【感想・ネタバレ】UN-GO 因果論のレビュー

あらすじ

“敗戦”後の近未来日本。I国から帰国したばかりの〔探偵〕は新興宗教団体・別天王会での連続不審死事件の捜査協力を依頼された。姿の見えない獣が出現するというその事件は、〔探偵〕が口を閉ざす過去、行動を共にする奇妙な少年・因果と密接な関係があった――坂口安吾『安吾捕物帖』原案のアニメ「UN-GO」の劇場公開作を脚本家自身がノヴェライズした「因果論」に加え、小説版オリジナルの前日譚100枚を特別収録。

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Posted by ブクログ

TVアニメ『UN-GO』の前日譚。敗戦探偵・結城新十郎とその助手・因果に隠された過去、秘密、そして真実の物語。映画『因果論』は結局見に行けなかったため、「ノベライズが映画本編ソフトよりも先にリリース」という報を聞いて手に取ったわけだが、いやはや参った。面白すぎる。内容の奥深さ、世界観の構築、新十郎が抱える苦悩の巧みな書き込み。全てが渾然一体となった、強烈な知的興奮。読んでいる最中、まるで脳の錆びついた部分に上質な油を差されているかのような気持良さを感じていた。素晴らしい。新十郎はなぜ、真実を求め続けるのか。その答えはここにある。

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2018年01月08日

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ネタバレ

アニメ本編のエピソード0にあたる劇場版のノベライズ作品。
アニメ本編を観た時に分からない点がいくつかあったため、劇場版アニメを後から観て満足していました。
しかしノベライズ版まで読むと、各キャラクターの心理描写が細かくてより個々の登場人物を魅力的に感じられるようになりました。特に泉ちゃん。
劇場版では因果の子どもバージョンについての説明はカットされていたので、こちらでしっかりと説明されていてすっきりしました。
最後まで読みたくなる、いい作品だと思います。

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2013年10月13日

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ネタバレ

 今作は敗戦探偵・結城新十郎と助手・因果の捕物帳であるTVアニメ『UN-GO』(フジテレビ系列“ノイタミナ”枠で2011年10月より放送・全十一話)の前日譚にあたる映画『UN-GO episode;0 因果論』のノベライズで、文豪・坂口安吾を原作とし、謎解きのポイントはちゃんとある骨太社会派ミステリに仕上がっています。
 今作でも新十郎と勝海燐六の推理バトル的要素は健在ですが、本編に繋がる話ですので、ちょっとこの要素は薄いようにも感じられます。しかし、新十郎の過去と因果の存在理由について語られるこの小説は単品で味わってもいい、そんな作品になっています。
 原作の発表は約半世紀前なので、文体や台詞はやや難しいかもしれません。ですが、独特のユーモアと毒舌の中に文明批評を込めた安吾を會川が継承し、卓抜な構成を魅せた小説家・會川昇としての上質な一冊になっています。

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2013年07月29日

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「UN-GO」の劇場公開作を脚本家自身がノヴェライズした「因果論」、小説版のオリジナル前日譚100枚を収録。
UN-GOを知らなくても単体で読めるしっかりした作品で、アニメや映画を知っているとより楽しめると思う。
アニメも映画も見たことがないから、見てみたいかな、と期待が生まれる作品。

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2012年04月30日

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登場人物が魅力的であり、構成も外連味たっぷりの凝った作りで大変に面白い作品だった。
自分はアニメを見ていないが、見ていなければ理解出来ないような部分はなく、描写の手抜きも感じなかった。ノベライズというより独立した作品として十分面白いと思った。

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2012年03月21日

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映画・因果論のノベライズ。映画ともちょっと違う展開もあり、映画を先に観てた私も楽しめました。
因果の淫靡な描写にドキドキですた(^艸^)
あと、海勝邸デカイさにもビックリ(笑)
アニメや映画では表現されてなかったこの世界の歴史も細かく書かれていて、會川昇さんはここまで構想してたのか!と驚くばかり。
一気に読んでしまいました!

