【感想・ネタバレ】不屈の棋士のレビュー

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Posted by ブクログ 2021年04月29日

タイトルを見て想像した内容とは異なり、将棋ソフトとの戦いやつきあい方を11人の棋士が自身の将棋観を踏まえて語る内容であった。私は将棋観戦を始めて一年未満で、AIが示す評価値や読み筋ありきの観戦なので、将棋ソフトのない将棋界がもはや想像できない。この本が書かれた時代はまだソフトが味方か敵かわからない過...続きを読む渡期で、棋士としての誇りや強くなりたい向上心や好奇心、またソフトに淘汰される恐怖などが率直に語られている。各棋士の語る信条は、私が今まで見た対局や本などから得た知識からその棋士に抱いていた人となりとほぼ同じで興味深かった。

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Posted by ブクログ 2020年12月02日

将棋ソフトと棋士界の対決についてのインタビュー本。ここ4・5年間「どうすれば競わずに済むのか」を念頭にずっとアスリート・棋士・eSports選手達の本を読んできたけれど、本書ではもう只「勝負事って何て美しいんだろう」とだけ思うに至りました。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年09月05日

文句なしにおもしろい。AIに向き合う棋士の葛藤が余すことなく綴られている。そして誰一人答えをだせていない。2015年~2016年頃、棋士は将棋界におけるシンギュラリティにいち早く向き合っていたのだ。
 そして今現在2019年、将棋界は凋落するどころかかつてなく注目を集めている。AIの脅威は部分的には...続きを読む杞憂に終わったかにみえる。ただ各々の棋士は自分の指す手が自分の思考によって生み出されたものか、それとも気づかずAIによって導かれたものか、茫漠とした理解の中で日々戦い続けている。

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Posted by ブクログ 2019年08月14日

プロ棋士11人に、将棋ソフトと将棋界についてインタビュー。それぞれの生き様がにじみ出ているようで読み応えがある。現役最強棋士として羽生、渡辺明、ソフトに好意的な勝又、西尾、千田、ソフトに敗れた山崎、村山、対決を恐れない森内、糸谷、背を向ける佐藤康光、行方。強いソフトの登場がこれだけ将棋界に激震をもた...続きを読むらしていたと初めて認識した。

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Posted by ブクログ 2018年11月03日

コンピュータ将棋に対峙する棋士のインタビュー。2016年。
羽生、渡辺のトップ棋士から、棋士の中でも先駆者と言われてる勝又、西尾、千田、そして背を向ける佐藤康光、行方まで色んな人のインタビューがあり、面白かった。

中終盤の評価値や寄せなどの研究で既に多く棋士が利用しているみたいですが、中には定跡の...続きを読む研究で使われて、その手が実際に指されたりもするみたい。
つまり知らないと不利になる可能性が高い。

もう既にAIには勝てなくなりつつありますが、今後棋士がどのような矜持を見せるのか、興味深いところ。

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Posted by ブクログ 2017年08月12日

’’人工知能はもはや人間を超えたのか’’’’棋士(棋士のつくる棋譜)という職業の存在価値はそのときどこにあるのか’’’’人工知能とどう向き合うか(戦うのか戦わないのか)’’
 2016年6月という非常に絶妙の時期に、現役最強棋士・人工知能に特に詳しい棋士・実際に人工知能と公開対局して敗れた棋士・人工...続きを読む知能と闘う気はないと公表する棋士、同じ質問を11名の棋士にぶつけることで、いろんな考え方をあぶりだしてくれた、名著と呼べるインタビュー集です。
 タイトルがその切り口を彷彿させないだけに勿体ない。登場してる棋士が豪華絢爛。将棋指しでない人でも、人工知能に凌駕されつつある時点での人類最高頭脳集団の苦悩や覚悟や決意を体感できる名著です。千田翔太プロの完敗と宣言した上での若い人ゆえの割り切りと、既に上り詰めた立場にいる佐藤康光永世棋聖や渡辺明永世竜王のいらだちが印象的でした。羽生善治永世6冠はやっぱ飄々としてる不思議な人です

