ミック・ジャクソンのレビュー一覧

  • こうしてイギリスから熊がいなくなりました

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    真夜中の精霊であり、罪を食い、犬と闘い、サーカスで働き、下水処理をする熊たちの奇妙な味の8つの寓話。

    イギリスでは乱獲により熊は絶滅し、さらに「熊いじめ」というブラッド・スポーツが19世紀まで行われていた、そのイギリスの作家による仄暗くユーモアたっぷりの不思議な物語たち。

    ミック・ジャクソンは容赦ない。描かれるクマは悲しみを誘うけれどちっとも可愛くないし人間も泥臭くずるがしこく浅ましい。そんな熊と人間がまるで心を通わせたかと思ったときにちゃんと現実を教えてくれる。特に74頁。

    こういう話を読むと「この本に出合えて良かったなぁ」と強く思います。

    イギリスと言えばプーさんやパディントンの国

    0
    2025年12月20日
  • こうしてイギリスから熊がいなくなりました

    Posted by ブクログ

    これは――おとぎ話なのか?痛烈な風刺なのか。どうとも捉えられそうな、イギリスと熊の物語8編。
    言葉なき熊と取引めいたことをして、人間は心の安寧を得る。しかし、しょせんそれは異なる種族との取引。常識も前提も違う熊との間で、お互いに利がある取引なんてのはまやかしなのだと明らかになる。熊は知らず課された役割を、やはりそうとは知らぬまま放棄して、少しずつ人間社会から遠ざかっていく。そのさまが、人への皮肉や糾弾にみえる。
    読み進めているうちに、熊が人にも思えてくるのがこの本の怖いところ。虐げられている人、支配されている人、社会の中で見えない存在とされている人たちを熊に仮託しているのではないか?ときに団結

    0
    2025年05月25日
  • こうしてイギリスから熊がいなくなりました

    Posted by ブクログ

    テレビから熊出現のニュースが流れると、イギリスから逃げてきたのかと、その町は熊にとって居心地の良い場所だっただろうかと、つい考えてしまいます。
    不思議と心に残る一冊です。

    熊も人もナメてはいけない。

    0
    2024年12月04日
  • こうしてイギリスから熊がいなくなりました

    Posted by ブクログ

    いやあ,なんて説明したらいいか分からないです.イギリスでの熊を描く8つの短編からなりますが,大人の童話,かな? 
    必読です.

    0
    2024年04月21日
  • こうしてイギリスから熊がいなくなりました

    Posted by ブクログ

    二子玉川の蔦屋書店で出会い購入。
    熊にまつわる短編寓話。今読みたい雰囲気に合っていてすごく良かった。
    イギリスでは熊が絶滅していたとは知らなかった。
    (サーカスなどの見世物の対象や、毛皮としての利用など。)
    人間に支配されながらも、決して腹の底では屈しない姿。弱肉強食のこの世界で人間が頂点に君臨しているのもほんと偶然なのだな、と。
    秋田では熊が人間社会に降りてきて襲われた事件が年に数回起こるなどがあるから、熊を割と恐ろしい存在として認知しているから、(イントネーションもく"ま"と後ろにアクセントを置いて可愛らしさを排除)すんなりと熊の恐ろしさを分かった上で読み進められたけど

    0
    2023年02月12日
  • こうしてイギリスから熊がいなくなりました

    Posted by ブクログ

    「10の奇妙な話」を読んでからこの本が読みたくて読みたくてしょうがなかったので、文庫化により再度発売されたことがとても嬉しかったです。

    読み終えて、期待していたものがここにあった感動がすごくてさらに嬉しかったです。

    あとがきと解説もとても良くて、この美しくて寂しくて、ユーモラスで残酷なお話をより深く楽しめる内容となっていました。

    エドワード・ゴーリーやランサム・リグズの雰囲気が好きな方におすすめの一冊です。 

    0
    2022年12月18日
  • 10の奇妙な話

    Posted by ブクログ

    本当に奇妙なはなしなんですが、どこかで何かが救われるような気がしました。
    いい本に巡り合えたと思います。
    どの話も良かったのですが、『宇宙人にさらわれた』はほんとにいい話です。
    ぜひたくさんの人に読んでもらいたい。

