リチャード・ロイドパリーのレビュー一覧

  • 黒い迷宮 ルーシー・ブラックマン事件15年目の真実

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    昔読んだ。ずいぶん前に読んだので大半は忘れている。
    大変面白かった。外国人ならではの視点。全く事件のことを知らなかったのでまるでミステリー読むかの様な面白さだった。
     金があればこんなにも勝手気ままに悪事ができるのかという驚きもあった。また、日本の水商売の闇についても考えさせられた。
     日本は行為を伴わないソフトエロがビジネスとして成り立つ国であり、その先にもっと危険で、深いそして不快なディープエロの闇が広がっていることを強く印象づけられたことを覚えている。宮崎勤然り、本事件然りである。

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    2026年03月28日
  • 黒い迷宮 ルーシー・ブラックマン事件15年目の真実

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    Netflix「警視庁捜査一課 ルーシー・ブラックマン事件」
    を見た人は必読の一冊。

    外国人女性だけでなく、日本人女性も被害に遭っていたのに
    長年犯行が露呈しなかったのは何故か。

    弁護団や出版社を巻き込んで自費で反論本まで出したのは何故か。

    自分の糞を咥えて死んだ大企業役員の存在は何を意味するのか。
    闇が深すぎる。

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    2024年05月28日
  • 津波の霊たち 3・11 死と生の物語

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    海外の方が書かれたとは思えないほど、正確かつ詳細な取材に基づく作品だと思いました。被災者それぞれが置かれた立場に起因する感情の機微にまで触れられており、震災がもたらした二次的な被害についても具体的に理解することが出来ました。

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    2024年05月04日
  • 津波の霊たち 3・11 死と生の物語

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    わたしは、実は日本列島は数多くの自然災害の歴史的事実と脅威を考えれば、世界でも有数の過酷な自然環境の国土ではないのかなとも思います。
    さらに湿度の高い暑さなども含めまして。

    この本はイギリス人ジャーナリストの方の本です。

    妙な話かもしれませんが、例えば戦国時代以前の色々な日本人の権力者、支配者、庶民、人々の暮らし、生活、習慣、文化、風習などを一番正しく知ることができるのは古代中国や宣教師たちが残した記録の文献がかなり信憑性が高いそうです。

    江戸時代以前もそうだった部分もあるでしょうが、江戸時代以降に残されている記録はそのほとんどが改竄されたりしている可能性が高いそうです。



    自然災害の話をするとき、予想される犠牲者の数があまりに多いと、現実感を薄めてしまうことがある。
    すべての学者たち全員が、そう遠くない将来、東京ではかなりの高確率で大地震、地震による広範囲に破壊は不可避であり、町の広い範囲を破壊し、何万人も命を奪う、火災や津波を惹き起こす地震が発生することは不可避であり、地質学的に見てもその時期は差し迫っているという結論を導き出している。
    南海トラフ地震も同様の予測で、地震と津波で太平洋沿岸で32万3000人が死亡し 62万3000人が負傷する恐れがあるという。
    いつ起きてもおかしくはない南海トラフ巨大地震によって原子爆弾 4つ分以上の死者が出るかもしれないというのだ。

    3.11の震災による死者は、100人を除く、ほぼすべて 残りの全員99%以上が津波に呑み込まれた溺死によって亡くなった。

    人々はあらゆる種類の不満、要求、苦情を抱えていました。 でも苦情が口から出てくることはなかった。我慢と忍耐力によって人々はそういったことをすべて内に抱え込んでんでしまった。それは正しいこととは言えません。

    私は時々、なぜ日本ではもっと単純な結論に至らないのだろうと不思議に思うことがあった。ある程度の不正不満の吐露、混乱などもう少し多めに見てもいいのではないか?

    "がんばろう"という言葉にも私はいつも違和感を覚えた。「彼の辛い経験も、長期的には糧になる」という 言外の意味によって苦しむ人たちとの共感が逆に薄まる気がしてならなかった。

    被災者の紫桃さよみさんは「子供達は見えない魔物に殺された」「表面的なものにしか目を向けることができない、日本人特有の何か」と言った。

    ご主人様の隆洋さんは 全国各地から招待を受け 大川小学校の悲劇を語り継ぐ、講演活動を行ってきた。しかし 正直ショックを受けられた。参加者の意識はあまりに低かったことに。
    「参加者にとっては将来また起こるようなこととは考えていませんでした。別の誰かの問題でしかなかった。まさか自分に起きるなどとは思っていなかったんです。誰もが危険性を見くびっていた。大川小学校でも教師たちはすべてを見くびり、何も真剣には考えていなかった」
    「この機会を逃せば、多くの人が亡くなった今というタイミングを逃してしまえば、考え方や行動は変わることはないと思います。だから私たちは悲劇に本当の原因を突き止めようとしている。この災害について考えつつ その学習に迫ることを拒否すれば同じ悲劇が繰り返されるでしょう。けれどそういうふうに日本は機能している。それを変えることはできないんです」