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Posted by ブクログ 2017年06月17日

わたしが愛してやまない将棋。下手くそだけれど、小学生の頃はプロになるのが夢だった。コンピューター将棋も好き。ただ現在のようなレベルになるとは思わなかった時代の話だが。

この時代に、11人の棋士へのインタビューを読んで考えさせられたし、悔しくて、また、崇高さに涙も流れた。棋士の存在意義を通して、人間...続きを読むの存在意義を考えざるを得なかったからだ。

インタビュアーの大川慎太郎さんの文章は素晴らしかった。将棋が分からない人にもお勧めしたい。

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Posted by ブクログ 2017年04月22日

将棋関連の本は数多く読んでいるが、一、二位を争うほどの面白さだった。
著者が観戦記者であるため将棋への造詣が深く、独自の人間関係を築いており、だからこそ誤解を恐れずに繊細な部分もインタビューできている。大川氏以外の誰にも真似できない非常に価値ある一冊。

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Posted by ブクログ 2017年04月08日

最近読んだ本でもベストの一つ。

コンピューター将棋にどう向き合うかという課題に対して、複数の棋士にインタビューをした本なんだけど、読んでいくとそれぞれの価値観がはっきりわかる。例えば、『自尊心』『公平性』『鍛錬』『将棋への愛』など。ほとんどおなじ問いかけに対して、個々の価値観で答えていく。

同じ...続きを読む問題に対して様々な見方があるといういい例。
棋士は論理てきであるし、その価値観が非常に強固なので、さらに考えがはっきり伝わる分、その彩りが鮮やか。

どの考えにも納得させられるし、どの考えが一番かを決めるのも難しい。

いやはや、将棋連盟の会長となる人は、こんな人たちをまとめないといけないのかと思うと大変ですね。

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Posted by ブクログ 2017年02月03日

話題のコンピューター対将棋のテーマであるが、著者の将棋への長年の関わりがなくては生まれない好著だと思う。棋士にインタビューを取り付け、深く切り込む。昨今著しく増える門外漢の感想の域を出ないネットサイト論壇とは次元が違う。

トップ2大棋士、コンピューターと実際に戦った棋士、ネットを積極的に活用する棋...続きを読む士、コンピューター将棋に積極的な棋士、否定的な棋士、と章立てされており、まずは羽生渡辺の2棋士のものが面白い。羽生はコンピューター同士の棋譜を見て、人間の感覚とあまりにかけ離れているし、特に序盤のめちゃくちゃ(あたかも、駒も動かし方だけを知っている超初心者にも私には見える)さにはついては、見ても「面白くない」と語る。この「面白くな」さは他の棋士も語っている。
将棋の面白さは素人から見れば番外の話、人間模様から、対局開始~投了までのストーリーにあったことは間違いないだろう。それはテニスや野球、ボクシングなどのスポーツの開始から終了までの展開と同様、物語として面白いものだった。テニスロボットVS錦織なんていういのは興ざめだが、将棋コンピューターの指し手はそれに近いものがあることは確かのような気がする。とすると、スポーツ観戦のようなエンターテイメントとしての将棋の見方は、コンピューター同士の戦いからは消えるのではないか? そうすると現在の人とAIの「シンギュラリティ」としての現在の幅広い関心は逆にエンターテイメントとしては臨界点かもしれない。
また、人間の美意識も関係していると思われる、序盤中盤の構想力がそれほど大きな意味を持たず、終盤の正確な計算力が比重を増すとすれば、計算の競技と化した将棋は人間の本能的な快感を刺激せず、エンタメ的な楽しみは無くなっていくように思う。

そして先手必勝の定石がフェルマーの最終定理のように解明されたとき、ゲームとしての将棋は最終的に終わるだろう。

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Posted by ブクログ 2016年12月27日

将棋ソフトに対し,この本に登場する棋士たちのほとんどが口を揃えて言うのは,「自分で考えなくなる」ことへの危惧であった。

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 盲点というか死角はないでしょうし,詰みを発見する能力は本当にすごい。それこそ瞬間的に見つけてしまうので,やっぱり便利ですよね。デメリットは,あまり自分で考えなくなっ...続きを読むてしまうことでしょうか。実践では自分ひとりで考えなきゃいけませんからね。普段から一人で考える訓練を積むことはとても大事なので,あまりソフトに頼りすぎるのはよくない気がします。(p.52 羽生善治)

