大川慎太郎のレビュー一覧
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他の分野より一足早く、人工知能の登場によりその在り方が問い直されている将棋界。かつてはその絶対的な強さによって価値が担保されていた「棋士」が、近年急激に進歩した将棋ソフトに勝てなくなったためだ。そのような状況の中で、棋界と関わりの深い著者が11人の棋士たちのの思いのうちをインタビューした本。
面白かったのが、棋界の中にも正反対の意見があって、さらに棋士によって様々であること。一方には、ソフトの登場は世間の趨勢であるからうまく活用して自らの棋力を向上させるべきだと言う棋士もいれば、他方には、将棋への愛、棋士の矜恃のために、ソフトに左右される対局に違和感、嫌悪感を隠せない棋士もいる。ただ、皆が口 -
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「棋士が個性や特徴を出すのは必要。そこが将棋の魅力だからね。
将棋世界2016年8月号 中原誠十六世名人の発言(P85)より」
「プロになれば、皆さんに楽しんでいただくという意味では、個性があった方がいい。
同上 佐藤天彦名人の発言(P22)より」
将棋や囲碁は一対一の競技として
文化としての格式を確立させることに成功させているが
将棋ではゲームの強さだけでなく各棋士の個性付けを
どれくらいおおぜいが意識してかしないでかしらないが囲碁と比較して成していると感じる
この本は「将棋ソフト」の力が近年棋士を上回るほど成長していることを
題材としたインタビュー集だが
棋士世界の狭さや高さを各人の答 -
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AI(コンピュータソフト)の在り方について名を馳せるプロ棋士11名にインタビューし、その内容が書かれている本。
抵抗を示す棋士、強さに惹かれ積極的に取り入れようとする棋士、まだ負けたわけではないと矜持を保つ棋士等々、考え方が十人十色で大変面白い。
多くの棋士が述べているように、私も人間の指す手や解説に魅力を感じているのだけど、正直「羽生マジック」がマジックじゃなくなる日、は秒読みに入っていると思うと怖い。(既にそうなっているかもしれない)
己の思考で苦悩の上に閃いた手を指し、「その手はソフト検討から編み出したものですか」と言われたらさぞかし不愉快だろう。
強さこそ正義、のプロの世界に圧倒 -
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2016年7月20日発行。
羽生善治、渡辺明、勝又清和、西尾明、千田翔太
山崎隆之、村山慈明、森内俊之、糸谷哲郎
佐藤康光、行方尚史 トップ棋士に聞く、将棋ソフトとの関わり方。
ソフトによる驚異。不安、疑問が渦巻く正に過渡期においてトップ棋士にインタビューした意味は大きく価値あるものと思う。
ソフトを環境の変化として受け入れる者、距離を置く者、ソフトの変遷を見てきた者、進んで受け入れる者、積極的に活用し尽くす者、拒む者、それぞれの意見が詰まったインタビュー形式の一冊。良書。
しかし、皆口を揃えて言うのが将棋とは評価値や勝ち負けではない。真剣勝負の醍醐味はそこではなく一手一手の物語、終盤の -
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プロの将棋さし。棋士。
日本で言えば 選ばれた人たちに違いない。
将棋に強いって、なぜか すばらしいことのように見える。
そうした 棋士たちが
コンピューターのソフトに負ける時代が来た。
そのことによって 棋士が 影響を受け、
また、存在さえも問われる。
11人の棋士のインタビューを通じて、
ソフトにたいする立ち場や
感想と利用方法などを、明らかにする。
そこで見えたのは
プロフェッショナルとしての誇りと矜持。
『矜持』という言葉が
これほど、気高く見えたのはいいことかもしれない。
羽生善治の天才的ひらめきと独創的な将棋感は清々しい。
渡辺明のめざしている将棋の方向と
コンピュータとの -
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本書カバーの巻末に日本将棋連盟発行の書籍が11冊載っているのだが、うち7冊に藤井聡太の名が入っている。タイトルにある「新時代」というのは、要するに藤井聡太の時代なのである。
まえがきには「強い棋士はたくさんいたが、タイトル戦で一度も負けたことのないような圧倒的な者は存在しなかった」とある。しかし、これが書かれた3ヶ月後には、本書にも収録されている伊藤匠七段が叡王を獲得した。
インタビュアーである大川は、若手棋士たちが藤井についてどういう認識を持っているか聞きたかったようだが、通読したところ、たしかに藤井の存在は大きく感じつつも、そこまで強く意識している棋士がいるようにも思えなかった。
だが -
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【感想】
本書が刊行された2020年は将棋界にとって節目の年だった。8月20日に藤井聡太棋聖が木村一基王位を4連勝で下し、18歳1か月での史上最年少二冠を達成した。これまでの最年少記録は羽生善治の21歳11か月であり、羽生は藤井の記録を「空前絶後の大記録」と評している。
一方、羽生善治は2018年12月21日、第31期竜王戦で広瀬章人八段に敗れ、保持タイトルがゼロになった。実に27年ぶりの無冠である。
藤井聡太の台頭と羽生善治の陥落。将棋界では間違いなく世代交代が起きている。
本書は将棋の一時代を築いた「羽生世代」の強さの秘訣に迫る一冊だ。谷川、島、森下、渡辺、深浦、久保といった前後の世代 -
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その能力を飛躍的に高めついに棋士を破るようになった将棋ソフトに対して、棋士たちの想いをインタビューした作品です。
具体的に、特定の個人の業績について書かれている本ではなく、11人のプロ棋士たちが「AI」や「将棋ソフト」についてどのような考え(≒感情)を持っているか、またソフトとどのような付き合い方をしているか(理想としてはどのような付き合い方をするべきか)、試合のレギュレーションが適切かどうか、研究の方法として取り入れることは「認められる」べきことか、そして何より、「ソフト」の方が強くなった後の「棋士の存在意義」とは何か、という問いに答えてくれます。
羽生善治という将棋界を代表する棋士のイン