ヴァレリー・グレチュコのレビュー一覧

  • ハルムスの世界

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    『ところで、何の話をしていたのでしたっけ? 何も存在していない、ということでしたよね。中にも外にも何も存在していないのなら、瓶も存在していないということになりませんか? そうですよね? けれども、次のようなことを考えてみましょう。中にも外にも何も存在していない、というのであれば、何の中や外のことなのか、という疑問がわいてきますよね。つまり、何かは存在しているわけです。あるいは何も存在していないのかもしれません。でも、それならなぜ中とか外とか言うのでしょうか? いや、これは明らかに行き詰まり状態です。もう何をお話しすればいいのかわかりません。では、さようなら。』―『現象と存在について No.2』

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    2024年04月19日
  • ハルムスの世界

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     スターリン体制下のソ連における作家活動は想像を絶する。異形の奇妙な作品群は、シュルレアリスムのそれとは趣を異にする。どこかしら日本のプロレタリア文学との共通点を感じる部分もあるが、それとも違う。一見、ユーモラスに書かれているが(特に児童向け?作品において)本当に笑っていいのか躊躇する。一つひとつの作品において、自分が試されているような息苦しさを感じる。

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    2024年01月02日
  • 犬の心臓・運命の卵

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    注訳がとても良かったです。
    ブルガーコフのいたソ連はめまぐるしく変わり、革命に内戦等、街や建物も次々と代わる時代だったそうで、内容もバタバタしてます。

    犬の心臓はまず倫理に反する内容だし、痛烈過ぎて胸が痛かったです。
    可愛いボロボロの犬が、下品な悪党になるなんて...。
    めまぐるしく変わる母国を皮肉りながらも、戯曲の要素もあり色々と知れたし楽しめました。
    なかなかマニアックな内容でした。

    運命の卵はパニック小説でした。
    犬の心臓の後だから結構後味悪いです。
    大量のカエルと鶏と人が死に、カエルが可哀想でした。

    何だかんだと言って、ブルガーコフは動物愛護主義者だったように思えます。
    犬の気持

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    2016年10月11日
  • ハルムスの世界

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    正直に言って、ちゃんと理解できた話はひとつもなかった。でも、何だか面白くて……そして不気味で、不安になった。

    印象に残ったのは、
     〈みんなお金が好きだ〉
     邪魔
     関係

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    2025年05月09日
  • 犬の心臓・運命の卵

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    コロフの訴え、感情の強度が本を飛び出してきた。

    ソ連時代の当時の様子を知ることができることも良かった。共同体や家の考えとか。

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    2024年06月01日
  • ハルムスの世界

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    ゼンマイ仕掛けの人形が、同じ場所を永遠にくるくる回っているようなイメージが浮かんだ。
    意味のない言葉の羅列。
    ナンセンスにつぐナンセンス。
    あたらしい読書の楽しみ方を見つけた。

    合間にある解説も良い。

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    2024年05月02日
  • ハルムスの世界

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    ジャケ買い。暇つぶしにサクッと楽しめる短編集だった。
    正直いちいち全部の話は覚えていないけれど、「なんじゃこれ、わけわからん」とかなんとか思いながらずっとニヤニヤ笑いながら読んでいたことははっきり残ってる。
    ・色んな人がしょうもない死に方を繰り返す
    ・「どうでもいいからこの話は辞める」と話をぶった切って強制終了する
    というような内容が、呟きのように淡々と脈絡なく続いている感じ。
    オチの無い話が苦手な人にはおすすめしません。

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    2024年03月24日
  • ハルムスの世界

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    この作者自体も多分にエキセントリック(か、それを装っている)な人だったのだろうが、書かれた背景にある国や時代というものが、ここまで影響するんだなと、ユーモアのセンスは秀逸で、読んで笑いながらも暗い気持ちになった…

    に、しても訳者は大変だっただろうな、ロシアに、日本のこの諺と同じようなものがあるのだろうかとか、言葉足らずの訳を上手くしていたりとか、そういうところに目が行ってしまった。

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    2024年01月26日
  • 犬の心臓・運命の卵

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    ウクライナ出身(当時はソ連)の作家による、ソ連の政策などを風刺を交えて痛烈に批判しながらも、それだけには飽き足らずSFなどいろんな要素をぶっ込んで生み出された傑作。と私は思う。
    読むのになかなか時間がかかったが、当時のソ連の情勢について詳しくなかったから、ところどころ注で解説してくれたので、面白かった。
    当時のソ連の状態を風刺しているが、ソ連だけでなく、人類全体への警告と捉えてもいいかもしれないと読みながら思った。

    犬の心臓は、コロフが気の毒で、なんとも言えない読後感だった。フランケンシュタインを連想させた。
    運命の卵は山椒魚戦争を連想させた。
    しっかり理解し切れたとは全く言えないけれど、物

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    2023年11月25日
  • ハルムスの世界

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    徹底した関係性の欠如、理解の欠如、意味の無さが覆うハルムスの世界。抑圧された社会をあぶり出す滑稽な作品群。面白い。
    表紙の絵もハルムスの雰囲気がよく出ている。