    日本人の美徳とされる、礼儀正しさは、自主性のない礼儀正しさではないのか。

    私は日本人の受容の精神にはもううんざりだった。過剰なまでの我慢にも飽き飽きしていた。
    大川小学校の児童の死は、宇宙の本質にあらたな洞察をもたらすものなのだろう。ところがそのレベルよりもずっと前の地点ー生物が呼吸し生活するー世界では児童たちの死は他の何かを象徴するものでもあった。人間や組織の失敗、臆病な心、油断、優柔不断を表すものだった。 宇宙についての真理を認識し、その中に人間のための小さな場所を見いだすのは重要なことに違いない。しかし問題はこの国を長い間抑圧してきた"静寂主義の崇拝"に屈することなく、それをどう成し遂げるかということだった。 日本に今必要なのは怒りに満ち、批判的で、決然とした人々、死の真相を求める戦いが負け戦になろうとも、自らの地位や立場に関係なく立ち上がって戦う人々だった。

    世界中の多くの読者が疑問に感じることの一つが 2011年の震災から何が変わったのかという点だ。 どんな教訓が学ばれ、どのような新しい措置が取られたのか?似たような災害が再び起きたらーいつか必ず来るそのときが訪れるからーこれまで何が違うのか?
    大川小学校での出来事は全体的な効率の悪さと準備不足が招いた悲劇的な例外だった。そこで起きた事例は日本全国の教師たちと地方自治体への注意喚起 となり マニュアルと避難計画の見直しや修正を促したはずだ。

    震災の教訓から学び、変わっていかなくてはいけません。

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    2023年06月26日
  • 津波の霊たち 3・11 死と生の物語

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    英国出身で東京在住のジャーナリストが著した東日本大震災に関する渾身のルポルタージュ。
    ルポの核になっているのが、74人の児童が津波に呑み込まれた大川小学校の一件。裏山に逃げられる時間的余裕があったのに、学校側は運動場で約50分、生徒を待機させた。そして、避難を始めた1分後に津波に襲われた。その避難も川沿いの津波の来る方向へ誘導したものだった。
    著者は、この事件について、実に綿密な取材を行い、死亡した家族の苦しみや葛藤など、生々しい証言を集めている。   かけがえのない我が子を失った親たちが、納得のいかない説明ばかりする学校側や教育委員会にぶつける怒りが強く伝わった。また、助かった子どもの親族、子どもの遺体が見つかった親族、見つからない親族おのおの違う立場から生じる機微や憎しみ、諍いも、十分な取材で鋭く分析されており、読んでいて、いたたまれない気持ちになった。
    この本で著者がもう一つ強く伝えたかったのが、震災後、頻繁に起きた心霊現象。多くの人が幽霊を見たと訴え、交霊や除霊を行ったりしたという。遠野物語やイタコに象徴される東北地方の民族性や東北人特有の忍耐強さにも触れ、外国人の視点から、再三、津波に襲われてきた彼の地の特性をスピリチュアルな側面も含め、表現したかったのではないだろうか。
    それにしても、最高裁の判決で、市、県から14億円以上の賠償を勝ち取りながら、大川小学校長の行動や問題となった教諭の証言の真偽、説明責任について言及がなかった点はふに落ちず、勝利感を味わえなかった原告団に対し同情の思いを持った。

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    2023年05月25日
  • 津波の霊たち 3・11 死と生の物語

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    小川糸さんの本を読んで、この本の存在を知りました
    先日のNHKでは南海トラフが起きたらという番組もしていました。たまたまこの時期に読み終わることになりました。

    仙台空港にも行ったことがあるし、松島や福島にも行った
    テレビで津波のニュースを見た時、信じられなかった。大川小学校のドキュメンタリーも見た
    人災だと思った

    さらにこの本。
    外国人目線からの道北、事実、生き残った人たちの苦悩、真実を知りたいだけなのに何年もかかること、震災の後の人間関係、霊の存在

    12年経つ今も、苦しんでいる人がたくさんいる
    本当に起きたことだと知っている事と、現実は違いすぎて、本当の理解はできないと思う
    だからこそ、忘れないようにだけはしたいと思った

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    2023年03月08日
  • 津波の霊たち 3・11 死と生の物語

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    生半可な気持ちで読む本ではない。
    だが、被災した人たちと同じ国で暮らす人間として、知っておくべき。