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2012年03月04日

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アニメが良くて、でも映画はみてなかったのでこの小説版はとても嬉しいです!お財布にも時間にもやさしいなぁと思っていたのですが、結局読み終わってみると、やっぱり映像化された因果論も見たいしアニメも見直したいし、むしろ原案にも手を出したいしと、欲望が広がるばかり。いい販促だなぁと感心しきりです。
特に、巻末の解説を読むと原案との関わりがとても面白そう。いろいろワールドを広げてからまた読み直したい作品です

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2012年03月01日

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 坂口安吾の作品群をベースにしたアニメ「UN-GO」の前日譚にあたる本作!ifの近未来に舞台を移していながらも巧みに世相を反映させているところが安吾捕物帖に通じるところがあっていいですね。
 善意の押し付けや手のひら返しになる世論などなど…現実に通じるところもあって面白かったです。安吾にとって戦争・戦後が思想に強い影響を与えたものであるからこそ、この作品でも戦争について触れていたのが良かったです。
 久しぶりにアニメ見たくなりました…アニメよりも描写やエピソードが濃くなってるので最高でした。

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2023年08月07日

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「自衛軍」の海外派遣につづく戦いに敗れたパラレル・ワールドの日本を舞台にして起こった奇妙な事件の顛末をえがいた作品です。

主人公である「探偵」の結城新十郎は、「因果」と呼ばれる少年とともに行動し、不思議な力によってひとが心の奥底にかくしていた秘密を聞き出す能力を駆使して、Ⅰ国の貨物船にダイヤ泥棒が逃げ込んだという事件を解決にみちびきます。

その頃、東京地検特捜部検事の虎山泉(こやま・いずみ)は、多くの信者を獲得していた宗教団体「別天王会」にまつわる謎を追っていました。彼らは「ヤミヨセの獣」と呼ばれる巨大な生き物を呼び出し、信者の一部が死んでいたのですが、その獣を目撃したという人物は数多くいるのに、その正体を警察はつかむことができないでいました。泉は、巨大インターネット企業の会長を務める海勝麟六(かいしょう・りんろく)という人物に出会い、彼から「探偵」のことを教えられます。こうして、日本に帰国した「探偵」と彼女が出会い、別天王会の教祖である大野妙心にまつわる謎と、かつて「探偵」がK国で体験した事件とのつながりが明らかにされていきます。

坂口安吾が戦後日本に見た閉塞感を、パラレル・ワールドの現代日本に再現した翻案小説として、おもしろく読みました。近代以降の日本におけるミステリと、現代におけるサブカルチャーを高いレヴェルで融合した、新伝奇小説の正統な流れを汲んだ作品としても位置づけることができるように思います。

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2018年08月30日

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あらゆるテロ・犯罪に関して、その真相を解明するのではなく
大衆と、国家権力の都合のいいように「解釈」して発表する
それを行うものが名探偵と呼ばれる時代なら
旧来的な探偵は、あらかじめそれに敗北することを決定づけられた存在だ
そんな「敗戦探偵」を主人公としたTVアニメシリーズ
坂口安吾の小説を原案とするものだが、さらにその劇場版作品を
再度ノベライズしたものである(ややこしい)
TVシリーズの前日譚となるので、佐々風守は登場しない

誰もが笑顔の世界を夢見つつ、誰かを蹴落とし続けなければならない
そんな矛盾に耐えられなかった若き日の敗戦探偵は
ひとり日本を逃げ出し、東アジアの奥地に巡回
映画を上映する人となるのだ
ちなみに時代は近未来、2020年代だ
インターネットの時代にそんなことする馬鹿馬鹿しさを知りながら
彼はまるで優しさの伝道師
1980年代日本の、戦後民主主義の使徒として
危険地帯をかけめぐるのだった
そしてあるとき「戦場で歌う会」の女に出会う

若者たちの、優しさと甘さを象徴するものとして
武田鉄矢「少年期」が愛唱される

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2016年08月21日

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面白かった!劇場版を見て、その記憶もずいぶん朧げになってから読んだのだけど、物語の輪郭も人物の心情もよりくっきりと鮮やかに浮かびあがってくるようだった。
最初のほうしか見ていなかったアニメ版も、この話に続く作品としてチェックしたいと思った。主人公が手にするであろう真実は何かを見極めたい。