    0
    2022年06月17日
  • 10の奇妙な話

    Posted by ブクログ

    不思議なお話
    ハッピーエンドではない
    お話もあったけれど
    その顛末に共感してしまった

    宇宙人にさらわれた
    骨集めの娘
    ボタン泥棒
    は優しく穏やかな読後感

    川を渡る
    はちょっと笑ってしまった

    0
    2025年05月01日
  • 10の奇妙な話

    Posted by ブクログ

    ミック・ジャクソンとは「こうしてイギリスから熊がいなくなりました」で出会った。現代作家だが、作品の設定に時代感があり、1960年生まれということに意外さを感じた。
    私の最近のもう1人のお気に入り、ジョン・コナリー同様、ものすごい才能なのに日本での知名度は低く、翻訳本も少ない。

    ”熊“がまさしくそうだが、この短編集でも、かなりの奇想天外な話が淡々と語られ、しかもほとんどが静かに終わる。

    彼の代表的な作品の世界は、乾いていて寂しげだ。「ピアーズ姉妹」しかり「地下をゆく舟」しかり「蝶の修理屋」しかり。
    しかし登場人物たちはそれを悲観するでもなく、頑なに静かで揺るぎない。
    時折、心の中を隙間風が通

    0
    2025年04月05日
  • 10の奇妙な話

    Posted by ブクログ

    ★★★★☆「ピアース姉妹」「眠れる少年」「蝶の修理屋」の三作が印象的でした。1番初めにピアース姉妹の話からでインパクトがありました。詳しいあとがき、解説も読んで他の作品も読んでみたくなりました。

    0
    2024年12月05日
  • 10の奇妙な話

    Posted by ブクログ

    短編という形式にピッタリの話が10編。訳者あとがきにあるように、日常と非日常・正気と狂気な境界線、そのギリギリのところにいる人々の話だ。切なく愛おしい人たちの物語に、珍しくも心が動いた。

    0
    2024年03月22日
  • こうしてイギリスから熊がいなくなりました

    Posted by ブクログ

    1 精霊熊
    2 罪食い熊
    3 鎖につながれた熊
    4 サーカスの熊
    5 下水熊 
    6 市民熊
    7 夜の熊 
    8 偉大なる熊

    「先に読むことをお勧めする」というあとがきにある通り、8つの短編(真珠)が糸で繋がって首飾りになってるような。訳者は「中編小説」と評していたがまさにそんな感じ。それぞれに異なる手触りの幻想性、ユーモラスさ、底冷えする恐怖、人間のいつもの身勝手さ、登場人物全ての生き物としての物悲しさがある。並べるとグラデーションをより楽しめるし、最も気に入った章が他の印象も引き上げる。
    1000年前に国内の熊を絶滅させたイギリス人だからこそ書くテーマ、読み込める空気なんだろか。
    身なりのい

    0
    2024年02月29日
  • こうしてイギリスから熊がいなくなりました

    Posted by ブクログ

    短編集だけど順番に繋がってはいる。熊たちの漫画のような行動はさておき、一部ノンフィクションのような気もする。タイトルから連想されるようなおとぎ話というよりかは、どちらかと言えば神話めいている。「イギリスの熊神話」的な。ひょっとしたら世界中の神話も、こうやってフィクションとノンフィクションをミックスして出来ているのかな…

    とりあえず今掴めているのはこれくらい。あとは読んできた内容・情景が蜃気楼のように今も脳内でゆらめいている。自分の頭において、ここまでレビューに困る作品は久々かもしれない。
    現にイギリスには野生の熊が生息しておらず、本書では彼らがいなくなるまでの経緯を時代ごとに辿っている。語り

