ミック・ジャクソンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ奇妙な10の短篇集。穏やかに暮らしている人が何かに巻き込まれた途端に現れる奇妙な一面がさらりと描かれています。白黒の挿絵もこの作品にとても合っていて、このテイスト大好きです。
どの作品も個人的には好み(珍しく外れなし)ですが特に好きなのは、少年少女が主人公の少しダークで不可思議なお話の「蝶の修理屋」と「骨集めの娘」です。
「ピアース姉妹」
浜辺の家で穏やかに暮らしていた姉妹が繰り広げるホラー。
「地下をゆく舟」
途中までコメディかと思いきや、「いやいやこれヤバくない?」と主人公と一緒に濁流に流されながらラストへ。悲しみや寂しさを感じる終わり方。
「蝶の修理屋」
こんなに綺麗な画を思い浮かべられる作品は久しぶり。彼に修理された蝶を見てみたい。死にたくはないですが(笑)
「隠者求む」
サキっぽいですね。もちろん好きです。
「宇宙人にさらわれた」
子供たちの暴走。絵本っぽくてかわいい。
「骨集めの娘」
少女は丘の上で集めた骨でネックレスを作る。でもその骨は何の骨?
「もはや跡形もなく」
母親が少年を捨てたのか、少年が母親を捨てたのか。
「川を渡る」
ご遺体がひどい目に合うのにクスクス笑いながら読みました。すみません(笑)
「ボタン泥棒」
海外作家さんが書くどうしようもなく性格の悪い動物がとても好きです。(昨今、動物を良き存在としてでしか描けない風潮を感じ、少し堅苦しいなぁと感じています。)
サキやロアルド・ダールの作風が好きな方にお勧め。
#10の奇妙な話 #NetGalleyJP -
Posted by ブクログ
英国人作家の寓話集で、イギリスで絶滅した熊に捧げる8篇からなります。個人的に英国文学は不案内ですが、いかにもな?皮肉とユーモアが満載の大人向けの短編集と感じました。
興味をもち手にする方への助言です。訳者の田内さんのあとがきに、本書に限って本編より先に読んでいただきたい、とありました。えー、読んじゃいましたよー! 仕方ありません…トホホ。イギリスの熊史を把握すると理解が進むんですね。
凶暴な熊と人間の長きに亘る格闘の結果…と勝手なイメージは、見事に裏切られました。8篇全て、熊たちの悲哀に満ちた声が聞こえてくるようです。
この時代の熊が、いかに人間に振り回されていたかが解ります。勝手に畏怖・崇拝され、道楽の対象にされ、虐げらるなど、酷い扱いを受けた事実が淡々と綴られます。
8篇がつながっているわけではありませんが、著者の熊への贖罪と哀悼の念という点で、どこか共鳴し合っているような不思議な印象をもちました。
また、階級社会につながる側面もあり、下級労働者や身寄りのない老人などへの冷遇が、熊の扱いの関係と似ているようです。
要所に挟まれる挿絵もなかなか味わい深く、独特な雰囲気が本書によく合い、私たちの想像の幅を広げてくれる気がしました。 -
Posted by ブクログ
コンテのようなショートストーリーが10篇おさめられているのですが、奇妙奇天烈な物語で映像が浮かんでくると不気味だたり、滑稽だったり、美しかったりと読後はモヤモヤが残るんですが心地よかったりです。
正気と狂気、日常と非日常の境界線で揺れるファンタジーにSF、サイコホラーな感触がおどろ可笑しく影絵をみてるようなナイトメアーでした。
ティムバートンのイラストを彷彿させるタッチでアダムスファミリーかって表紙絵がそれぞれの話の主人公たちなんです。
映像的には「蝶の修理屋」なんですが1000匹の蝶が飛び交うシーンは幻想的なんだけど集合体恐怖症の私は想像しただけで鳥肌たってしまいました。
「宇宙人にさわらわれた」では集団心理で動かされる子供たちの群れが怖かったり、UFOがエンジン音と共にギアチェンジして角を曲がって去っていくシーンなんか滑稽に映りました。 -
Posted by ブクログ
なんとも不思議な本である。
イギリス人は熊を絶滅させてしまったと言う話は聞いていたので、熊絶滅に至る物語を時代を追ってやや幻想風に書いた連作かな、と思って読みはじめたのだが。
どうも、必ずしもそうではなさそうだ。
どこまでが史実で、どこが寓話で、どこからが伝説なのか、奇妙にぼやけてわからない。
途中までは、たしかに伝承に基づいた実話だろう。熊は森では恐れられ、サーカスでは虐待されてきたのだろう。だが、その先は?
史実として熊が下水掃除をしたり、潜水士をしていたわけがないと思う。
この辺は寓話なのだろう。
だが、その光景は妙に心に届く。
たぶんこの本は、伝承であり、史実であり、寓話であり、伝説であり、幻想なのだろう。
それにしても、熊たちが受けてきた理不尽な虐待には心が痛み、暗い気持ちになる。
イギリスを去っていく熊たちの姿が見えるような。
そんな気持ちになる一冊でした。 -
Posted by ブクログ
イギリスが生み出した(^(エ)^)キャラは有名なのに、この国では11世紀には野生の熊は乱獲により絶滅、動物虐待ショーをするために熊を輸入していたそうだ。
そもそも人間が生み出したキャラクターたちとその生態とにこれほどギャップが激しい動物も珍しいのだが、本書に登場する熊は、熊本来の野生と我々が熊に感じる独特の神秘性を備え、8つの話に見事に収められている。(ちなみに私のお薦めは「下水熊」)
短編集ではなく、串刺しで読まないと意味がない。
話(時代)の順に、熊たちは森から町に近づき、聖性を失い、人に虐げられるようになる。いつも彼らに言葉はなく、荒ぶる野生を抑えながら運命と諦めるがごとく哀しく生きるが、チャンスを得ては逃げる。話を追うごとに人間社会に紛れ込んでいるのだが、また逃げ、最後は・・・。
イギリスの熊は絶滅したのではなかった。人間が愚かで滑稽な生き物であることを、こんな描き方で表現できるなんて!
可愛くないデイヴィッド・ロバーツの挿絵も味わい深い。クマチャンは可愛くなくていいのだ。