大村友貴美のレビュー一覧
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高校生の頃、映画化をきっかけとした第一次横溝正史リバイバルがあった。猟奇的な表紙絵付きの黒本が田舎書店の棚を席巻する姿は壮観であり異様でもあった。級友には全作読み切った猛者も居た。21世紀の横溝正史と呼ばれる著者。状況設定は確かに似ているし、東京者の若い医者が異界とも言える岩手の山間僻村に感じる得体の知れない違和感がよく表現されている。硝子窓を通して覗き見る様な不安定な距離感。書評では厳しい評価も見られるが、一種の様式美、書割の前で演じられる舞台劇と看做せば楽しめる。ところで赤熊は何の為に出て来たのやら。
『なにかが斜面から飛び出ている。雪の中から生えている。足だ。人の足が二本、雪の中から -
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前作『首挽村の殺人』で横溝正史大賞を取った作者の2作目。
前作にも登場した藤田警部補が今度は明確な探偵役として登場するが、別に前作を読んでいなくても問題なく入り込める。
タイトルの「死墓島」は、本来「偲母島」という名の島を指すのだが、おびただしい数の墓が島内にあることと、島にまつわる裏の歴史から「死墓島」という俗称で呼ばれている。この死墓島で猟奇的な殺人が起こり、そこが発端となって連続殺人事件に発展していく…という流れ。
閉ざされた島、満潮になると海水で満たされる洞穴、暗黒の歴史、入り組んだ町の作り、口を閉ざす住民たち…と、アイテムとしてはゾクゾクわくわくする要素が盛りだくさん。これは前作 -
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惜しい!惜しいよこれ。
面白くなる要素いっぱいあるのにもったいない。
というわけで、どの辺が惜しいと感じたのか挙げてみます。
解説でも書かれているけど、人物描写が弱いので感情移入しづらい。特に女性キャラ。最終的には が探偵役になるわけだが、それまでの印象が薄いので、えっ、あんたが謎解いちゃうの?って感じになる。
そして謎解きのプロセスがほとんど無いままいきなり犯人と対決。さっそうとトリックを暴いてくれるけど、展開の早さについていけない。
そして赤熊の出現。リアリティのある描写で引き込まれる内容。これだけで本1冊書けるんじゃないのっていうくらいのクオリティなのに、本筋の事件とはほとんど絡