國分俊宏のレビュー一覧

  • ソヴィエト旅行記

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    ネタバレ

    ジッドの真心からの叫びが悲しい。
    ユートピアができるはずだったのに何でこうなってしまった?と嘆く。
    本当にジッドのようなただ純粋に平等な社会が来ることを信じてた人達を騙したニセ予言者や独裁者は罪深いと思う。ニセ予言者について哲学者のカール・ポパーが『推測と反駁』で結構強めの言葉でこのように批判してる。

    丸ごと全体がすっかり善なる社会といった遥けき理想を志し、この理想のために働くことによって間接的にこれらの目的を実現しようとしてはならない。この理想の心をそそる未来図に自分は支えられているのだと深く感じるにせよ、自分はこの理想の実現のために働く義務があるのだからとか、この理想の美しさに他の人々の

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    2025年04月20日
  • ラブイユーズ

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    585P

    「ラブイユーズ(l’Aboyeuse)」はフランス語で、「吠える女」や「吠える人」という意味です。語源は「aboyer(吠える)」という動詞で、犬が吠えることを指します。特に比喩的に使われる場合、人に向けて批判的・攻撃的な発言をする人を表すことがあります。


    バルザックの作品における「ラブイユーズ(l’Aboyeuse)」は、彼の短編小説「ラブイユーズ」に登場する人物や状況を指します。この短編は1836年に書かれ、バルザックの大作『人間喜劇』の一部として位置付けられています。

    概要
    物語の中心には、貧しい田舎の女性が登場します。この女性は、フランスの地方で暮らしながら、その激し

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    2025年01月12日
  • オリヴィエ・ベカイユの死/呪われた家~ゾラ傑作短篇集~

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    19世紀のフランスを代表する作家のひとりエミール・ゾラの短編集です

    ゾラといえば『居酒屋』『ナナ』などの長編が有名なんですが、光文社古典新訳文庫にはないのです
    ないのだからしょうがない
    しょうがない読みましたが、これが面白い
    うん、ゾラ面白いわ

    よく音楽の世界では「耳に心地よいメロディーはクラシック音楽で出尽くしている」なんてことを言われたりして、まぁこういった風説には賛否あるでしょう

    自分としてはそんな訳あるかいな!現在も素晴らしい才能によって新しいものが生み出され続けているわ!と思うのですが、一方で「出尽くした」とは思わないまでも、かなりの部分がクラシックに覆われているのも認めなけれ

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    2024年12月06日
  • ソヴィエト旅行記

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    1930年代のフランス文学界と共産主義や革命との関係の史料として手に取ったが、心に残る言葉にたくさん出会えたのは思いがけない喜び。

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    2024年05月22日
  • ソヴィエト旅行記

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    内容についての良さは置いといて、訳者による前書きやあとがき、解説の丁寧さと熱意のすごさたるや…ジッドに込められた想い、前訳者に対する尊敬の念などを読んで、文庫と厚さにしては1200円ほどと高さを感じたが、これはそれ以上の価値がある。ソ連をより知るための教科書でもあるがそれ以上に現代人には必読書と感じる。読んで本当によかった。

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    2021年01月25日
  • プルーストと過ごす夏

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    失われた時を求めてを読みたかったが、あまりに長いのでまずは入門書を、とこちらを手に取った。名作には解説が必要だ、と改めて思わされた本。様々な切り口で複数の有識者が解説してくれるが、何度も出てくる場面もあれば、何度も話題に上がる登場人物も出てくる。本編を読み、途中で挫折しない為にも良いきっかけとなった。

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    2020年09月26日
  • オリヴィエ・ベカイユの死/呪われた家~ゾラ傑作短篇集~

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    傑作。どれも面白いが最後の「スルディス夫人」がいい。売れてないが才能ある画家がいて、絵の具屋の娘が目を付ける。彼の美貌と才能に惹かれて遺産を援助し結婚して生活する。話の筋としてはよくある事なんだが、これでもかこれでもかと作者が描写する表現が、惹き付け惹き付け。
    1ヶ月前に同じ作者の文庫を読んで、それを忘れている位に前回は印象に残らなかった。同じタイトル名がありそのことに気付いた。訳者出版社によってここまで印象が変わるとは、言語とは、このように扱いによって大きく変化する繊細な物なんだな。

