會川昇のレビュー一覧
-
購入済み
史実や作品年表と一緒に
私はコンクリート・レボルティオ~超人幻想~の作品を見てからこちらを読みました。
その際小説内に年代が出てくると、コンクリートレボルティオの年表や史実ではどの様だったか、と見比べながら読んでいくと、アニメのあのときと同じ時代か!と、理解が深まるかもしれません。
本作もまた、超人の物語であり、超人でないただの人の物語でもあります。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ今作は敗戦探偵・結城新十郎と助手・因果の捕物帳であるTVアニメ『UN-GO』(フジテレビ系列“ノイタミナ”枠で2011年10月より放送・全十一話)の前日譚にあたる映画『UN-GO episode;0 因果論』のノベライズで、文豪・坂口安吾を原作とし、謎解きのポイントはちゃんとある骨太社会派ミステリに仕上がっています。
今作でも新十郎と勝海燐六の推理バトル的要素は健在ですが、本編に繋がる話ですので、ちょっとこの要素は薄いようにも感じられます。しかし、新十郎の過去と因果の存在理由について語られるこの小説は単品で味わってもいい、そんな作品になっています。
原作の発表は約半世紀前なので、文体や台詞はやや難しいかもしれません。ですが、独特のユーモアと毒舌の中に文明批評を込めた安吾を會川が継承し、卓抜な構成を魅せた小説家・會川昇としての上質な一冊になっています。 -
Posted by ブクログ
「自衛軍」の海外派遣につづく戦いに敗れたパラレル・ワールドの日本を舞台にして起こった奇妙な事件の顛末をえがいた作品です。
主人公である「探偵」の結城新十郎は、「因果」と呼ばれる少年とともに行動し、不思議な力によってひとが心の奥底にかくしていた秘密を聞き出す能力を駆使して、Ⅰ国の貨物船にダイヤ泥棒が逃げ込んだという事件を解決にみちびきます。
その頃、東京地検特捜部検事の虎山泉(こやま・いずみ)は、多くの信者を獲得していた宗教団体「別天王会」にまつわる謎を追っていました。彼らは「ヤミヨセの獣」と呼ばれる巨大な生き物を呼び出し、信者の一部が死んでいたのですが、その獣を目撃したという人物は数多くいるのに、その正体を警察はつかむことができないでいました。泉は、巨大インターネット企業の会長を務める海勝麟六(かいしょう・りんろく)という人物に出会い、彼から「探偵」のことを教えられます。こうして、日本に帰国した「探偵」と彼女が出会い、別天王会の教祖である大野妙心にまつわる謎と、かつて「探偵」がK国で体験した事件とのつながりが明らかにされていきます。
坂口安吾が戦後日本に見た閉塞感を、パラレル・ワールドの現代日本に再現した翻案小説として、おもしろく読みました。近代以降の日本におけるミステリと、現代におけるサブカルチャーを高いレヴェルで融合した、新伝奇小説の正統な流れを汲んだ作品としても位置づけることができるように思います。 -
Posted by ブクログ
あらゆるテロ・犯罪に関して、その真相を解明するのではなく
大衆と、国家権力の都合のいいように「解釈」して発表する
それを行うものが名探偵と呼ばれる時代なら
旧来的な探偵は、あらかじめそれに敗北することを決定づけられた存在だ
そんな「敗戦探偵」を主人公としたTVアニメシリーズ
坂口安吾の小説を原案とするものだが、さらにその劇場版作品を
再度ノベライズしたものである(ややこしい)
TVシリーズの前日譚となるので、佐々風守は登場しない
誰もが笑顔の世界を夢見つつ、誰かを蹴落とし続けなければならない
そんな矛盾に耐えられなかった若き日の敗戦探偵は
ひとり日本を逃げ出し、東アジアの奥地に巡回
映画を上映する人となるのだ
ちなみに時代は近未来、2020年代だ
インターネットの時代にそんなことする馬鹿馬鹿しさを知りながら
彼はまるで優しさの伝道師
1980年代日本の、戦後民主主義の使徒として
危険地帯をかけめぐるのだった
そしてあるとき「戦場で歌う会」の女に出会う
若者たちの、優しさと甘さを象徴するものとして
武田鉄矢「少年期」が愛唱される