    津波は一瞬で多くの人の命を奪うだけでなく、生き残った人たちの関係性も破壊してしまう。

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    2022年11月12日
  • 津波の霊たち 3・11 死と生の物語

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    おいそれと感想が言えるものではない。

    本作品は著者が感情的にならずに、俯瞰で物事を捉えている為読み手による解釈は様々なのではないだろうか。

    知らない事実を知れた事に感謝すると同時に無知を恥じる。
    読み進むのがこれ程怖いと思った作品はないだろう。

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    2022年02月23日
  • 津波の霊たち 3・11 死と生の物語

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    いつか読まなければ…と思いつつ先延ばしにしていた本。今年の3月であれから10年。あの日自分がどこで誰と何をしていたか…そのあと続く余震の日々をどんな気持ちで過ごしていたか。今でもありありと思い出す。直接の被害を受けたわけではない私ですらこうなのに、当時東北地方に暮らしていた方にとって
    この本で紹介された人たちの声は、どんな記憶を呼び起こすだろう。津波が襲って来る前から私たちの社会はどうだったか?大川小学校では、何があったのか。読むのも辛い場面も多かったが、残された家族が生きていくため、
    せめて同じ時代を生きている私たちは見てきたこと、聞いてきたことを語り継がなければならないと強く思った。#八蔵の会

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    2021年06月05日
  • 津波の霊たち 3・11 死と生の物語

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    今年で10年。もう10年も経ってしまったのかと驚いているけど、それでも戦い続けてる人がいるのを忘れてはいけないと改めて気付かされた。
    イギリス出身のジャーナリスト、リチャードロイドパリー氏が書いた本だけど、とてもきちんと丁寧に調べていて
    この方じゃないとここまで詳細に書けなかったなと思う。
    昨年、石巻に住んでいる友人に半日被災地を案内してもらった。
    当たり前けど、テレビとかネットで見るよりも衝撃的で言葉にならないとしか言えない。
    海沿いまで家があって、そこで普通に暮らしてたのだという記憶とか
    各場所に設置してある、写真で見る今と災害前とか。
    大川小学校にももちろん行ってきた
    本に書かれている、全くその通りのことを友人も私に話してくれた。
    沢山の人が亡くなり沢山の行方不明の方を今でも探していると。
    偽善や利権、地位とかお役所仕事に振り回されている遺族の方々がいると。
    目の前で知人や友人が波に瓦礫に攫われて戻らなくなるのを見たと。
    生き残った方々が口を揃えて言う至る所で霊を見ますというのは、間違っていないと私は思う。

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    2021年03月05日
  • 津波の霊たち 3・11 死と生の物語

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    リチャード・ロイド・パリー『津波の霊たち 3・11 死と生の物語』ハヤカワ文庫。

    あれから10年。在日20年の英国人記者が東日本大震災の津波による悲劇と被災地の不可思議に迫ったルポルタージュ。英国ラスボーンズ・フォリオ文学賞受賞、日本記者クラブ賞特別賞受賞。

    リチャード・ロイド・パリーと言えば、ルーシー・ブラックマン事件の真相に迫った傑作ルポルタージュ『黒い迷宮』が記憶に残る。

    74人の生徒と10人の教師の命を奪った宮城県石巻市の大川小学校で起きた津波による痛ましい事件の全貌が関係者へのインタビューを通じて描かれる。何故、北上川の下流に位置する危険な小学校で、教師は子供たちを山へ避難させなかったのか。生き残った子供と命を失った子供たちの運命の別れ道は。読んでいて胸が締め付けられるような描写が続く。福島第一原発事故が人災であったように、大川小学校の悲劇も生徒たちの命を守るべき教師たちの判断ミスによる人災であった。

    また、被災地で目撃されるようになった数々の霊的現象。まだ古からの自然や風習が細々ながらも生き続ける東北地方では余り珍しいことではない。生き残ったことへの罪悪感なのか、亡くなった人びとへの哀悼なのか。そうした不可思議に頼ってさえでも我が子の遺体を見付けようとする大川小学校事件の遺族の哀しみたるや……

    --- 以下は蛇足 ---

    本書を読み、自分なりに10年前のあの日のことで思い出したことを書き止めてみようと思う。

    本書のプロローグに書かれているように、確かに大地震の前兆は2日前の3月9日からあったのを覚えている。職場で昼休み前に突き上げるような揺れを感じたが、さしたる大きな地震でもなく、気にも止めなかった。その後、同じ震源地でM5からM6クラスの地震が頻発していたことには全く気付かなかった。というのも、当時妻が九死に一生という病気でやっと退院したばかりで、そんな異変を気にする余裕が無かったのだ。また、自分の会社が半年前に春から系列会社と統合するなどあり、仕事も忙しくなっていた。

