松村美香のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
松村美香『利権聖域 ロロ・ジョングランの歌声』角川文庫。
古本屋で眼にし、第1回城山三郎経済小説大賞受賞作に惹かれて購入。単行本は2009年の刊行。
その後の著作が極めて少ない作家だが、女性作家とは思えない硬質な文章と慎重なストーリー展開は好み。
変わりゆく世界情勢。微妙なバランスの上に成り立つ西と東の関係はいつ壊れてもおかしくはない。国際経済協力、海外ボランティア。巨大な資金が動くところには人間の欲望が渦巻き、必ず利権が発生し、悪が生まれる。いつの時代も、どこの国でも変わらない出来事。
主人公の週刊誌記者・藤堂菜々美は8年前にインドネシアの東ティモール独立紛争に巻き込まれ、死亡した新聞記者だった従兄の中瀬稔の最後の便りの写真に誘われるかのように、インドネシア・中部ジャワ地震の現地取材を志願する。
菜々美はインドネシア・中部ジャワ地震の現地取材を通してNGOボランティアや国際開発コンサルタント、フリーランスのライターらと出会い、国際協力の裏側を知るうちに稔の死に疑念を感じる。
本体価格743円(古本100円)
★★★★★ -
Posted by ブクログ
読み終えて、「スゴイ」っていう言葉が
思わずでてしまった。
開発コンサルタント 櫻井万里子の 仕事ぶり。
仕事にかける想い。
おじいちゃんは、軍隊のえらい様。
お父さんは、経済企画庁のえらい様。
万里子は、現場を大切にして 国際開発コンサル会社に勤める。
アラフォーで、独身。アフリカ、モンゴルっていう国を平気で
駆け回る。大和撫子という表現を超えた芯の強さ。
経済通産省の官僚 水谷からは 女軍曹とさえいわれる。
万里子には、モンゴルで死んだ加藤への想いもあった。
人口 270万人のモンゴルの 開発コンサル。
地域都市計画つくりを進めるが、結局は資源がらみ。
モンゴルには 天然資源が多くある。
外務省、経済産業省、ODA,JICA,コンサル。
それぞれが、それぞれの思惑があり、
その思惑に 翻弄される 万里子。
いや、はや。
もう少し違う方向を想定したが、
違ったカタチで、結末を迎えていく。
なぜか、続編が ほしいなぁ と思う。
モンゴル、ザンビア これからどうなっていくのだろうか? -
Posted by ブクログ
※私的メモ
【出会い】
同僚の紹介。業界小説。
【概要】
ODA案件をめぐる関係者間の利権の綱引きとりそうとの葛藤を描く。
【感想】
新感覚の経済小説であり、日本の開発援助史と業界のリアルな感覚を知る入門書としても秀逸。
現場に身を置いているだけあって、日常や心理のディテール描写はかなりマニアック。
援助村は小さいながら多様なアクターが非常に異なる価値観を持っている中で、経産官僚を(外務ではなく)主役のひとりに置いている設定がきいている。
しかも、実施機関への出向者という立場がおもしろい。
ざっくばらんな感想としては、よく仕事しながら書けたなということと、クライアントについてもあけすけに書けたなということ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ後輩が半年以上前に貸してくれた本。
研修旅行でインドネシア行く前に読んどけば良かった〜。激しく後悔。
まあそれはともかく、内容は、
全体的にはODAについての表裏を語っているんだけど、
小説のストーリーのなかにその内容が散りばめられているので、
そこまで硬い内容というわけでなく、
そしてそれ以外のストーリーがそれなりに成り立っているので
ODAのことわかんない人でも楽しめそうな本だった。
最も自分はODA、しかもインドネシアのODAについての話だったからフィクションだったけど非常に面白かった。
この本を読み終えて、非常に単純な思考回路の私は、
就活終わったら海外ボランティアに1ヶ月でも良いから行こう、
絶対途上国に関わる仕事をしたい、と以前より増して思うようになった。
旅行に行く際、その国の歴史背景とかをしっかり知っていくと、
その国がまた違った色で見えるのかな。
知らない以上に楽しくなるのかな。
あと、『地下鉄に乗って』とちょっぴり設定が似ている…かもしれない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ一般的なサラリーマン家庭の奮闘を描いた本小説。著者は開発コンサルタントということで、海外(ベトナム)の話も出てきます。うつ病になって新卒就職後に1,2年で辞めた息子、大学生の娘、ポストオフまじかな夫、専業主婦の妻が介護や老後、将来を現実的に考え奮闘していきます。
老後資金をためる方法も勉強になりましたが、印象的だったのは、下記5点です。
①損しないためには金融リテラシーが必要ということ、
②公共のサービスを研究すること
③社会とのつながり(人と人の関係)が重要であること
④「悲観は気分、楽観は意志」by哲学者アラン
軽快なテンポなので面白く、すっと読めますが、色々勉強になる1冊でした。 -
Posted by ブクログ
※メモ
【きっかけ】
松村シリーズ第一弾
【概要】
インドネシアを舞台にした汚職がらみの経済小説。
【感想】
人物関係の設定がテンコ盛りで、援助と汚職の堅い話をストーリーのなかでおもしろく読めた。
他の作品で著者の本業であるコンサル業界についてはかなりリアルに描かれていたが、本作では雑誌編集の現場も生き生きと描写していたので感服。
援助用語的なものも少々あったけれど、会話をうまく使うなど、読みやすくはなっているかと思う。
若手会社員の仕事観を書いているところは確かに・・・と思うところも。女性読者であればよりそういう部分はあるかもしれない。 -
Posted by ブクログ
上司に薦められて。インドネシア、東ティモールにかかるODAやそれに関わる利害関係者(商社、ゼネコン、政府、NGO等)の様々な歴史や関係をジャーナリストの視点から描くフィクション。小説としては好みが分かれるかもしれないし、個人的には感情移入しづらい部分があった(主人公が女性のため?)が、本書はODAに関わるステークホルダーの果たしてきた役割を俯瞰するのに良い教科書になると思う。(もちろんこれが詳細も含めて全て正しいかどうかは議論があると思われるが、)商社やゼネコン、政府関係者の視点を知るのに非常に勉強になった。ODAとNGOの歴史も平易に紐解いており興味深い。自身にとっては実施機関の役割、ODAと国益の関係を再考するきっかけとなった。