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    2023年09月27日
  • ハルムスの世界

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    不条理以上。

    何本か読んだことがあるような気がしたが、かつてモンキービジネスに掲載されたものもあるのね。

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    2023年09月12日
  • 犬の心臓・運命の卵

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    とにかくシニカルでユーモアたっぷり。ソ連時代の連邦内の国々の複雑な関係性も興味深い。解説を読んで、設定の奥深さにさらに唸る。ガルシアマルケスが師と仰ぐ作家というのもうなづける。

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    2022年09月24日
  • 犬の心臓・運命の卵

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    ソ連政府をどう皮肉ってるのか全然分からなかったけど、分かるようになった瞬間の爽快感がたまらない!
    来週から少し時間的な余裕が生まれるので、
    「犬の心臓」は映画観てみようかなぁーーー
    ロシア語で、ロシアを舞台とした映像で観てみたい。

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    2022年06月12日
  • 犬の心臓・運命の卵

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    100年も前のロシア文学。
    今の人が読むと、設定がB級映画っぽいかもしれない。
    風刺小説。
    当時のロシアの歴史背景が分かると見方が変わると思います。

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    2021年06月17日
  • 犬の心臓・運命の卵

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    現代ロシア文学とまではいかないがソビエト連邦時代に活躍したロシアの作家ミハイル・ブルガーコフを読んでみた。

    カテゴライズするのが非常に難しい小説であるが、むりやり当てはめるならSFになるのだろうか。

    『犬の心臓』『運命の卵』の両作品とも非常に風刺の効いた作品である。

    どちらも天才科学者がとんでもない発明、発見をするはなしであるが、これが面白い。
    『犬の心臓』では、人間の若さを維持するために動物の臓器を人間に移植するのだが、あるとき、犬に人間の臓器を移植してみたらという話である。
    『運命の卵』は、科学者が偶然、生物の成長を著しくスピードアップさせる光線を発見してしまい、それを政府が悪用した

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    2020年11月07日
  • 犬の心臓・運命の卵

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    社会主義体制を諷刺する作品を発表したため、
    生前は冷遇されたという
    20世紀ソヴィエトの作家・戯曲家、
    ミハイル・ブルガーコフの中編小説2編。
    奇天烈な事態に巻き込まれる人々の
    ドタバタが描かれており、
    読み進めながら笑ってしまったが、
    作品に込められた意図、批判精神を想うと胸が痛くなる。

    「犬の心臓」
     ロシア革命後のソヴィエト体制下、
     人間に虐待された犬を優しい紳士が救ったかに見えたが、
     彼=フィリップ・フィリーパヴィチ教授には
     マッドサイエンティスティックな目的があった。
     犬は教授の実験台になり……。
     楳図かずお『洗礼』愛読者もビックリ!
     なストーリー(笑)。
     教授の思惑

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    2018年07月15日
  • 犬の心臓・運命の卵

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    ネタバレ

    『犬の心臓』と『運命の卵』の二篇。
    どちらも科学の力が暴走し、人間を混乱に陥らせる話。

    『犬の心臓』はロシア版『フランケンシュタイン』かな?と
    思っていたら、
    犬が人間になったらまさに「犬畜生」な人間になっただけで、
    残念なことに知性がまったく伴わなかった…そんな犬人間に振り回される
    人たちの描写が面白かったです

    日本の作家さんが人間になった犬を書いたら
    きっと聡明な人間になっただろうなぁ
    犬の捉え方がロシアと日本で違うのでしょうか…?

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    2016年10月27日
  • 犬の心臓・運命の卵

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    20世紀ロシア社会がどうこう、ということはさておいて、単純にSFミステリ(もしくはサスペンス、またはパニック)として読み応えが十分でした。

    「犬の心臓」はやはり、「フランケンシュタイン」を彷彿させた。
    もし「怪物」と「コロフ」を目の前に並べてみたらそれはもうおぞましくて恐ろしくて卒倒してしまうに違いないけれど、多分「怪物」のほうは駆け寄って助け起こしてくれるんじゃないかという気がする。一方、コロフのほうは鼻で笑うだけだろう。
    「怪物」のほうはその醜さと不気味さを殊更に強調して描写しているというのもあるけれど、コロフは仕立ての良さそうな服を着せられて(ある程度の)教育も受けていて、さらに市民権

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    2016年05月12日
  • 犬の心臓・運命の卵

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    ネタバレ

    犬の心臓の方は、これまで聞いたことない発想のお話でおもしろかった。人間の言葉を話し始めた、生意気な犬と手術をした医者のかけあいがおもしろい。

    運命の卵も、発想がかなりユニークでおもしろくて怖い。どっちもいわゆるSFのジャンル。
    ソ連政権に対する批判が隠れてるというが結構わかりやすいと思う。

    どっちも当時のソ連の人たちの生活が垣間見られて面白い。

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    2024年02月07日
  • 犬の心臓・運命の卵

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    風刺小説だからこそ、このエンタメ性。広く読んでもらわないと意味ないし、、と思いきやソ連で発禁本になった。いちいちぶっ飛んでて面白い。犬に人間の睾丸と脳下垂体を移植するって設定がギャグだよ。

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    2021年06月08日