大川慎太郎のレビュー一覧

  • 不屈の棋士

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    AIが将棋界にもたらしたドラスティックな変化を当事者のプロ棋士たちの生の言葉で語られている。ある意味AIの被害者ともとれる彼らのAIへの向き合い方、その中で将棋界のいく先を憂いながらも覚悟を決めていく様子など勝負の世界に生きるプロの矜持が味わえる。負け惜しみでもなく、AIに勝つことを目指すでもなく、冷静に覚悟をもってAIに向き合う様が格好良くも切なくもある。

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    2025年10月20日
  • 証言 羽生世代

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    「世代」というと野球で言えば、「まーくん世代」や「ハンカチ世代」、サッカーなら「中田世代」等だろうか。
    しかし「羽生世代」はそのどの世代くくりと比べても頭一つ抜きん出ていると思う。
    そんな「羽生世代」という質量ともに類まれなる世代を先達・同輩・後進のインタビューを元に構成して解き明かそうという本書。
    実に面白かった。

    「世代」という言葉で括られる人達は誇らしく思ったり、忸怩たる思いをする人もいるだろう。
    ただ、「羽生世代」そしてその前後の世代、誰のインタビューを読んでも相手をリスペクトし、将棋という文化に敬虔を払っていることが分かる。
    読んでいて清々しい。

    羽生世代は今のコンピューターやA

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    2025年01月13日
  • 不屈の棋士

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    318P

    AI将棋とプロ棋士達の本ってこれからのAI社会をどう生きるかみたいなことが詰まっててほんと面白いなと思う。プロ棋士11人のインタビュー本なんだけど、推しの棋士が出来た。

    ◆羽生善治 : 何の将棋ソフトを使っているかは言いません
    ◆渡辺 明 : コンピュータと指すためにプロになったのではない
    ◆勝又清和 : 羽生さんがいきなり負けるのは見たくない
    ◆西尾 明 : チェス界の現状から読み解く将棋の近未来
    ◆千田翔太 : 試行錯誤の末に見出した「棋力向上」の道
    ◆山崎隆之 : 勝負の平等性が薄れた将棋界に感じる寂しさ
    ◆村山慈明 : 効率を優先させた先にあるものへの不安
    ◆森

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    2024年06月23日
  • 証言 羽生世代

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    大川 慎太郎
    (おおかわ しんたろう)1976年静岡県生まれ。日本大学法学部新聞学科卒業後、出版社勤務を経てフリーに。2006年より将棋界で観戦記者として活動する。著書に、将棋ソフトとの関わりや将棋観について羽生善治や渡辺明ら棋士11人へのロングインタビューを収録した『不屈の棋士』(講談社現代新書)のほか、『将棋・名局の記録』(マイナビ出版)、共著に『一点突破 岩手高校将棋部の勝負哲学』(ポプラ社)がある。

    証言 羽生世代 (講談社現代新書)
    by 大川慎太郎
    棋士は、勝負師と研究者と芸術家の三つの顔が必要です。普段は将棋の真理を追究する研究者で、対局の序・中盤はファンを魅了する

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    2024年06月17日
  • 藤井聡太ライバル列伝 読む棋士名鑑

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    スポーツ雑誌『Number』の連載などをまとめたもの。棋士・女流棋士58人が、それぞれ4~5ページくらいずつ紹介されていて、サブタイトルの「読む棋士名鑑」の方が実際の内容に近い。その後の話が連載に加筆されていて、丁寧なつくりになっている。藤井聡太もちゃんと載っている(他の棋士より長め)。

    著者は言う。「将棋界には個性的な棋士が多い。幼少時から一つの物事に打ち込み、人生を賭けてきた者が魅力的でないはずがない」。まさにその魅力が伝わってくる名鑑。

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    2023年09月26日
  • 証言 羽生世代

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     将棋は全く指さないが、棋士の言動には心動かされる。「3月のライオン」派の私としては、心から楽しんだ一冊。

