豊島晋作のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
【はじめに】
テレ東Bizの動画でウクライナ戦争に関する情報を積極的に発信をしていた豊島晋作。動画もほとんど見たと思うが、フェアな視点で安心して見ることができた。報道局の元モスクワ支局長を務めていてロシアの状況にも通じている同氏が、まだ終りの見えないこのタイミングで書籍にまとめたものだ。
【概要】
本書の構成は以下の通り。
第一章 ”終末の時代”再び
第二章 ウクライナ戦争はなぜ起きたか
第三章 戦時下のウクライナから
第四章 ”ロシアと戦う国々”の論理
第五章 プーチン大統領暗殺は起きるか?
第六章 中国・習近平の「台湾侵攻」
第七章 試される「日本の論理」
第一章では現状の分析を行い、ロシアがなぜ戦闘初期において敗れてしまったのか、そしてこの先に核兵器の使用がありうるのかを分析している。ロシアは単純に兵站の問題や制空権を取れなかったという誤算、情報戦における劣位などが挙げられている。そして、ロシアの核兵器の使用の可能性を軽視するべきではないと警告する。もちろん期待も込めてその可能性は低いとしながらも核戦争が起こるシナリオはゼロではないとして、この章のタイトルを”終末の時代”再びとしている。
続く第二章は、歴史を振り返り、ロシアがこの戦争を起こすに至った論理を整理している。ウクライナとロシアの関係を考える上では複雑な歴史と、第二次世界大戦の独ソ戦の記憶を抜きで語ることはできない。ロシアは本質的に無秩序よりも強い独裁者を求めているのだという言葉もその背景を踏まえると悲しくかつ恐ろしい。
第三章はウクライナから見たこの戦争を取材の結果も踏まえて描写する。戦争による大気汚染がひどいというのは実際にその場にいる人でないとわからないことだ。
第四章はこの戦争をめぐる国際関係を論じている。NATOに関する分析が重きを占めており、NATO拡大の抑止の観点ではウクライナがその意を強くするであろうことに加えて、フィンランド、スウェーデンが加盟申請をしたことでプーチンの思惑が大きく外れてしまった。白眉とも言えるのが、アフリカ諸国の分析である。ケニアのキマニ大使による感動を覚えるようなスピーチとともに、多くの国がロシアを非難「しない」側に回ったという現実にも目を向ける。また、インドもロシア非難の決議で棄権に回ったことにより、世界人口の半分はロシアを非難していないということも指摘する。日本での報道はある程度は西側の論理に沿ったものであり、世界には他の見方も存在するのだということを忘れるべきではないのだ。
第五章はプーチン暗殺の可能性を論じている。ナチスドイツでもヒトラー暗殺の試みは行われたのだから、可能性はゼロではない。しかし、結論としてその可能性どころかプーチンを権力の座から引きずり下ろす勢力も見当たらないとしている。
第六章が、ウクライナ戦争が与える影響として日本の立場から最も注視しなければならない事項として著者が挙げる「台湾侵攻」である。中国は、ウクライナの状況を見て台湾侵攻に当てはめてシミュレートしていることだろう。間違いなく中国は、台湾侵攻の「意図」と「能力」を有している。ウクライナが起きたのであれば、台湾で同じことが起きないということはできないと考えるべきだろう。
第七章は、それを受けて日本が何をするべきかを著者なりにまとめたものである。台湾侵攻についてリアリティをもって事前に考え、準備することを主張している。ここで、著者は明らかに現実主義者であり、軍備強化とそのための法整備に傾いているように見える。ウクライナの本でありつつ、著者の主張したいことはこの章に凝縮されているのではないか。
【まとめ】
しっかりとした分析を、筋道立ててわかりやすく説明している。著者の主張も明確だ。おそらく結果論も含めた批判も覚悟しているだろう。骨太の本だと感じた。引き続き動画も出していくだろうから注目をしていきたい。 -
Posted by ブクログ
テレビ東京のYouTubeチャンネルで圧倒的なわかりやすさを誇る豊島晋作記者の初著書。
最大の魅力は、単なる「今の戦況解説」にとどまらない点です。
ロシアがなぜこのような行動に出るのかという「被害者意識の歴史的背景」から、ロシア軍の構造的な弱点、サイバー戦の裏側まで、元モスクワ支局長ならではの視点で多角的に掘り下げられています。
