神崎宣武のレビュー一覧

  • 聞書き 遊廓成駒屋

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    2017年ちくま文庫。元は1989年講談社。
    昭和53年ころだろうか、たまたま通りかかった中村遊郭で家屋取り壊し現場に出くわし、捨てられていく民具を工事を中断させて搬出したところから始まる。神崎の遊郭調査。今でいう鵜飼病院の向いのところだ。知っている地名、場所が頻出。
    お秀さんをはじめ関係者からの長年に及ぶ広範囲な聞き取り。元娼妓に四国まで会いに行くが、ここでは話をせずに帰ってくる著者の控え目さが素晴らしい。
    少し前に朝日新聞で著者の経歴が連載されていたがそこでもお秀さんとの話や写真が載っていた。娼妓と取り巻く人々、近い過去、近い場所での様々な人生があった。

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    2024年08月30日
  • シリーズ江戸学 江戸に学ぶ「おとな」の粋

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    神崎宣武
    1944生。民俗学者。旅の文化研究所所長、岡山県宇佐八幡神社宮司。著書に『「まつり」の食文化』角川選書、『酒の日本文化』『しきたりの日本文化』角川ソフィア文庫、『江戸の旅文化』岩波新書、『神さま、仏さま、ご先祖さま』小学館など多数。



    しかし、江戸の紀行文を総じてみると、案外と和歌が少ない。江戸時代に、その分野ですでに和歌の後退現象が生じている。というか、和歌が古典として格上げされたのである。  かわって 流行るのが俳句である。なかでも、芭蕉は、のちに俳聖といわれるほどに俳句を広く知らしめた。その芭蕉の俳句も、大半が旅先で詠まれたものである。

    「赤富士」や「浪裏」で知

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    2024年01月24日
  • 聞書き 遊廓成駒屋

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    下手な小説よりもドラマチック!
    気の遠くなるような丁寧な
    聞き取り調査が、売買春の実態や
    そのまわりの人間関係を描き出す。
    著者も書いているが、
    個性的でアクの強い人たちと
    心を通わせる姿勢が、
    難しい主題をここまで魅力的な本に
    したのだと感じた。

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    2021年10月24日
  • 旅する神々

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    ネタバレ

    私自身の古事記についての知識が浅く、いまいち理解ができないところもあったがとても面白かった。

    時代とともに神々も進化していく、寛容な時代があったのだなととても癒された。

    吉備津彦命と倭建命の章は、元ネタをなんとなくだが知っていたので理解しながら読めて大変面白かった。
    古事記と日本書紀は完全に別物だと思っていたので、古事記がさらに編纂されたものが日本書記と知って驚いた。この辺りの知識をつけたい。

    山幸彦の章で、お産の立会いが昔はタブーだったと知り驚いたとともに、その理由が
    p92「妊婦の健康を維持するための隔離であった。家事からも夫の世話からも解放された。」とあり、現代でもタブーにした方が

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    2021年04月01日
  • 聞書き 遊廓成駒屋

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    ネタバレ

    遊郭についてネットでしか情報収集をしてこなかったので、本を読んで理解したいと思って手に取った一冊

    とてもわかりやすく驚いた。

    いつの時代も吉原遊郭が最大だと思っていたので、中村遊郭(存在も本書で知った)が最大だった時期があると読み驚いた。
    また、娼妓の人たちは遊郭から外に出て買い物に出れると思っていたのだがそうではなく遊郭内に商人が来て通常の倍以上の値段で売ってきたと知り驚いた。何故借金をなかなか返せないのだろうと思っていたが、そういうカラクリがあったとは…娼妓たちを縛り付けておくためとはいえエゲツないことするなと…

    ただ、途中でお秀さんが言っていた、普通の会社も社長や取締役の接待会食費

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    2021年02月28日
  • 神主と村の民俗誌

