古矢旬のレビュー一覧
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米国は大統領選挙で活性化する 新しいVISION・戦略に挑戦する
「ドル本位制」を堅持し、世界の盟主であり続けるの基本戦略
=「石油本位制」アラブの支持が不可欠
→「DATA本位制」GAFA+M
トランプ大統領はシェール革命により脱アラブ親イスラエルへ
反環境で世界の潮流には反旗だが、
バイデン大統領は回帰・国際協調路線へ
双子の赤字[財政赤字+貿易赤字]が重荷だが路線は変えられない
リーマンショック後も資産バブルは続いている
ITバブルが本当に花を開かせるか
米国の未来はそこに掛かっている
バイデン大統領はその次に「環境」を用意 間に合うか? -
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岩波新書のシリーズアメリカ合衆国史の最終巻。だいぶ刊行が遅れたようだが、無事に出て、まずはご同慶の至り。
待たされた分(?)、内容は非常に濃かったし、勉強になった。著者は1970年代、正確には1973年をアメリカ史の転換点と見る。第1章がその叙述に充てられているが、ここがまず素晴らしく良い。まさにアメリカの衰退の予感、終わりの始まりがこの1970年代初期に求められるという見方には完全同意である。以後、今日まで続くアメリカ社会の変貌は日本の現代史を考える上でも重要なことは論を俟たない。
第2章が「レーガンの時代」、第3章が「グローバル時代の唯一の超大国」、そして第4賞が「21世紀のアメリカ」、と続く。
1961年生まれの自分にとってこの第4巻はまさに同時代史。つい昨日のことのように思い起こされるアメリカ史の流れを碩学の手によって整理され、読めることはありがたい。
さすがに21世紀の話はごく最近の20年なので、やや煩瑣な感じが否めないが、論点がぶれていないので、読みやすかった。 -
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ネタバレ『日本ファシズム の思想と運動』
この論文は、初めて読んだが、日本のファシズム 運動について、担い手とか明晰、明快に分析されている。
『軍国支配者の精神形態』
東京裁判の公判の速記録から分析。
何ら計画性もなく、日本の支配者層が、日米開戦に踏み切ったのは、連合国人を驚かせ、理解に苦しんだ。
枢軸国側で日本に特質的な事は、指導力の欠如である。
2.ナチ指導者との比較
ナチ指導者と日本の戦犯の比較を進める。
ナチ指導者は学歴が低かったが、日本の戦犯は、学歴が高かった。
ナチ指導者は、自覚的に残虐行為を行う。
日本の戦犯は、顕著な無計画性と指導力の欠如により、目的意識により手段をコントロールできず、手段としての武力行使が、ずるずる拡大して行き、自己目的化してしまった。
日本の戦犯ら指導者たちは『弱い精神』の持ち主、弱い性格であった。
"日本支配層を特色づけるこのような矮小性を最も露骨に世界に示したのは戦犯者たちの異口同音の戦争責任否定であった。"(p 162)
"被告を含めた支配層一般が今度の戦争において主体的責任意識に希薄だということは、恥知らずの狡猾とか浅ましい保身術とかいった個人道徳に帰すべくあまりに根深い原因をもっている。それはいわば個人の堕落の問題ではなくて後に見るように『体制』そのもののデカダンスの象徴なのである。"(p 167)
3.日本ファシズム の矮小性 その1
既成事実への屈服と権限への逃避。
既成事実の屈服は、自民党のお家芸。
起こってしまったこと、決まってしまったことは、仕方がないというスタンス。
"ここで『現実』というものは・・・(略)作り出されてしまったこと、いな、さらにはっきりいえばどこからか起って来たものと考えられていることである。"(p 173)
東京裁判での支配層にいた戦犯の証言を分析して。
皆、責任転嫁し、何処に政策決定の主体があったのかが、わからない。 -
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戦後間もない頃の政治学論文・講演録集。
最初の方の、戦時中における日本独特の「ファシズム」体制についての分析が面白かった。
漠然とした表象に忠義を尽くし、「みんなで」そこに一新に命を賭す。みんなで、空気のままにやっているわけだから、誰も責任者はいない。強いて言えば全員に責任があるとしか言えない。イタリアのファシズムとレジスタンスの歴史と比べると明らかに異様な戦時下の日本社会は、なるほど、「誰も責任をとろうとしない」ままに敗戦を通り抜けた。