さらに、ウクライナ情勢にとどまらず、NATOの動向や米中対立、そして私たちが最も気になる「台湾有事」や「日本の安全保障」にまで議論が及んでいる点が非常に実践的です。
右や左といったイデオロギーにとらわれず、冷静な安全保障のリアリズムを提示してくれるため、素直に腹落ちします。
普段YouTube動画を観ている人はもちろん、ウクライナ戦争を巡る世界情勢の全体像を一枚の地図のように把握したい人にとって、間違いなく「最初に読むべき1冊」です。 -
Posted by ブクログ
WBSを見ていると豊島キャスターからはストイックなものを感じますし、英語による海外の著名人へのインタビューにも社会人として憧れます。そんな豊島さんがどのような本を書かれたのかなと気になって手に取りました。
内容は3章という少ない章数に分かれていて後に読み返した時に分かりやすいなと感じました。内容も“今更そんなこと”と思うようなことでもあらためて読むことで再認識させてもらえます。ただ、そこに豊島さんらしい真面目さが伝わる失敗談なども交えてくれているので、読みながらも講演会での話を聞いているような感じになります。
そして、あとがきのところでWBSのスタッフに感謝を述べているところがなんだか豊島さんの人の良さを感じてしまいました。文中でWBS冒頭の挨拶の声が小さい時があるとご自身で書かれていましたが、毎日WBSを見ながら“今日は声が小さいな”と思わせてくれることがこの本を思い出させてくれることにもなりました。 -
Posted by ブクログ
WBSでキャスターを務める豊島晋作氏が自身の放送や取材の際に使う伝え方について経験などを基づいて書いた一冊。
キャスターとして伝える立場の最前線にいる著者が自身の経験や失敗などを本音で書かれていて本書を読んで参考になることが多くありました。
聞き手を満足させることを軸として相手にとって再現可能な情報などの有益となる情報を伝えることや相手を褒めることなど相手にメリットのあるように心掛けることを前提とすると感じました。
そのうえで物語として語ることや高低で引きつけることや誰でもイメージを描写できる表現をすることなど表現のテクニックや感情を入れるべきか視線や手の動きなどの使い方など言葉以外の部分のテクニックも学ぶことができました。
また、相手に理解してもらう説明をするための準備や考え方、伝える情報の絞り方、情報の取得方法や信用できるソースや真意の見極め方なども書かれていて勉強になりました。
そして、聞く場合は相手の話を聞くという姿勢で話を聞くことや相手を承認して状況をコントロールすることや相手のスタンスや真意を見極めて対応すること
そんな本書の中でも原稿やメモの効用やケースによっての怒りの表現の仕方や年齢によってボディランゲージの使い分け方などや判断力を低下させないために話す内容は箇条書きのメモにすることなどは参考になると感じ印象に残りました。
また偏見や沈黙を恐れなくていいことや下手な助言はしないことや動画を撮って自分の会話を客観的に見ることなどもこれからのコミュニケーションにおいて参考になりました。
そして、ウォーレンバフェット氏やトマピケティ氏など著者が行った著名人の取材の裏側も多く知ることができました。
本書を読んで日々伝えることに携わっている著者から学んだ内容は自分のコミュニケーションをレベルアップさせる内容と感じるとともに伝えることと聞くことには共通している部分が多いとも感じました。
本書で学んだことを活かして人とのコミュニケーションを通じてこれからはより深い信頼関係を築いていきたいと思えた一冊でした。 -
Posted by ブクログ
テレビ東京「WBS(ワールドビジネスサテライト)」のメインキャスターが
自分の体験を基にまとめた本。
鉄則が22並んでいるが、MICIかどうかはよくわからない。
思いつくままに綴ったもの、と理解した。
自分の体験と重なるところも多々あった。
日頃部下に指摘していることも。
【鉄則8】「つま先」で伝える
はそうだ。「つま先」なんて言葉は使ったことはないけど、
要は 相手が聴きたいのは何よりも結果 ということ。
物語の最初の方から話を始めてしまう人が多い、と。
まさにこれ!