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    民俗学者にして神主の神崎宣武氏による地元備中高原の村の民俗エッセイ。30年ほど前に書かれたものの再刊だが、当時の村の人々の姿が見事にとらえられている。これは貴重な記録であり、読んでも面白い。備中神楽、中世の姿をとどめるような村、神仏習合的なものも残されているなど大変興味深い。さらにその場所が美星町であり、星好きとしては思わず乗り出してしまう。たとえ美星は美山と星田の合併でたまたま付いた名前だとしても、それをもって村おこしをしているのだし。
    しかしこの本に書かれている地域や家々などの祭りは今はどうなっているのだろう?気になるところではある。神崎さん続きを書いてくれないかなあ。
    ちなみに現在4巻ま

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    2020年09月08日
  • 聞書き 遊廓成駒屋

    購入済み

    興味深く読んだ

    私は女性ですが、前から遊廓に興味があったので興味深く読ませてもらいました。
    性病検査の事は衝撃的でした。なんか気持ちがすごく暗くなりました。
    色々と当日の生の声を集めたり、著者もかなり大変だったと思いますが、当時の遊廓の内部を覗くことが出来る貴重な本だと思いました。

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    2020年06月17日
  • 聞書き 遊廓成駒屋

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    民俗学のひとが書いた本で、割と価値観中立、情報よくまとまっていた。
    学術的な正確性を期すべく参考文献等をつけようとしたが、断念したらしい。一般向けの書籍としては、それでも良いかと考え、星5とした。

    価値観中立とはいえ、『遊郭のくらしってどういう風だったのだろう』という事実の聞き取り内容には、やはり手放しで浪漫を感ずるわけにはいかない。
    学者の筆はミソジニーもミサンドリーもこじらせずに、かつ、学術のためならという押しつけがましさや、傲慢さもない。『ひと』を相手にしている、という礼儀正しさと、押し付けがましくならないよう、そっと寄り添うように思いを汲み上げる丁寧さがある。

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    2018年02月08日
  • まぐわう神々

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    日本における「性神信仰」について様々な角度から解説した一冊。
    本屋の民俗学関連のコーナーで何か面白そうなものはないかと見ている時に見つけ、民間信仰にも興味があったことから手に取りました。
    読み進めるうちに、中でも塞の神、道祖神についてはもっと知りたい欲が出て来て次はこのジャンルの本を読む次第です。
    「◯◯な神々」シリーズは他にも出ており、そちらも機会があれば読んでみたい。

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    2025年02月16日
  • 社をもたない神々

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    民俗学者であり、故郷の郷社のパートタイマー宮司でもある筆者の、神社神道という形で組織された神道の型枠に当てはめられない形で存続する神々についての考察。

    そもそも日本は神の国であった。
    山、岩、滝、田、竈門、我が国には様々なところに神が宿っていると考えられてきた。
    歴史ある神社が体系だって統一しているのは、その神々のごく一部でしか無い。
    その神社の外にも、神々は在る。

    そのさまざまなバリエーションを、パートタイマー宮司である筆者が、さらに学者として調べた多くの在郷の神々、古くから伝わる在郷の神社、神事などの情報を合わせて紹介している。

    結論があるわけでなく、存在が多様であるということが、日

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    2023年03月16日
  • 神主と村の民俗誌

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    著者は戦後の岡山県の地方で神主をしている。
    一方で東京で民俗学者としても働いている。
    祖父や父親、またはその世代の老人たちからの話と自分の幼少時代から現在までの移り変わりを含めた奮闘記。
    エッセイのようであるが、こうやって日々の暮らしが紡がれていくのだ、と思える、生きた民俗の本、という感じ。調査ではなく、実体験として書いているので、その情景が目に浮かぶような気持ちになる。
    著者自身の心の移り変わりも読み進める中で読み取れるので、継ぎたくなかった神主の仕事…東京で宮本常一と出会い民俗学に出会う…神主という立場から聞ける色んな話、歳をとってからわかる伝統を残すことの大切さ…という経緯を経て、最後に

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    2023年01月05日
  • 聞書き 遊廓成駒屋