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    2021年06月15日
  • 不屈の棋士

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    タイトルを見て想像した内容とは異なり、将棋ソフトとの戦いやつきあい方を11人の棋士が自身の将棋観を踏まえて語る内容であった。私は将棋観戦を始めて一年未満で、AIが示す評価値や読み筋ありきの観戦なので、将棋ソフトのない将棋界がもはや想像できない。この本が書かれた時代はまだソフトが味方か敵かわからない過渡期で、棋士としての誇りや強くなりたい向上心や好奇心、またソフトに淘汰される恐怖などが率直に語られている。各棋士の語る信条は、私が今まで見た対局や本などから得た知識からその棋士に抱いていた人となりとほぼ同じで興味深かった。

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    2021年04月29日
  • 証言 羽生世代

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    野球で非常に高い実績を残した選手が特に多い「松坂世代」という1980年生まれの世代があるように、棋界にも異常に強い棋士が集中している年代があり、それが1970年生まれの「羽生世代」です。羽生善治氏をはじめ、佐藤康光氏、森内俊之氏、と言った実力棋士が集中しています。その際立ったデータとしては、羽生世代がタイトル戦に初出場以来、2020年までの約30年間の200回を超えるタイトル戦のうち、約8割のタイトル戦には羽生世代の誰かが出場し、そのうちの8割のタイトルは羽生世代が保持していた程です。また名人位を通算5期保持すれば得られる永世名人の称号を持つ棋士はやはり世代交代もあって年齢が20歳程度離れるケ

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    2021年04月22日
  • 証言 羽生世代

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    羽生善治というスーパーヒーローをとりまく棋士たちの価値観、考え方に触れられてとても面白かった。将棋自体に対してリスペクトがあるから謙虚であり、だからこそのトッププロなのだと感じた。
    どのゲームも、芸術も、仕事も、「全部理解した、これが正解だ」と思った瞬間奢りはでるし、成長もできないし、後進に尊敬されるような人物にはなり得ないと思った。

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    2021年01月11日
  • 証言 羽生世代

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    羽生善治世代の棋士が将棋界を席巻している背景を世代前後の棋士にインタビューして浮き彫りにしている。羽生世代の強さだけではなく、インタビューを受けた棋士の思いまでにじみ出ていて興味深い。丸山九段や木村九段のインタビューもあったらというのは望みすぎかな。

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    2021年01月07日
  • 証言 羽生世代

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    棋士として脳漿を限界まで鍛え、実践で一滴も残さず絞り尽くすという超人たちであるが、その上に知情意が円満に備わったインタビュー受け答えであり、驚嘆。

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    2020年12月28日
  • 証言 羽生世代

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    将棋のことを知らない人でも、羽生善治の名前は知っているのではないか。トップを長くはり続けている超一流の棋士だ。その実績は将棋界の歴史の中でも、突出している。
    羽生は1970年生まれであるが、羽生と同世代には強い棋士が集中している。佐藤、森内、郷田、藤井猛、等だ。これだけの強い棋士を生み出した世代は、たしかに他にはない。どうして、羽生世代はこんなに強かったのか、というのが、筆者の疑問であり、この疑問を解くために、筆者は16名の棋士にインタビューを行う。本書は、そのインタビュー集である。
    一般的に棋士のインタビューは面白い。彼らは、深く考えることが仕事なので、何かを問われたときに、通り一遍の無難な

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    2020年12月27日
  • 証言 羽生世代

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    ネタバレ

     羽生さん世代の棋士がなぜこれほど強かったのかを各棋士へのインタビューで語ってもらう形式となっている。読み手としてこの本に何を期待したのか、を考えてみた。羽生世代にとってタイトルをとることがだんだん難しくなった今、昔はもっと強かった、そんなことを知りたいわけではなかった。

     将棋が好きでAbemaやNHK将棋をみたり、将棋ウォーズで1日3回無料でオンライン対局している素人の身からすると、AI全盛でAIを使いこなす若手が台頭しているなかでどのようなことを考えているのか、そして状況が厳しい中で将棋を続けるモチベーションはどういうところにあるのかそういったことを知りたいと思って読み始めた。

