作品一覧 2021/10/26更新 消された文書 試し読み フォロー 潔白 試し読み フォロー 知ろうとしないことは罪だ 試し読み フォロー 逃げる女 試し読み フォロー 1~4件目 / 4件<<<1・・・・・・・・・>>> 青木俊の作品をすべて見る
ユーザーレビュー 逃げる女 青木俊 逃亡者をあつかうサスペンスは、通常なら「逃げる側」か「追う側」のどちら側かに立つことでハラハラ感を味わうものだが、本作はどちらの側の視点からもそれを描いていて、あと一歩というところで逃げられ地団駄を踏む悔しさと薄氷の思いで間一髪窮地を脱出する、そのどちら側の立場からでも手に汗を握らせることに成功して...続きを読むいる稀有な作品と思う。なぜなら読者が強く感情移入するためには、主人公が「なんとか逃げ伸びたい」人なのか「なんとしても捕まえたい」人なのか、そのどちらか一方に肩入れするからであって、その双方のどちらの立場からも肩入れさせるということは、野球の試合の満塁の場面で「打って欲しい」と「抑えて欲しい」の両方の立場を、純粋に野球というスポーツを楽しむというような中立的な立場ではなく、あくまで贔屓チームの側にたって楽しませるのと同等に難しいと思えるからだ。そして、逃げる側と追う側双方の立場を立体的に描くことで逃亡劇そのものの全体的な構図を見せることこそが実は作品の「逃げる者は実は●●だ」というテーマそのものになっている。札幌、釧路、水戸、小山、横須賀、横浜、品川という街のロケーション、道路、鉄道、空港、港湾という移動手段、飲み屋街、駐車場、巨大病院、という舞台描写もどれも魅力的で楽しい。 Posted by ブクログ 潔白 青木俊 既に死刑執行済みの事件の再審請求を巡るお話 冤罪で死刑にされた可能性が合った場合、検察、裁判所、警察はどういう方針で動くのか?を描いた作品 実際の事件(飯塚事件)を元にしており、その事件をテーマにしたノンフィクション「殺人犯はそこにいる―隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件―」は、とある書店が表紙...続きを読むを隠して「文庫X」として売り出したのも有名 以下、公式のあらすじ ------------------------ 真実は、ただひとつ。 偽造、隠蔽、証拠の廃棄…… こんな非道が国家のやり口か!? 司法権力に、個人は抗えるかーー骨太ミステリ小説。 札幌地検に激震が走った。 30年前に小樽で発生した母娘惨殺事件に前代未聞の再審請求審が起こされたのである。 被告の死刑はすでに執行済みだ。 もし冤罪なら、国家は無実の人間を殺めたことになってしまう。 司法の威信を賭けた攻防に、曰く付きエース検事が指名された。 ------------------------ 冤罪死刑は絶対にあってはならない まぁ冤罪事件自体あってはならないし、どんな状況であれ失われた時間や何もかもは戻っては来ないけれども とりわけ無辜の人の命を誤謬で奪ってしまうというのは絶対にあってはいけない だからこそ冤罪事件ではなかった事にするという逆説的な論証も意味がわからんな 実際の飯塚事件との類似点 無実を訴えながら死刑判決が下され、2年で死刑執行された DNA鑑定で用いられた手法がMCT118で、後にこの方法は確率的な信頼性が十分ではない事や、実験の状況により結果のブレがある事が判明するなど 前述の通り、「検察という組織の権威を守るために不正を働かなければならない」という論理は矛盾している 国家権力としての司法の信頼性が大事なのはわかるが、だからといって真実を捻じ曲げたらそれは正義ではなかろうよ…… 再審請求の判断にしても、裁判官が変われば結果も変わるのであれば、絶対的な正義などない事がわかる 人が裁くのだから、過ちがある可能性を考慮しておく必要がある だからこそ検察は確実に有罪な事件しか立件しないという方針だけれども そこにもまた思い込みが入り込む余地があるという現実 また、権力者による司法への介入は大阪地検の証拠改竄事件によって明らかになり 検察への不信感は現実のものとなっている 死刑判決なんて、よほど確かな証拠がない限りは下されないと思っているけど、実際はそうでもないのかもとも思った 読み始めた当初は、冤罪死刑という状況でも受け入れられる筋書きは何だろうと考え 身内の誰かを庇っていたという可能性を考えたけど、結局はそうではなかったですね メタ的推理で、登場人物の中で怪しい人は目星をつけてた 作中で疑われている人もそうだし、弁護士や検察内部の人とかも なので、真犯人が明らかになるところでは、想定していた 然程の驚きはなかった 重ね重ね、冤罪死刑は誰にとっても好ましくないので、現実では起こってほしくないなぁ…… DNA鑑定の方法 詳しくは知らないけど、MCT118って結局は一部分の繰り返しの長さしか見てないという事でいいのだろうか だとしたら、他人同士が偶然一致する可能性は否定できないよな さらに、PCRで増幅して鑑定するので、短い方のバンドが強く出る上に当時の電気泳動のだと長い配列の方はブレが大きくて精度は高くなかったのだろうと思う せめて単一の部位ではなく、複数のマイクロサテライトで一致するくらいの証拠でなければ、司法として求める精度には達していない気がする 何というか、それなりに衝撃を受けたし中々評価の高い小説だけど、後味が悪いなぁという印象でした Posted by ブクログ 潔白 青木俊 面白すぎて1日で読んでしまった。前半をメインに占める主人公的存在が、正義感みなぎる人間ではなく、むしろ葛藤しながら動く検察側というのも面白い。最後まで犯人が想像できなかった。 Posted by ブクログ 潔白 青木俊 30年間も無実の罪で死刑にされた父親の潔白をはらそうと奮闘する娘の強さに心打たれた。 フィクションながら日本の法曹界はここまで正義が死んでいるのかと絶望感。 正義よりみんな自分の保身ばかり。 刑事や検事や裁判官になりたての頃は正義のためにと思っていたはずなのに、組織がそうさせるのか。 裁判官によって...続きを読む判決が全然違ってくるなんて信じられないが、裁判官だって人間だからまぁあり得る話だろうな。 最後の方は真実はどうなのか、結末が知りたくて寝るのを忘れて読み切った! 読み応えあった! Posted by ブクログ 潔白 青木俊 私水谷豊のドラマ見てから(大昔の)無罪で死刑になるのが怖かった。日々の行いさえよければ誰か助けてくれると思って生きてきたけどこの主人公のお父さん、悪いことしていないのに死刑になっちゃった。最後の真犯人はなくても良かったな。フランス行きなさいは安易だなって思ってた。 Posted by ブクログ 青木俊のレビューをもっと見る