【感想・ネタバレ】吉原花魁日記 光明に芽ぐむ日のレビュー

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昭和初期に売られて吉原で働いた女の子の手記。

強烈な内容のルポ。彼女はすごく強靭な知性と理性の持ち主だと思う。

騙されて毎日男に春をひさぐ仕事をさせられる時点で死ぬか狂うかという心境だと思うのに、それをたんたんと日記につけるとは。

家族のためにという大義が、個人の意思を上回っていた時代とはいえ

ちらりと、「母はこういう仕事だということを、わかっていて私を行かせたのか?」という疑念。もう家族のもとにも、帰りたくはないだろう。

時折やってくる大学生たちとの交歓が、一瞬、青春を感じさせる。本やマンドリンを貸してもらったり。けっこう対等な会話もできるから、人気になってしまったのかも。
中には、花魁たちの生活実態を知ろうと質問してくる、社会主義走った青年もやってきたり。

借金や、毎月の差し引き費用について調べたり、なかなか賢い。

けれども、「今日は忙しかった。12人客を取った」という凄絶な一行に、何も言えなくなる。
たびたび体調不良で入院したりと、壮絶な肉体労働を窺わせる。

脱走、廃業した少女に喝采を送りたい。

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2020年03月08日

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春駒、という源氏名で大正時代の吉原を過ごした森光子という女性が残した記録でした。
ところどころグレイになって読めない部分がありました。解説を見たところ、当時の検閲のあと、とのこと。出版された時代の、生々しさを感じます。

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2019年08月26日

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1924年、実際に群馬の田舎から吉原に売られた女性の日記。
1924年といえば大正13年、谷崎の痴人の愛や、宮沢賢治の春と修羅が世に出た年だ。
そう考えると、案外最近までこういった文化が残っていたんだなと思う。

今までいろんな文献や資料を見るに、廓の女性は大変だと思っていたが、実際に存在が確認できる人の手記は重みが違う。
本当の吉原の実態が廓の内で生きた者の言葉で語られる。

森光子さんは、歌人の柳原白蓮を頼って、吉原から脱走する。
柳原白蓮について以前調べたことがあって、妙なところで繋がるもんだと思った。
白蓮は華族出身で、縁戚や炭鉱王と政略結婚させられたが、青年記者と駆け落ちした当時スキャンダラスな女性だった。この人もなかなか波瀾万丈で興味深い人生である。

文章も上手だし、言葉も現代と全く変わらないので、とても読みやすかった。(編集してるのかな?)

廓の話を見るにつけ、女性たちへの同情心とともに、不謹慎な好奇心が湧く。吉原の文化や人間関係も面白い。
今までの吉原に関する知識・印象に実際の声が加わり、当時を窺い知るとても貴重な資料だと思った。

続編の『春駒日記』も読もうと思う。

それにしてもこの装丁はどうなの。

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2017年02月22日

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大正の末期。文学の好きな女の子がいた。酒飲みの父が死んで借金が残り、周旋屋に騙されて吉原の遊郭に売られ、日記をつけていた。それが大正15年に出版されたものがあり、数十年を経て3年前に再出版された。

表紙が少女漫画風の花魁なので子供が女性史の勉強のために読むような本かと思ったが、とんでもなくヘビーな涙なくして読めない体験記録である。

6年の年季とは言え、借金は簡単に返さないようなからくりになっていて、警察に届けられるので逃げることもできない。病気になっても入れられる病院は牢屋のようなところ、関東大震災の時経営者は被災した女性たちを見殺しにする。

恥ずかしい日本の歴史がよくわかる。

読んで少し嬉しかったのはクリスチャンの人がきて、卑屈にならないよう励まして、十字架の指輪を彼女にあげるエピソード。

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2014年01月30日

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世にこのような本が出ていたなんて。復刻するのが遅すぎやしまいか!とも思うけれど、自分が生きているうちに読めて良かった。
江戸時代のような「格」が失われた吉原、ずさんな・悲惨な環境で春駒は自分を見失っていない。遊女の生活が手に取るようにわかるのがいい。数々の作家さんや映画監督などが、この本を資料として読んできたんだろうね。遊女にも色んなんが居るけれど、遊客も千差万別。素敵な殿方もチラホラ出てくる。それにしても楼主のタヌキめ!どうかロクな死に方してませんように!!
巻末に「著作権継承者探しています・・・」の一文が。
旦那共々、怖い方々に追われていた為、身元を隠しながら生きたのもあるんだろうけれど、もし子供を持っていたとしても自分の過去については一切話さず隠し通したのかな・・とも思う。光子、最期には幸せだと思って死んでいけたかしら・・・。