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2012年08月19日

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ここからアニメに繋がる、と考えるともう一度アニメを見返したくなります。小説版だと各キャラクターの印象もかなり変わってくる気が。アニメでは泉ちゃんはもっと探偵さんに冷たいし、海勝さんを信頼しているイメージ(だったはず)ですが…何らかの心境変化があったのかな?最後まで明かされなかった本名も気になりました。推理を覆す謎、一筋縄では見つからない真実がこの話の見どころかなあと。優しすぎた探偵さんが痛々しくも愛おしいお話でした。

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2012年12月21日

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坂口安吾原案のアニメ「UN‐GO」のノベライズ。

アニメは見ていなくて、期待もしていなかったけれど、想像以上におもしろかった。敗戦後の近未来の日本を舞台にしていて、物語に違和感がない。
小説として十分に楽しめた。

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2012年04月21日

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小説としての体がなってるのかどうか若干の不安要素はあったにも関わらず、やっぱり書き手によってちゃんと読み応えって出るんだなあと思った。
ノベライズ化もピンキリのご時世。よい作品はよい書き手によって、よいノベルになるのだなあと思う。
ただ、結局は、「早く映画みたい!」という感想しか出てこなかった……。

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2013年04月08日

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素晴。
アニメ版『因果論』を見た後で読むと、唐突と思えたあれやこれやのウラが見事につながってくる。

やはりアニメのキャラというのは、文章に置き換えてみるとなかなかに情報過多なものなのね。比較的読みやすい文章の中で、そこが唯一ひっかかった所であった。

「日本人街の殺人」を読むと、『UN-GO』シリーズの犯人というのは、"戦争"によって生まれた、どうしようもない心の傷が犯行理由となっているのだなぁ、と改めて思った。

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2012年03月25日

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なるほどここからアニメにつながっていくのかと思うと面白い。
と同時に探偵の名前が明らかにされてないことを途中まで意識していない自分の読み方に大丈夫か……?と不安になる。
あと梨江がバカすぎる。海勝を悪役にしすぎ。
最後のシーンの因果はかわいかった。

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2012年03月24日

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ノベライズだけあって、UN-GOを見たことがない人はちょっと難しい。
通常のアニメをノヴェライズしてからのこれという方が良かったのではないかな?

見たことがある人はかなり面白く読めるのではないかと思う。

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2012年03月21日

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アニメは見ていて、こちらのほうでは映画は見れなかったので読んでます。
映画版の内容がこんな感じなのか、などわかりやすかったです。
アニメ版を見ているのでもっとこの小説が楽しめました。

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2012年03月20日

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映像版の因果論は見れなかったので小説版が出るのを楽しみにしてました!

読み終わってみると、坂口安吾っぽいけどやっぱり別物だよな、と。でも原作に出てきた登場人物の名前はちゃんと継いでいるので面白かったです。

話の進行が、過去の事実と今現在で交互に書かれていて、とても話に入り易くするする読めました。

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2012年09月14日

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アニメの前日譚。
まず、元ネタについてあまり詳しくないので、そういった方面のくすぐりのポイントについてはほとんどわかりませんでした。(^^;
推理小説のフレーバーはあるものの、本格的かというとそうでもなかったかな。
アニメが楽しめた人なら楽しめることと思います。

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2020年12月02日

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UN-GOエピソード0
アニメが気に入って買ったのですが、それも終わり何となく部屋に積んでおいたらそのまま忘れていました。
アニメの内容もあやふやになった頃に読み出し、最初の話に入り込むのが難しかったです。
戦場で歌う会とか、別天王会の話ではなかったのかなと思った頃にやっとそんな話になりました。
ニメを見て、何をそんなに執着してるんだい?って思っていたところが分かったので、またアニメの方最初から見たくなりました。