    そして、東日本大震災が起きた金曜日。妻の体調も快復してきたので、久し振りに晩酌を楽しもうかななどと思いながら出社した自分は、午後3時からの主催会議の前にトイレの個室を利用していた。まだ会議までに時間があるので、珈琲を飲もうとトイレを出ようとしたその瞬間に突然大きな揺れが始まった。すぐに収まるかと思った揺れは、次第に激しさを増し、天井の蛍光灯が落下したり、壁が崩れたりするので、個室に止まるしかなかった。個室の中で激しい揺れにかき回されながら、なす術も無く、この世の終わりではという考えが頭の中を過った。

    長い揺れが収まり、防火扉の閉まったトイレから出ると廊下には建屋の内装が散乱しており、非常灯が灯っていた。隣の休憩所で早目の休憩を取っていた同僚が顔を出して来たので、これはもう駄目だ、早く外に避難した方が良いと言葉を交わした。目の前の職場を行くと什器や机が倒れたり傾いたりしていた。最初は誰ひとり姿が見えなかったのだが、よく見ると、社員は全員、机の下に潜っていた。大きな声で、外に逃げるぞと声を掛け、全員を建屋の外に誘導した。

    外で職場毎に安否確認をしている最中にも余震が襲い、建屋の窓を破壊していった。携帯のワンセグでニュースを見ると、宮古市を津波が襲う映像が流れ、沿岸部の気仙沼市の半島に移住して来たばかりの義理の両親の安否が気になった。

    社員の安否確認が済み、速やかに退社することが決まる。自宅に戻る道は車であふれ返り、信号機は全て消え、それでも互いに道を譲りながら交互に通行していた。

    家に戻ると妻が呆然としていた。電気が使えないので暖房も無く、厚着をして食物や懐中電灯、ラジオや電池を集めるなどして、ラジオで今の状況を把握することに努めた。妻によれば、気仙沼に住む母親から午後4時に津波が来て家に帰れないというメールが来たらしい。津波が来たことを把握しているのであれば、命には別状はないはずと、妻を励ますのが自分には精一杯のことだった。

    夕食代わりに煎餅を食べ、ペットボトルのお茶を飲み、暗闇の中で余震に驚きながらラジオに耳を傾けると陸前高田が壊滅、宮城県の荒浜で2、300体の遺体が見付かるなどと信じられない情報ばかりが流れてきた。寝たような、寝ていないような、世界が何もかも変わってしまったような不安な暗い夜。

    翌日は土曜日だったが出社し、会社の被害状況を確認すると共に業務の再開に向けて復旧作業をした。それから金曜日までは午前中だけの出社になり、午後は食料や飲料の買い出しに近辺をさ迷った。義理の両親の安否が気になるが、何の情報も無く、Googleのパーソンファインダーで両親を検索すると多くの方々が安否を気遣う履歴が残っていた。次第に車のガソリンが減るが、スタンドも休業状態となり、余り車では出歩けなくなった。

    金曜日の夜、Twitterを検索していると近くのガソリンスタンドにタンクローリーが入るという情報を得て、1時間ほど並び、何とかガソリンを満タンにすることが出来た。翌日の土曜日に気仙沼の義理の両親の家に行くつもりだったのだ。

    土曜日に食料や飲料水を満載して、気仙沼市内に入ると目の前に信じられない光景が広がっていた。全てが津波に流され、海が見える鹿折地区の市街地。大きな船が打ち上げられ、道路の脇には家屋の残骸や車などがあふれていた。唐桑半島に向かう途中の高架橋にも衣服などが引っ掛かり、辛くも残ったホームセンターの屋根には黄色い車がのっていた。海辺はすっかりと景色が変わり、多くの建物が津波の被害を受けていた。義理の両親は果たして無事なのかと不安がよぎる。

    幸い義理の両親の家は高台にあったため、津波の被害は受けなかったが、海辺の建物は壊滅、建物の残骸や船であふれていた。義理の両親は無事だったのだが、地震発生時に津波で壊滅した隣街の陸前高田市のホームセンターで買い物をしていたという。買い物を終え、帰ろうと車に向かった時に大きな揺れがあり、揺れが収まってから車に乗ろうとすると駐車場のアスファルトが割れ、車が傾き、走行不能だったらしい。ホームセンターの店員が車を押してくれたので、何とか亀裂から抜け出し、走行可能となった。その店員に礼を言うと、津波が来るから兎に角早く高台に避難しろと言われたらしい。

