大川慎太郎のレビュー一覧

  • 不屈の棋士

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    他の分野より一足早く、人工知能の登場によりその在り方が問い直されている将棋界。かつてはその絶対的な強さによって価値が担保されていた「棋士」が、近年急激に進歩した将棋ソフトに勝てなくなったためだ。そのような状況の中で、棋界と関わりの深い著者が11人の棋士たちのの思いのうちをインタビューした本。

    面白かったのが、棋界の中にも正反対の意見があって、さらに棋士によって様々であること。一方には、ソフトの登場は世間の趨勢であるからうまく活用して自らの棋力を向上させるべきだと言う棋士もいれば、他方には、将棋への愛、棋士の矜恃のために、ソフトに左右される対局に違和感、嫌悪感を隠せない棋士もいる。ただ、皆が口

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    2019年12月27日
  • 不屈の棋士

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    「棋士が個性や特徴を出すのは必要。そこが将棋の魅力だからね。
     将棋世界2016年8月号 中原誠十六世名人の発言(P85)より」
    「プロになれば、皆さんに楽しんでいただくという意味では、個性があった方がいい。
     同上 佐藤天彦名人の発言(P22)より」
    将棋や囲碁は一対一の競技として
    文化としての格式を確立させることに成功させているが
    将棋ではゲームの強さだけでなく各棋士の個性付けを
    どれくらいおおぜいが意識してかしないでかしらないが囲碁と比較して成していると感じる
    この本は「将棋ソフト」の力が近年棋士を上回るほど成長していることを
    題材としたインタビュー集だが
    棋士世界の狭さや高さを各人の答

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    2018年10月19日
  • 不屈の棋士

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    AI(コンピュータソフト)の在り方について名を馳せるプロ棋士11名にインタビューし、その内容が書かれている本。

    抵抗を示す棋士、強さに惹かれ積極的に取り入れようとする棋士、まだ負けたわけではないと矜持を保つ棋士等々、考え方が十人十色で大変面白い。

    多くの棋士が述べているように、私も人間の指す手や解説に魅力を感じているのだけど、正直「羽生マジック」がマジックじゃなくなる日、は秒読みに入っていると思うと怖い。(既にそうなっているかもしれない)
    己の思考で苦悩の上に閃いた手を指し、「その手はソフト検討から編み出したものですか」と言われたらさぞかし不愉快だろう。

    強さこそ正義、のプロの世界に圧倒

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    2017年05月29日
  • 不屈の棋士

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    2016年7月20日発行。
    羽生善治、渡辺明、勝又清和、西尾明、千田翔太
    山崎隆之、村山慈明、森内俊之、糸谷哲郎
    佐藤康光、行方尚史 トップ棋士に聞く、将棋ソフトとの関わり方。

    ソフトによる驚異。不安、疑問が渦巻く正に過渡期においてトップ棋士にインタビューした意味は大きく価値あるものと思う。

    ソフトを環境の変化として受け入れる者、距離を置く者、ソフトの変遷を見てきた者、進んで受け入れる者、積極的に活用し尽くす者、拒む者、それぞれの意見が詰まったインタビュー形式の一冊。良書。

    しかし、皆口を揃えて言うのが将棋とは評価値や勝ち負けではない。真剣勝負の醍醐味はそこではなく一手一手の物語、終盤の

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    2017年02月13日
  • 不屈の棋士

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    11人の棋士へのインタビューが収録されている。
    2016年末から年始にかけてスマホ・カンニング疑惑で揺れた将棋界。出版されたのは事件の前だが、将棋ソフトが人間の棋士を追い越す中でナーバスになっている背景を伺うことができる。
    勝ち負け、強さ(レーティング)に収まらない将棋の世界への広がりを感じさせてくれる。事件の対応に失望している人にこそ読んでもらいたいと思える本。

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    2017年01月25日
  • 不屈の棋士

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    プロの将棋さし。棋士。
    日本で言えば 選ばれた人たちに違いない。
    将棋に強いって、なぜか すばらしいことのように見える。
    そうした 棋士たちが 
    コンピューターのソフトに負ける時代が来た。
    そのことによって 棋士が 影響を受け、
    また、存在さえも問われる。

    11人の棋士のインタビューを通じて、
    ソフトにたいする立ち場や
    感想と利用方法などを、明らかにする。
    そこで見えたのは 
    プロフェッショナルとしての誇りと矜持。
    『矜持』という言葉が 
    これほど、気高く見えたのはいいことかもしれない。
    羽生善治の天才的ひらめきと独創的な将棋感は清々しい。
    渡辺明のめざしている将棋の方向と
    コンピュータとの

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    2017年01月06日
  • 不屈の棋士

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    中心棋士たちに、主に将棋ソフトに対する考え方について聞いた貴重なインタビュー集。

    それぞれに将棋ソフトとの関わり方や、立ち位置が違って、非常に興味深い。

    主要スポンサーである新聞業界の経営環境が悪化する中、将棋ソフトが急速に進歩し、プロ棋士との対戦で勝ち越すなど、将棋界が重大な岐路に立たされていることは間違いない。

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    2016年12月05日
  • 不屈の棋士

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    本題ではないけど、勝又さん西尾さんといった最もソフトに近い棋士が、自由奔放な山崎さんの将棋への憧れを口にしているところがとても印象的だった。

