • 功利主義入門 ──はじめての倫理学

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    かなり面白い。が、考え得るケースが膨大にあり、思考を放棄したくなる。

    功利主義では全ての人は一人としてカウントされる。首相だろうと身内だろうと一人であり重み付けされない。社会全体という俯瞰的な視点から個人を観測する、さながら最大利得を目指すマルチエージェントシミュレーションのようなもの。

    功利主義の3つの特徴。1.帰結主義。こう行為するとこういうことが結果として起こるだろう、という事前の予測に基づいて行為の正しさを評価する。2.幸福主義。何かの役に立つという理由からではなく、それ自体に価値があることを内在的価値と呼ぶ。幸福主義によれば、この世界で内在的価値を持つものは幸福だけであり、それ以外は手段としての道具的価値を持つに過ぎない。3.総和最大化。各人を一人として数え、誰もそれ以上には数えない。

    ーメモー
    倫理学とは「倫理について批判的に考える」学問である。よりよく生きるために社会の常識やルールを考えなおすための技術である。ある党派的な諸原則を押し付けられるのではなく、批判的な思考能力を高め、自分で思考できるようにすることが、本書の狙い。

    ー倫理の学び方ー
    1つ目は守るべきルールを学び実践できるようになること。2つ目はルールについて疑問を発し、自分なりの答えを出せるようになること。

    批判的に考えることの主目的は、ルールの根拠を確認することにある。みんなが従っているルールだから従うのではなく、確信をもって従うのだ。

    倫理的相対主義・・・俺の中ではOK、あなたの中ではNG。人それぞれ規範が異なる。他人の倫理観についてとやかく批判すべきではないとの考え。
    →倫理は相対的か?元をたどると共通のルールがあることがわかる。
    →倫理的相対主義への批判。他人の倫理観についてとやかく批判すべきではないというのなら、その倫理観を他人に主張すべきでない。

    動機は倫理における一番大切な事柄ではない。なぜなら人は善い動機から非倫理的な行為をすることもあるし、利己的な動機から倫理的な行為をすることもある。動機の善し悪しではなく、倫理的な行為がなされるかどうか。動機の問題ではなく、その行動に主眼がある。

    人間は利己的だから倫理は無駄。
    これに対する反論は2つある。1つは倫理は動機(利己/利他)によらないとの見方。利己的であっても倫理的/非倫理的な行動をとりうる。もう1つは人間は常に利己的ではないとの見方。利己と利他は対義的ではない。倫理/非倫理と利己/利他で見るといい。

    ジェレミーベンタム・・・政治においても道徳においても、何をなすべきかを考える際に指針となるのは、功利性の原理において他にない。最大多数の最大幸福を指針として行為せよ。自然は人間を苦痛と快楽という2人の王の支配下に置いた。

    なぜ最大多数の最大幸福を追求したければならないか。
    →社会全体の幸福の実現のため。実現に向けて:功利主義に従う人はそれでいい。それ以外の人は?→サンクションによって拘束する。


    功利主義の3つの特徴。帰結主義:結果ではなく、事前に予想される結果に基づいて評価される。幸福主義:行為が人々に与える影響こそが倫理的に重要な帰結。総和最大化:各人を1人として数え、誰もそれ以上には数えない。


    メタ倫理学:「〜は正しい」と言うときの正しいとはどういうことか、「〜は善い」と言うときの善いはどう言う意味か

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    2020年10月26日
  • 功利主義入門 ──はじめての倫理学

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    とにかく親しみを与えてくれる 興味持てたらもっと深めてくれたらええんやでという優しさがある すぐ読めるので何回も読んじゃう

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    2019年06月19日
  • 功利主義入門 ──はじめての倫理学

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    臓器移植の是非についての記事を読んでいた時に、功利主義の話が出てきて、もっと深めてみたいと思い読みました。功利主義の基本的な考え方や、批判を経て思想として強化されていく過程、政治や公共事業への応用、幸福とは何か、などについて書いてありました。特に、幸福についてという人生における大きな問題へのアプローチとして、功利主義という立場の存在を学べたことが大きかったです。

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    2019年05月08日
  • 功利主義入門 ──はじめての倫理学

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    なんかようやく倫理学に入門できた気がする。功利主義に絞っているから、ふつうの『倫理学入門』みたいな本には書いてないこともあれこれ書いてある。田上孝一先生の本のタバコ批判とかもああこういう話かと納得。

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    2018年12月04日
  • 功利主義入門 ──はじめての倫理学

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    功利主義という言葉からは、なんだかわかりやすいけれど身もふたもない思想という印象を受けるわけだが、この本を読むと、現実の社会の中で倫理的に真っ当にものを考えるというのは、まさにこういうことではないか、という気になる。ベンサムやミルの思想についても誤解されやすい部分(私が誤解していた部分)を的確に指摘し説明してくれている。巻末のブックガイドも有用。

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    2015年11月08日
  • 功利主義入門 ──はじめての倫理学

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    功利主義的なものの見方の初歩を教わった感がある。論理的に話すためには、何がしかの筋の通ったものの見方が必要。倫理学の本をもう数冊読んでみることにする。

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    2015年05月01日
  • 功利主義入門 ──はじめての倫理学

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    功利主義は我々の生活や資本主義を考える上で重要な概念であることを知った。人の教育に関するスタンスを考える上でも興味深い。

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    2014年02月18日
  • 功利主義入門 ──はじめての倫理学

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    私の中の新書あるあるで、後半読み進めれば読み進めるほど難しく感じ、理解が浅く感じる。全体的におもしろかった。自身の思考が拡張されるような感覚があった。自分の適切であると思っていた価値観が、ある状況下においては不適切であることの例や、その逆もあった。様々な立場の人間からの視点や、合理性・弱点を知ることが出来た。

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    2026年07月06日
  • シュリック教授殺害事件

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    最近ホットと感じている論理実証主義、ウィーン学団について。伝記、思想史的にも、物語としてもおもしろく、歴史の影響、人間同士の交流がおもしろかった。内容そのものよりもアプローチが現代に染み込んでいるところがあると感じた。

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    2026年06月28日
  • 哲学史入門Ⅳ 正義論、功利主義からケアの倫理まで

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    哲学史入門シリーズの4巻目で、「倫理学」を取り上げた巻。「功利主義」「正義論」「徳倫理学」「ケアの倫理」を解説している。これまでの各巻同様、各章で編者の斎藤哲也氏が基礎知識と読みどころを紹介して、指南役の研究者にインタビューするという形式。個人的に興味を持って読んだのは、「功利主義」」と「正義論」。近年テック長者」などが語る「効果的功利主義」への流れも理解しやすい。また「ケアの倫理」は耳慣れない言葉だったが、倫理学を実践に移すにはこういう考え方のほうが有効かもしれないと思わせられた。入門書として、わかりやすく、全体像が把握できる。
    【目次】
    序章 倫理学に入門するとは何をすることなのか(古田徹也)
    第1章 現代に生きる功利主義―誰もが幸福な社会を目指して(児玉聡)
    第2章 義務論から正義論へ―カントからロールズ、ヌスバウムまで(神島裕子)
    第3章 徳倫理学の復興―善い生き方をいかに実現するか(立花幸司)
    第4章 なぜケアの倫理が必要なのか―「土台」を問い直すダイナミックな思想(岡野八代)
    特別章 「地べた」から倫理を考える(ブレイディみかこ)

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    2026年05月03日