    車で気仙大橋の手前に辿り着くと大渋滞で全く進まない。仕方無く旧道の古い橋に向かうと既に落橋しており、通行不能。一瞬、陸前高田の避難所に指定されている市民会館に行くことを考えたようだが、置いて来た猫が気になり、自宅へ帰ることにしたようだ。もしも、市民会館に避難していたら命が無かったかも知れない。

    もう一度、気仙大橋に向かうと奇跡的に渋滞は解消されており、橋は通過出来たものの、川の水は干上がり、遠くまで海の底が見え、尋常では無い事態が近付いていることを感じたらしい。津波の浸水域を気にしながら自宅へと急ぎ、半島に入る坂道を下ると、遠くの方から津波が電信柱を薙ぎ倒しながら迫って来た。慌てて車をバックさせ、国道に戻ると津波があらゆる物を次々と飲み込んで行くのが見えたそうだ。自宅には帰れず、行き場を失い、国道で途方に暮れていると近くの人が山側にある中学校が避難所になっていることを教えてくれた。その夜は中学校で一晩を過ごしたということだ。

    翌日、自宅に置いて来た猫が気になり、瓦礫をかわしながら、歩いて自宅を目指したようだ。途中、見知らぬ人からお握りや飲み物をもらったりしながら、何とか自宅に到着。家も猫も無事で、ひと安心したようだ。その後、電気も水道も電話も使えない生活が半年ほど続いた。

    本体価格1,020円
    ★★★★★

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    2021年03月12日
  • 黒い迷宮 ルーシー・ブラックマン事件15年目の真実

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    ネタバレ

    ◆英ジャーナリズム発、日本論on性犯罪◆

    ●日本のメディアと警察組織と犯罪・事件の課題。
    イギリスのメディアと家族生活の課題。
    それらがコンパクトにまとめられている 。

    個人的におもしろいのは、
    イギリス人ジャーナリストの目を通して描かれる
    日本の社会の風俗と解釈である。

    日本の裁判制度や警察機構に対し、
    想像力の欠如した犯罪と向き合う組織だと喝破。
    「お巡りさん」と「ビーポ君」にイメージされる
    親しみやすい権力組織としての警察機構。

    外国人の体験する”ガリバー体験”と
    日本の遠慮と礼儀正しさという文化。

    ●とりわけ、在日朝鮮人社会と
    水商売の実態と日本の性文化の記述は
    興味深く読ませてもらった。

    著者が参考にしている文化人類学者アン・アリスンの博士論文「夜の仕事-東京のホステスクラブにおける性・快楽・組織内の男らしさ」は是非読んでみたいと思った。

    世界に類をみたい、多様な性分化を産み出す
    日本の社会のありかたや、クラブオーナー 宮沢櫂の説明する外国人女性への理解と蔑視発言に日本人一般の海外女性への態度を感じ取る記述は、
    外国人ホステスに言い寄ってくる男たちのメール文面の気持ちの悪さとあいまって、独特の日本人論を表明している。

    また、在日朝鮮人という課題については、”タブー視することによる(アンタッチャブル化による)差別問題の課題”というテーマに迫っている。

    ●一方で、娘を探し出す親の側では、ブレア首相の関わりから、娘の居所を知っていると続々と登場する詐欺師たちの登場で、文化を超えた現代社会の不気味さを醸し出している。

    ●個人的に目が離せないのは、
    こうした国境と文化をまたいだ不可思議な状況のなかで、ホステスたちの暮らす住居のユニットバスなどがさりげなく説明される挿話ですらなく、ただただ状況の形容のように登場してくることだ。
    ユニットバスの排水溝には、
    濡れた髪の毛と、皮膚のカスがからみついている。
    著者は、こうした描写を、つまり細部を描くことを怠り無く文章に挿入してくる。その姿勢に傾倒してしまう。

    本書は現代社会論であり、一種の民族誌であり、
    一級のフィールドワークの書である。

    ●なお、著者自身は、この書物の意図について
    BLOGOLOSでのインタビューに答えて
    以下のように語っている。
    『(本書の目的は) 「こいつは怪物だ」「こいつは悪人だ」とレッテル貼りをすることではないからです。
    そういってしまうと、そこでその会話、ストーリーは終わってしまう。そうでなく、「どうしてそういう人物が生まれたのか」と考えていく作業を、私はこの本を通じて進めていったと思っていますし、「何がその人をそうさせたのか」ということに重点を置いて執筆しています。』

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    2016年11月12日
  • 黒い迷宮 ルーシー・ブラックマン事件15年目の真実

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    知ってるようで知らない事件。
    人が死んでも自分の欲求を止められない恐ろしさ。
    イギリス人のCAだから動いたという警察の差別意識。
    明るみに出ない事件はもっともっと多いはずだと思うと、心底ウンザリする。

