ジリアン・テットのレビュー一覧

  • Anthro Vision(アンソロ・ビジョン) 人類学的思考で視るビジネスと世界

    Posted by ブクログ

    人類学の方法論と思考法の有効性を説く。
    異文化理解を旨とする人類学的思考が、異なる文化圏でのビジネス展開に役立つとか、感染症を分析するのに資するとか、そういった実践例だけでも十分に面白い。

    でも本書の面白さはもっと先に進んでいて、広範に未知の領域への探求法として人類学の手法を応用するということだ。

    「経済や金融のことなどさっぱりわからず、専門用語はあまりに理解不能で退屈で、放り出したくなった。(中略)
    だがしばらくして、そんな自分の反応は主に恐れと偏見から生じていることに気づいた。大学では人類学を専攻する学生は、金融業界を志す学生とは異なる社会的「部族」に属しており、後者の使う言葉は私には

    0
    2024年10月13日
  • サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠

    Posted by ブクログ

    企業だけでなくあらゆる組織が大きくなるにつれて、組織間の交流が減り、日本語でいうところの「タコつぼ」(英語ではサイロ)が構築されていきます。これは高度に分業・専門職化が進んだ現代社会では避けられない事象ですが、サイロがあまりに強固すぎるとチャンスやリスクを見逃し、場合によっては組織の存亡を揺るがすような事態に陥ることがあるわけです。本書では、サイロが弊害をもたらした事例として、ソニー、UBS、世界金融危機時の経済学者を第1部で紹介し、第2部では、サイロの弊害をいかに克服するかという「サイロバスターズ」の事例として、シカゴ警察、フェイスブック、クリーブランド・クリニックをとりあげ、さらに他社のサ

    0
    2023年05月08日
  • Anthro Vision(アンソロ・ビジョン) 人類学的思考で視るビジネスと世界

    Posted by ブクログ

    Anthropology人類学 広角・歴史的視点の重要性 経済至上主義の限界
    経済は「累積的矛盾」を伴い、 

    0
    2022年09月11日
  • Anthro Vision(アンソロ・ビジョン) 人類学的思考で視るビジネスと世界

    Posted by ブクログ

    今こそ人類学の出番だと言いたいところだが、何も文化人類学や社会人類学だけの話ではない。定量分析や実証分析と呼ぶものが同じであることを、もしくは、それからの逸脱を示そうとするのに対し、定性分析や質的調査は、往々にして特異であることや一般化は難しくとも一般的であるものとは違うものに着目して帰納的に空間やスケールを再構築(物語化)しようとするからだ。それゆえダイバーシティが重要になる。他者を観察し、聴き、語り合うことがコロナ後に見直されそうな予感だ。

    0
    2022年06月20日
  • Anthro Vision(アンソロ・ビジョン) 人類学的思考で視るビジネスと世界

    Posted by ブクログ

    異なる民族や文化のことを深く理解する人類学の手法が、今日の企業の商品開発や社会問題の解決にも活かせることを、著者自身の経験や多くの実証的な事例を元に明らかにした一冊。

    人類学者が異なる文化を持つ民族が暮らす実生活の場に身を置き、その文化に自ら「浸る」ことで本質を理解しようとする「エスノグラフィー」という研究手法は、企業の顧客ニーズの分析や、エボラ対策といった医療現場でも成果を上げている。著者はこのような人類学者の思考法は、文化の多様性を偏見なく受容することにつながるとともに、翻って自らの特異性に気づく機会にもなり、そのためには集団において誰もが当たり前すぎて口にしないこと(社会的沈黙)に気づ

    0
    2022年04月10日
  • Anthro Vision(アンソロ・ビジョン) 人類学的思考で視るビジネスと世界

    Posted by ブクログ

    実例が豊富で分かりやすく面白い
    ・何が重要かといった先入観を排し、子供のようにオープンマインドで対象を観察すること
    ・語られないことに着目すること
    で見えてくることがある

    0
    2022年02月05日
  • サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    業務をシンプルにして効率的に運用するためや、専門性を高めるためには、サイロ化は必要だけれど、それだけだと上手く機能しなくなる。“細分化されたスペシャリスト的行動パターンが支配する世界では、往々にしてリスクやチャンスが見逃される“。

