あらすじ
2025年夏の最注目映画を完全ノベライズ。
たった80年前、海は戦場でした――。
真珠湾攻撃による日米開戦以降、ミッドウェイ、ガダルカナル、ソロモン、マリアナといった苛烈な戦場で、海に投げ出された多くの仲間を救い、必ず日本に還ってきた駆逐艦があった。
その名を「雪風」。いつしか海軍ではこの艦を“幸運艦”と呼ぶようになった。
主力として海戦に送り込まれた甲型駆逐艦38隻のうち、ほぼ無傷で終戦を迎えたのは「雪風」のみ。その奇跡のような戦いぶりは、沈着冷静な艦長の卓越した操艦技術と、下士官・兵から信頼される先任伍長の迅速な判断によるものだった。時にぶつかりながらも、互いに信頼し合っていく二人。そして「雪風」は、日米海軍が雌雄を決するレイテ沖海戦へと向かう――。
竹野内豊、玉木宏、奥平大兼、當真あみ、田中麗奈、中井貴一。
豪華キャストが揃い、壮大なスケールで描かれる最大級の感動巨編!
2025年夏の最注目映画を完全ノベライズ!!
(底本 2025年6月発売作品)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
映画館で見て、本も読みたくなった。
映画は何度も涙が、溢れそうになり、本も何度も泣きかけた。
「幸運だけじゃないな。」磯風の先任伍長の東が心の中でつぶやく。
「幸運艦」と呼ばれた雪風の立派な戦いぶりが随所に散りばめられる。
映画のシーンを思い出しながら、ページをめくると鮮やかに蘇るのは「雪風」の勇姿。
呉の街に帰宅した雪風艦長の寺澤と妻の父親である芳雄が酒を飲む。
芳雄の語る言葉が忘れられない。「本来、武士道にあるのは、いつ死んでも後悔せんようにしっかり今を生ききることだ。」その芳雄の言葉に寺澤がうなづく。
「死」は避けて通れない。
日本が桜を愛するのは、避けて通れない「死」をわかっているからこそ、儚き「生」を、愛おしみ育むのではないか。
地球からみれば、どんなに長生きしたとしても、人の生は一瞬の刹那でしかない。
しかし、想いは残り、受け継がれる。煌めきとなり、時のなかに編まれていく。何世代も。
Posted by ブクログ
現代の日本で、80年前の戦争を正しく理解することは、なぜこうも難しいのでしょうか。歴史の評価は様々です。しかし、この『小説版 雪風』は、そうした議論をはるかに超えた、人間としての普遍的な真実を教えてくれます。
著者の長谷川康夫氏が描くのは、ただの戦史ではありません。そこには、私たちと同じように愛する人を想い、子孫の未来を信じて戦った名もなき兵士たちの戦場という日常が描かれています。彼らは、決して特別な存在だったわけではありません。父として、夫として、息子として、ただ大切なものを守り抜こうとしたのです。
読み進めるうちに、私は何度となく涙を禁じ得ませんでした。彼らの「覚悟」が、ページをめくるたびに、私の心を強く揺さぶったからです。自らの命を顧みず、ただ後世の繁栄を願い、散っていった多くの人々。彼らが残してくれた、この平和な世界に生きる私たちは、彼らの想いを決して風化させてはならない。
この一冊は、私たちに「何を想い、どう生きるべきか」を静かに問いかけます。そして、この国を愛し、次世代を守ろうとした彼らの姿に、深く感動させられるでしょう。ぜひ多くの人に手に取って、その魂の物語に触れてほしいと、心から願います。
Posted by ブクログ
1944年10月。洋上。
レイテ島までの距離は約60マイル。
艦の後方から友軍機の機影。
「頼んだぞぉ」
「頑張ってくれぇ」
「かましてこぉい」
先行する5機。
後方から3機。
先行する5機は巨大な爆弾を抱えている。
……
後世に生きる自分たちは特別攻撃隊―特攻―の存在を知っている。
この存在を洋上で知るという途方もない無力感がたまらなく、その先の展開が胸に迫る1冊だった。
いい読書体験だった。
Posted by ブクログ
父から送ってもらい、読んでみた!
本当は映画を観たかったですが、本で先に読んでしまいました!
最後の広島でのシーンはグッときた。
今日も頑張ろう。
今後はノベライズで映画を味わうのも良いかも!
Posted by ブクログ
ノベライズ本って初めて読んだかもしれない。
原作本より簡単で、これはこれでいいのかも。
第二次世界大戦から80年。
知らないことはまだまだ沢山。
駆逐戦雪風のことも全く知らなくて、今回の作品を通して色々なことを知れた。
ミッドウェイ海戦やレイテ沖海戦、沖縄特攻にも参加しているのに
最後まで無事に帰ってきた駆逐戦雪風。
小さな体で戦う姿、仲間を救う姿がかっこよかったです。
あの頃の戦士達はみんな思っていたのかも知れない。
九死に一生はあっても十死零生はあってはならない。
こんな無謀な戦いが、果たして日本を救うのか。
結果、日本は負けてしまったし
特攻や囮作戦は正解だったのか、考えてしまう。
多くの者が、戦い方に疑問を持っていたのに
なぜ、敗北宣言を早く出さなかったのか。
まだまだ戦争のことは、知らないことが多すぎる。
もっともっと知る必要があるし、伝える必要があるでしょう。
あの頃の戦士達が夢見た普通の日常。
大切に守ってきた日本。
今の私たちの生き方は、彼ら彼女らを納得させることはできるのかな。
目の前のことや未来をしっかり考えて、命の重みに責任を持って生きていきたい。
Posted by ブクログ
太平洋戦争にて数多くの戦場に従事し、仲間を救い続け唯一ほぼ無傷で終戦を迎えた駆逐艦雪風。
冷静沈着な艦長、頼りにされる先任伍長を始めとする海兵達の熱いドラマ。
Posted by ブクログ
映画が気になってはいるものの、戦争ものをスクリーンで見る体力に自信がなかったのでノベライズに走った次第。
非常に読みやすいノベライズだった。
端的で明解な説明、一文もダラダラ長くないので、普段文章を読まない人でも分かりやすいのではないかと。
映画版との内容に違いがあるのかまでは分からないが、正統派なノベライズだと思う。
ただ前述どおり端的に進んでいくので、キャラクターの心情の掘り下げや補完という意味では、少し物足りない仕様かと。
雪風に救われた少年兵が雪風に乗艦することになり、激闘の中を潜り抜けつつ終戦を迎え、雪風のその最後までを見届ける物語。
と言っても、彼が主人公かと言われればそうでもなく、艦長や先任伍長の視点の方が多かったと思う。
先述の彼は語り部役ではなかろうかと。
見せ場もありますが、彼は戦後も生き残り、艦長や先任伍長が見たかったその後を見届けているので(つまり二人は……)
概ね予想通りの内容。
予想外だったのは、戦後の描写がかなり年数を跨いだこと。
まさかのキャラの結婚やまさかのキャラの進路も見届けることができて嬉しかった。
それにラストのシーンが……お約束といえばお約束の展開ながら、やっぱりああいうシーンに弱いとつくづく感じた(ネタバレ回避のため曖昧表現)
映画であれをされると泣く自信があります。