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    2016年11月12日
  • 不屈の棋士

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    AIという驚異(驚異というほどに捉えていない棋士もいるが)に、どれどれくらいの距離でいるか、正面から問うた本。取材者のフィルターを通してだが、それぞれの思うことがストレートに伝わってきた。
    多くの棋士が、存在意義について考え、意見を持っているが、明言できる立場もあれば、忸怩たる思いで憂いている人もいる。
    ただ、多くが言うように、トップ棋士の存在意義は、今後も楽観的にとはいかずとも必ずあると思う。
    苦しそうに、体を揺らしながら、息を詰めて盤を見つめる姿は何物にも変えがたいことを体現しているのだから。

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    2016年10月03日
  • 不屈の棋士

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    羽生や渡辺は、超然としてはぐらかすというスタンス。理系寄りの棋士は、ゲームとしての将棋の数理に対してナイーブなアプローチ。
    インタビューテクニックのテキストとしても面白い。

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    2018年10月19日
  • 若手棋士インタビュー 新時代の将棋指し

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    本書カバーの巻末に日本将棋連盟発行の書籍が11冊載っているのだが、うち7冊に藤井聡太の名が入っている。タイトルにある「新時代」というのは、要するに藤井聡太の時代なのである。

    まえがきには「強い棋士はたくさんいたが、タイトル戦で一度も負けたことのないような圧倒的な者は存在しなかった」とある。しかし、これが書かれた3ヶ月後には、本書にも収録されている伊藤匠七段が叡王を獲得した。

    インタビュアーである大川は、若手棋士たちが藤井についてどういう認識を持っているか聞きたかったようだが、通読したところ、たしかに藤井の存在は大きく感じつつも、そこまで強く意識している棋士がいるようにも思えなかった。
    だが

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    2024年10月05日
  • 藤井聡太ライバル列伝 読む棋士名鑑

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    タイトルの通り藤井聡太ごメインではなく、他の棋士がメインの本。これからいろんな棋士を知りたいという人には良い本だろう。

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    2023年10月23日
  • 証言 羽生世代

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    【感想】
    本書が刊行された2020年は将棋界にとって節目の年だった。8月20日に藤井聡太棋聖が木村一基王位を4連勝で下し、18歳1か月での史上最年少二冠を達成した。これまでの最年少記録は羽生善治の21歳11か月であり、羽生は藤井の記録を「空前絶後の大記録」と評している。
    一方、羽生善治は2018年12月21日、第31期竜王戦で広瀬章人八段に敗れ、保持タイトルがゼロになった。実に27年ぶりの無冠である。

    藤井聡太の台頭と羽生善治の陥落。将棋界では間違いなく世代交代が起きている。

    本書は将棋の一時代を築いた「羽生世代」の強さの秘訣に迫る一冊だ。谷川、島、森下、渡辺、深浦、久保といった前後の世代

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    2022年07月19日
  • 証言 羽生世代

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    将棋は好きで。下手の横好きで。
    羽生善治という稀代の実力者を軸に、将棋界を語るということか。

    最近の若い将棋指しは、確かに、ほとんど知らない。たまに見ても面白くない。

    この世代に、何かの特異点がある気は、なるほど、する。

    判んない人には全く判んない本。

    羽生さんの、通算100、は信じてる。

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    2021年04月04日
  • 証言 羽生世代

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    羽生世代の棋士と、かかわりの深い棋士たちのインタビューをまとめたもの。
    個性豊かな棋士の本音が、少しだけのぞくことができておもしろかった。

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    2021年03月08日
  • 不屈の棋士

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    その能力を飛躍的に高めついに棋士を破るようになった将棋ソフトに対して、棋士たちの想いをインタビューした作品です。
    具体的に、特定の個人の業績について書かれている本ではなく、11人のプロ棋士たちが「AI」や「将棋ソフト」についてどのような考え(≒感情)を持っているか、またソフトとどのような付き合い方をしているか(理想としてはどのような付き合い方をするべきか)、試合のレギュレーションが適切かどうか、研究の方法として取り入れることは「認められる」べきことか、そして何より、「ソフト」の方が強くなった後の「棋士の存在意義」とは何か、という問いに答えてくれます。

    羽生善治という将棋界を代表する棋士のイン

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    2018年10月06日
  • 不屈の棋士

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    将棋ソフトに向き合う、一流棋士。
    色んな捉え方があるものだ。それは、プロとしての将棋棋士のあり方も含めて。
    いま、ソフトが人間を超えて行きつつあることは間違いない。では、人が指す将棋とは何か。将棋で生きる意義とは何か。

    強さとは何か。

    少し、嚙み砕く必要がある著。

    数年後に同じ視点で読めるだろうか。

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    2017年02月07日
  • 不屈の棋士

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    現役棋士にコンピュータとの対戦について聞くインタビュー集。個人的には山崎さんと糸谷さんのインタビューに興味を惹かれた。将棋のことはよくわからないけど、インタビューを受けたほぼすべての棋士が、「コンピューターに頼り過ぎると自分の頭で考えなくなるから危険」と話していたのが印象的。プロ棋士でも20分考えないと答えが出ないようなことも、コンピューターなら1秒で解答がわかる時、ポチッとクリックして答えを得るのではなく、あえて自分の頭で考えることを選択できるか――これって、棋士だけでなく自分の日常にも言えると思った。

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    2016年08月30日
  • 一点突破 岩手高校将棋部の勝負哲学

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    ひとが変わっていくことについての哲学として読むのではなくて、完全に物語として読んだ。たぶん、ここに書かれている以上に大変なことはたくさんあったんやろうなぁと思うけど、それが表現されきれてないという印象でした。
    これだけ短期間で躍進できるのは、ほんとうにすごい。

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    2014年11月06日