森光子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
吉原に身売りされ、毎日のように客を10人も取らされる日々。そんな中でも自分を失わないように日記をつけ、歌を詠む春駒。白蓮を知ることによって、自分の置かれている場所から逃げるという道を選ぶ。白蓮夫妻が、彼女を吉原に返さず、親身になって社会運動家に彼女を繋いだことに安堵した。ほんの70年ちょっと前、戦前は女性の地位は低く、貧しさを理由に人身売買が行われていたこと、水揚げの4分の3は遊郭の主人が受け取り、女郎はたった4分の1しか受け取れない。そこから借金を返し、医者代や衣裳代、髪結い代などを引かれたら、いくらも手元に戻らず、いつまでも借金は返せない。ひどい仕組みだったということもよくわかった。
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Posted by ブクログ
大正時代、
借金のために「吉原」に19歳で身売りされた、
森光子さんという方の日記です。
書店のフリーペーパーか何かで
この本が紹介されていて、
ちょっと気になったので読んでみました。
遊郭というと、
私のイメージでは
江戸時代に栄えていて、華やかな場所だという感じだったんですが、
現実は全然違うんだなあ…としみじみ思いました。
大正時代にもなって、
まだこういった制度があったことにも驚きましたし、
一度入ってしまったら、
あれよあれよと罰金をとられ、
花魁自身の取り分は2割程度、
諸費用も自腹で、
借金は増えるように出来ていて
本当に地獄のような場所だと思いました。
まだ若い春駒さん(森光子さん)が
自分の思いを素直に書き綴っていて、
「遊郭」という特殊な職業と場所に
染まるまい、染まるまい…と頑張る姿に
心打たれました。
読んでいて
苦しいような悔しいような気持ちになる本でした。
実際、吉原の中にいた人の視点から読める
貴重なノンフィクション作品だと思います。 -
Posted by ブクログ
大正末期、家が貧しいために吉原に身売りさせられた19歳の女性の日記である。
作者の「森光子」という名前から、女優の森光子さんと関係があるのかと思ったり、表紙のこうの史代さんの絵から、中味は漫画なのかと思ったりしたが、大女優さんとはまったく関係がない同姓同名の女性の、フィクションではない記録である、そうだ。
周旋屋に「お客にお酒を飲ませて楽しくしていればよいのだから」などとうまいことを言われ、いわばだまされて連れてこられた遊郭。着いてみれば、娼妓として働かねばならない身だった。借金のため、がんじがらめに縛られ、辛い思いをしながら働き、最後には逃亡を遂げるまでの日記。
この生活の中、日記を書き続けたということ、わずか数世代前にこうした身売りがさほど珍しくなかったこと、いろいろと驚くことが多い。
強欲な楼主、客を取るためには汚い手も使う同僚、病気でもゆっくり休むこともできないやるせなさなど、遊郭での暮らしが鮮やかに描きとられている。
割と最近、吉原が無縁者たちのかくれ里であるとする小説(『吉原御免状』)を読んだけれど、説としてはおもしろいが、リアリティの点では間違いなく本書に軍配が上がる。本書の吉原は紛れもなく「苦界」だ。
巻末の斎藤美奈子の解説によれば、彼女は逃亡後、歌人・柳原白蓮のもとに駆け込み、その後は外務省のお役人と結婚したそうだ。柳原白蓮は大正三美人の一人であり大正天皇のいとこにあたる人物である。大富豪と結婚したが、新聞記者との不倫の愛を選び、姦通罪があった当時、大騒ぎとなった(林真理子がこの人を題材に小説を書いている(自分は読んでいないけれど))。本書は大正15年に白蓮の序文を付して出版され、光子さんがいた楼では、この本に触発されて、ストライキのようなことも起こったのだという。
この時代の少女たちってどのくらいの教育を受けられたものなのだろう・・・? 文章を書くのって結構訓練がいることだと思うのだ。
光子さんは少なくとも読み書きが満足なくらいには教育を受けていたわけだ。辛い暮らしの中でも描き続けたということは、物を書くことによって、精神のバランスを取っていた面も強かったのか。
この時代の吉原にきっとこういう少女が何人もいたのだろうと思わせる、強い説得力を持つ本だ。
*読みやすくするために現代仮名遣いに直されているのだが、何だか違和感が。せっかくのノンフィクションなのだし、どうせなら旧仮名遣いのままで読みたかった気がする。