青木俊のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
社会派の小説だが、ホラーよりこわい
気の遠くなるような年月を無実の罪をきせられ刑務所で過ごしたひとたちのことは
時折ニュースで見聞きし、そんなことがあるのだろうか、と、何よりも、それなら真犯人はどこにいるのか、どうして平然と暮らしていられるのか、被害者家族はどんな気持ちでいるだろうか、と考えだすと胸がつぶれそうになる。
この小説の三村は無実の罪で死刑判決からたった2年で絞首刑となる
なおも娘は父の無実を晴らそうと奔走する。
最後に真犯人にたどりつきそうになるが結局思い違いでがっかりするが、
さらにそのあと、本当の真犯人が。
うそでしょ。の展開。
これが自分の身にふりかかったことだと -
Posted by ブクログ
足利事件、飯塚事件、袴田事件と、現在も再審が行なわれている冤罪事件について、恐らくは飯塚事件を参照した内容で描かれた小説。とくにMCT118型と呼ばれるDNA鑑定について、その正確性が問われるものとなっている。
冤罪を晴らすことは難しい。警察や検察、裁判所といった各司法機関の判断を根底から覆す事態であり、それぞれの組織の論理やメンツ、人間関係が絡むために無謬性に支配されている。
一方で冤罪を晴らすのには決定的な方法がある。それは、「真犯人を見つけること」だ。そのためには、証拠となるネタを司法から取り戻して第三者機関に鑑定してもらう必要がある。
このロールプレイング的な流れと、真犯人は誰か -
Posted by ブクログ
FB友だちから紹介していただき、2日で読んでしまいました。
母子殺人の罪に問われ死刑となった父親。その娘はある理由から父親の無罪を確信し、再審請求を求める。
刑を執行してしまったあとで冤罪などあってはならない検察は、なりふりかまわず再審つぶしに躍起となる。果たしてどうなるか…。死刑の是非、検察捜査の実態、請求審の進め方など、興味深い内容。ところどころに挟まれる現実の実際の事件が、小説をより現実味のあるものにしている。
読んでいるとノンフィクション、ルポに思えてきて、実際こういう事はあったのでは?と思わせる怖い。取り返しのつかない司法だけはあってはならないと思う。
唯一意外な犯人の人物像に違和 -
Posted by ブクログ
お姉ちゃんの死の真相を突き止めて…凄い事実が!ぐらいに思ったけど、凄すぎる事実やった…(あっ!フィクションですので^^;)
改題前の「尖閣ゲーム」の方がイメージし易いかも?
死の真相は、ある文書を巡る日中の攻防やねんな。
こんなの出て来ても、相変わらず、中国さんは、尖閣の主張を止めるとは思えん…そもそも、その辺に資源が眠ってるのが分かってから、主張し始めたんやし。はなから、そんなの想定してそうな気がする。
その文書、過去からの念いもあり、沖縄独立へと…
※沖縄と本土の意識の違いは、いっぱいありそうやな…私なんか、一方の当事者(本土側)やけど、あんまり自覚なさ過ぎて恥ずかしい(>人<;)
ま -
Posted by ブクログ
青木俊『消された文書』幻冬舎文庫。
沖縄、尖閣諸島を巡る国際情報小説。世界に於ける日本の今、沖縄の今を描いた舞台設定にはリアリティを感じる作品だった。
各所に粗さは感じるが、まあまあの面白さ。
鍵になるのは尖閣諸島が大昔から日本固有の領土であることを示す古書『冊封使録・羅漢』である。確かに舞台設定にはリアリティを感じたのだが、読み進むと余りにも強大な力を持つ『羅漢』に作品が荒唐無稽に思えて来た。単なる古書を巡り、日本と中国が戦争に発展するような争奪戦を繰り広げるかねぇ。まるでインディ・ジョーンズの聖杯ではないか。
警察官の姉を失った新聞記者の山本秋奈は姉の死の真相を調査するうちに背後に -
Posted by ブクログ
冤罪を巡り、検察/司法vs.遺族が死命を掛けた攻防を繰り広げる。フィクションとノンフィクションの狭間にある、ギリギリのラインでの展開が面白い。
真犯人は意図的に分かりやすくしているのか、全体の筋は分かりやすい、というか想定通りに運ぶので、するすると読める。
娯楽小説としては★4でも良いと思うけれど、登場人物がすべて型通りというか、テーマの重さに対して軽く、深みが感じられず、感情移入できずに終わった点が残念。
特に、ひかりのキャラがコロコロ変わり過ぎて、雑な描写が目立った。
冤罪事件、DNA鑑定の瑕疵を読むなら、清水潔『殺人犯はそこにいる』の併読を強くおすすめする。非常に優れたノンフィクションで