長谷川康夫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
映画館で見て、本も読みたくなった。
映画は何度も涙が、溢れそうになり、本も何度も泣きかけた。
「幸運だけじゃないな。」磯風の先任伍長の東が心の中でつぶやく。
「幸運艦」と呼ばれた雪風の立派な戦いぶりが随所に散りばめられる。
映画のシーンを思い出しながら、ページをめくると鮮やかに蘇るのは「雪風」の勇姿。
呉の街に帰宅した雪風艦長の寺澤と妻の父親である芳雄が酒を飲む。
芳雄の語る言葉が忘れられない。「本来、武士道にあるのは、いつ死んでも後悔せんようにしっかり今を生ききることだ。」その芳雄の言葉に寺澤がうなづく。
「死」は避けて通れない。
日本が桜を愛するのは、避けて通れない「死」を -
Posted by ブクログ
現代の日本で、80年前の戦争を正しく理解することは、なぜこうも難しいのでしょうか。歴史の評価は様々です。しかし、この『小説版 雪風』は、そうした議論をはるかに超えた、人間としての普遍的な真実を教えてくれます。
著者の長谷川康夫氏が描くのは、ただの戦史ではありません。そこには、私たちと同じように愛する人を想い、子孫の未来を信じて戦った名もなき兵士たちの戦場という日常が描かれています。彼らは、決して特別な存在だったわけではありません。父として、夫として、息子として、ただ大切なものを守り抜こうとしたのです。
読み進めるうちに、私は何度となく涙を禁じ得ませんでした。彼らの「覚悟」が、ページをめく -
一読の価値ある作品
作者がこの作品で言いたかったことは、平和ボケした日本人に、近い将来に発生するかも知れない我が国への武力侵略事態について、良く考えて欲しいということだと思う。何をモデルにして書いたのかは言うまでもないが、多くの人に読んで欲しい作品だと思う。
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Posted by ブクログ
ネタバレ映画が気になってはいるものの、戦争ものをスクリーンで見る体力に自信がなかったのでノベライズに走った次第。
非常に読みやすいノベライズだった。
端的で明解な説明、一文もダラダラ長くないので、普段文章を読まない人でも分かりやすいのではないかと。
映画版との内容に違いがあるのかまでは分からないが、正統派なノベライズだと思う。
ただ前述どおり端的に進んでいくので、キャラクターの心情の掘り下げや補完という意味では、少し物足りない仕様かと。
雪風に救われた少年兵が雪風に乗艦することになり、激闘の中を潜り抜けつつ終戦を迎え、雪風のその最後までを見届ける物語。
と言っても、彼が主人公かと言われればそうでもな -
Posted by ブクログ
いやぁ〜読み応えあった。800頁超の大部。
虚実入り混じる伝説に彩られた演劇人つかこうへい。その『正体』を暴くとすれば、つかこうへいと同時代を過ごした者たちが〈長谷川康夫〉置いてないと口を揃えて言われる著書が4年の歳月を費やし『つかこうへいが最もつかこうへいらしく、確かにつかこうへいだった時代のつかこうへい』を語り切った渾身の一冊。
著者は自身が19歳の浪人生時代につかこうへいと偶然出会う。友人に喫茶店でつかこうへいを紹介され少し話した後、パチンコの戦利品のタバコを強引に奪われてしまうという衝撃的な出会いに見舞われる。
晴れて早稲田に入学。つかこうへいは24歳。当時本人は慶応ながら早大の