そして今、福島原発事故に関しても「誰も責任をとろうとしない」ままに、「空気のせい」と言わんばかりの逃避言動がまかり通っている。
こうした無責任な言いぐさは公務員の得意とするところでもあり、いわば「官僚的」性質だ。個人は自らの行為を自己の選択に基づくものとはなかなか認めない。逆に言えば、自分に責任が帰着しないように、うまく間合いをとりながら行動している。
これは「私的な領域」を決して社会と結びつけようとしなかった日本的特質が結果したものだろう。
これのために、現在も無責任でいいかげんな政治が政府内で行われているのだから、困ったことである。やはり何かが、ざっくりと変わらなければ、この国に民主主義は実現しないのではないかという気がする。 -
アメリカ大統領演説集
- カート
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試し読み
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現トランプ大統領のように憎しみを全面に出し、社会の分断を煽ることで支持層を固めてきた例はない、と言う。歴代の大統領演説とはケネディまでが大きな講堂や屋外のスタジアムでのエンターティメント的なお披露目の位置付けから時代の流れを汲むようにTVへ、更に現代ではSNSが支流に変わった。冷戦時代からは特に大統領権限が実質無制限になり専制君主的な政治活動が活発になり、共和党、民主党政治の分裂化は12年ぶりクリントンの民主党政治に変わった時代に始まった。現代、大統領がその特権的政策を大統領令として世界を米国を揺さぶり始めたのはその一例である。
現代の大統領の下には直属の大統領府のスタッフが1800人、15の省・行政官庁、総連邦政府の職員は240万人、更に陸海空、海兵隊を含め140万からなる軍隊がある。今までに「すべての人は平等に造られ」と言う理想は未だ遠い米国で、今後世界の混乱を招く大統領令が戦争という危機的状況を作り出さないことを願う。
著名な大統領の演説「人民の人民による、人民のための政治がこの地上から絶滅することのならんために」(リンカン)、「祖国があなたのために何をしてくれるかではなく、あなたが国のために何ができるのかを問うて欲しいのです」(ケネディ) -
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丸山眞男ほど毀誉褒貶の激しい思想家もめずらしい。解説子の指摘を待つまでもなく、丸山の日本ファシズム論が「社会科学」として実証に耐えないことに異論の余地は少ない。それでもなお繰り返し議論の対象とされ、こうして生誕百周年にアンソロジーが編まれるのは、一面的であるにせよそこに何ほどか真理が含まれており、それが我々の琴線に触れ、また痛いところをついてるからであろう。
肯定するにせよ否定するにせよ丸山を論じる時、誰もが否応なく「熱く」語ってしまう。これは我々日本人の深層心理と関係があるに違いない。確か福田恆存が言ってたと思うが、明治以降日本人は自らの短所ばかりあげつらうことと、逆に長所ばかり強調することを交互に繰り返してきたが、それは自分に自信を持てないことの表れであると。おそらくこれが丸山への愛憎の正体ではないか。西洋文明という怪物の脅威におののき、師と仰ぎ、乗り越えようと苦悶した近代日本の悲劇であり宿命でもあるだろう。
丸山の言う「無責任の体系」とは、山本七平が「空気」と呼び、河合隼雄が「中空構造」と名付けたものと重なり合うが、好むと好まざるとにかかわらず日本文化に深く根ざすものだ。時代が置かれた状況により、それは短所となりまた長所ともなるだろう。確かなことは我々が歴史と文化に規定された「日本人」であることを逃れようもないということだ。反省や批判でどうなるものでもない。であればそれを運命と思い定め、愛しみ、自信を持つより他ないだろう。その上で自らの長所と短所を曇りなき目で見つめ、それと正しく付き合うことだ。これは無批判な現状肯定でもなければ「ズルズルべったり」でもない。自分だけを日本人から除外して、安全地帯からなされる日本批判は「ズルズルべったり」の裏返しでしかない。『日本の思想』を読めばわかるように、それは丸山自身が忌避したことだ。