 以前から指摘されていることですが,自分の頭で考えなくなることでしょう。本当に難解な局面を自力で研究しようとしたら,こんこんと考え続けて5時間くらいかかることもあります。でもソフトの評価値が相当正しいとしたら,5分位検索すればすぐに結論がでる。ただ,自分で考えていないわけですから,将棋の上達という面ではよくない。そこは難しいところです。プロは将棋に勝たなければいけないので,そのプロセスをショートカットしてもいいじゃないかという考え方も間違ってはいない。ただずっとソフトに頼っていたら自分が強くならないことはみんなわかっている。だから今後は,そのバランスをどう取るのかも求められてきます。ソフトを使うことによるメリット・デメリット,対戦相手,向こう10年を見据えてどうするのか,ソフトをどう研究に用いるのかなど,使う人間の頭の良さが問われる時代です。頭のいい人は自分を見据えて,どう使うべきか理解していると思います。(pp.72-73 渡辺明)

 自分で考えなくなるのは怖いですね。基礎的な脚力が衰えてしまいます。特に終盤で詰むか積まないかという局面で,コンピュータにかければ1秒,自分で考えたら20分くらいかかるという局面があるとします。その時に自分で20分考える方を選べなければいけない。でもポチッとマウスをクリックすればすぐに結果が出てくる。その方が楽なのは言うまでもないですが,答えを見てしまったら強くなれないでしょう。まあでも,つい寄りかかりそうになるくらい,いまのソフトは強いんです。ただ将棋がコンピュータに完全に解析される,つまり必勝法が生み出されるようなことは我々が生きている間は100%ありません。その点は安心しています。(p.108 勝又清和)

 自分の頭で考えないし,ソフトの手が一番正しいと刷り込まれてしまう。(p.198 村山慈明)

 自分の指した将棋で疑問があれば,ソフトに解析させてみたりはします。目先の勝率を上げるためだけであれば,コンピュータをつかっていろいろ調べた方がいいとは思います。ただあまり使うと楽をしてしまうというか,自分で考えることが億劫になりがちです。だからコンピュータがなかった時代と同じような厳しい練習を積むのは,人間の特性からして難しくなってくるんでしょうね。(pp.227-228 森内俊之)

 ソフトで研究してもいいとは思いますけど,正直,好きじゃない。自分の頭で考えたほうが絶対に楽しいですよね。ソフトに完全に頼ってしまうと自分で考えなくなるので,まずいでしょう。ソフトに探索させるのは,ある局面に詰みがあるかないかを調べる時くらいですね。(p.249 糸谷哲郎)

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Posted by ブクログ 2016年12月09日

竜王戦挑戦者決定戦で勝利した三浦弘行九段に将棋ソフト使用の疑いがあり、敗者の丸山忠久九段が渡辺明竜王に挑戦してる竜王戦、3勝3敗の佳境に入っています。A級棋士三浦九段がソフトに敗れたのは2013年でした。観戦記者大川慎太郎氏の「不屈の棋士」(2016.7)は、ソフトに対する棋士の思いをまとめたもので...続きを読むす。めちゃめちゃな序盤・正確無比な終盤、形も手順もおかまいなし、読みの深さはお手の物、そんなソフトに静観する人、対決する人、背を向ける人。羽生、渡辺、森内、糸谷、佐藤(康)、行方などの棋士が思いを語っています。

