【感想・ネタバレ】太平洋の試練 下 ガダルカナルからサイパン陥落までのレビュー

あらすじ

実は米軍内も割れていた!

陸海軍と海兵隊の縄張り争い。ニミッツとマッカーサーの足の引っ張りあい。米国側から初めて描かれるミッドウェイ以降の日米戦。

【下巻目次】

第九章 日本の石油輸送網を叩け
第十章 奇襲から甦ったパールハーバー
第十一章 日米激突の白兵戦「タラワの戦い」
第十二章 真珠湾の仇をトラックで討つ
第十三章 艦隊決戦で逆転勝利を狙う日本海軍
第十四章 日米空母最後の決戦とサイパンの悲劇
終章 最早希望アル戦争指導ハ遂行シ得ズ

※この電子書籍は2016年3月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

太平洋戦争をアメリカの視点から描く、大部の作品の二章目に当たるのが本作だ。上巻ではガダルカナル陥落までが描かれ、この下巻ではその後の太平洋の戦闘と、その最終的な帰結としてサイパン(グアム含む)での米軍勝利までが描かれる。

少なくともミッドウェーまでは天秤がどちらに傾くかがわからなかった太平洋戦争も、この下巻までくると最早アメリカの勝利は約束されたものとなった感覚を覚えるようになる。もちろん個々の戦闘では日本軍の奮闘もあり米軍の損害も大きなものになるが、全体としては国全体の生産能力が巨大となり兵站が安定した米軍は太平洋でははっきりと優位を示すようになる。

一方で日本軍は物資の補給、失った艦船や飛行機の補充、そして熟練した軍人といったあらゆるリソースが足りなくなってきており、戦いは悲惨なものになっていく。米軍の中でも陸軍と海軍の調整があったり、あるいは会議の中でも航空畑と艦隊畑の勢力があったりと事件はそれなりにあるのだが、戦いそのものは「思い通りにはいかなくても、期待以下ではない」といった状況で進んでいく。

この第2巻の終わりでは、サイパンが米軍の手に落ちたことで本土への空襲が近づいてくる。それは太平洋という戦場での戦いだけではなく、戦争中に新たにB-29という長距離爆撃機が開発されたように、国全体の争いの中で日本がはっきりと敗北しつつあることが明白になってくるということでもある。

また第二部上巻までは著者の筆も、日本とアメリカを等距離に描いていようと感じられるところもあったが、この下巻になると、日本の状況が理解を超えてきつつあるという雰囲気になってくる。それは未来からの視点だけではなく、たとえ当時の視点を採用したとしても、日本がはっきりと狂気へと落ち込んでいくのが見えるからだろう。
そして本書ではその責任の一端がどこにあったかも明確に記載されている。

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2026年01月12日

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