大川慎太郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
最近読んだ本でもベストの一つ。
コンピューター将棋にどう向き合うかという課題に対して、複数の棋士にインタビューをした本なんだけど、読んでいくとそれぞれの価値観がはっきりわかる。例えば、『自尊心』『公平性』『鍛錬』『将棋への愛』など。ほとんどおなじ問いかけに対して、個々の価値観で答えていく。
同じ問題に対して様々な見方があるといういい例。
棋士は論理てきであるし、その価値観が非常に強固なので、さらに考えがはっきり伝わる分、その彩りが鮮やか。
どの考えにも納得させられるし、どの考えが一番かを決めるのも難しい。
いやはや、将棋連盟の会長となる人は、こんな人たちをまとめないといけないのかと思う -
Posted by ブクログ
話題のコンピューター対将棋のテーマであるが、著者の将棋への長年の関わりがなくては生まれない好著だと思う。棋士にインタビューを取り付け、深く切り込む。昨今著しく増える門外漢の感想の域を出ないネットサイト論壇とは次元が違う。
トップ2大棋士、コンピューターと実際に戦った棋士、ネットを積極的に活用する棋士、コンピューター将棋に積極的な棋士、否定的な棋士、と章立てされており、まずは羽生渡辺の2棋士のものが面白い。羽生はコンピューター同士の棋譜を見て、人間の感覚とあまりにかけ離れているし、特に序盤のめちゃくちゃ(あたかも、駒も動かし方だけを知っている超初心者にも私には見える)さにはついては、見ても「面 -
Posted by ブクログ
将棋ソフトに対し,この本に登場する棋士たちのほとんどが口を揃えて言うのは,「自分で考えなくなる」ことへの危惧であった。
*****
盲点というか死角はないでしょうし,詰みを発見する能力は本当にすごい。それこそ瞬間的に見つけてしまうので,やっぱり便利ですよね。デメリットは,あまり自分で考えなくなってしまうことでしょうか。実践では自分ひとりで考えなきゃいけませんからね。普段から一人で考える訓練を積むことはとても大事なので,あまりソフトに頼りすぎるのはよくない気がします。(p.52 羽生善治)
以前から指摘されていることですが,自分の頭で考えなくなることでしょう。本当に難解な局面を自力で研究 -
Posted by ブクログ
AIを用いた将棋ソフトに対する考え方について現役11人の棋士にインタビューした内容をまとめた本。インタビューの対象はソフト利用に肯定的な棋士、ソフト利用に否定的な棋士、実際にソフトと対戦した棋士、そして現時点で棋士の最高峰と目される羽生氏、渡辺氏の2人という多岐にわたります。
著者がインタビューで投げかける質問が非常に鋭く、対象となっている棋士の考え方をうまく引き出している印象です。
どの棋士の考え方にも納得させられるものがあり、まず感じるのは棋士というのは自分の考えを非常に分かりやすく表現されるなあ、という点です。これは棋士という職業が論理的な思考を常に求められているからかもしれません。
ち -
Posted by ブクログ
将棋は弱いけど、将棋指しは大好きな自分が、ここ数年ずっと気になっていた、「ソフト対棋士」について、一流の棋士たちにインタビューした本。
それこそ、羽生と渡辺という二大巨頭から若手のホープ、古豪、中堅の棋士たちが、ソフトへの思いを好悪それぞれの立場で語っている。
ソフトを肯定し、活用するどころか、強くなるためには人間同士の将棋は必要ないとまで言い切る者もいれば、ソフトを使用したうえで、それに頼らずに自らの力を高めようとする者、愛憎半ばの者など、一般人が見ても非常に興味深かった。
今後、棋士がどのような存在になっていくのか、ということについても考えさせられた。
自分としては、人間同士の将棋に興味が -
Posted by ブクログ
藤井聡太さんを始めとする当代の棋士のインタビューをまとめた一冊。自分はいわゆる観る将だが、普段対局を観ている棋士の先生の人となりや考え方、歴史に触れることができてとても良かった。
個人的には同郷ということもあり、糸谷先生に強く惹かれた。根源的欲求を問われたときの答えが、「人のために生きたいんです。」この一言に糸谷先生の人生観が詰まっているのだなと思った。自分の人生観を言葉にしようとした時、到底出てこない言葉なので、とても衝撃的だった。
あとは個人的に好きな里見先生について、自分が思っている先生の魅力を文章にしてくれていて、膝を打つ思いだった。
こんな感じで、その他の棋士についても、この著者は人 -
Posted by ブクログ
谷川浩司がいて、羽生善治がいて、藤井聡太が出てきて、時代時代にスターがいて、だから今でも将棋が好きで、この本を手に取って読んだんだろうなあと、読み終えて今あらためて思う。
将棋界のいろんな方の
羽生への思い、若かりし頃のエピソード
が満載で知ることができ面白かった。
全盛期の羽生と藤井が戦っていたらどっちが強いんだろう。
羽生が藤井と同世代で、AIをバンバン取り入れて戦っていたらどうなっていたんだろう。
藤井が羽生世代で、AIも無い中で戦っていたらどうなっていたんだろう。
羽生の100期目をかけた藤井とのタイトル戦が観たい。実現してほしい。その時は羽生を応援するだろう。
このまま羽生9段じゃ寂 -
Posted by ブクログ
羽生善治さんと同時代に活躍したり上下10歳差くらいの棋士が自身の半生での羽生さんとのエピソードを語りながら、羽生世代の強さの秘密を深掘る。
いわゆる羽生ブームの時には全く将棋には関わることなく過ごしてきたので、私はここ数年の彼らのイメージしか持っていない。だけれど全ての棋士が若いころから血の滲むような努力をし、ライバルと争いながら腕を磨いたり、時には寄り道したりしたなどの過去がわかって観る目が変わる。羽生善治さんにも表に見えない苦労はあったんだろうけど、意図せずとも将棋界を照らして引っ張ってきたんだなと思う。それに負けじと食らいつきながら互いを認めあう棋士全てが尊いと思った。
そして現在進行形 -
Posted by ブクログ
「人工知能に追い詰められた「将棋指し」たちの覚悟と矜持」。帯に書かれているコピーがまさに本書の内容です。トップ棋士が相対しても、すでに人工知能には簡単に勝てなくなっているのが現状。その中で、棋士たちは自らの存在意義をどう考えているのか、人口知能との付き合い方をどうしようとしているのか、そして、将棋界はこれからどうなっていくのか。トップ棋士11人へのインタビューで構成されています。
どんなに人工知能が強くなっても、人間と人間の対局の魅力は失われない。人間はミスをする生き物で、そのミスで勝負が決まるのが将棋。それでも人間が知恵を振り絞って対局する姿の魅力は失われない。
人工知能がある限り、自ら