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Posted by ブクログ 2016年11月25日

AIを用いた将棋ソフトに対する考え方について現役11人の棋士にインタビューした内容をまとめた本。インタビューの対象はソフト利用に肯定的な棋士、ソフト利用に否定的な棋士、実際にソフトと対戦した棋士、そして現時点で棋士の最高峰と目される羽生氏、渡辺氏の2人という多岐にわたります。
著者がインタビューで投...続きを読むげかける質問が非常に鋭く、対象となっている棋士の考え方をうまく引き出している印象です。
どの棋士の考え方にも納得させられるものがあり、まず感じるのは棋士というのは自分の考えを非常に分かりやすく表現されるなあ、という点です。これは棋士という職業が論理的な思考を常に求められているからかもしれません。
ちょうどソフトの力量が人間に並びかけている微妙なタイミングである今だからこそ、棋士のソフト(AI)に対する姿勢は様々なスタンスがあり、これは将棋界に限らず今後AIが進出してくる領域と関りを持つ私たち一般の人間が体験し、考えさせられる事なのかもしれないと感じました。
棋士という職業がどんなものかという点でも理解を深めることができる1冊です。

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Posted by ブクログ 2016年08月22日

将棋は弱いけど、将棋指しは大好きな自分が、ここ数年ずっと気になっていた、「ソフト対棋士」について、一流の棋士たちにインタビューした本。
それこそ、羽生と渡辺という二大巨頭から若手のホープ、古豪、中堅の棋士たちが、ソフトへの思いを好悪それぞれの立場で語っている。
ソフトを肯定し、活用するどころか、強く...続きを読むなるためには人間同士の将棋は必要ないとまで言い切る者もいれば、ソフトを使用したうえで、それに頼らずに自らの力を高めようとする者、愛憎半ばの者など、一般人が見ても非常に興味深かった。
今後、棋士がどのような存在になっていくのか、ということについても考えさせられた。
自分としては、人間同士の将棋に興味があるし、棋士の人間的な魅力が一番なのだけど……。

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Posted by ブクログ 2016年08月18日

現在の将棋ソフトの立ち位置(実力)が、そしてそれに対する棋士たちの感情が分かる本。
将棋ソフトが棋士たちにここまで(良くも悪くも)気になるものになっているとは知らなかった。またソフト研究として先行しているチェスからの視点もあるのが面白かった。
個人的には将棋をほとんど追いかけていないので、棋士も用語...続きを読むも分からないことが多かったのだが、しかしソフトに対する棋士たちの気持ちはしっかりと理解できるよう書いてあるので、とても読みやすかった。
いずれにせよ、棋士たちか「人であること」を推しの一つとしてやっていくしか棋界が生き残る道はない、という焦りを知ることが出来たのが、この本の一番の要点。

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Posted by ブクログ 2020年04月09日

「人工知能に追い詰められた「将棋指し」たちの覚悟と矜持」。帯に書かれているコピーがまさに本書の内容です。トップ棋士が相対しても、すでに人工知能には簡単に勝てなくなっているのが現状。その中で、棋士たちは自らの存在意義をどう考えているのか、人口知能との付き合い方をどうしようとしているのか、そして、将棋界...続きを読むはこれからどうなっていくのか。トップ棋士11人へのインタビューで構成されています。

どんなに人工知能が強くなっても、人間と人間の対局の魅力は失われない。人間はミスをする生き物で、そのミスで勝負が決まるのが将棋。それでも人間が知恵を振り絞って対局する姿の魅力は失われない。

人工知能がある限り、自らの勝負に最大限役立たせようとする。一方で、人間と人間が対局するのが将棋と、人工知能から距離を置く者もいる。

棋士という職業は、将棋の魅力を伝えていくために、無くてはならない存在。人工知能はその思考プロセスを人間にわかるように説明できない以上、その役割を担えない。

将棋を題材にしているが、これから人類が人工知能とどのように対峙していくのか、共存していくのかを考えるうえで非常に興味深い内容でした。人工知能が得意なもの、人間にしかできないものは何なのかを、一人一人が真剣に考えないといけませんね。

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Posted by ブクログ 2019年12月27日

他の分野より一足早く、人工知能の登場によりその在り方が問い直されている将棋界。かつてはその絶対的な強さによって価値が担保されていた「棋士」が、近年急激に進歩した将棋ソフトに勝てなくなったためだ。そのような状況の中で、棋界と関わりの深い著者が11人の棋士たちのの思いのうちをインタビューした本。