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    2016年11月03日
  • 黒い迷宮 ルーシー・ブラックマン事件15年目の真実

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    2000年7月、六本木でホステスとして働いていた元英国航空の客室乗務員ルーシー・ブラックマンが、突然消息を絶った。失踪当初から事件を追い続けた英紙《ザ・タイムズ》の東京支局長が、日英豪関係者への10年越しの取材で真相に迫る。
    この内容は、すごい取材ですね。
    著者がイギリス人ってビックリするぐらい日本を描いてる。
    事件物を読むと、ほんと警察は信頼できない事ばかり。
    でも一億円には驚きました。

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    2016年09月21日
  • 黒い迷宮 ルーシー・ブラックマン事件15年目の真実

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    社会人としてのキャリアの大半を東京で過ごしている1968年生まれの英国人記者によるルーシー・ブラックマン事件に関する記録。

    単なる犯罪・裁判記録というより、多くの関係者に対するインタビューを中心とする緻密な調査を時系列で再構築することで、サスペンスやミステリーを読んでいるかの錯覚に陥る。

    ルーシーの父母・妹弟、親友たちの確執については、決して片方に肩入れすることなく、中立に書いている。

    在日朝鮮人としての織原の出自についても詳述。著者が織原の弟と対面するシーンは手に汗握る。

    織原はルーシーブラックマンの準強姦致死については無罪となっているものの、その他の準強姦致死と準強姦については有罪が確定し無期懲役で服役している。すなわち、織原が模範囚として服役を続ける場合、彼は刑期30年、すなわち15年後に釈放される可能性がある。その時、織原は78才。

    翻訳も非常に読みやすい。本の紙質とフォントも良い。

    2015年4月第一刷。

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    2016年02月22日
  • 黒い迷宮 ルーシー・ブラックマン事件15年目の真実

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    六本木、日本で唯一ガイジンであることを忘れられる場所。外国人と遊びたい外国人、外国人と遊びたい日本人、そして日本人=外国人目当ての女性と遊びたい外国人の男が集まる街。そこで目立つ3つの集団は主に客引きのアフリカ人、六本木ガールズと呼ばれる外国人狙いの日本人女性そしてダンサーやストリッパーやホステスとして働く若い白人女性たち。行方不明になり後に遺体が発見されたルーシー・ブラックマンも短い間だったがその中の一人だった。

    普通の女の子だったルーシーは一般的な美人ではないがかなりの長身と見事なブロンドで目立つ存在だった。お嬢様学校になじめずシティの銀行で働くと儲けた金は使うことと言うシティの掟に染まり、カードでの買い物で 借金生活が始まる。おそらく使わなければ返せる額だったのだが、世界を旅したいと考えたルーシーが選んだのは英国航空の客室乗務員だった。日本では高嶺の花の客室乗務員もルーシーにとっては救いにならなかった。国際線乗務で給料は上がったが借金は増える一方で、深夜の長距離便は重労働だった。どの国に行ってもホテルの部屋の景色は同じで時差ぼけに苦しみ現地の文化や食事を楽しむことはできなかった。そしてルーシーは日本行きを計画する。

    ルーシーの親友であるルイーズがルーシーの借金を返すために計画したのだがルイーズの姉エマが「東京に行けば、独創的で刺激的な生活を送りながら大金を稼げる」と請けあった。そしてエマのホステス時代の友人クリスタがルーシーとルイーズのために代々木ハウス、ルーシーが言うところの豚小屋を予約しておいた。実はこのクリスタもルーシー同様に薬の入った酒を飲まされ被害にあっている。日本についてわずか数日後ルーシーとルイーズは小さなナイトクラブ「カサブランカ」で働きだした。仕事は酒を作り日本人の退屈な話を聞き、笑顔を作り楽しいふりをすること。そして白人女性が提供するのは物珍しさにすぎないと実際にホステスとして働いたデューク大学のアン・アリスン教授は論じている。多くの日本人男性は西洋人女性とのセックスを妄想するが、実際に妻や愛人にするには恐怖心があると。

    愛想が良くすぐに人気が出たルイーズとは違い、ルーシーの同伴相手はほぼ一人だった。そのルーシーが携帯を買ってくれるという客と会って出かけたきり帰らなかった。警察は相手にしなかったが、イギリスのマスコミが騒ぎ出し沖縄サミットのタイミングで来日したブレア首相が森首相に解決を依頼したことからルーシー事件は注目を集めることになった。