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2013年02月01日

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ジャケ買いでしたがものすごく衝撃を受けました。

八十年という前に、これだけの文才ある(即ちある程度は教育を受けている)聡明な女性が、自分の体を売って生活していたという事実。

何度も何度も、これは物語ではなく事実の日記なんだと言い聞かせながら、ゆっくり読みました。

吉原の(あくまでも春駒のいた店での)借金返済制度、一晩でどれだけの相手をしていたか、花魁同士の日々のやりとり。その一つ一つがよく分かります。果たしてこれだけの日記をひたすらに残す事が、私にできるだろうか。森光子さんの聡明さと芯の強さ、ぶれのなさがとても眩しい一冊。

カバーイラストを描かれているこうの史代さんの漫画の中にも、吉原の女性の事が出てくる話がありますが、彼女たちはこうして暮らしてきたのかと思うと、また違った視点で読めそうです。

出会えて良かった一冊。
辛いけれど、目を背けたらいけない事を一つ知れたと思います。

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2011年07月06日

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苦界にあって日記を書き続けることで、自分を保ち、光を見失わなかった光子さん。書くことの力はすごい。立場はまったく違うけれど、神谷美恵子日記を思い出す。

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2019年01月16日

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昭和初期に妓楼に売られてその後脱出した女性の日記。

2つの側面がある。
1.人身売買の理不尽、過酷さへの抗議
2.吉原を取り巻く人々(花魁、楼主他、客)の人間観察。

両方が背中合わせであり、いずれ筆者が脱出することも分かっているので2を楽しく読む余裕もあり、その2を書くたくましさが1を前向きなものにしている。筆者もマンドリンを置いていかせたり、稼ぎ高が上位に来たり、なかなかのものではある。しかし非業の最期を遂げる人もあり、警察官、客も含めた社会もグルみたいなもので、ウーンとなる。清川さんに対する筆者の気持ちの変化がリアル。

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2018年11月05日

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ふと目につき、手に取ってみたら、「大正15年、柳原白蓮の序文で刊行され、当時の社会に波紋を呼んだ、告発の書」
というので気になって読んでみた。

親の借金のため19歳で吉原へ売られた光子が、花魁・春駒として過ごした日々を綴った壮絶な記録。

この本の出版の翌年に、もう1冊「春駒日記」を出版し、彼女を自由廃業へと導いた外務省の役人と結婚し、没年や著作権継承者も不明だという著者に興味が引かれる。

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2023年02月19日

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引き込まれるように読んだ。
読みにくいと感じる箇所もあるが、フィクションでみる花魁よりもとてもリアル。
金勘定が本当に酷く働けど働けど借金が嵩み、読んでいて辛く感じた。
突然脱出編に入るので森さんが脱出に至るまでの経緯や具体的にいつから計画していたのか、白蓮さんとのお話なども知りたかった。

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2021年07月07日

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廓に売られ書いた日記。
基本、恨みつらみばかりで、暗いです
そして、廓の出来事や、人間模様がリアルです。
吉原の花魁というとドラマでは華やかなイメージですが
そんな吉原より時代も少し後
1日に10人以上客を取っても借金が減らない
壮絶な毎日です。

個人的には、
この時代の田舎の貧困な家庭で育った女性が
ここまで文章を書けるものなのかと、興味を持ちました
文章も綺麗でしっかりしていますし、
日記とありますが、
同僚や客、出来事がでる順番が良く
構成が出来すぎている気もします
白蓮に手ほどきを受けたのしょうか
そういった憶測をしてしまう意味でも
オススメの本です

それにしても、男というのは仕様のない生き物なんですかね
この日記を読んでいると、つくづくそう思いました
そして、女が強くなった現代にもいます。
こういう男の人
ちょっと笑えました。


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2018年11月30日

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周旋屋に「お酒を注ぐだけの仕事だから」と騙されて吉原に売られた女性が、宮崎白蓮宅に駆け込んで抜け出すまでの2年間の日記。
売られたと言っても娘を担保に金を借りただけで、花魁の稼ぎから借金を返していくシステム。客の払った金の大半は店にいき、花魁の手元に残るのは1割程度。その中で日々の費えや仕事道具をそろえ、客が金を払わなければ花魁が負担、ものを壊せばそれも花魁が責任を取る。お茶をひいても罰金で、逆に借金が増えていき吉原から抜けられないシステム。壮絶。