面白...続きを読むかったのが、棋界の中にも正反対の意見があって、さらに棋士によって様々であること。一方には、ソフトの登場は世間の趨勢であるからうまく活用して自らの棋力を向上させるべきだと言う棋士もいれば、他方には、将棋への愛、棋士の矜恃のために、ソフトに左右される対局に違和感、嫌悪感を隠せない棋士もいる。ただ、皆が口を揃えて言っているのが、ソフトに頼りきりで自分の頭で考えなくなるのはまずい、ということ。将棋という文脈で言えば対局場にはソフトを持ち込めないのだから終盤で結局は負けるよということだろうが、結果だけを鵜呑みにすると落とし穴に嵌るというのはもっと広く一般に言えることだと思った。
もう一つ読んでいて思ったのが、人が見たいと思うのは「人間臭い」将棋なのかもしれないなということ。自分自身指していて楽しいと思うのは苦しい将棋を粘りに粘って逆転したときだし、プロが秒読みに終われて時にミスをするのを見ると変な言い方だが親しみを感じる。逆に、将来将棋の必勝法が見つかるようなことがあっても(必勝法が存在することは証明されているはず)全然嬉しくない気がする。
本作は2016年のものだが、それから藤井フィーバーや羽生九段の永世七冠達成などもあって将棋界はかなり盛り上がっている。勿論ソフトの問題が根本的に解決された訳ではないが、将棋界の雰囲気が大分変わった気がする(具体的には、普及活動が盛んになっている気がする)。

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Posted by ブクログ 2018年10月19日

「棋士が個性や特徴を出すのは必要。そこが将棋の魅力だからね。
 将棋世界2016年8月号 中原誠十六世名人の発言(P85)より」
「プロになれば、皆さんに楽しんでいただくという意味では、個性があった方がいい。
 同上 佐藤天彦名人の発言(P22)より」
将棋や囲碁は一対一の競技として
文化としての格...続きを読む式を確立させることに成功させているが
将棋ではゲームの強さだけでなく各棋士の個性付けを
どれくらいおおぜいが意識してかしないでかしらないが囲碁と比較して成していると感じる
この本は「将棋ソフト」の力が近年棋士を上回るほど成長していることを
題材としたインタビュー集だが
棋士世界の狭さや高さを各人の答えから感じさせてくれる

内容自体は以下に同意
「現代将棋はソフトに近いように見えて、まったく別の将棋です。人間にとって勝ちやすい形を突き詰めているだけなんです。
 糸谷哲郎八段の発言(P252)より」
「ソフトと人間の勝負は別物だという気がします。(中略)人間が楽しむには(大将棋などと比較して)いまの将棋がベストなのだから、たとえソフトが強かろうと関係ない。結局、人間が楽しめなければ意味がないですし、それとソフトの存在は別問題なのです。
 佐藤天彦名人の発言(P5)より ()内は引用時補足」
こういった意見が自然だと思うが
2016年前半くらいにおいても名の有る棋士がこういうような見方だったという
時代の証言として変に価値あるかもしれない

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Posted by ブクログ 2017年05月29日

AI(コンピュータソフト)の在り方について名を馳せるプロ棋士11名にインタビューし、その内容が書かれている本。

抵抗を示す棋士、強さに惹かれ積極的に取り入れようとする棋士、まだ負けたわけではないと矜持を保つ棋士等々、考え方が十人十色で大変面白い。

多くの棋士が述べているように、私も人間の指す手や...続きを読む解説に魅力を感じているのだけど、正直「羽生マジック」がマジックじゃなくなる日、は秒読みに入っていると思うと怖い。(既にそうなっているかもしれない)
己の思考で苦悩の上に閃いた手を指し、「その手はソフト検討から編み出したものですか」と言われたらさぞかし不愉快だろう。