かく言う評者とて自信のない一介の本好きに過ぎない。丸山を語る時は人並みに熱くなる。学生の頃この有名な表題論文を読んだ時の異和感は、四半世紀を経た今読み返してもやはり変わらない。あの戦争が絶対悪であるという大前提からスタートし、それに繋がる一切を否定するという態度には根本的な錯誤と欺瞞を感じざるを得ない。真理は多面的である。過ちも非道もあったであろう。しかし総力戦を戦うということは「無責任の体系」や「抑圧移譲の原理」といった概念装置で説明できるほど簡単なものとは思えない。「天皇制ファシズム」という神話から丸山を解き放つ時、この偉大な知性の遺産を継承する「可能性の中心」が開けると思う。 -
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20200930-1023 シリーズ物の第4編(最後)1970年代のアメリカから現在のトランプ政権までアメリカの全体像を描いている。21世紀に入ってからのオバマとトランプという2人の特異な大統領の登場は、アメリカ民主主義所の一つの帰結といえるのではないだろうか。
それにしても、2020年11月の大統領選はトランプか、バイデンか。今のアメリカは、パクス・アメリカーナを享受したころからはかけ離れているような気がする。以下の状況を生み出した原因はグローバリズムの進展とかいくつかあると思うが、私はレーガノミクスに代表される新自由主義の行き過ぎた経済政策も主な原因にあげらると思う。 -
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『現代政治の思想と行動』を中心に戦後約10年の論文を9編セレクトしたもの。
論文自体は発表された当時から有名な論文が多く、『丸山眞男集』にも収録されているので特に目新しいものはない。
しかし、この本には編集者の注がついており、丸山文庫の資料をふんだんに使うことにより、その思想の成立過程の一端をのぞくことができる。また、今からだとわからない時代背景であったりについても解説が入っているので、若い人には読みやすいと思う。
丸山は確かにいろいろ評価がわかれるところではあるが、間違いなく色褪せない論文を書いている。
そして、それは未だに克服されていない問題も多い。
日本の民主主義を考える上で、避けては通れない人物であるのは間違いない。
個人的には、このシリーズに古層論文と江戸期の論文のシリーズが出るのを期待している。 -
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シリーズ最終巻。1970年代のニクソン大統領から直近のトランプまで、現代史ともいうべきおよそ50年間のアメリカについて、時代状況に焦点を当てつつ、主として各大統領時代の外交、内政面について叙述されている。
スター・ウォーズ構想でソ連と対峙し、双子の赤字で苦しんだレーガン時代辺りから記憶に残っているが、あの出来事はそういうことだったのか、今からだとそういう評価になるのかなどと感じながら読み進めていった。
グローバル化、新自由主義のような世界的傾向から、依然解消されない人種問題や移民問題、人工妊娠中絶の是非、同性愛者に対する保障、銃器規制等比較的アメリカに特有の問題があるが、多文化主義とナショナルアイデンティティの相剋が、現在のアメリカの社会的分断を招いている状況が、大分理解できるようになった。
グローバル化の進展により、中産階級の厚みがなくなり格差が拡大していることは世界的傾向であるが、特にアメリカの場合、排外主義につながりかねず深刻な問題である。その上、そうした社会的弱者に応える政策が非常に採られづらい仕組みになってしまっている。
2010年の連邦最高裁判決では、利益団体による選挙候補者の主張に対する賛否の表明は、憲法によって保護されるべき「自由な言論」行為であるとされた(268〜272ページ)。どういうことかというと、アメリカでは、企業などが政党に直接献金を行うことは禁止されているが、政治活動委員会(PAC)という政治資金団体からは許されている。ただし、これまでは献金額に上限があったのに、同判決は献金額に限度を設けてはならないとした。つまり資金を豊富に出せる大企業のロビー活動によって、例えば富裕税など、その影響力により不都合な政策は潰せるということになる訳である。
唯一とは言えなくなっているかもしれないが、アメリカはグローバルパワーであり、その動向は世界に影響する。本書はコンパクトな一冊だが、アメリカの現在を知る上でとても参考になると思う。