    この本の主役はルーシーと言うよりは父親のティムと犯人の織原城二だろう。浮気が原因でルーシーの母と別れたティムは東京の生活を楽しんでいるように見えた。娘を誘拐されて悲嘆にくれる父親と言うステレオタイプには当てはまらず、積極的にマスコミに出て駆け引きをした。支援者の金で六本木で飲み歩いていると言う批判もあれば、後には独断で織原からのお見舞い金約1億円を受け取っている。織原が責任を認めたわけではなく、悲嘆にくれる家族を助けたいと言うのがその主張だが実際にはティムを寝返らせるための賄賂だ。

    犯人の織原は自主的に日本に移住し戦後そのまま日本に残った在日コリアンの二世で生まれた時には金聖鐘、後に通称を使い星山聖鐘と言う名前だった。父親は駐車場、タクシー会社、パチンコ屋を経営して成功し当時の大阪の大富豪のひとりだった。織原はカトリックの幼稚園、教育大附属天王寺小から慶応附属高に進学し田園調布の家政婦付きの1軒屋で暮らし始めた。高校では友達を作らず一人で横浜のディスコに遊びに行くような学生だった。20代で仕事をした気配はなく30代で不動産開発に相続した金を突っ込んで大きく利益を上げたらしい。妄想だけの多くの日本人とは違い織原は実際の行動に出たがこれも薬を使ってというあたりかなり歪んでいる。

    織原は数十台のプリペイド携帯を持ち、ナイトクラブで働く白人女性を葉山のリゾートマンションに誘い出しては薬入りの酒で眠らせ陵辱を繰り返した。被害者のほとんどはノービザで働いていたため警察には届けなかった。届けた場合も今度は警察がまともに取り合わなかった。ルーシーの失踪後、織原の仕業と考えたクリスタを含めた4人が警察に情報提供したがそれでも相手にしない。最終的には代々木ハウスへかけたプリペイド携帯の番号が織原逮捕へと繋がったのだがルーシー事件については証拠不十分となっている。

    六本木のクラブのオーナーによると1時間で帰る客のことは気にしない。1万の勘定からホステスに3千円払うと店の儲けはほとんどない。最初に来た客には店で一番の子をつける。もし客が気に入っていないようなら2番目の子に変わりここで延長に持ち込むかが勝負。延長に持ち込むことができれば別の子をつける。そしてさっきの子と話をしたければ指名料を払えということだ。そしてちょっと待たせれば3時間目に突入。トイレに行く途中で時計を見たら帰ろうと考えている証拠、そこでNo.1を投入する。1本3万円のシャンパンを頼み空ける頃にはもうその子は席にはいない。彼は外国人女性を愛し同時に軽蔑した。一方でクリスタはなぜ東京が社会不適合者を惹きつけるかに気がついた。この街ではみんな等しくガイジンで共通の疎外感で括られるため個人として抱える疎外感が吹き飛んでしまう。ジロジロ見られることに慣れるとどうせ変なガイジンだからと逆に自由になれたという。

    ルーシーはなぜ織原について行ったのだろうか。ロンドンであれば見知らぬー特に好意を持っていないー男性の家に一人で上がり込みはしない。しかし初めて見た日本人男性たちはかわいく、シャイで時には退屈だったのかもしれない。いかにも安全そうな男にドライブに誘われ携帯をもらい、そしてシャンパンを一口。多くの外国人ホステスはそのまま何事もなく家に帰る。

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    2016年01月24日
  • 黒い迷宮 ルーシー・ブラックマン事件15年目の真実

    Posted by ブクログ

     これに星5を付けることに、心理的な抵抗がある。
     英国から日本に来た若い女性が行方不明になり、家族がやってきて探してくれるように訴える。
     やがて捜査が進み、女性は遺体で発見される。

     この、実際に起きた事件が特異なのは、家族が、事件解決に向けて戦略的な動きを見せた、ということのように思える。よくテレビや報道で見るのは、被害者の家族は、うなだれ悲しみ、涙を流しながら訴える姿である。しかし、被害者の父親は、日本の警察の捜査状況に不安を感じ、どうやったらメディアがこの事件を取り上げるかを計算し、行動した。
     だからこそ、この事件は大きく取り上げられ、当時のイギリスのブレア首相から日本に申し入れが行われ、日本の警察も捜査に本腰を入れ、その結果解決したように思う。

     けれど。
     死んだ人は帰ってこないのだ。
     このノンフィクションは、事件がなぜ起きたのか、犯人はどうしてこのような事件を起こしたのか、を主軸としていない。今生きている家族らが事件とどのように向き合ったのかを丁寧に描いている。
     ホントに小説かと言う位のドラマティックさだ。
     ……それを、作品として楽しむ自分が居て、それは、いいことなのか、すごく迷いがある。