    0
    2024年01月21日
  • 10の奇妙な話

    Posted by ブクログ

    確かに奇妙な話だった。
    うわ〜みたいなのとか、なんやこれ?みたいなのとか。
    物語それぞれに独特の雰囲気があった。

    0
    2023年06月04日
  • こうしてイギリスから熊がいなくなりました

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    タイトルに惹かれて買った本でした。
    イギリスに熊がいないことも知らずに読みました。
    グレートベアに導かれてイギリスを逃れた熊たちが幸せに暮らしてほしいと願うのは、人間のエゴなのだろうと思いながら、本を閉じました。
    デイヴィッドロバーツの挿絵が気に入り、他の絵も色々と見てみたいと思いました。

    0
    2023年05月09日
  • 10の奇妙な話

    Posted by ブクログ

    「こうしてイギリスから熊がいなくなりました」繋がりで、また同じく挿絵のデイヴィッド・ロバーツに惹かれて。

    ・ピアース姉妹
    ・ボタン泥棒
    ・宇宙人にさらわれた

    がお気に入り。
    どれもブラックユーモア的で、挿絵が今にも飛び出し動き出しそうな物語たち。

    0
    2023年03月29日
  • こうしてイギリスから熊がいなくなりました

    Posted by ブクログ

    片手で癒される文庫本、大人の絵本。

    イギリスと熊の関係、熊は絶滅していたとは・・・。
    イラストの熊も日本のイメージとはかなり違う。

    お話とイラストがシンクロして、おとぎ話のようでもあり、イギリス社会の風刺でもあり、明治期日本文学の幻想物にも近い。

    挿絵のミック・ジャクソンの作品にとれも惹かれた。
    子ども向けに書かれたものとは、ちょっとテイストが違うようだ。

    0
    2023年02月04日
  • こうしてイギリスから熊がいなくなりました

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    実話と寓話の境目なのか
    本当の話かと読んでたら、ファンタジーになってくるし、これ嘘と思ってたら実話みたいだし
    挿絵と相まって、あやふや加減と熊の可愛さで一気読みだった
    精霊熊と下水熊が好き
    ツーツリー島ってどこ?

    0
    2022年11月29日
  • 10の奇妙な話

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    奇妙な10の短篇集。穏やかに暮らしている人が何かに巻き込まれた途端に現れる奇妙な一面がさらりと描かれています。白黒の挿絵もこの作品にとても合っていて、このテイスト大好きです。

    どの作品も個人的には好み(珍しく外れなし)ですが特に好きなのは、少年少女が主人公の少しダークで不可思議なお話の「蝶の修理屋」と「骨集めの娘」です。

    「ピアース姉妹」
    浜辺の家で穏やかに暮らしていた姉妹が繰り広げるホラー。

    「地下をゆく舟」
    途中までコメディかと思いきや、「いやいやこれヤバくない?」と主人公と一緒に濁流に流されながらラストへ。悲しみや寂しさを感じる終わり方。

    「蝶の修理屋」
    こんなに綺麗な画を思い浮

    0
    2022年01月19日
  • 10の奇妙な話

    Posted by ブクログ

    邦題は「奇妙」原題は「哀れ」となる。
    奇妙なストーリーの中に奇妙なキャラクター達が登場する。
    奇妙なキャラクター達が哀れなのでは無く、奇妙なキャラクター達によって哀れな被害を受ける人達が存在している。
    「ピアース姉妹」だと明確に指摘されてる哀れな男だし
    「地下をゆく舟」なら、その街に暮らす人々だろう
    「もはや形跡もなく」なら、スーツケースに詰め込まれた靴下達だと思う。
    しかし「地下をゆく舟」や「蝶の修理屋」では、神秘的な情景が目に浮かぶ時もあり
    何とも奇妙なミック・ジャクソンワールドが体験できる素敵な短編集でした。

    0
    2025年11月06日