あらすじ
岩手県沖の小島、偲母島の断崖で、島長の海洞貞次の他殺死体が発見された。捜査をすすめる藤田警部補は、この島が地元の人々から「死墓島」という不吉な名前で呼ばれていることを知る。由来は、島に残されたおびただしい数の墓石だった。なぜこんなに多くの墓石が残されているのか。閉鎖的な島民達を相手に捜査を開始した藤田は、次第に死墓島の裏の歴史を知ることとなる──。横溝正史の正統な後継者が描く、傑作長編推理。
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Posted by ブクログ
「この虚無感はなんだろう?殺人事件を解決し
、犯人を挙げてもたいてい虚しさを感じる。人間の業が見えるから、悪意を目の当たりにするから、自分の中のみたくもない、認めたくない同じものを見せつけられるから……。」
孤島、子守唄、見立て、財宝伝説とガジェットを揃えたのに、そりゃ〜ないだろ⁉︎と怒りが込み上げてくるが、これはこれで面白かった。
Posted by ブクログ
世界は自分を中心に回っていると勘違いしている人がいる。
周囲の迷惑や困惑はまったく気にとめず、何かをしてもらうことだけを待っている。
あたり前のように自分の思うがままに振る舞う女性。
幸せとは何だろう。
どんな境遇であったとしても、そこに幸せを見つけられる人もいる。
どんなに恵まれた環境にあっても、いつまで経っても満足できない人もいる。
言葉にするのは難しいけれど、口にしなければ伝わらないこともある。
悲しいけれど、黙っていても伝わるものがあるなんて幻想なのかもしれない。
死墓島は思慕島・・・何となく物悲しい。
閉鎖的な島、意味ありげな子守唄、そして対立する旧家。
横溝さん的な雰囲気もあって、しかも読みやすい物語だった。
Posted by ブクログ
離れ小島で起きた3件の殺人事件。その土台になっているのがこの島の隠された秘密。戦国時代の血塗られた、罪人の処刑場としての歴史。小生の好きなジャンル。犯人の一人が最後には犠牲になるという面白い展開。
Posted by ブクログ
前作『首挽村の殺人』で横溝正史大賞を取った作者の2作目。
前作にも登場した藤田警部補が今度は明確な探偵役として登場するが、別に前作を読んでいなくても問題なく入り込める。
タイトルの「死墓島」は、本来「偲母島」という名の島を指すのだが、おびただしい数の墓が島内にあることと、島にまつわる裏の歴史から「死墓島」という俗称で呼ばれている。この死墓島で猟奇的な殺人が起こり、そこが発端となって連続殺人事件に発展していく…という流れ。
閉ざされた島、満潮になると海水で満たされる洞穴、暗黒の歴史、入り組んだ町の作り、口を閉ざす住民たち…と、アイテムとしてはゾクゾクわくわくする要素が盛りだくさん。これは前作と一緒。で、前作よりもよりひとりひとりの人間の内面描写がしっかりしていて、更に、話の流れも無理なく進んでいてレベルアップした印象。
が!
個人的には、やっぱり前作と同じで「惜しい~!」というか、せっかく土俗的で魅惑的な場所や小物を用いていながら、それが完全には生かしきれていない感覚が残る。ものすごい数の墓とか、洞穴とか、千骨寺の木彫りの龍とか、もっと内容とからめて(洞穴とか、実際に行ってみた描写があってもいいと思うんだよな)魅惑的に使ってほしかった。ゾクゾクさせた割にさらっとそれらが通り過ぎて行ってしまったような。
がが!!
それでも、やっぱり「面白い」んだよ、この人の作品。
なんだろうな、言い回しなのか情景描写なのかなんなのか今ハッキリとは言えないんだけど、もっともっと作品を読みたくなる、もっともっと面白いものが書けるんじゃないかって気にさせられるんだよね。
だから、悪い意味での三ツ星ではないです。
期待を込めての三ツ星です。
閉ざされた山村系とかまた書いてほしいなぁ。
あとは、豪奢な洋館ものとか。
Posted by ブクログ
うーん。面白い、横溝正史風の作風といい面白いんだけど、構築された設定を生かし切れていない気がする。もちろん、今後作品を重ねるごとに変わっていくんだと信じてやみませんが。