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    2019年02月08日
  • オリヴィエ・ベカイユの死/呪われた家~ゾラ傑作短篇集~

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    困を生きる人の日常を生々しく描きだしている。「オリヴィエベカイユの死」では、墓を釘打ち土葬されてもなお生き返り、生き返った事に需要がなかったことに打ち萎れ気まずい思いをする主人公、ないようでありそうな話でかわいそうだがシュールな面白みを誘う。自然主義の概念として考えるに、この貧困の生々しさとシュールさが主な部分を占めるのではと個人的に見解した。

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    2025年11月22日
  • オリヴィエ・ベカイユの死/呪われた家~ゾラ傑作短篇集~

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    「オリヴィエ・ベカイユの死」
    オリヴィエ・ベカイユは貧しい家の娘マルグリットに結婚を申し込む。本人は乗り気じゃなかったが娘を厄介払い出来る両親は承諾。彼女もその現実を受け入れた。田舎の生活に嫌気が指していた妻の気持を察し、二人はパリに仕事を見つけ出て来た。しかしパリに到着してすぐにオリヴィエは病気になり、体が硬直して声も出せなくなる。周りの人間は彼が死んだと思って葬式の準備を進める。気落ちした妻を同じアパートに住む青年が慰めたり、オリヴィエは気が気でない。そして意識があるまま彼は墓に埋められてしまう。

    「ナンタス」
    田舎からパリに出てきた有望な青年ナンタスはなかなか仕事が見つからず困窮の果て

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    2024年06月27日
  • ラブイユーズ

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    バルザックの著作の多くは「人間喜劇」で括られていますが、本作は風俗研究-地方生活情景カテゴリ中の作品。
    タイトルのラブイユーズは、川揉み女(川の水をかき回してザリガニを罠に追い込む)の意味で、バルザックあるあるで重要だけど主人公じゃない人名(蔑称)。♪エビすくい、えびすくい♬
    登場人物整理は、文庫の巨大しおりが便利で、人名刷り込みができればすごく読みやすく面白い。分類としてはピカレスク的悪者小説です。善い行いをする人は絶対に報われるのが当然と思ってる人にはおススメしません
    第1部         悪者Aは何て悪い奴!
    第2部         悪者Bに善人が挑戦し、、、 
    第3部        

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    2023年01月25日
  • オリヴィエ・ベカイユの死/呪われた家~ゾラ傑作短篇集~

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    「オリヴィエ・ベカイユの死」がポーの「早すぎた埋葬」と似ているのは偶然なのだろうが、同時期に西洋では「生きたまま埋葬されるかもしれない」という恐怖が共通認識として広まっていたというのは興味深いことだ。

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    2022年11月01日
  • ソヴィエト旅行記

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    ・これは面白い。歯に衣着せぬ鋭い意見。
    ・ソ連の欺瞞をジッドは見抜いていた。
    ・何度か読み直してみたい。

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    2022年05月18日
  • ソヴィエト旅行記

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    ソ連崩壊前、共産主義にはそれなりに興味があった。その後歴史が証明したとおり、社会主義、共産主義は、たぶん人類の脳というOSに合わなかったんだろう。
    「あっ、合ってないなあ」、と気が付き出した時の人類がどういう非喜劇を演じたか、壮大な社会実験を行ったソ連の内情を垣間見ることが出来て、非常に面白かった。
    ドグマがなんであれ、批判を許容出来ない社会には活力も進歩も生まれないのね。

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    2021年02月01日
  • ソヴィエト旅行記

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    いい本でした。単なるソ連の批判ではなく哲学としても非常に奥深い本となっています。作者の批判が非常に理論づけされていて良かった。

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    2020年07月22日
  • プルーストと過ごす夏

