本野亨一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『審判』カフカ
100分で名著。
これで取り上げて欲しい1冊となりました。
1.購読動機
筒井康隆さんの読書の極意と掟のなかの一冊です。プロが影響を受けた書物に関心が芽生えたからです。
2.本書の内容
主人公は銀行エリートです。
30歳の誕生日に逮捕をされます。
それが物語の始まりです。
なぜ逮捕されたのか?
結末は?
読者の関心を引っ張りながら物語は淡々と展開します。
無実を信じる被告。
それがゆえの楽観。
しかし、時の経過とともに、無実を証明する戦いに体力、神経をすり減らす日々。
証明するために、自ら情報をとりにいき認識できる現実。
裁判所なる組織。
裁判官の上級、下級。
弁 -
Posted by ブクログ
不条理というカテゴリーが適切かどうかという疑問はあるけれど、やはりカフカはおもしろい。
カフカ本人がモデルであろうKが、ある日突然訴訟に巻き込まれる。わけのわからないまま、Kは現実に対応しようとするが、そもそも理屈のわからないではじまった事態に、現実的に対応できるわけもない。
大雑把な骨組みをみると、これは「変身」や「城」にも似た構造なのがわかる。
カフカにとって現実は得体の知れない不気味なものだったのかもしれない。
彼の文学は個人的なものであったが、たくさんの人に受け入れられている。
人は現実にたいして、得体の知れない脅威を感じるものなのだろう。それはおもに、自分と違う人間で、自分を攻 -
Posted by ブクログ
カフカの作品を初めて読みました。個人的にはコナン・ドイルのような書き方だなと思いましたが、彼の作品よりもかなり読みやすかったです。
物語はある日銀行員Kが無実のまま突然逮捕されることから始まります。Kは何故自分が逮捕されたのか罪名は何かも分からない、まさに不条理の世界に突き落とされます。次第にKの周りに変化が起き、最終的にKは数々の尋問の後極刑に処せられてしまいます。こんな展開はまさかあり得ないだろうと思うのですが、実はあり得るかもしれないという恐怖がこの作品から感じれます(物語の内容から後のナチス・ドイツによるユダヤ人虐殺を予見した?)
読んだ感想としては「序盤からの大展開は驚き」で -
Posted by ブクログ
未完の作品と聞いてはいたけれど、結末はちゃんとあるのね。結末は。彼の著作は『変身』、『城』に次いで3作目ですが、作家性・テイスト、筆のクセを感じずにはいられません。著者名を隠されても世界観・世界構造から推察できそう。苦悩に満ちたストーリー展開であっても、それを著しているカフカ自身は書くことで満たされている感があるなあ。それが楽しくもある。
本作は、タイトルからも分かる通り、法律・裁判、その辺りの話題が多く、法学に通じている人ならより楽しめるのかもしれませんね。
☆は三つにします。どうしても既読の同氏著作と比較してしまいましてね。
未完であるとか、完結しているとか、ということにこだわったりしま