強さこそ正義、のプロの世界に圧倒的強さの人工知能が現れてもなお、プロ棋士を尊敬していたいと思う。人間は人間、コンピュータはコンピュータで共存していってほしい。

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Posted by ブクログ 2017年02月13日

2016年7月20日発行。
羽生善治、渡辺明、勝又清和、西尾明、千田翔太
山崎隆之、村山慈明、森内俊之、糸谷哲郎
佐藤康光、行方尚史 トップ棋士に聞く、将棋ソフトとの関わり方。

ソフトによる驚異。不安、疑問が渦巻く正に過渡期においてトップ棋士にインタビューした意味は大きく価値あるものと思う。

...続きを読むフトを環境の変化として受け入れる者、距離を置く者、ソフトの変遷を見てきた者、進んで受け入れる者、積極的に活用し尽くす者、拒む者、それぞれの意見が詰まったインタビュー形式の一冊。良書。

しかし、皆口を揃えて言うのが将棋とは評価値や勝ち負けではない。真剣勝負の醍醐味はそこではなく一手一手の物語、終盤の逆転劇、ドラマが見所なのだ。と。
確かに、プロ棋士の代名詞の1つである読みの深さ。一瞬で何十手先も見通す超人的な思考回路にコンピューターが追いつき、ほぼ抜いてしまった現実には寂しさを感じざるを得ない。またその事実だけを捉えて将棋本来の魅力や勝負としてのドラマを軽視した今の風潮は変わって欲しいと強く思う。

今後、コンピューターとのあり方について向き合わなければならない将棋界。激動の時代になるとは思うが、日本の愛される伝統文化としてこれからもその魅力を発信し続けて欲しいと思う。

橋本崇載八段の棋士の一分と合わせて読むのをオススメします。

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Posted by ブクログ 2017年01月25日

11人の棋士へのインタビューが収録されている。
2016年末から年始にかけてスマホ・カンニング疑惑で揺れた将棋界。出版されたのは事件の前だが、将棋ソフトが人間の棋士を追い越す中でナーバスになっている背景を伺うことができる。
勝ち負け、強さ(レーティング)に収まらない将棋の世界への広がりを感じさせてく...続きを読むれる。事件の対応に失望している人にこそ読んでもらいたいと思える本。

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Posted by ブクログ 2017年01月06日

プロの将棋さし。棋士。
日本で言えば 選ばれた人たちに違いない。
将棋に強いって、なぜか すばらしいことのように見える。
そうした 棋士たちが 
コンピューターのソフトに負ける時代が来た。
そのことによって 棋士が 影響を受け、
また、存在さえも問われる。

11人の棋士のインタビューを通じて、
...続きを読むフトにたいする立ち場や
感想と利用方法などを、明らかにする。
そこで見えたのは 
プロフェッショナルとしての誇りと矜持。
『矜持』という言葉が 
これほど、気高く見えたのはいいことかもしれない。
羽生善治の天才的ひらめきと独創的な将棋感は清々しい。
渡辺明のめざしている将棋の方向と
コンピュータとの立ち向かい方。
一線を画して、超越した観がある。

ニンゲンと向き合って 将棋を指すのと
コンピュータと将棋を指すのは 
別のゲームなんだろうね。
同じジャンルとして考えてしまうのは 
良くないかもしれない。

ニンゲンが犯すミス。それを見抜くニンゲン。
そして 逆転する。
そのニンゲンがつくり出すドラマが 
将棋なのかもしれない。
トップの棋士がコンピュータにまったく歯が立たなくなってしまった時に、一体 なにが起こるのか?
と想像しても あまり意味がないな 
ということがわかった。
コンピュータは あくまでも 道具である 
ということが、わかった上で、
ニンゲンは どう使うかだね。

棋士だけのインタビューで 残念だ。
ソフトを開発した人たちの 
誇りと矜持が聞いてみたいものだ。

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Posted by ブクログ 2016年12月05日

中心棋士たちに、主に将棋ソフトに対する考え方について聞いた貴重なインタビュー集。

それぞれに将棋ソフトとの関わり方や、立ち位置が違って、非常に興味深い。

主要スポンサーである新聞業界の経営環境が悪化する中、将棋ソフトが急速に進歩し、プロ棋士との対戦で勝ち越すなど、将棋界が重大な岐路に立たされてい...続きを読むることは間違いない。