     著者の視点の明快さと優しさがあるから救われた本。

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    2015年11月05日
  • 黒い迷宮 ルーシー・ブラックマン事件15年目の真実

    Posted by ブクログ

    六本木のクラブで働いていたイギリス人女性が行方不明になり、三浦半島で遺体となって発見された事件。今となっては、この程度の記憶しかなく犯人の名前すらすぐに思い出せない。

    犯人は在日韓国人の織原城二。在日韓国人であることを日本のマスコミが報じたかどうかも記憶が曖昧だ。
    事件は、2000年に起きているが、2007年に市橋達也がイギリス人英語教師リンゼイ・アン・ホーカーさんを殺害した事件と混同しがちである。

    本書は被害者となったルーシー・ブラックマンさんの親の生い立ちまで遡り、家族関係も綿密に取材している。犯人の織原城二についても詳細な取材をしていて日本のジャーナリズムとの違いを見せつけられた感がある。

    日本の警察が組織を過剰に重視する特殊性にも言及している。日本の警察の検挙率が高いのは、警察が優秀なのではなく、日本国民のモラルが高いからとの指摘があった。確かに、前例のない犯罪に対して、日本の警察が右往左往している姿はよく見かけるし、国民のモラルが下がりつつある昨今は警察の威信も下がってきているように感じる。

    日本がグローバル化するということは、警察、マスコミ、国民も国外からの視点による本書の様な考察に多く触れるということではないだろうか。

    グローバルスタンダードを積極的に受け入れる必要があることを啓発してくれる良書である。

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    2015年07月31日
  • 黒い迷宮 ルーシー・ブラックマン事件15年目の真実

    Posted by ブクログ

    あのルーシー・ブラックマン事件。私は家族で並んで記者会見している図を覚えていて、父親が頑張っているのだなと。

    その父親の、行動力が無ければわからなかった事実、警官があれだけ動かなかっただろうし、ブレア首相まで事件解決を日本に要請することも無かったのだろう。その類まれな行動力と、一方で、到底品行方正とは言えない日本での行動、犯人の男から多額の賠償額をもらい、クルーザーを買ってしまう非倫理的といえるようなことをしつつも、第2のルーシーを作らないためのNPOを成功させてもいる。えらい複雑な人格にくらくらとしてくること必定。

    裁判結審まで10年以上かかっていたとは知らなかった。
    関係者全ての状況がその間に変わり、それぞれが自立と再生の道を歩んでもいる。

    犯人の性癖は恐ろしいもので、発覚していないレイプ・殺人があるとしか思えない。ただそれを産んだ日本社会にも一端の責任があるのだろう。

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    2015年07月15日
  • 黒い迷宮 ルーシー・ブラックマン事件15年目の真実

    Posted by ブクログ

    [大都会の沼地に、足を取られて]「六本木でホステスとして働く元英国航空の客室乗務員のイギリス人女性が、突如謎の失踪ーー」。世紀末を控えた日本でスキャンダラスに報じられたルーシー・ブラックマン事件の内幕と関係者の心の内を探ったノンフィクション作品。一次資料や関係者の資料を基にしながら、事件に潜む数々の謎に迫った一冊です。著者は、「ザ・タイムズ」紙のアジア編集長・東京支局長を務めたリチャード・ロイド・パリー。訳者は、ときに涙しながら本書の翻訳作業を完成させたという濱野大道。原題は、『People Who Eat Darkness-The True Story of a Young Woman Who Vanished from the Streets of Tokyo – and the Evil That Swallowed Her Up』。


    今年読んだ本の中でも間違いなくトップクラスに入ってくる一作。加害者の闇、被害者の闇、それぞれの家族や関係者の闇、そして東京の闇……。著者の筆によりずるずると音を立てて引きずり出される漆黒の数々に、ページを繰る手が止まりませんでした。この事件のことを聞いたことがないという方を含めてぜひ一読をオススメしたいです。


    20年以上に及ぶ日本における滞在歴があったからこそ書けるであろう著者の日本社会を見つめる眼差しにも感銘を受けました。絶え間ない興味や深い親近感と同時に、一歩その社会からは足を引く絶妙な間の取り方を知ることができるだけでも、本書を購入する価値があるかと。そして何より、著者のたどり着く下記の結論(それはそこだけ切り取ると奇妙に無色透明になってしまうのですが)に胸震わされました。

    〜彼女は決して軽率でも愚かでもなかった。ルーシーは--安全ではあるが複雑なこの社会で--きわめて運が悪かったのだ。〜

    こういう作品に会うために数々の本を読んでるんですよね☆5つ

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    2015年06月12日