    サイロを打破するための教訓。
    1. 部門の境界を柔軟で流動的にしておく
    2. 組織は報酬制度やインセンティブについて熟慮する
    3. 情報を共有するとともに、自分なりに情報を解釈する余地を与え、その解釈に組織が耳を傾けるようにする
    4. 組織が世界を整理するのに使っている分類法を定期的に見直す
    5. ハイテクを利用する:“プログラムを変更すればそれまでと違った方法で

    0
    2021年08月08日
  • サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠

    Posted by ブクログ

    自分の会社の事を考えながら読んでみました。

    ぴったりサイロに当てはまりますよねぇ。全体最適では無くて、自部門のみを利する部分最適になってしまっています。

    サイロを作らずに、或いは、サイロを利用して利益を上げている会社の例は興味深いです。

    そこに行ければ良いんですけどねぇ

    0
    2019年08月28日
  • Anthro Vision(アンソロ・ビジョン) 人類学的思考で視るビジネスと世界

    Posted by ブクログ

    人類学で用いられるアプローチがビジネス現場でも有用であることを説く内容。
    人類学というと希少部族への参与観察を通じた文化理解、というイメージが強かったが、近年ではビジネス現場(工場など)に対しても現状理解として活用されていることを知った。
    ビジネス推進の当事者になると、どうしても当事者としての観点に凝り固まってしまいがちだが、人類学のように、特定集団の現状や文化を俯瞰的に、かつ、相対的に捉えるものの見方を身につけることで、より多角的な視点からビジネス推進を行える。そうすることで、様々な問題点および解決のヒントを得やすくなる、ということだと理解した。

    0
    2025年06月13日
  • Anthro Vision(アンソロ・ビジョン) 人類学的思考で視るビジネスと世界

    Posted by ブクログ

    「Anthro(アンソロ)」とは「Anthropology(人類学)」の略。「アンソロポロジー・インテリジェンス(人類学的知能)」、これを略して、AIなのだが、もう一つのAIという言い方で、その重要性を説く。隠れた文化的バイアスを自覚して、思考する事重要性、とも言えるだろうか。我々が属する社会を構成する人々は、必ずしも文化的に同じ文脈を持つわけではない。従い、社会的な課題についての最適解は、このもう一つのAIを勘案せずには、導けないだろうという事だ。

    では、どうすればアンソロ・ビジョンを身につけられるのか。本書で提案される内容は、①自らの生態学的、社会的、そして文化的な環境の産物であることを

    0
    2025年01月23日
  • Anthro Vision(アンソロ・ビジョン) 人類学的思考で視るビジネスと世界

    Posted by ブクログ

    人類学、すごいな。無縁と思い込んでいたビジネスに役立てているなんてさ。それにしても人類学者を採用するグローバル企業、すごいな。同質を尊しとする古色蒼然たる我が勤務先と大違いだわ。というのが、本書についてのストレートな感想で、、、


    それよりも自分ならではの気づきとしては、
    人類学といえば上橋菜穂子先生のバックボーンなのです。大好きな上橋菜穂子先生が学んだ学問「人類学」の
    アプローチが本書を読むことで分かってよかったし、
    とりわけ「虫の視点」と「鳥の視点」の両方を
    駆使する人類学の態度および世界の見え方は
    決してひとつではない、というテーマは、
    まさに上橋先生の作品の核じゃないですか!
    自分の

    0
    2023年03月19日
  • Anthro Vision(アンソロ・ビジョン) 人類学的思考で視るビジネスと世界

    Posted by ブクログ

    今の世の中、経済抜きには語れない。
    豊かさの指標も、成長も進歩も、力関係も、経済で測られている。
    でも、何か、納得がいかない。
    このモヤモヤを言葉にして、突破口を開いてくれるのは、、、、ひょっとして、、、人類学かもしれない⁉︎?

    あとがきP323「人類学者には、自分たちの意見を社会の主流派の議論に反映させる力を、高めてほしい」

    経済、権力の側は、自分たちの世界は、特殊専門用語を理解するエリートの世界で、自分たちのことばや慣習を解さない下々から、観察され、分析対象として客観化相対化されることなど想定していない。
    そこに切り込んでいけるのは、人類学なのかもしれない、と感じることができる、面白い

    0
    2023年03月07日
  • Anthro Vision(アンソロ・ビジョン) 人類学的思考で視るビジネスと世界

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    人類学の観点から、真っ直ぐに事実を見る。キットカットの日本版のストーリーに結構な説明を加えている。キットカットの発音がきっとかっとーという方言に似ていることから、合格のお守りになるというマーケティングをひっそりと行った高岡さんは、本社のネーミングHave a break を使わずにサクラを使って合格イメージを作るという戦略に出た。スイス本社のマーケティングに抜擢されたのは、普通とは違う視点でものを見るということにあったと。これが、人類学と同関連していくのか、、、という点は後付けなのでなんとも言えないが、「あなた方がの世界観は万人のものではない」という点が最も大事なところだろう。アメリカ人から見