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Posted by ブクログ 2016年11月12日

本題ではないけど、勝又さん西尾さんといった最もソフトに近い棋士が、自由奔放な山崎さんの将棋への憧れを口にしているところがとても印象的だった。

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Posted by ブクログ 2016年10月03日

AIという驚異(驚異というほどに捉えていない棋士もいるが)に、どれどれくらいの距離でいるか、正面から問うた本。取材者のフィルターを通してだが、それぞれの思うことがストレートに伝わってきた。
多くの棋士が、存在意義について考え、意見を持っているが、明言できる立場もあれば、忸怩たる思いで憂いている人もい...続きを読むる。
ただ、多くが言うように、トップ棋士の存在意義は、今後も楽観的にとはいかずとも必ずあると思う。
苦しそうに、体を揺らしながら、息を詰めて盤を見つめる姿は何物にも変えがたいことを体現しているのだから。

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Posted by ブクログ 2016年08月13日

コンピューターと棋士のことをいろいろと考えさせられた本。将棋の世界は、コンピューターにすべて取って代わられるという未来は、未だに信じがたい。

この本のインタビューを受けた、羽生、渡辺の2人をはじめ、11人の棋士にはありがとうを言いたい。

久しぶりに将棋を指したくなった。

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Posted by ブクログ 2018年10月19日

羽生や渡辺は、超然としてはぐらかすというスタンス。理系寄りの棋士は、ゲームとしての将棋の数理に対してナイーブなアプローチ。
インタビューテクニックのテキストとしても面白い。

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Posted by ブクログ 2018年10月06日

その能力を飛躍的に高めついに棋士を破るようになった将棋ソフトに対して、棋士たちの想いをインタビューした作品です。
具体的に、特定の個人の業績について書かれている本ではなく、11人のプロ棋士たちが「AI」や「将棋ソフト」についてどのような考え(≒感情)を持っているか、またソフトとどのような付き合い方を...続きを読むしているか(理想としてはどのような付き合い方をするべきか)、試合のレギュレーションが適切かどうか、研究の方法として取り入れることは「認められる」べきことか、そして何より、「ソフト」の方が強くなった後の「棋士の存在意義」とは何か、という問いに答えてくれます。

羽生善治という将棋界を代表する棋士のインタビューや、双璧を為すといわれる渡辺明のインタビューは読みごたえがありますし、ソフトの利用を積極的に取り入れている西尾明の見解(棋士としての「存在意義」は、ファンからの「ニーズ」があるかどうかにかかっている。ファンが「見たい」と思うような将棋を打つ必要がある)は、将棋界だけでなく広く社会全般についてもいえることではないでしょうか。

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Posted by ブクログ 2017年02月07日

将棋ソフトに向き合う、一流棋士。
色んな捉え方があるものだ。それは、プロとしての将棋棋士のあり方も含めて。
いま、ソフトが人間を超えて行きつつあることは間違いない。では、人が指す将棋とは何か。将棋で生きる意義とは何か。

強さとは何か。

少し、嚙み砕く必要がある著。

数年後に同じ視点で読めるだろ...続きを読むうか。

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Posted by ブクログ 2016年08月30日

現役棋士にコンピュータとの対戦について聞くインタビュー集。個人的には山崎さんと糸谷さんのインタビューに興味を惹かれた。将棋のことはよくわからないけど、インタビューを受けたほぼすべての棋士が、「コンピューターに頼り過ぎると自分の頭で考えなくなるから危険」と話していたのが印象的。プロ棋士でも20分考えな...続きを読むいと答えが出ないようなことも、コンピューターなら1秒で解答がわかる時、ポチッとクリックして答えを得るのではなく、あえて自分の頭で考えることを選択できるか――これって、棋士だけでなく自分の日常にも言えると思った。

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