市川宏のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
恥ずかしながら「史記」ははじめて読む。
徳間文庫版は全訳ではないので、「史記」のすべてを読みたいという方は
ちくま文芸文庫版か明治書院の新釈漢文大系を求めたほうが良いでしょう。
徳間文庫版は日本語訳もわかりやすく、原著とは違い年代別に監修されているので
内容がとてもつかみやすいのではないかと思う。
私のような初心者にはうってつけかもしれない。
内容はというと、傲慢になって民や家臣の諫言を聞き入れなくなったり、
強欲にかられて国を頽廃に導いていってしまう王が何と多いことか。
徳をもって国事にあたり、思いやりを持って人に接し、判断を間違えないことが
如何に大切かよくわかる。
もっと早く読んでおくべきだった。 -
Posted by ブクログ
これまで、
『老子』『孫子』『論語』『荘子』と読んできて、5冊目の中国思想本。
・法治国家と守らせる側のモラル
前提として、この人は人間を、「利害で生きるもの」としている。
つまり、
利益があればそれをやるし、
害があると思えばやらない、というのが人間だということ。
だから、
「いいことをした人にはご褒美をあげる」
「悪いことをした人にはバツを与える」
というきまりごと(法)をしっかり整備すれば国家は治まるとしている(法治国家)。
それと同時に、守らせる側の責任を説いている。
例えば、
規定の手続きを踏まずにやってきた王子の馬車を通さなかった門番を王子が罰せよと父(王)に求めるが、王は罰するどころかその門番を褒めている。
法で国家を治めていく以上、何人たりとも法にそむくことは許されないということだ。
・公の利害と個人的利害は相容れない。
これに関係するエピソードがどれもなかなか面白い。
1つエピソードを上げる。
ある役人は、重要ポストへの人材登用について相談されて、自分のライバルの息子を挙げた。そして、別のポストについては、自分の息子を推挙した。
全ては才能に応じ、仇敵だろうが避けず、身内だろうと遠慮はしない。私的な怨恨などは公のことにあたる場合には考えてはいけないということ。
省みると、今の日本では私怨の下に人が積極的に集まる。それで損していることも多々あるだろう。自戒を込めて。
・アドバイスは難しい。
営業にもかかわってくる話。
相手が何を求めているのか。
「これがほしい」と言っている相手に対しては該当するものを挙げればよろしいかもしれないが、それでもうまくいかない時もある。「何がほしいの?」と問うても明確な答えが得られない場合はなおさら。
「これがほしい」という言葉を表のニーズとする。こういう相手には「これ」を挙げればいいのだが、必ずしも受け手にとってしっくりこない事態が出てくる。
なぜだろう。
(少し韓非子からは離れるが・・・)
それは「"裏"ニーズ」に沿ってないから。
相手が何か欲しがる以上、それには事情がある。それをさりげなく聞いていくことによって、「それを得て何がしたいのか」という情報を得られるこれが真のニーズ。裏ニーズだ。
それさえ得られれば、規模・質ともに一番適したものを相手に与えることができる。
話を戻すが、
韓非子が言うには、アドバイスする時には、相手の表面的な要求だけでなくて、それに隠された相手の思い(裏ニーズ)を汲んでやれ、ということだそうだ。
当時のことを考えると、相手が君主だろうから、変な詮索すると文字通り首が飛ぶことになりかねないが、今の世であればそこまでのことはない・・・だろうから、遠慮せず相手の本当の思いを聞いてみてもいいのかもしれない。
とはいえ実際にやるのは簡単じゃない(相手の警戒心解かないと聞けないし)。裏ニーズを察することができる人って本当、営業マスターなのかも。
他にも、人材登用の時の注意点、部下に対する評価の仕方、「亡国の49カ条」など、興味深いことがたくさん書かれている、面白い本だった。
最後に、「亡国の49カ条」の中から3つ取り上げたい。FBにはもう書きましたが。この49カ条に書かれていることが起きたら、国が滅びる前兆なのだそう。
・部下の権威が上司よりも大きくなる
・リーダーが、独善的で協調性がなく、諫言されればむきになる。自信満々だが国のことなんか考えてない。
・リーダーが、臆病で信念が貫けない。
この本が書かれてから約2300年。
悪い意味で国の本質は変わってないのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
・君主を説得する難しさは、相手の心を読み取った上で、こちらの意見をそれに適応させること、この1点につきるのである。
・昔の聖人である堯・舜・湯・武のとった方法を、現在の世の中でそのまま手本にするものが、新しい時代の新しい聖人に笑われることも、またたしかである。聖人とは昔にとらわれ一定不変の基準に固執する者ではない。聖人とは、現在を問題とし、その解決をはかる者をいうのである。
・「仁義」を行うものに名誉をあたえてはいけない。これに名誉を与えれば功績の妨げとなる。また、学問があるというだけで登用してはいけない。登用すれば方が乱れる。
・修正ができるように気を配って行えば、あまり失敗はしない。
・たびたび面接をしながら、しばらく登用しなければ奸臣たちはさっさと退散する。臣下に対しては、思わぬことを訪ねてみると、相手はごまかすことが出来なくなる。