児玉聡のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
4冊目もとても読みやすく重要なポイントがまとまっているので、現代の西洋での倫理学を理解したい方には良い内容である。
個人的には徳倫理学の章が興味深かった。カントなどの義務論は、行為の是非を問うが、徳倫理学は人格を問う。それはそうだと思うのだが、人格を重視するのであれば、例えば、西洋ではゲーテやシラーなど、教養を高める教育思想があるし、日本の報徳思想や心学など、人間性を高める伝統的教育がある。それらを学ぶことの方が有意義だと思えてきた。
また、徳を重視し過ぎると軍国主義になるや、慰安婦の国家賠償の問題からケアを考えるなど、事実を無視した左翼思想が出てくるところは残念である。 -
Posted by ブクログ
面白かった。
哲学の本を読んでると「そんなこと延々と考えてどないすんねん」と思うことが多いけど、まあ倫理学は考える価値があると思う。万が一、皆が納得できる形で正しさをルール化できたら、立法やらなんやらがすごくスムーズになると思うので。そんな夢を追って思考を深めているならカッコイイと思う。
◇
とはいえ、やっぱり倫理は何かしらの理屈で説明できるものではないのでは、というのが読み終わっての感想かもしれない。
徳のある人物を目指す徳倫理学や、現場レベルの判断を問うケアの倫理は、結局「皆が心に手を当ててやっていくしかない」的な発想やと思うし、まあ実際そうよな、という気持ちもある。 -
Posted by ブクログ
本の内容自体は大変面白いのだが、ミルの自由論には全面的に首肯する事が出来ない。自由を社会の最大の価値と見なし、個人の自由を実現するためには明白な危害を加えない範囲で社会が受忍すべきと言う主張だ。その目的は天才の出現確率を増やすことによる社会の発展らしいが、ここにも単線的な社会発展段階論やエリート主義的な側面が垣間見え、その目的が正当化できるほどの理由には思えない。
卑近な例で言えば、訪日外国人旅行者の急増による様々な問題や、日本人には思いもよらない迷惑行為が話題になっているが、ミルなら他人に危害を与えないなら何やっても自由と言うだろう。確かに外国人にも旅行する権利はある。だが日本に来たのだ -
Posted by ブクログ
変わった哲学者の行動が取り上げられている本という予想に反して、ほとんどの哲学者は普通の人だった。主に20世紀のオックスフォード大学で哲学の教鞭をとった人の紹介である。チューター制をとっていて、師匠と弟子という関係が強く現れるのだが、それ以外にも哲学者同士の議論が活発だったことが窺われる。驚いたのは女性の哲学者が多く活躍していることだ。第二次世界大戦の影響で、男性の多くが兵役に従事していた状況もあるが、それ以前から女性が大学に行って哲学を学ぶこと、さらに育児をしながら研究を続けることが可能であったことがわかる。登場人物についてほとんど知らないし、哲学者は難しそうで知人になりたくないと思っていたが
-
Posted by ブクログ
ネタバレ人々が動物性食品を止めるべき主な理由は動物への配慮、気候変動対策、自分の健康への問題、生鮮市場における感染症の4点が挙げられる。
動物に苦しみをもたらす慣行を支持したくないからベジタリアンになるのであれば、中枢神経系がないハマグリやホタテ、良い生の鶏の卵を食べるフレキシブルなヴィーがんは問題にならない。
動物の解放運動は他の解放運動と異なり、搾取される側である動物が組織的な抗議をしないこと、抑圧する側に属する集団の構成員のほぼ全てが抑圧に直接加担している受益者であることなどから、不利である。
畜産を止めれば、浮いた飼料生産により、地球から飢餓と栄養失調はなくなる。すなわち、動物の解放は人間の解