キャス・サンスティーンのレビュー一覧
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同調:他者の意見に合わせること。
カスケード:特定の意見が社会に広く伝播して、運動や流れを起こすこと
これらが民主主義においてどのような役割を果たしてきたか。
他人が面白いと言った本を、つまらないと思っていても「そうだね面白いね」というのが同調で、10万部売れたベストセラーという情報で本を買うのはカスケード。
自分が詳しく知らないことを、いちいち全部調べて手間をかけるより、専門家に同調する方が社会的には効率的。でも、もし間違っていると思うなら、その意見は表明する方がいい。なぜなら、本当に間違っているのに、誰も是正できていないだけかもしれないのだから。異論の表明には、重要な役割がある。集団内の極論化(テロリスト集団など)を防止し、深刻な誤りを是正する。
それができていたら、特攻しないで済んだのではないか(無意味だと知っていた人間も多かったと思う)
そのため、社会ために、異論が表明されること、表明者の安全が保障されることは大切。
同調は不案内なことを確認しないで効率的だが、自分で考えておらず、思考のただノリ状態でもある。
情報カスケードによってオバマやトランプが誕生した。ネットにより、カスケードを人為的に起こしやすくなっている。
これらの話が、アメリカの裁判制度やアファーマティブアクションなどの実例とともに説明される。
多様性が何のために必要なのか、どんな社会を理想と考えるのかの一助になる。とても勉強になる。 -
Posted by ブクログ
人間の意思決定には バイアスがある
「選択アーキテクト(選択の設計者)」:人々が意思決定する文脈を整理して示す責任を負う
医師も書式やウェブサイトを作る人もセールス担当者も親も選択アーキテクト。
中立的な設計などない あらゆることが重要な影響を与える。
計画の錯誤:必要な時間を過度に楽観的に見積もる
現状維持バイアス:惰性。人はいくつもの理由から、現状維持するかデフォルト(選択する人が何もしなかったら選ぶ選択肢)の選択肢に従う強い傾向
(例 スマホはデフォルト設定のまま)
「アンカリング」 アンカー(自分が知っていることなど)を出発点として 影響を受け、調整して考える
「リアクタンス」 指示されると反発して逆の行動をとること
「楽観と自信過剰」
自分は「平均以上」だとみな思う
将来を楽観視
「損失回避的」失う惨めさは、得る喜びの2倍
「現状維持バイアス」
ナッジする
カーブの手前で白線の間隔を狭くする⇒走行速度が上がっている不安感から減速する
「ホットな状態とコールドな状態」
興奮がおよぼす影響を過小評価するので セルフコントロール問題は起きないと考えて コミットメント戦略(事前に誘惑を取り除くなど)を取らない
「メンタルアカウンティング(心の会計)」
ずっと貯めてきたお金を使うより、思いがけない収入のあった時の方が散財する
「自信ヒューリスティック」人は自信たっぷりに話す人を正しいと思いがち
「社会的影響」他の人に同調する
「私は私のことをいちばん知っている」という勘違い
「刺激反応適合性」受け取る信号(刺激)と望ましい行動が一致していて欲しいと人は考える。
信号と行動が一致していないと、反応が鈍くなり失敗してしまう。
例: ストループテスト (色と色名の不一致はエラー率が上がる 自動システムが熟慮システムに勝つ)
「利潤はまとめるより、ばらした方がお得に感じる」
「仕事はしなければならないことでできているが、遊びはしなくてもよいことでできている」(トウェイン)
人は賞金が当たる確率を高く見積もる
現金をもらうより無料のものに引きつけられる
無料のものは「罪悪感のない喜び」
スラッジ(選択アーキテクチャーの中で、選択する当人の利益を得にくくなるような摩擦や障害)
例; 20ページの書類を書かないと学資援助を受けられない
定期購読の解約手続きを難しくする
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Posted by ブクログ
Nudgeとは、親象が鼻で小象をそっと触れる様子。表紙がズバリそれ。複雑で選択が多い世の中に、仕掛けをして人々が賢い選択をできるようにする。逆がスラッジ。物事を複雑化、ステップを多くすることで人々の選択する行動を止めさせる。携帯電話のキャリア変更が正にそれだった。
著者はNudgeを人々が良い選択をする手助けをするためであるということは一貫していて、サブリミナル効果と何が違うのか?や、選択の自由を奪うのでは?と言った反論にもきちんと対応している。
カフェテリアのメニュの並べ方も、人々の行動を促しているということが新しい気づきだった。だとしたら、Nudgeは特に権力者や持てるものだけが行っていることじゃない。あらゆるところであるんだなーという気づきが新しかった。
良いNudgeは目的(何を成し遂げたいか)と、透明性と自由度、これらどれもが欠けてはならないと著者は言っている。何百ある投信の中から最適な確定拠出のプラン選択するとなると、たいていの人はしない。それをデフォルトがあることで、将来の蓄えができるようになる。もちろんそれを選ばないという選択肢も残しておく。なるほど。
これからは、Nudgeを受ける側の人間として、あらゆる事象に「あ、これは行動経済学を効かしているな?」「このスラッジに負けてたまるか」という目線で対峙していく楽しみが増えた。そして、正しい判断をするための選択アーキテクチャであるか?この選択肢を設定する目的は何だろう?と問う目線をもっていたい。仕事では、利害のためでなく、世の中のために有効な選択的アーキテクチャを作り出せるような姿勢を持っていたい。
また、アメリカのクレジットカード事情、世界の臓器提供のルール事情等、行動経済学の前に、世界の事象を知るだけでも面白い。
ただ、400p強あるので、読むには根気が必要。 -
Posted by ブクログ
2008年に初版が刊行された、行動経済学の実践的概念の一つである「ナッジ」のメカニズムと活用手法を解説した一冊の増補改訂版。
人々が日々行う意思決定において直感に頼った場合に陥り易いバイアスや誤謬、他人からの誤った影響に起因するミスを回避し、より良い選択を”そっと後押しする仕掛け”がナッジであり、最も望ましい選択肢をデフォルトにする、多過ぎる選択肢を適切にキュレーションする、さりげなくインセンティブを設定するなどの”仕掛け”により、カフェテリアのメニューの配置から確定拠出型年金や臓器提供といった公共性の高い政策を含めた幅広い分野において、最終的には自らが選択する自由を確保しつつ、「より良い選択を簡単にできる」ようにすることが可能であると説く。
本改訂版で追加されたナッジ批判への反論では、ナッジが悪用され、消費者が知らないうちに誘導されてしまうのではないかとの懸念に対し、ナッジする側が守るべき透明性や公知性といった基本原則をまとめた「ナッジの権利章典」の策定を提案しており、結局のところ企業や政策担当者がナッジで目指す目標を明らかにした上で、選択肢を適切にデザインする”良心頼み”となる感は否めないが、ナッジする側・される側両面の立場から多くを学べる行動経済学の入門書として読む価値がある。