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2018年01月17日

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吉原の廓に売られ、花魁として生きた女性の記録。作者の森光子は、19歳で1000円と引き換えに吉原の遊郭へと売られる。そして、初見世で見ず知らずの男に処女を奪われ花魁•春駒としての生活を始める。彼女は、そこでの生活を「復讐」として日記に克明に記録する。そうして生まれたのが本書となる。
吉原に関する文献は多く残されているが、花魁本人の手による記録というのは数が極めて少ない。搾取される側の声はかき消されてしまうのが常であるし、そもそも字を書くことのできない花魁も多くいた。その中で、森光子はおそらくそれなりに高い教養を持ち、そして自らの境遇とその環境を冷静に見る観察眼を持っていた。だから、花魁の世界を今に伝える一級の資料であると同時に、廓の様子がいきいきと描写され読み物としてもとても面白い作品となっている。
なにより、日記のはしばしから、森光子の意志の強さを感じられるのが最大の読みどころ。たとえ不本意な形で花魁となろうとも、心や誇りまでは決して売ることはない。それはどこまでも自らのものであるという確固とした決意を読み取ることができる。しかしそれは、そのくらいの決意を持たなければ、容易に挫け折れてしまうほどに過酷な状況であることの裏返しでもある。そこには、吉原や花魁といったキーワードから連想させるような華やかさなど微塵もない。ただひたすらに苦しみばかりの毎日があるのみ。その苦しみの毎日の中で女性たちはすり減っていく。吉原という男の快楽の街が、いかに女性の犠牲のもと成り立っていたのか、改めて考えさせられる。
本書の最後で、彼女は吉原を脱出し晴れて自由の身にとなる。そして、柳原百蓮に保護されるのは、花子とアン」にも描かれている通り(森光子の役は壇蜜が演じている)。彼女のその行動があればこそ、現代の僕たちはこうして本書を手にすることができる。

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2014年12月04日

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NHK朝のテレビ小説「花子とアン」の中で、白蓮を訪ねて廓から逃げてきたお女郎。それがほんとうにあったことだったと知り、その彼女が書いたこの本を手にしました。貧困を理由に身売りされ、何をするかわからないまま女郎になった春駒の日記は、女性としていろんなことを考えさせられました。

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2014年09月15日

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朝ドラで話題になってきている柳原白蓮が女性解放運動を行っているときに、彼女をしたって吉原の遊郭を抜け出し自由廃業した花魁「春駒」が吉原花魁の日々を書いた日記。
彼女にとって、この地獄につきこまれたすべてに対する復讐の日記。
金のために地獄へ落された女性の日記という読み方ももちろん大切だが、吉原の遊女という今では想像できない世界を知るための一つの証左としてもおもしろい読み物である。
そして、自由ということを考えてみるによい書物である。

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2014年09月06日

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こんな哀しみと苦しみの中に、たくさんの女性がいたのだなぁと思う。諦めることを拒むことは、どれだけ苦しかっただろう。書くことはこんなにも人の心を支えるのか。アンネもそうだったな、と。
彼女がその後、どう生きたのか、疑いを抱いた母とは、再び会うことがあったのか、「春駒日記」にはあるのだろうか。

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2013年12月06日

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表紙のデザインはまぁさておき。
花魁自身による日記で、大変貴重な記録。
下衆な興味のところは伏字になっていたりで、そういう対象として読むものではありません。
酒を注ぐだけ、といわれてつれてこられたが、早々に現実を突きつけらる。
鎖につながれていないだけの牢獄。
吉原の実際を知る、貴重な文献といえると思います。

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2013年08月11日

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大正期の身売りによって吉原の遊郭に売られてきた女性の日記です。
吉原の遊郭文化など華やかな面を解説する本が多く見られますが、本書は花魁自身の苦痛を吐露した内容でとても珍しく貴重だと思います。最終的には柳原白蓮という、当時世を賑わせていた女性の元に助けを求め脱出し自由廃業するまでが描かれています。
記体なのですが遊郭を訪れる色々なお客さん達のお話や著者の激しい感情の吐露など、読んでいてとても引きこまれました。
華やかに見える文化の裏の影について考えさせられると思います。
補完として『春駒日記』もあるので併せて読むのをお勧めします。

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2012年11月15日

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大正時代、
借金のために「吉原」に19歳で身売りされた、
森光子さんという方の日記です。

書店のフリーペーパーか何かで
この本が紹介されていて、
ちょっと気になったので読んでみました。


遊郭というと、
私のイメージでは
江戸時代に栄えていて、華やかな場所だという感じだったんですが、
現実は全然違うんだなあ…としみじみ思いました。

大正時代にもなって、
まだこういった制度があったことにも驚きましたし、
一度入ってしまったら、
あれよあれよと罰金をとられ、
花魁自身の取り分は2割程度、
諸費用も自腹で、
借金は増えるように出来ていて
本当に地獄のような場所だと思いました。