まあそれ以外も伝える技術は頷けるものばかり。
相手が聴きたいこと、中学生、30秒、引き算、見える話、、
聞く方はむしろ自分か。
「広げる」質問と「閉じる」質問で聞く
これはやってるなー。
広げた質問をしても要を得た答えが来ないので、
あえてクローズドクエスチョンにしてあげる、とか。
第三者の文章の方が響くかもしれないので、
読ませてみよう。
【鉄則Zero】8割の人は「自分が話したいこと」を一方的に伝えている
●第1章 「伝える」技術
【鉄則1】「相手が聞きたいこと」を伝える
【鉄則2】「中学生」に伝える
【鉄則3】「最初の30秒」で伝える
【鉄則4】「引き算」して伝える
【鉄則5】「物語」で伝える
【鉄則6】「どん底」と「天井」で伝える
【鉄則7】「見える話」で伝える
【鉄則8】「つま先」で伝える
【鉄則9】「感情」で伝える
【鉄則10】「演じて」伝える
【鉄則番外編】「伝える」を実践する
●第2章 「聞く」技術
【鉄則11】相手を承認して「聞く」
【鉄則12】褒めて「聞く」
【鉄則13】相手の言葉で「聞く」
【鉄則14】相手の人生の「どん底」と「天井」を聞く
【鉄則15】「桃太郞が本当に話したいこと」を聞く
【鉄則16】「広げる」質問と「閉じる」質問で聞く
【鉄則17】相手の「心理的安全性」を高めて聞く
【鉄則18】「徹底的に事前リサーチして」聞く
【鉄則19】「助言」せずに聞く
【鉄則20】「引き算」して聞く
●第3章 「伝える」「聞く」ための情報収集術
【鉄則21】収集すべき「2つ」の情報
【鉄則22】書店を歩きまわる -
Posted by ブクログ
主なトピックは、
・台湾有事による米中戦争のリスク
・イスラエルとパレスチナの対立
・ウクライナ戦争
・グローバルサウスのリーダーとしてのインド
という誰もが知っているものを扱っている。
また2024年7月に刊行された書籍なので、国際政治を扱うものとしては、情報としても少し古く感じる。
ただ今ある国際問題を、それぞれの国の立場・歴史・文化等から考えて、それぞれの国の論理として纏めている点がすごく良い本だと思った。
特に、イスラエルの論理に強く心を揺さぶられた。パレスチナへの過度な攻撃で世界中から批判されているイスラエルには、これまでサイコパスなのか…?という印象しか持っていなかったのだが、その印象がまるで変わった。彼らには、世界中を敵に回しても戦う論理が存在するのだ。(だからといってイスラエルの行動を正当化出来るものではないが。)
またインドの考え方にも始めて触れて、中々に感銘を受けた。
「ロシアがウクライナで人権を侵害しているという点では、ヨーロッパやワシントンの主張は正しいのかもしれない。だが、欧米諸国も、ベトナムからイラクに至るまで、同様に暴力的で不当、非民主的な介入を実施してきた。したがってニューデリーは、ロシアを孤立することを呼びかける欧米の求めには応じない。」
「ニューデリーがモスクワを非難しないとしても、ロシアの侵略を支持しているわけではない。モスクワは、主権と領土保全の原則、国際人道法、内政不干渉の原則に明らかに違反している。だが、これらのルールに違反しているのはロシアだけではない。アメリカも主権の尊重、内政不干渉へのコミットメントからみて問題のある行動をとっている。」
全くその通りである。日本もこのように強い大人の主張が出来たらいいのに、、と思うが立場的に絶対に無理だ。。これからの日本の未来を考えると怖くなる。 -
Posted by ブクログ
なぜ戦争が起こるのか、各国の立場から偏りのない解説をしてくれる。
同じような本を何冊か読んでいるので目新しさはなく、内容もやはり、米中戦争、台湾有事、イスラエルVSパレスチナ、ロシアウクライナ戦争、超大国インドに絞られている。
地政学的な印象もあるけど、本書は特に各国の論理を明確に伝えているので、わかりやすくておもしろい。
イスラエルが国際社会のルールや要求に従わないことが不可解ではなくなったし、日本も他力本願ではなく自国は自分たちで守る意識が必要なのだと思った。
ロシアはウクライナとの戦いで、経済制裁や若年層の人口減少のダメージがある一方、失業率が歴代低水準になったなど、各国の状況をかいつまんで知ることもできた。 -
Posted by ブクログ
今の国際政治、特に戦争リスクの高い米中、パレスチナとイスラエル、ロシアとウクライナ、さらにこれらの勢力を取り巻く台湾、インド、日本を含めた国際関係について、冷静で中立的な立場からとても分かりやすく解説されている。
経済だけが最重要な時代は終わった、とする冒頭の一節にまず興味を引かれる。米中対立とその間にある台湾半導体の影響力により、サプライチェーンの断絶リスクは常にある。
戦争のリスクを戦争可能な「能力」と戦争の動機となる「意図」に分ける考え方に納得した。
イスラエルとハマスのそれぞれの戦争の論理に、根深さと正義の難しさを感じた。
■トゥキュディデスの罠
覇権国と台頭新興国はいずれ深刻な戦争に陥るリスクがある。覇権国スパルタと新興国アテネの激突を題材として、ハーバード大学アリソン教授が名付けたもの。
■ウクライナ戦争の教訓
・戦争は物量がモノをいう
・民主主義の意思決定の遅さは弱点となりうる
・非人道的兵器も使用されうる
・他国の支援を得たければ自ら血を流す
・核の抑止力は機能する