イアン・トールのレビュー一覧
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アメリカ側の視点で見た太平洋戦争。 全6巻シリーズの5、6冊目の完結編。上巻はガダルカナル後からレイテ沖海戦まで、フィリピン戦も含む。 下巻はレイテ海戦後から沖縄戦、本土攻略、終戦までを描く。 上巻の前半はアメリカの政治的な話が多かったが、後半は日本の戦史本では読んだ事が無い様々なエピソードや出来事が詳細に考察されていて、大変面白かった。 日本側の戦史本では、米軍が物量と作戦で日本を圧倒したような記述が多いけれど、実は米軍も指揮官の判断ミスや失敗、予想外のことが起きていて、相当苦労しながら戦っていたらしい。 日本の陸海軍の仲が悪かったのと同様に、米軍も陸海軍の仲は良くなかった。 上級の指揮官の
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ガダルカナルと言えば日本軍が悲惨な敗北を喫したイメージしかなかったが、はじまった当初は米軍にとってもかなり際どい戦いであったと知った。日本側の戦力逐次投入が戦略ミスとして批判されたりするが、日本をそのように受け身の態勢に追い込んだ背後にも、現場の反対を押し切ってガダルカナル上陸のスケジュールを無理やり早めたキング提督の判断があったりするわけだ。上陸作戦は成功に終わるもののその後も空と海で一進一退の攻防が続き、一時は日本軍に島から追い出される心配までしていたとは意外なところ。また、日本軍の同島からの撤収は、完全に米軍を欺いた見事なものであったそうだ(撤収の実行以外はいいところがないのだが)。
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ご存知の通り,太平洋戦争(日本人の立場からは大東亜戦争と言うべきかもしれませんが)初期の約半年間に限っては,日本は大きな勝利を重ねていました.前代未聞の「空母機動艦隊」というアイデアは,真珠湾の米国大戦艦群を火の海の叩き込み,栄光の大英帝国海軍を太平洋から駆逐.彼らはインド洋まで進出,敵国の根拠地を覆滅しながらの大航海をしました.しかしその機動艦隊の栄光も,ミッドウェイで深い深い海の底に葬り去られます…….本書はそんな「日本が勝っていた半年間,アメリカから見れば,「我々が負け犬だった」半年間の話です.
日本海軍のミッドウェイにおける失敗,またそれを敷衍して,日本海軍の米海軍における根本的な戦 -
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本作は所謂<太平洋戦争>、第二次大戦の日米両国海軍の戦いに光を当てた3部作の第1部である。米国のサンフランシスコ在住であるという史家による作品だ。
本作では、日本側の“中心的人物”として山本提督を、米国側の中心的人物としてニミッツ提督を選んでいるが…主に米国側に関しては、他にニミッツの上役だったキング提督や、その他の人物に関する描写も厚い。そして、当時の米国指導者のルーズベルト大統領や、英国のチャーチル首相に関する挿話も多く取り上げている…
本作は、公文書や先行研究、色々な人達の回顧録や証言、従軍記者が綴ったモノなど、相当に幅広い史料を意識しながら、「一連の流れ」として日米両海軍の戦いを雄 -
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メモ
真珠湾攻撃時の各国体制
日本
東條英機首相
山本五十六連合艦隊司令長官
南雲中将 真珠湾攻撃指揮官
アメリカ
フランクリン・ローズヴェルト大統領
フランク・ノックス海軍長官
ハロルド・R・ベティ・スターク海軍大将
ヘンリー・スティムソン陸軍長官
コーデル・ハル国務長官
ジョージ・C・マーシャル陸軍参謀総長
ダグラス・マッカーサー極東軍司令官(フィリピン)
リチャード・サザーランド参謀長
キンメル太平洋艦隊司令長官(ハワイ)
→真珠湾攻撃後解任。
チェスター・ニミッツ提督着任
アーネスト・J・キング大西洋艦隊司令長官(ニューポート)
→真珠湾攻撃後、合衆国艦隊司令官
→翌年3月ス -
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真珠湾攻撃前夜からミッドウェイ海戦までの「戦艦至上主義の思想背景」、「指導者層としての昭和天皇」、「血なまぐさい現場単位」など、日米両者の立場を偏りないバランスで、著述されている。
1つの海戦だけ描く戦記物と異なり、強国アメリカを窮地に追い込んでいたというノンフィクションの本作は、新鮮で素晴らしい。
欠点は、翻訳が非常に悪い。
印象あるのは、戦闘機の事実上の名称ではなく、日本メーカー名+型式というのは、本当に分かりづらい。
また、スラングのある会話も分かりづらい。理解不能であった。
名著と断定できるのは、原書が素晴らしいため、アメリカの危機(対策)管理から、逆転に転じる史実を述べ、説得材