     羽

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    2020年12月25日
  • 証言 羽生世代

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    羽生善治のほか森内俊之・佐藤康光ら羽生世代をテーマとして、棋士16名に行なったインタビューを1冊にまとめたもの。羽生よりも上の世代、同世代、若手世代、そして羽生世代自身が均等に扱われている。羽生世代についての語りが同時に、その語り手自身の棋士人生への語りにもなっているのが特長。

    それぞれのインタビューは何れも、「なぜ、羽生世代は強かったのか?」で統一されていて、時代環境の変化に注目するものや精神面に注目するものなど、さまざまな回答を楽しむことができる。個人的には、谷川浩司の答えが一番印象的であった。

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    2020年12月20日
  • 不屈の棋士

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    将棋ソフトと棋士界の対決についてのインタビュー本。ここ4・5年間「どうすれば競わずに済むのか」を念頭にずっとアスリート・棋士・eSports選手達の本を読んできたけれど、本書ではもう只「勝負事って何て美しいんだろう」とだけ思うに至りました。

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    2020年12月02日
  • 不屈の棋士

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    ネタバレ

    文句なしにおもしろい。AIに向き合う棋士の葛藤が余すことなく綴られている。そして誰一人答えをだせていない。2015年~2016年頃、棋士は将棋界におけるシンギュラリティにいち早く向き合っていたのだ。
     そして今現在2019年、将棋界は凋落するどころかかつてなく注目を集めている。AIの脅威は部分的には杞憂に終わったかにみえる。ただ各々の棋士は自分の指す手が自分の思考によって生み出されたものか、それとも気づかずAIによって導かれたものか、茫漠とした理解の中で日々戦い続けている。

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    2019年09月05日
  • 不屈の棋士

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    プロ棋士11人に、将棋ソフトと将棋界についてインタビュー。それぞれの生き様がにじみ出ているようで読み応えがある。現役最強棋士として羽生、渡辺明、ソフトに好意的な勝又、西尾、千田、ソフトに敗れた山崎、村山、対決を恐れない森内、糸谷、背を向ける佐藤康光、行方。強いソフトの登場がこれだけ将棋界に激震をもたらしていたと初めて認識した。

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    2019年08月14日
  • 不屈の棋士

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    コンピュータ将棋に対峙する棋士のインタビュー。2016年。
    羽生、渡辺のトップ棋士から、棋士の中でも先駆者と言われてる勝又、西尾、千田、そして背を向ける佐藤康光、行方まで色んな人のインタビューがあり、面白かった。

    中終盤の評価値や寄せなどの研究で既に多く棋士が利用しているみたいですが、中には定跡の研究で使われて、その手が実際に指されたりもするみたい。
    つまり知らないと不利になる可能性が高い。

    もう既にAIには勝てなくなりつつありますが、今後棋士がどのような矜持を見せるのか、興味深いところ。

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    2018年11月03日
  • 不屈の棋士

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    ’’人工知能はもはや人間を超えたのか’’’’棋士(棋士のつくる棋譜)という職業の存在価値はそのときどこにあるのか’’’’人工知能とどう向き合うか(戦うのか戦わないのか)’’
     2016年6月という非常に絶妙の時期に、現役最強棋士・人工知能に特に詳しい棋士・実際に人工知能と公開対局して敗れた棋士・人工知能と闘う気はないと公表する棋士、同じ質問を11名の棋士にぶつけることで、いろんな考え方をあぶりだしてくれた、名著と呼べるインタビュー集です。
     タイトルがその切り口を彷彿させないだけに勿体ない。登場してる棋士が豪華絢爛。将棋指しでない人でも、人工知能に凌駕されつつある時点での人類最高頭脳集団の苦悩

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    2017年08月12日
  • 不屈の棋士

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    わたしが愛してやまない将棋。下手くそだけれど、小学生の頃はプロになるのが夢だった。コンピューター将棋も好き。ただ現在のようなレベルになるとは思わなかった時代の話だが。

    この時代に、11人の棋士へのインタビューを読んで考えさせられたし、悔しくて、また、崇高さに涙も流れた。棋士の存在意義を通して、人間の存在意義を考えざるを得なかったからだ。

    インタビュアーの大川慎太郎さんの文章は素晴らしかった。将棋が分からない人にもお勧めしたい。

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    2017年06月17日