    0
    2022年11月14日
  • サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠

    Posted by ブクログ

    高度に専門化が進む現代社会において、サイロが進むにつれて情報が遮断される。

    時には信じがたい不合理な行動に突き進む仕組みを文化人類学的な視点から解明し問題点を炙り出した、唯一無二の書籍。

    0
    2022年08月06日
  • Anthro Vision(アンソロ・ビジョン) 人類学的思考で視るビジネスと世界

    Posted by ブクログ

    Facebookの広告で見かけ、英字のタイトルと人類学的思考という、2つの言葉に興味を持ち読む。
    著者のフィールドワークや豊富な実例をもとに、ビッグデータに基づく定量的分析やこれまでの経済学などの知識では見出せない要因が浮かび上がってくるプロセスをダイナミックに描写している。
    ヒトの行為による現象には、机上の学問やデータだけでは見えない何かが隠れている。そこに、人類学的アプローチ、対象に影響を与えることなく、観察して感得する重要性が示唆されている。この分野の研究者は活動が地味であり、政治的な動きを嫌う傾向が強いが、様々な分野でその手法が注目を集め始めた。新たな視点で、世界に漂う不透明感が拭われ

    0
    2022年07月02日
  • Anthro Vision(アンソロ・ビジョン) 人類学的思考で視るビジネスと世界

    Posted by ブクログ

    集団の中での常識や慣習は その中にいると空気のようにみえなくなつてしまう。世の中は多様性でできている。他者の視点で見てみることで今までみえていなかった死角が見えてくる。

    世の中をメタで見直すための大切な考え方を学べました。

    0
    2022年04月03日
  • サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠

    Posted by ブクログ

    ちょっと仕事で使えそうだったので、さーっとつまみ読み。
    評判通りの知的好奇心のくすぐられる良書だった。

    サイロとは、会社で言えば、専門性が発達し過ぎて、
    部署・部門間の連携・交流がなくなり、
    結果、会社や組織が衰退してしまうという事象。
    まさしく多くの企業が多かれ少なかれ、サイロに陥っていると思います。
    この問題を文化人類学者である著者が分析した本。
    興味深かったのは、企業がサイロ化(専門化)することを著者は否定していなかったこと。
    すなわち、今のビジネスや事業を進めていく上で、
    専門化は必要なことだが、交流や情報共有がなくならない
    仕掛け作り・仕組みづくりが重要というスタンスに妙に納得して

    0
    2022年03月03日
  • Anthro Vision(アンソロ・ビジョン) 人類学的思考で視るビジネスと世界

    Posted by ブクログ

    ・多様かつ複雑性の増す社会で他者と気持ちよく生きていくためには、他者・他組織の振る舞いを先ずは観察し、自らの振る舞いとの違いを知る事、そしてその理由に思いを巡らす事が重要である事が書かれている。
    ・組織運営や自己キャリアの形成においても大切な心構えと振る舞いだと思う

    0
    2023年03月16日
  • Anthro Vision(アンソロ・ビジョン) 人類学的思考で視るビジネスと世界

    Posted by ブクログ

    人の動きや考え方に焦点を当てるのは大賛成
    どんな素晴らしい計画や理論も実行されてなんぼ
    自分のレンズがバイアスで汚れているということは意識していたい、経験が邪魔をすることがあることに注意したい

    0
    2023年03月01日
  • Anthro Vision(アンソロ・ビジョン) 人類学的思考で視るビジネスと世界

    Posted by ブクログ

    サイロエフェクトの著者による、「人類学的思考」による世界の解釈のススメ。科学的分析だけでなく、文化的分析を加えて理解を深めようというもの。科学だけでは「何」が起きているかは理解できるが、「なぜ」起きているかは理解できない。「時間」「会議」「家族」など、世界共通のものでさえ、前提が異なることがあるということ。この他にも、「教育の世界での信頼関係は、権威的より、水平的・分散型で構築される」「Z世代ではなく、C世代(カスタマイゼーション世代)」「バーター経済から貨幣経済という証拠はない」

    0
    2022年12月16日