バトラー後藤裕子のレビュー一覧
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英語学習に限らず、第二言語習得に関する研究を次々紹介してくれる一冊。
よく言われる「臨界期」は本当に存在するのか?決まった年齢を超えてからの言語習得は不可能または、一定のレベルに達することができなくなるのか?などの問いの答えとなるようなならないような研究がたくさん出てくる。
虐待等により正常に言語を習得できなかった事例には心が痛んだ。
20代以降でも外国語を現地の人のように操れるようになった達人の事例や、学習開始年齢よりも学習時間の影響が大きいというような話には単純に励まされた。
全体的にはタイトルに対するハッキリとした答えは出てこない。というか、こっちを取ったらあっちが立たず、これについて調 -
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AIを含むデジタル技術と教育の関係について関心があり本書を手に取りました。私は教育関係者ではありませんが、子供を持つ親としてとても興味深く読みました。まず本書は新書ですが、かなりの情報量で読み切るのにだいぶ時間がかかりました。ただ素人にもわかるようにアカデミック研究をかみ砕いて説明してくれているので、基本的なことは理解できた気がします。
細かい点はさておき、本書を読んだあとの全体的な印象です。幼稚園児以下にはテレビがプラスの影響をもたらさない、といったように結論がほぼ出ている領域もあるのですが、大半の教育分野については、誰に、どうデジタル技術を活用するかによって、プラスにもマイナスにもなり得 -
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デジタル・コミュニケーションを前提とした、子どものリテラシーを育てるための言語教育に対する提言が書かれた本。また、急速に進歩した子どもの言語習得に関する最近の欧米や日本の様々な研究が紹介されている点も価値が高い。
著者は、子どもの第二言語習得が専門の、ペンシルバニア大学バトラー後藤裕子教授。
この本の最大の特長は、日本語と欧米の言語の特性を踏まえた上で論考がなされていることだろう。
また、ことばを身につけるときの身体性の重要性を説いているのも、子どもとことばに関わるボランティアをしている私の実感と合っている。
これからを生きるこどもたちには、デジタルを使ったコミュニケーションによって、インタ -
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デジタル・デバイスを用いた学習、とくに、著者が専門とする語学学習について述べられた本です。
必要に応じて、学習に限らず、デジタル・デバイスの歴史やAIの歴史にも触れてあり、デジタル・デバイスを用いた学習についての外観を知るにはとってもよい本だと思います。
ただし、学習全般ではなく、基本的には語学学習に限定されている点には注意が必要です。
今の技術では、デジタル・デバイスだけでの語学学習は厳しい、とくに年齢が低いほど厳しいですが、小学生以降であれば、使い方次第では有効な場面が多々あるようです。
結局のところ、デジタル・デバイスを用いた学習と、人のサポ―トのある学習の組合せが、語学学習にはベス -
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日本はデジタル教育も既に後進国であり、その差はコロナ禍で世界の先進国比でも2歩も3歩も遅れた致命的な結果を生み出した。それは、ここにあるデジタルテクノロジーに対する「アクセスの差」から「使用の質の差」となって現れているのは賛同する。政府(文部科学省)、教育委員会はデジタル教育に対する「形式だけ」で実務が伴ったリーダー的存在が欠けており、1990年代にも「一人1台のPC」と言って既に30年近く立っているが未だ同じことを言っている。やはり教育関係者も含めて一般的にデジタル・リテラシー不足であり、その人材不足が旧態依然のシステムのままで、今後、その差はアジア諸国でも最低となることは既に見えている。も
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Posted by ブクログ
私が子供の頃はゲームや漫画、テレビ。今の子供たちは、オンラインでゲームをする事が多いし、ネットの動画や検索が当たり前の社会に生きていて、そこにAIも加わる。昔は外で遊びなさいと言われる事もあった。それは運動の必要性のみならず、親世代が外遊びから得た学びを体験して欲しいからという理由もあるのだが、今、どんな学びが正しくて、デジタル社会どのような影響を与えるのかは予測できない。
ちょっと小難しい事を述べる。この世界は素粒子単位をデジットとしたデジタル社会として仮定する事は概ね可能で、しかし複雑系などの相互作用や量子のランダム性などにより、予測不可能な状態があるため、実存とデジタル観念世界、可能世 -
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ネタバレ子どもたちは、今や膨大な情報に取り囲まれている。その中で、異なる立場にいる人たちの見解を正確に理解し、意見と事実を判別し、情報の信頼性を判断し、信憑性のある情報に基づいて、論理的に判断を行い、その結果を言語化して、他人にも伝えるような能力をPISAでは求めている。
読みの4つの特徴。①移動性…どこでも持ち運びができ、読む行為は場所を選ばない ②身体性…紙の質感、感触。何ページあるか視覚的に感じ、ページのどの辺に書いてあったかを記憶する。本は情報である前に「モノ」である ③対話性…読む際に付せんを入れたり、アンダーラインを引いたり ④共有…読むことは意外と社会的な行為である
ハイパーリンクの -
Posted by ブクログ
1.この本を一言で表すと?
日本と海外の最新の研究結果から、デジタルと学びの関係を分析した本。
2.よかった点を3~5つ
・テクノロジーの進化に伴い、それを主体的効率的に有効利用していくグループと、自動的にテクノロジーに振り回される、または取り残されていくグループとの間の格差が拡大か、各特化していくことが懸念される。今のうちに、しっかりとデジタル教育格差拡大のカラクリを理解し、手を打っておかないと、大変なことになりそうだ。(p61)
→教育格差拡大の懸念はますます高まっていると思う。デジタル教育の良い部分を積極的に取り入れることが必要だと思う。
・ビデオ不全と相互干渉(p88)
→教育の目