佐宗鈴夫のレビュー一覧
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1960年にルネ・クレマン監督/アラン・ドロン主演で映画化(1999年「リプリー」として原作をほぼ忠実にリメイク)されたことにより、ハイスミスの最も有名な作品となった。1955年発表作だが、全編独特なトーンを持ち、時代を感じさせない。物語の舞台として、当時のローマ、カプリ、ベネツィアなどの名所を巡るため、観光ガイドとしても有用かもしれない。よく知られた粗筋は省略するが、先の映画とは随分と印象が違う。饒舌で冗長。犯罪小説と呼ぶには文学に偏り過ぎ、文学と称するには青臭い生硬さがある。
主人公は、アメリカ人トム・リプリー25歳。幼い頃に両親を亡くし、守銭奴の叔母に育てられた。生い立ちは殆ど語らず、 -
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かつてはアラン・ドロン主演で映画になり大ヒットし、最近はマット・デイモンが主演してリメイク(題名は「リプリー」)された映画の原作。
アメリカ人の青年トム・リプリーは家柄も地位も定職も持たず、薄汚れた部屋で、その月の部屋代にも事欠く生活をしていたが、友人のディッキー・グリーンリーフを連れて戻るようディッキーの父親に頼まれてヨーロッパに渡る。
ディッキーの父親は造船会社を経営する資産家で、ディッキーはその御曹司。
自分の生い立ちに比べて恵まれすぎているディッキー。トムは父親から渡された報酬が目当てでいたが、ディッキーに対する嫉妬心からか、ディッキーを殺してしまう。
殺人の隠蔽のためにトムはディッキ -
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太陽がいっぱいは、名前くらいは知ってるけど、実際の中身はよく知らない。と思う。
というわけで、続編として読むんではなく、単に新しい話として読ませていただいたわけで。
でもって、背表紙に書いてある、天才的犯罪者、というところも読んだうえで、判断させてもらうならば。
天才っていうか完全に行き当たりばったりの人生じゃないか。もしかしたらデビュー当時はそういう設定でうまくいってたかもしれんけども、今はもう往事の面影もなく、なんていうか単に勢いで生きてる感じで。普通に自分の家で殺しもやるわ、人んちでも何も考えずに殺すし、コナン君いなくてもどうにかなるっしょ、これ。
でも学ぶところがあるとすれば、ともかく -
Posted by ブクログ
マフィアがらみの話なので暴力的な行動も多く、
死体もゴロゴロだが。。。
前の事件から、それほど間を置かず、こんな危険なことに
それも、自ら必要もないのに勝手に飛び込んで
より深く巻き込まれるなんて。
そもそも、きっかけは根拠の薄い猜疑心から出た
ほんのいたずらに近い『ゲーム』でしかなくて、
それなのに、他人を悪に引き込み、悩み苦しませ
人生や家庭を崩壊させ、負の暗い影を落とす。
ドロドロ粘り気を帯びて嫌悪感を覚えそうな物語だが、
うまく片づけたり、立ち回れた後等にリプリーが思わず
笑いだしたりするので、読者はいつの間にか
リプリーの世界観・人生観を自然に受け入れて、
リプリーの視点で世界を眺め