魚川祐司のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2024.10.5〜 再読中。少しずつ追記していきます。
【はじめに】
「それだよ私の知りたかったことは!よくぞ書いてくれました!」と興奮させてくれる。もうここからぐっと引き込まれる。曖昧に濁そうとしない文章は気持ちが良いほど明瞭でわかりやすく、「愛してる…」となる。本書は仏教を「わかる」ための本であり、そのために①ゴータマ・ブッダの言う解脱・涅槃(仏教の目的・本質)とは何か、②彼は「悟った」後、なぜ死ななかったのかが明らかにされていく。
【第一章】
本書は、仏教を「人間として正しく生きる道」なんて陳腐なワードで説明することをまずはっきりと否定している点において信頼できる。むしろ労働や生殖 -
Posted by ブクログ
仏教瞑想がどういうものか、普通の人の生活でどう活かすことができるのか、付き合い方を知ることのできる本。
瞑想にも多様性があり、目的と方法が多様であり、自分に合う合わないもあるとのこと。唯一の真実があるから、自分をその瞑想合わせなくてはならないと考えるのではなく、自分の目的、適した方法を考えて、合わない時は別の方法を探すという柔軟な対応もあって良いというスタンスを知る。方法によっては、逆に問題を悪化させることもあるとのこと。
瞑想することと、リアルの物語の中での人格陶冶は別物なので、その指導者の為人をみることも重要ということも、目から鱗だった。
第三の軸を立てるというイメージや、抜苦与楽という -
購入済み
実存を震わせるという仏教瞑想
悩みを抱えた人たちの相談を長年引き受け、解決へと導いているタイ仏教僧プラユキ・ナラテボー師(日本人)の対談本。
仏教とその瞑想による強烈な効能について深く語る。
対談形式なのでわかりやすく、プラユキ氏の人となりも大変柔らかで安心して読める。
特に注目なのはプラユキ式の瞑想法というのが、目を開けたまま行う手動瞑想というシンプルイズベストな手法なので非常にとっつきやすく「これなら自分も瞑想習得できるかも」と思わせてくれる。悩みの解消法を探している人には一読の価値あり。 -
Posted by ブクログ
201607/
縁起の法則が、私達衆生の迷いの生存状態・苦の現状を形成している法則であるからであり、ゆえにそのはたらきをありのままに見て、私達を現状に至らしめている原因・条件(因縁)を消滅させることができれば、私達は苦であるところの迷いの生存状態から脱却する(解脱する)ことができるからである。/
ゴータマ・ブッダの仏教において目指されていることは、衆生をこの「世間」の存在状態から「出世間」へと移行させることであり、その手段は、縁起の法則によって形成された私達の苦なる現状について、その原因や条件を徹見し、それを消滅させることである。「仏教は難しい」とよく言われるが、その基本的な筋道は、このよ -
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仏教の目的である「解脱・涅槃」とはどういうことか?
その他、縁起や無我など基本的な仏教で重要な要素について解説されているが、しかたないとはいえ、専門用語は多い。
ただ、あくまでも著書はテーラワーダの視点から述べており、大乗仏教に対しては、読み手からはやや否定的と感じる立場である。
その立場も、日本の行学のない仏教への失望から来ているのかな、とも感じた。
ブッダのしなかった葬式法事を最大事とし、観光や地域振興、慈善事業などの世間的な善だけ、自己と向き合い煩悩と格闘することさえ稀な日本の仏教。
失望するのも仕方ないかなと思う。
ただ、著者が平生業成の教えを知らないであろうことは残念である。 -
Posted by ブクログ
藤田氏の言う「感じて、ゆるす仏教」が、どのように成立し、どのようなものなのかを理解するため、魚川氏が切り込んでいく。現代の仏教のあり方を考える上で試行錯誤されている様子が垣間見えた。
対談形式なので読みやすく、わかりやすくはあるが、仏教(特に禅宗、上座部)の知識がある程度必要かもしれない。
素人ながら、ひとつだけ気になったのは魚川氏の「動物化」という言葉。あれほど「無我」を言いながら、ヒトと他の動物の間に線引きをしているのは奇妙に思えた。輪廻転生の文脈では自然なことなのかもしれないが、あらためて思えば、それも人間のエゴ(無明)ではなかろうか。藤田氏の言うように「畜生=比喩的表現」と考えるほ