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    名古屋駅西口にあった中村遊廓(名楽園)の民俗学的解説/ 中村遊廓といえば大門町に本部を持つ〝高村〟という博徒の名跡がある/ 後に高村の所属する稲葉地一家の本部が隣に越してきたことでも有名だ/ 高村は費場所であるこの場所に賭博場(盆)を持ち名楽園と称されていた/ 今では寂れたソープ街である中村であるが、かつては日本最大の遊廓があった/ 性産業とヤクザは切っても切れない感じがするが、高村がいつからここにあったのか興味があり関連本を当たっていた/ 博徒の話は出てこなかったが、遊廓の一店舗に住み着いて女郎のヒモになっているテキヤの話が出てきて、思いのほかよかった/ 名古屋熊屋五代目(本家熊屋分家なのか

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    2021年07月23日
  • 聞書き 遊廓成駒屋

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    当事者たちの声が収録された貴重な記録。どんな環境でも、人はその中で少しでも楽しく生きる工夫をせずにいられない。そのささやかな営みまでなかったことにしたくはないと思った。

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    2020年06月01日
  • 聞書き 遊廓成駒屋

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    ・以前から名古屋の中村遊郭がどこにあつたか気になつていゐた。このご時世、インターネットでちよつと検索すればすぐに分かりさうなものだが、それもせずにゐた。そんな時、神崎宣武「聞書き 遊郭成駒屋」(ちくま文庫)が出た。その最初のあたりにかうある。「閑散としたその一帯をぬけ、駅を背にして通りを西下すると、間もなく鮮魚市場(椿町市場)や、乾物・漬けものを扱う市場がある。」(34頁)私が現在通院してゐる病院は中村区役所の裏にある。ここは名古屋駅新幹線口から歩いて15分程度、「駅を背にして通りを西下」して行くから、この一帯を通ることになる。やはりこのあたりにあつたのかと思ふ。ところが、ここでは終はらないの

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    2017年03月26日
  • しきたりの日本文化

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    いかに今の日本人が文化的しきたりを忘れているかもしくは、間違った解釈をしているのかよく分かり考えさせられた。

    しきたりというものは古臭い物なのだろうか?

    あるものは形は変えても現代に残り、あるものは形も意味も変わっているが残っている、またあるものは一切消滅してしまった。

    いったい何を持って受け継がれたと解釈できるのだろうかもっと勉強する余地はある分野だろう。

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    2012年06月21日
  • 日本人の原風景 風土と信心とたつきの道

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    日本の昔ながらの伝統的な生活・・森との関わり、季節や人生の節目での行事、参詣と巡礼などをわかりやすく紹介。これらのうちそのほとんどは高度成長時代以降姿を消すか、変質してしまった。歴史の変転は目まぐるしいと改めて感じる。古き日本の伝統生活を懐かしむ追憶の書。

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    2022年12月24日
  • 酒の日本文化 知っておきたいお酒の話

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    酒そのものの記述ではなく、酒と神・人・文化の記述に重点が置かれている。
    酒そのもの話は、後半にまとめて出てくる。

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    2017年02月23日
  • しきたりの日本文化

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    おみくじ護符であるので吉がでたら財布に入れるか神棚に納めるかして1年間のお守りにする。凶がでたら逆手(利き手でないほうの手)で枝に結ぶ。結びにくいことで「行」とし身を祓い再びおみくじを引くのだそうだ。本来は禊をするなり荒行で身を祓うのに代えて逆手で結ぶことで代替する。作法の「縮小化」である。
    宗教にあらざる「信心」というもので、私ども日本人は、それで代々が「安気」に暮らしてきた

    こうした「信心」に根ざす「作法」は地域ごと家ごとに伝承されてきた。地域や家というものが崩れてくる中でしきたり本などが生まれてきたが、「なんのためにそうするのか」をとかないまま作法はかくあるべし断定するのはいかがなもの

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    2015年01月29日
  • 日本のしきたり 冠婚葬祭・年中行事のなぜ?

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    分かりやすく年中行事・冠婚葬祭の今と昔が書かれています。つくづく日本人というのは懐が深くミーハーな民族なのだなと感じました。ひとつひとつに深い歴史と感情があると知れる1冊でした。

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    2012年07月26日
  • 「まつり」の食文化

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     現地調査も踏まえて丁寧に書かれている。「食文化」にとどまらず日本の伝統文化を幅広く紹介。やや網羅的すぎるか。

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    2009年10月04日