まだ若い春駒さん(森光子さん)が
自分の思いを素直に書き綴っていて、
「遊郭」という特殊な職業と場所に
染まるまい、染まるまい…と頑張る姿に
心打たれました。

読んでいて
苦しいような悔しいような気持ちになる本でした。

実際、吉原の中にいた人の視点から読める
貴重なノンフィクション作品だと思います。

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2012年03月03日

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郭文化と言えば歌舞伎などで馴染みの江戸時代は吉原。この話はそんな吉原に大正時代に売られた光子の日記。政府公認の人身売買制度の下で何も分からず家族のため売られた光子。こんな最近まで、このような制度がまかり通っていたことにも驚き、一方で芝居や小説では美化され描かれている粋や郭文化は幻で、そこは文字通りの苦界。落ちてしまった苦界で必死に生きる女性群が非常に生き生きと描かれている。

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2011年11月18日

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ネタバレ

親の借金のため吉原に売られた19歳の女性の日記。騙されて売られる時から脱出する時までの日常が描かれている。
時代は大正。江戸時代のイメージのある花魁という言葉だが、この時代までこのような形式で存在してたことに驚いた。
女があまりにも軽んじられていて哀しくなる。
著者がこの境遇の中自分を保ち続けていたからこそ存在する作品だ。
晩年の消息は不明ということだけど、静かな余生を送られていたらいいなと思う。

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2011年08月23日

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大正末期、家が貧しいために吉原に身売りさせられた19歳の女性の日記である。
作者の「森光子」という名前から、女優の森光子さんと関係があるのかと思ったり、表紙のこうの史代さんの絵から、中味は漫画なのかと思ったりしたが、大女優さんとはまったく関係がない同姓同名の女性の、フィクションではない記録である、そうだ。

周旋屋に「お客にお酒を飲ませて楽しくしていればよいのだから」などとうまいことを言われ、いわばだまされて連れてこられた遊郭。着いてみれば、娼妓として働かねばならない身だった。借金のため、がんじがらめに縛られ、辛い思いをしながら働き、最後には逃亡を遂げるまでの日記。
この生活の中、日記を書き続けたということ、わずか数世代前にこうした身売りがさほど珍しくなかったこと、いろいろと驚くことが多い。
強欲な楼主、客を取るためには汚い手も使う同僚、病気でもゆっくり休むこともできないやるせなさなど、遊郭での暮らしが鮮やかに描きとられている。
割と最近、吉原が無縁者たちのかくれ里であるとする小説(『吉原御免状』)を読んだけれど、説としてはおもしろいが、リアリティの点では間違いなく本書に軍配が上がる。本書の吉原は紛れもなく「苦界」だ。

巻末の斎藤美奈子の解説によれば、彼女は逃亡後、歌人・柳原白蓮のもとに駆け込み、その後は外務省のお役人と結婚したそうだ。柳原白蓮は大正三美人の一人であり大正天皇のいとこにあたる人物である。大富豪と結婚したが、新聞記者との不倫の愛を選び、姦通罪があった当時、大騒ぎとなった(林真理子がこの人を題材に小説を書いている(自分は読んでいないけれど))。本書は大正15年に白蓮の序文を付して出版され、光子さんがいた楼では、この本に触発されて、ストライキのようなことも起こったのだという。

この時代の少女たちってどのくらいの教育を受けられたものなのだろう・・・? 文章を書くのって結構訓練がいることだと思うのだ。
光子さんは少なくとも読み書きが満足なくらいには教育を受けていたわけだ。辛い暮らしの中でも描き続けたということは、物を書くことによって、精神のバランスを取っていた面も強かったのか。

この時代の吉原にきっとこういう少女が何人もいたのだろうと思わせる、強い説得力を持つ本だ。

*読みやすくするために現代仮名遣いに直されているのだが、何だか違和感が。せっかくのノンフィクションなのだし、どうせなら旧仮名遣いのままで読みたかった気がする。

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2011年06月23日

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1926年。 今から100年前に書かれた「吉原花魁日記」。 借金のために吉原に入り 男に酒を注ぐだけと聞かされ 綺麗な着物に美味しいご飯 と騙された花魁達。 でも稼ぎの多くは搾取され、 しかも客が呼べないと罰金などで借金も増える。 最近、問題になっていた舞妓さんの生活に近いと思った。