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2016年05月27日

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坂口安吾の原案を下敷きにしたテレビアニメ『UN-GO』の劇場版をノベライズした作品。テレビシリーズ以前の新十郎と因果が出会った事件が描かれています。
内容はほぼ劇場版と同じですが、この他にオリジナル短編「日本人街の殺人」(原案「南京虫殺人事件」)が添えられており、既に鑑賞済みの人でも楽しめます。
た、本書は劇場版よりも細部に至るまで精巧に出来ているので、劇場版で理解し切れなかった部分を補完することも出来ます。推理小説としてはやや物足りないストーリーですが、原案を知っている人や『UN-GO』をより楽しみたい人なら読んで損はないと思います。

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2015年12月14日

Posted by ブクログ

「UN-GO」劇場版のノベライズ。劇場版は見ていないのでノベライズとしてどうかは判断できないが、アニメで不明だった部分がかなり説明されていてすっきりした。(探偵の過去や因果、別天王についてなど)
アニメを見ていなくてもその前日譚なのでストーリーにはついていけるが、アニメを最初から見返したくなったし、この劇場版も見てみたい。

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2015年12月08日

Posted by ブクログ

これの解説読んでて知ったんだが、小学生時代に好きだった「快刀乱麻」がコレと同じ原作のドラマだったらしい。

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2014年06月07日

Posted by ブクログ

“「なんなんだ、これは?ある者には見えて、ある者には見えも聞こえもしない映像?なんでそんなものが存在する?別天王会に現れるという"獣"も同じだ。そこにいた誰もが見たという、だがあとで調べてもどこにもそんなものが存在した形跡はない」
泉は昂奮のあまり、探偵の胸ぐらを摑んでいた。
答えろ。探偵。どうしたらこんなことができるっ」
探偵は、泉の手をとると、そっと外した。
「それが依頼なんだろう。まあ探偵なんて名乗っていたのは方便なんだが」
「方便?」
「そんなことでもしないと、この因果が気味悪がられるんでね」
「ひどいなー、ぼく気持ち悪くなんかないよー、ねー、泉ちゃーん」
探偵の言っている意味が、このときの泉にはまだよくわからなかった。
「別にあんたに頼まれなくても、大野妙心には会わなくちゃならない。そもそもなぜ検察がオレと大野が顔見知りだと知っているんだ。大野がそんなことを話すわけがない」
「それは」
泉は言いよどんだ。
ふと、天井の隅でなにかが動いた気がした。見ると、ありふれた監視カメラがこちらを向いている。
(店に入ったときから、あのカメラ、こっちを向いていたかしら)”[P.172]

またアニメを見返したい終わり。

“——心なんていくつもあって……それが全部真実でしょ——

由子の声が聞こえた。
ふと気になって、渡された住基カードに記された、新しい名前を読んでみる。
そこには[結城新十郎]とある。手回しのいいことに、オレの写真が貼りつけてある。入国の時、外務省の役人に撮影されたものだ。
朝日が昇りきり、周囲の風景がくっきりと浮かびあがっていった。
まともな姿の建物は一つもなく、破壊され壁を失った建物の中にシーツが何枚も垂れ下がっているのがわかる。多分ああやって区切って、それぞれの生活場所を確保しているのだろう。
「とりあえず、住む場所を見つけるか。屋根があれば、それでいい」
「ここで、なにをするの」
「また、探偵でもはじめるかな。おまえに、ミダマを喰わせてやるには都合がいい仕事だ」
そして、戦うのだ。
嘘つきだらけの世界と。”[P.384]

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2012年05月16日

Posted by ブクログ

アニメ見ておけばよかったー。
小説自体はアニメ見ていないせいか入り込みにくかったのですが、ようつべで少しだけアップされているのを見たらあーアニメがこうだからこうなのか…と。本の内容が本編よりも前じゃ入り込めないよなぁ。

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2012年03月12日

Posted by ブクログ

面白かった。けれど映画を念頭に置いてある所為か、キャラクターの描写が雑になっている気もする。ページの都合もあるかもしれないけれど、別天王の外見は地の文だけではわかりにくかったかな。その半面、アニメや映画だけではわかりにくかった、時代背景やJJシステムについてはちょっとわかったかも。

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2012年03月10日

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