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    プルーストはどこを切っても良いがこの本は与えられたテーマでフランスの識者が『失われた時を求めて』から最高の引用をしてくれている。今度は高遠氏の訳でも読んでみたいと思わせてくれた。

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    2020年06月22日
  • ソヴィエト旅行記

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    ソ連については教科書以上の予備知識はあまりなかったので、当時フランスでソ連の信奉者が知識人の中にも多くいたのには驚いた。あとがきにもあるように、「歴史が証明した」後に私は生まれたから。
    旅行記と聞いて想像した内容とは違って、ほぼソ連への批判文だった。最初こそはソ連への希望的観測を捨てきれていないようだったけれど。
    全体として真実を見つめ誠実であろうとするジッドの姿勢にはとても好感が持てた。ジッドがソ連を訪れたのは66歳だったという。作家としても成熟した年齢になっても、自分の想像と現実が違ったときには過ちを認められる柔軟さや誠実さを持ち続けていることに尊敬。

    現代でも全体主義的な脅威はいまだ存

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    2020年01月15日
  • ソヴィエト旅行記

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    ネタバレ

    1936年3~6月にジッドがソヴィエトを旅行し、
    考えたこと、感じたことが書かれた本。

    ジッドはソヴィエトに希望を見出していたが、
    実際に訪れてみると、理想とかけ離れた現実が
    そこにはあった。

    当時のフランス左派知識人からソ連は強く支持されて
    いたため、本書が出版されると、左翼から猛烈な批判を
    浴びることになる。当時のヨーロッパでは、私たちが
    考えるよりも、共産党に共鳴する人が多かったそう。

    この時代の空気を感じることができた一冊でした。

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    2019年06月21日
  • ソヴィエト旅行記

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    隣の芝生は青く見える。それは国同士でも同じ。フランス出身の著者が、共産主義のソヴィエト連邦に憧れるのは自然だったと思う。ソ連の対外国へ向けてのプロバガンダがうまかったということもあるし、そもそも人間には、ないものねだりなところがある。

    著者がすごいのは、自分の意見を変える柔軟性があったことだと思う。最初は憧れと幻想からソ連を賞賛していたが、現場を目にして疑問を持ち、失望する。共産主義の痩せた市民と私腹を肥やす特権階級の人間とのギャップ。補充されない品物棚。質の悪い製品しか選択肢のない暮らし。一律化された思想。相互監視で誰も信用できない社会。もし自分がここで生活することになったらと思うと、ゾッ

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    2025年12月02日
  • ソヴィエト旅行記

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    面白かった。赤かった時代のソ連に旅行した時の作者の感想。こういう他国の政治には、くるんでくるんで、匂わせ程度にしとけばいいのに、多分それでも批判されるのに。別に攻撃、批判をしてるんでなくて、ちゃんといい所も挙げている。多分フランス人が一番、人間の尊厳、生きることの理由意味などに真摯に向かい合っている人種で、最後の一人になろうとも、違う物にはノーというべき姿勢を貫ける人種かと思っているが、当時のソ連には、個人を表現するすべが見当たらず、作者は絶望を感じてしまったようだ。この作者読んだことなかったけど良かった

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    2022年01月17日
  • オリヴィエ・ベカイユの死/呪われた家~ゾラ傑作短篇集~

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    一番読み応えのあったのは、「スルディス夫人」次が、「ナンタス」、そして「オリヴィエ・ベカイユの死」「呪われた家ーアンジェリーヌ」「シャーブル氏の貝」

    物語にグイグイひきこんでかれる感じがする。時代性を感じさせないものの不自然さや読みにくさがない、まるで19世紀のフランスにこちらがタイムスリップした感覚にさせられる。違う作品も読んでみたい。

    「オリヴィエ・ベカイユの死」

    普通なら嫉妬にたぎり元の妻。追いかけ回すか、悲観に苛まれもう一度死のうとするかやけど、彼女の愛する人ではなかったと達観し、優しくもなり、名もなきひととしていろんなところへ旅するという、なんと爽やかな終わり方やねん!

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    2021年03月08日