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2024年03月23日

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吉原の遊女の日記。ただ江戸時代の話ではなく、大正末期の話。主人公・森光子は大正13年に19歳で吉原に売られる。1924年、今からほぼ100年前のことである。そして2年後に脱出し、この日記を出版する。最後、唐突に脱出で終わっており、その後が気になる。

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2023年07月06日

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吉原ものが 好きですが、この本は、実録物だった!(ToT)

いままで読んだ 花魁の話とは違い、ひどい扱いを受けていることや、借金をちゃんと計算してくれないことや 病気になっても 病院もひどく 人としての扱いではなかったりと、読んでいて苦しくなりました。
続きもあるそうですが 読めそうもありません(×_×)

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2014年08月29日

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19歳で吉原に売られた女性の日記。なんだか一見かわいい雰囲気の表紙ですが、中身はかなり壮絶。こんな風に周旋屋に騙されて売られて、廓でも搾取されて、借金が減らないどころか、借金しなければ生活も回らない状況だというのが、綴られていく。最初の、自らの境遇を嘆き続けるあたりは痛々しくて、同じことが繰り返されていることもあり、読むのが苦しくもあるのですが、読みし占めるうちに彼女自身も花魁としての生活に徐々に馴染んでしまうのがわかって、それもまた痛々しい。

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2012年05月07日

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心得も何もなくいきなり現場へ、というのに驚いた。
金、金、金、の世界であるということや、楼主が業突く張りとは聞くけれど、本当にこんなだったんだねぇ・・・
それにしても吉原が実際にどんなところか、もっと知られているのかと思ってた。何も知らずに売られてきて、もちろんその状況そのものは唾棄すべきものだけれど、あまりに初心だなあとちょっとビックリ。

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2011年09月14日

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解説が斎藤美奈子だから買った。中身は衝撃的。花魁がどんな仕事をするのかも知らなかった女の子が、千円ほどの借金のために吉原に連れて行かれる。どんな仕事をするのか誰も説明してくれない、あれよあれよという間に客をとらされる。すぐに病気になり入院する。退院したらまたすぐに客をとらされる。借金は一向に減らない。お腹が痛かろうが、気分がすぐれなかろうが休みはもらえず、とにかく毎日客をとる。江戸時代の話じゃないんだよ。大正時代の末…ってことは私のおばあちゃんとたいして歳が変わらないじゃないか。最後が『脱出記』だったのがせめてもの救いだけど、重たい本だった。

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2011年08月06日

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大正時代に借金のかたに吉原に売られた女性の日記。
ノンフィクションなので、エンターテイメントというよりは歴史的な価値の方が高そう。

出版を予定したものでないなら、ここまで物語として完成しているのはすごいなぁ。文章は口語に直したと書かれていたけど、それにしても読みやすい。

日記って、基本的に根暗になりがちだと思うのに、人に優しいままの光子さんがすごい。ちょっとバカでお人好しなのかな。だから商売ッ気がないのにそこそこ売れちゃったんだろうな。
昔の人の気質なのか、光子さんの個性なのか。

消息がしれないらしいけど、お幸せになってるとよいと思う。

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2010年08月29日

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1924年、大正末期、当時19歳の著者・森光子さんは親の借金のために吉原へ売られ、花魁となる。
この作品は、花魁春駒となって過した廓での日々を綴った、記録と告発の書。
ノンフィクションである。

花魁の日常。
月に一度の病院検査や入院時の辛さや、お客さんを呼ぶための苦労や、遣り手ばばあとの攻防、
輩とても時には信じられず、楼主の強欲親父の無常な銭勘定に泣かされたり・・・
こんな壮絶な日々のなか、よくこのような日記を綴ることができたものだと、おどろく。
「妾(わたし)は、もう、日記を書くのも嫌やになった。当分止そうかしら。ペンをほうり出して、床にもぐる」とある。
たしかに、こんな辛い日々を書き綴っていたら、気が滅入るよなぁ。
読んでいても、辛く、もう先にいけない、と何度も思った。
でも彼女は書く。
「書く事は妾を清める」と、またペンを持ち続ける。
こんな力はどこから沸くのだろうかと、恐れ入る。吉原に入って約2年後、自力で吉原を脱出。
雑誌で知ったという柳原白蓮のもとへ決死の覚悟で駆け込む。
その後、1926、27年に、この日記が作品として刊行され、社会に、また元いた楼やそこの娼妓たちへと大きな影響を残したとのこと。

書く力、というものに驚かされた。
たなぞう「ぽんきち」さんの感想から、手にしてみました。
ご紹介ありがとうございました。

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2012年06月24日

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