ヴァレリー・グレチュコのレビュー一覧
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スターリン体制下のソ連における作家活動は想像を絶する。異形の奇妙な作品群は、シュルレアリスムのそれとは趣を異にする。どこかしら日本のプロレタリア文学との共通点を感じる部分もあるが、それとも違う。一見、ユーモラスに書かれているが(特に児童向け?作品において)本当に笑っていいのか躊躇する。一つひとつの...続きを読むPosted by ブクログ
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注訳がとても良かったです。
ブルガーコフのいたソ連はめまぐるしく変わり、革命に内戦等、街や建物も次々と代わる時代だったそうで、内容もバタバタしてます。
犬の心臓はまず倫理に反する内容だし、痛烈過ぎて胸が痛かったです。
可愛いボロボロの犬が、下品な悪党になるなんて...。
めまぐるしく変わる母国を皮...続きを読むPosted by ブクログ -
ジャケ買い。暇つぶしにサクッと楽しめる短編集だった。
正直いちいち全部の話は覚えていないけれど、「なんじゃこれ、わけわからん」とかなんとか思いながらずっとニヤニヤ笑いながら読んでいたことははっきり残ってる。
・色んな人がしょうもない死に方を繰り返す
・「どうでもいいからこの話は辞める」と話をぶった切...続きを読むPosted by ブクログ -
この作者自体も多分にエキセントリック(か、それを装っている)な人だったのだろうが、書かれた背景にある国や時代というものが、ここまで影響するんだなと、ユーモアのセンスは秀逸で、読んで笑いながらも暗い気持ちになった…
に、しても訳者は大変だっただろうな、ロシアに、日本のこの諺と同じようなものがあるのだ...続きを読むPosted by ブクログ -
ウクライナ出身(当時はソ連)の作家による、ソ連の政策などを風刺を交えて痛烈に批判しながらも、それだけには飽き足らずSFなどいろんな要素をぶっ込んで生み出された傑作。と私は思う。
読むのになかなか時間がかかったが、当時のソ連の情勢について詳しくなかったから、ところどころ注で解説してくれたので、面白かっ...続きを読むPosted by ブクログ -
徹底した関係性の欠如、理解の欠如、意味の無さが覆うハルムスの世界。抑圧された社会をあぶり出す滑稽な作品群。面白い。
表紙の絵もハルムスの雰囲気がよく出ている。Posted by ブクログ -
不条理以上。
何本か読んだことがあるような気がしたが、かつてモンキービジネスに掲載されたものもあるのね。Posted by ブクログ -
とにかくシニカルでユーモアたっぷり。ソ連時代の連邦内の国々の複雑な関係性も興味深い。解説を読んで、設定の奥深さにさらに唸る。ガルシアマルケスが師と仰ぐ作家というのもうなづける。Posted by ブクログ
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ソ連政府をどう皮肉ってるのか全然分からなかったけど、分かるようになった瞬間の爽快感がたまらない!
来週から少し時間的な余裕が生まれるので、
「犬の心臓」は映画観てみようかなぁーーー
ロシア語で、ロシアを舞台とした映像で観てみたい。
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100年も前のロシア文学。
今の人が読むと、設定がB級映画っぽいかもしれない。
風刺小説。
当時のロシアの歴史背景が分かると見方が変わると思います。
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現代ロシア文学とまではいかないがソビエト連邦時代に活躍したロシアの作家ミハイル・ブルガーコフを読んでみた。
カテゴライズするのが非常に難しい小説であるが、むりやり当てはめるならSFになるのだろうか。
『犬の心臓』『運命の卵』の両作品とも非常に風刺の効いた作品である。
どちらも天才科学者がとんで...続きを読むPosted by ブクログ -
社会主義体制を諷刺する作品を発表したため、
生前は冷遇されたという
20世紀ソヴィエトの作家・戯曲家、
ミハイル・ブルガーコフの中編小説2編。
奇天烈な事態に巻き込まれる人々の
ドタバタが描かれており、
読み進めながら笑ってしまったが、
作品に込められた意図、批判精神を想うと胸が痛くなる。
「犬の...続きを読むPosted by ブクログ -
『犬の心臓』と『運命の卵』の二篇。
どちらも科学の力が暴走し、人間を混乱に陥らせる話。
『犬の心臓』はロシア版『フランケンシュタイン』かな?と
思っていたら、
犬が人間になったらまさに「犬畜生」な人間になっただけで、
残念なことに知性がまったく伴わなかった…そんな犬人間に振り回される
人たちの描写...続きを読むPosted by ブクログ -
20世紀ロシア社会がどうこう、ということはさておいて、単純にSFミステリ(もしくはサスペンス、またはパニック)として読み応えが十分でした。
「犬の心臓」はやはり、「フランケンシュタイン」を彷彿させた。
もし「怪物」と「コロフ」を目の前に並べてみたらそれはもうおぞましくて恐ろしくて卒倒してしまうに違...続きを読むPosted by ブクログ -
いや、コレはソヴィエトで発禁になったのも分かるわ。皮肉やら当て擦りやら諷刺やら満載で面白かった。
訳注が多いのが初心者仕様で読みやすかったよ。Posted by ブクログ -
犬の心臓の方は、これまで聞いたことない発想のお話でおもしろかった。人間の言葉を話し始めた、生意気な犬と手術をした医者のかけあいがおもしろい。
運命の卵も、発想がかなりユニークでおもしろくて怖い。どっちもいわゆるSFのジャンル。
ソ連政権に対する批判が隠れてるというが結構わかりやすいと思う。
どっ...続きを読むPosted by ブクログ -
風刺小説だからこそ、このエンタメ性。広く読んでもらわないと意味ないし、、と思いきやソ連で発禁本になった。いちいちぶっ飛んでて面白い。犬に人間の睾丸と脳下垂体を移植するって設定がギャグだよ。Posted by ブクログ
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人間の脳下垂体と精巣を移植する実験の結果、人間化した犬が手術を行った博士たちを混乱に陥れる「犬の心臓」、特殊な光線を浴びることで異常に繁殖した巨大アナコンダが人々を襲う「運命の卵」の二編。いずれの作品にも、人間の手で作り出された生物に翻弄される人々の姿が描かれ、この普遍的なモチーフのために読んでいて...続きを読むPosted by ブクログ
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よくこんなの革命後に書いたよなあ…。
解説読むといっそうそう思うほど、風刺がてんこ盛り。
犬とカエルはいじめちゃダメだ。Posted by ブクログ -
二つの話が収録されている。どちらの話も当時のロシアへの痛烈な皮肉があの手この手の表現を尽くしてか書かれていて、ロシアで発禁になるのも仕方がない。逐一注釈が同じページにあるし、最後の解説でもあるのでロシア文学に詳しくなくても楽しめる。著者は劇作家でもあることから劇にも造形が深く、かといって耽美的な描写...続きを読むPosted by ブクログ